内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙
内藤コレクション
写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙
会期
2024年6月11日(火)〜8月25日(日)
国立西洋美術館
会場風景
本展は、内藤コレクションを中心に、国内の大学図書館のご所蔵品若干数や、内藤氏がいまでも手元に残した1点を加えた約150点より構成され、聖書や詩編集、時祷書、聖歌集など中世に広く普及した写本の役割や装飾の特徴を見ていきます。書物の機能と結びつき、文字と絵が一体となった彩飾芸術の美、「中世の小宇宙」をご堪能いただければ幸いです。
(本展解説パネルから引用、以下同じです)
写本とは、
15世紀に印刷技術が発明される以前、ヨーロッパの書物は、人の手で書き写された本、すなわち「写本」だった。写本には、羊や子牛など動物の皮を薄く加工して作った紙が使用された。
Ⅰ 聖書
聖書は中世ヨーロッパにおける最も重要なテキストであり、多数の写本が制作されました。
聖王ルイ伝の画家(マイエ?)「セント・オールバンズ聖書」零葉
フランス、パリ 1325-50年 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション
Ⅱ 詩編集
神の栄光を讃える150編の詩からなり、旧約聖書の一書を構成する「詩編」は、修道院や教会の礼拝から一般徒の私的な祈りまで、古来キリスト教徒の祈りの重要な要素をなしてきました。
Ⅲ 聖務日課のための写本
聖務日課は決まった時刻に行われる一日8回の礼拝で、ミサとともに修道院や教会の典礼(公的な礼拝)の基本をなすものです。
フランチェスコ・ダ・コディヒゴーロ※ジョルジョ・ダレマーニャ
「レオネッロ・デステの聖務日課書」零葉 イタリア、フェラーラ 1441-48年 内藤コレクション
Ⅳ ミサのための写本
修道院や教会における中心的な典礼であるミサは、キリストの十字架上での犠牲と復活を再現し、記念する礼拝です。
ミサ典礼書零葉 ドイツ、オーバーシェーネンフェルトまたはアウクスブルク 1504年
彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション
Ⅴ 聖職者たちが用いたその他の写本
この章では、聖務日課やミサ以外の用途で聖職者たちが用いた写本由来の零葉、ないし親写本の用途を特定するのが難しい作品群をご紹介します。
司教定式書零葉 フランス、アビニヨン 1320年頃 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション
Ⅵ 時祷書
聖職者や修道士の聖務日課に倣い、一般徒たちも日々8回、毎日定められた時間に私的な礼拝を行っていました。時祷書はこの礼拝で用いられた書物で、内容的には、聖務日課書を一般徒向けに簡略化したものとなっています。
リュソンの画家 時祷書零葉 フランス、パリ 1405-10年頃 彩色、インク、金/獣皮紙
Ⅶ 暦
第7章では、写本に収められた暦を特集します。キリスト教における日々の礼拝の内容は、教会暦(キリストの生涯を一年の周期にあてはめて編成した暦)に従って決まります。このため詩編集や聖務日課書、ミサ典礼書、時祷書などでは、巻頭に暦が所収されているのが通例でした。
Ⅷ 教会法令集・宣誓の書
教会法集とは、教父文書、公会議決議、教皇を中心に、カトリック教会が、その組織運営や信徒たちの仰、生活に関して定めた法文を所収した書物のことです。
Ⅸ 世俗写本
内藤コレクションの大多数を占めるのはキリスト教関連の写本零葉ですが、世俗的、すなわち非宗教的な内容をもつ作例も数点含まれています。
(HPの解説から)
当館では2015年度に、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より、写本零葉(本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とするコレクションを一括でご寄贈いただきました。その後も2020年にかけて、内藤氏ご友人の長沼昭夫氏からも支援を賜りつつ、新たに26点の写本リーフを所蔵品に加えています。
当館では2019-20年度に三期にわたり開催した小企画展で、内藤コレクションを紹介してまいりました。しかし、コロナ禍のさなかでもあったため、それらは小規模なものにとどまったと言わざるを得ません。こうした事情をふまえて、改めて内藤コレクションの作品の大多数を一堂に展示し、皆様にご覧いただくべく企画されたのが本展です。また当館はコレクションの寄贈を受けて以来、国内外の専門家の協力を仰いで個々の作品の調査を進めてきました。本展はその成果をお披露目する機会ともなります。
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