幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻
幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻
会期 2024年6月1日(土)~9月1日(日)
町田市立国際版画美術館
ただただ、展覧会を見に行くだけで、本は読まないし、学ばない自分には苦手な作品が並ぶ展覧会ですが、
”ときに難解で半分も理解できなかった解説”が、わたしの鑑賞の助けになったことは確かです。
所蔵作品のみで、これだけの展覧会を企画できるのは流石、版画美術館だと思いました。
フラヌールとは”遊歩者”を意味するようです。
”独自の世界をさまよう〈フラヌール(遊歩者)〉ともいうべき版画家たちの作品は、過去や私たちの内に眠る原初的な記憶を呼び起こしながら現実世界の可能性、すなわち未来の姿をも浮かび上がらせる力を秘めているといえるのです。”(本展解説から)
展示構成です。(展示作家)
【刻線の魔力】
・門坂流(1948-2014)
荒波 1993年 エングレービング
・木村茂(1929生)
・木原康行(1932-2011)
【〈エロス〉の形態学】
・多賀新(1946生)
不安な室(むろ)1973年 エッチング、アクアチント、メゾチント
・パウル・ヴンダーリッヒ(1927-2010)
・ヨルク・シュマイサー(1942-2012)
【時空のアナモルフォーシス】
・星野美智子(1934生まれ)
・エリック・デマジエール(1948生まれ)
【神話のイマジネール】
・蒲地清爾(1948生)
蜃気楼 1987年 エッチング、アクアチント
・エルンスト・フックス(1930-2015)
・藤川汎正(1940生)
【生・命・力―若きヴィジョネール/フラヌールたち】
・池田俊彦(1980生)
嫗(老腐人-R) 2006年 エッチング、アクアチント、ドライポイント
・山田彩加(1985生)
命の繋がり 2007年 リトグラフ
・西村沙由里(1988生)
山越え 2012年 エッチング、アクアチント、ドライポイント
【語り、詠う幻像たち】
・清原啓子(1955-1987)
領土 1981年(後刷) エッチング
・小林ドンゲ(1926-2022)
・アンティエ・グメルス(1962生)
【夢の敷居】
・坂東壯一(1937生まれ)
星振る窓 1978年 エッチィング
・渡辺千尋(1944-2009)
【鏡像の宇宙】
・加藤清美(1931-2020)
ちいさな自然C 1969年 エッチィング、手彩色
・日和崎尊夫(1941-1992)
・柄澤齊(1950生)
肖像XVI マティアス・グチューネヴァルト 1983年 小口木版
【腐蝕の傷痕】
・菊池伶司(1946-1968)
題名不詳 1968年 エッチィング、鉛筆
・ホルスト・ヤンセン(1929-1995)
―HPの解説ー
ときに鏡にたとえられる版画は、作者の夢想と見る者の願望を如実に映し出します。版面/紙面の不可思議なモチーフや奇妙なフォルムは想像力を否応なく刺激し、見慣れた現実をも幻想の世界に変容させる版画家たちの精神と手業は既成の概念を揺り動かし、私たちを別の世界へといざなうかのようです。
独自の世界をさまよう〈フラヌール(遊歩者)〉ともいうべき版画家たちの作品は、過去や私たちの内に眠る原初的な記憶を呼び起こしながら現実世界の可能性、すなわち未来の姿をも浮かび上がらせる力を秘めているといえるのです。
本展では企画協力に美術評論家の相馬俊樹氏をむかえ、幻想の力によって〈アナムネシス(記憶回復)〉を喚起する作品を、当館収蔵品から紹介します。版画/鏡を覗きこみながら作品のあいだを遊歩するうちにおのずと取り込まれる世界は、「夢幻」と「現実」、「作品」と「私たち」、そして「芸術のための芸術」と「生のための芸術」などの境界がとけあう場となるでしょう。
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