日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション展 その2(4章、5章、6章)
日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション展
会期 2024年8月3日(土)~ 11月10日(日)
4. 崩壊と再生
戦後の復興期に幼少期を過ごした高橋龍太郎の記憶には、伊勢湾台風や阪神大震災など、数々の危機的な状況が原体験として重なりあって存在しているといいます。特に2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故は、東北地方にルーツを持つ彼に大きな感覚の変化をもたらすことになりました。
高橋コレクションには、この一連の出来事から生み出された作品も多数収蔵されています。(展示会場の解説から)
鴻池朋子 皮緞帳 2015-2016 クレヨン、水彩、牛革
小谷元彦 サーフ・エンジェル(仮説のモニュメント2) 2022 ミクストメディア
青木美歌 Her songs are floating 2007 ガラス、車
宮永愛子 景色のはじまり 2011 金木犀の剪定葉6万枚、ミクストメディア
5.「私」の再定義
東日本大震災以降の高橋龍太郎コレクションに収集された作品には、明確なメッセージやダイナミックなイメージを示すものよりは、何かが生成する過程や、不完全なものや未完成の状態、あるいは自分の外にある現象や環境に、そのあらわれをゆだねるようなものが目立つようになっていきます。
そこで作家たちは、高橋が震災後に感じたように、強い主張の主体である「私」の存在を問い直し、複数のアイデンティティのなかで揺らいだり、外の世界との干渉によってはじめてあらわれたりするような「私」と向かいあっているように見えます。
こうした変化により、高橋のコレクションには、鑑賞者の感覚や認識の方法に働きかけ、その刷新を促すような抽象的な表現や、焼成という外部的な要因によって素材が自ずと変化していく陶芸など、これまで収蔵されてこなかったような性質を持つ作品も加わるようになっていきます。(展示会場の解説から)
やんツー 脱成長のためのイメージ ー近代的価値から逃走する 2022
スプレー塗料、カンヴァス/ミニ四駆、Arduino、モータードライバー、スイッチ、木、本、トミカ、iPhone、石、無線LANルーター、PLA、ほか
6. 路上に還る
高橋龍太郎コレクションは、現在もなお、若いアーティストたちの最新の動向を取り込みながら、日々拡大しています。近年彼を惹きつけているのは、路上ーストリートから世界をまなざし、制作する作家たちです。かつて学生運動に身を投じた高橋にとって、これらの作品との出会いは、前衛芸術の記憶とともに、再び路上に還るような経験だといえるかもしれません。
鈴木ヒラク 道路(網膜) 2013 反射板、木
SIDE CORE /
EVERYDAY HOLIDAY SQUAD
rode work tokyo_ spiral junction
2022
4チャンネルビデオ、工事用照明器具、単管、チェーン、ほか
根本敬 樹海 2017 アクリル絵具、水性マーカー、カンヴァス
スマホで撮った写真をまとめてみました。
日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション展 4章、5章、6章
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