めぐりあう大津絵 八王子夢美術館
めぐりあう大津絵
笠間日動美術館・小絲源太郎コレクションと
神戸女子大学古典芸能研究センター・志水文庫の大津絵
会期 2023/9/15(金)〜2023/11/5(日)
八王子夢美術館
(画像はクリックで拡大表示になります)
初期大津絵
《鬼の念仏》公益財団法人日動美術財団蔵
「鬼の念仏」は大津絵のなかでもとりわけ人気が高く、作例が多い図であり、初期から後期まで江戸時代を通して制作された。本図はそれ等の中でも初期大津絵の図像を見せる逸品のひとつである(キャプションから)
志水文庫の大津絵
《阿弥陀仏》神戸女子大学古典芸能研究センター蔵
阿弥陀仏の独尊図である。阿弥陀仏が立っている朱色の丸は蓮台、その下の白緑は雲を表す。来迎印を結んでいることとあわせて、これは阿弥陀来迎図の一種と言える(キャプションから)
展覧会の構成は次の通りです。
大津絵の製作年代
前期大津絵:慶長年間頃(1596)~万時年間頃(1661)
初期大津絵:寛文年間頃(1661)~正徳年間頃(1715)
中期大津絵:享保年間頃(1716)~享和年間頃(1803)
後期大津絵:文化年間頃(1804)~明治以降(1868~)
第1部 笠間日動美術館・小絲源太郎コレクション
1-1 大津絵の逸品―初期大津絵
大津絵《傘さす女》笠間日動美術館
戦前から広く知られた名品『傘さす女』、本作は梅原龍三郎の所蔵品として、岸田劉生や柳宗悦らが書籍や雑誌などで紹介したが、戦後以降所在が不明であった。おそらく梅原は昭和10年代に弟子であった益田義信に譲り、その後1955年以前に小絲の所蔵になったと推測する。(キャプションから)
1-2 大津絵全盛時代―初期から中期にかけて
1-3 富岡鉄斎旧蔵『古筆大津絵』
道歌入りの大津絵が収録された画巻、軸装された作品が展示されています。
黒い雲の切れ間から、上半身を乗り出した赤鬼が錨を使って落とした太鼓を必死で拾い上げている。錨を結んだ紐は鬼の褌だというのだからなんともみっともない姿である。
かんじんのたいこを
とんとんおとしたる
かみなりどのの
なりのわるさよ
猫とねずみが酒盛りをする図
ねずみは、天敵であるはずの猫を前にしながら、酒に酔ってすっかり気を許しているようだ。周囲には、酒を飲みすぎて身を亡ぼすといった内容の道歌がぎっしりと書かれている。
おそろしき
ものを
にやんとも
おもハざる
心から身をつゐに
とらるるゝ
1-4 関連作品
第2部 神戸女子大学古典芸能研究センター 志水文庫の大津絵
志水文庫の大津絵はすべて宗教性の強い画題、すなわち仏画題の大津絵4点と神像画2点からなる。(キャプションから)
2-1 志水文庫の大津絵
大津絵《大日如来》神戸女子大学古典芸能研究センター蔵
大津絵《八幡神》神戸女子大学古典芸能研究センター蔵
仏教保護、護国の神として信仰を集めてきた八幡神を描く。八幡神を主題とする大津絵もまた残存数が少なく、志水文庫以外では旧町田市立博物館収蔵作品と日本民芸館が所蔵する作品の各一点が知られている。本展出品作を含む3点とも、山上で白馬に跨り、弓を手にして、矢を背負うという構図である。旧町田市立博物館と日本民芸館の八幡神は画風が似通っており、同一作者の手によるものとの指摘があるが、志水文庫の八幡神は、構図が同じでも描き手は異なる。(キャプションから)
2-2 大津絵と近世文芸
大津絵十種《鬼の行水》久古田米僊 画 明治27年版 神戸女子大学古典芸能研究センター蔵
2-3 大津絵と近世演劇
2-4 多様化する大津絵
―HPの解説ー
大津絵は、滋賀県大津市の大谷・追分周辺で、江戸時代初期から旅人向けのお土産、護符として流通していた絵画です。その起源については諸説ありますが、一説によれば慶長年間に発生した本願寺の分立により、門前町からの立ち退きを命じられた絵仏師たちが追分の地に転居し、旅人相手に手頃な値段の仏画を販売したことがその始まりであると言われています。時代が降るにつれ、神社の絵馬に見られる図柄、あるいは風俗図など幅広い画題が取り入れられて世俗化していった大津絵は、同時代の絵画だけでなく、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子や合巻などの文学作品、そして道徳哲学の分野にも影響を与えるほど庶民の間に浸透していきます。また近現代に入ると、多くの文化人たちがその造形的な面白さに惹かれ、美術コレクションとしてさかんに蒐集されるようになるとともに、大津絵と日本の文化史との関係性について、様々な角度から活発に研究が進められるようになりました。
本展では、昭和の洋画家・小絲源太郎氏(1887~1978)が蒐集した大津絵コレクションを展示します。また、演劇資料や仏教版画の蒐集がきっかけとなって大津絵に興味をもって研究した国文学者・信多純一氏(1931~2018)による大津絵とその関連資料のコレクションも展示。芸術家の視点からの蒐集品と、研究者としての視点からの蒐集品という、二つのコレクションがもつ個性を対比しつつ、時を越えて人々から愛される大津絵の魅力に迫ります。
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