« ”鈴木俊貴著 僕には鳥の言葉がわかる” を読んでみました | トップページ | 蔦屋重三郎 「コンテンツビジネスの風雲児」 »

2025.05.06

井上洋治著 まことの自分を生きる 第一章 宮沢賢治を読み返してみました。

気になっていた映画「銀河鉄道の父」を今更ながら観てみました。

その日に、
たまには、本でも読もうか?と書棚を眺めていて・・・
この本をみつけ、目次をみると「第一章 宮沢賢治」
内容の記憶が一切ない、
ということで読み返してみました。

Img_3302

井上洋治は、著書「まことの自分生きる」第一章 宮沢賢治のなかで、主に以下作品から引用して記述しています。
詩集「春の修羅」
詩「雨にも負けず」
童話「注文の多い料理店」
「農民芸術概論綱要」
(正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて生きていくことである。)
童話「めくらぶどうと虹」全文

このただ、生進を宗教の世界に生きぬこうと決めた人間として、それなりの見方で語ることをゆるしていただければ、
賢治の中には、芸術家、詩人としての賢治と、すなわち美の女神にとらえられた賢治と、生命の根底を吹きぬける大自然のいのちの風(プネウマ)にとらえられた宗教求道者賢治との、すさまじいばかりの烈しい葛藤があり、それがまた賢治に独特の魅力をあたえていると思われるのである。
私には何か、賢治に限らず、芭蕉にしろ、西行にしろ、すぐれた宗教性を持った偉大な芸術家ほど、この"修羅"の世界を生きざるをえない宿命を負わされており、またそこに彼らの妖しいまでの魅力がうまれているように思われるのである。

 

『注文の多い料理店』の序文から、

わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐ、きれいにすきとほつた風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
・・・中略・・
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。
ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。
・・中略・・・
けれども、わたくしは、これらのちひさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。

これから私の書く作品は、決して観念や想像力の所産なんかではない。
そのままそっくり虹や月あかりからもらってきたものなのだ。
まことの瞳にうつった、まことの光と生命のやどっている世界なのだ、そう賢治は言いたかったのにちがいない。
その言語分節による表層意識が崩れ去った、ほんとうの世界を、その言語で表現し伝えて、まことの心のたべものにしようというのだから、賢治が推敲に推敲を重ねるのは無理からぬことだというべきであろう。
だがどろだろうか。賢治が、自分の詩は詩ではないといったとき、ひょっとしてもっと深い心のはじらいがかくされていたとはいえないだろうか。

 

まことの自分を生きる
もくじ
第一章 宮沢賢治
第二章 芭蕉
第三章 西行
第四章 良寛
第五章 イエス  

1988年11月25日 初版第一刷発行
1991年3月20日    初版第三刷発行
著者 井上洋治
発行所 筑摩書房

映画は、
「岩手県で質屋を営む裕福な家庭に男の子が生まれる」
そんな場面から始まります。
名前は、隠居した祖父によって「賢治」と名付けられます。
「銀河鉄道の父」と「賢治」の物語が始まります。
「賢治」は家業を継ぐ立場でありながら、かたくなに質屋を継ぐことを拒んでいた。仕方なく進学を許すものの、父政次郎が思っていた大学ではなく、農業学校への進学。そして人工宝石の製造、政次郎と異なる宗教への傾倒と我が道を突き進む賢治。
政次郎は厳格な父親であろうと努めるもつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治、夢中で書き続ける賢治は病の床に伏してしまう。
賢治は最期の力を振り絞って、不作に苦しむ農民の相談にのったあと・・・
ラストシーンは、銀河鉄道を思わせる車内で、政次郎は「賢治」と賢治の妹「トシ」に出会って・・・・

 

監督 成島出
原作 門井慶喜
脚本 坂口理子

宮沢政次郎 役所広司
宮沢賢治 菅田将暉
宮沢トシ 森七菜

2023年製作/128分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年5月5日

|

« ”鈴木俊貴著 僕には鳥の言葉がわかる” を読んでみました | トップページ | 蔦屋重三郎 「コンテンツビジネスの風雲児」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ”鈴木俊貴著 僕には鳥の言葉がわかる” を読んでみました | トップページ | 蔦屋重三郎 「コンテンツビジネスの風雲児」 »