特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中 泉屋博古館東京(六本木)
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特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中
会期 2023年6月3日(土)~7月23日(日)
泉屋博古館東京(六本木)
今回の展覧会の主役は「写生帖」
櫻谷さんの没後、櫻谷文庫の長持に約600冊あまりが保管されていました。
そのなかでも特に内容が濃く重要性の高い大判の風景写生帖は、紙面の継ぎ足しが多いこともあり、劣化が進み、開くことすらできない冊子もありました。
昨年、公益財団法人住友財団の助成により一冊ずつ処置を終え、今回の展示が可能となりました。
本年3月に「木島櫻谷 写生帖」データベースとして公開しました。(HPから要約)
ホール展示の「写生帖」のみ撮影可でした。
「写生帖よ、君は生涯のよき友」
高遠な山岳、広大な河海。この世の万象をすべて収める君。いつの日か、画家として大成する日をともに目指そう」
「題写生帖自警」明治36年(1903)より
勿論、木島櫻谷の代表作と言える《寒月》(前期展示)などの大作屏風の展示もあり、櫻谷の魅力を存分に楽しめる展覧会になっています。
展覧会の構成は次の通りです。
第1章 写⽣帖よ!― 海⼭川を描き尽す
第2章 光と⾵の⽔墨 — 写⽣から⼭⽔画へ
《南陽院本堂障壁画》明治43年(1910)京都・南陽院蔵 【前後期で入替あり】
櫻谷の到達点のひとつ、墨のグラデーションによる空間表現(空気遠近法)が見事です。
明治40年に創設された文展の花形作家として34歳の櫻谷が手掛けた全50面の襖絵の内4面。
《泊船》大正4年(1915)個人蔵 【通期展示】
明治45年(1912)5月に再訪した福井県美浜早瀬の写生に基ずく作品。
第3章 ⾊彩の天地 — 深化する写⽣
《駅路之春》(左隻)大正2年(1913)福田美術館蔵 【通期展示】
《駅路之春》(右隻)
「駅路(うまやじ)」とは宿駅のある街道を指す言葉。本作は花鳥画、風俗画、動物画など様々なジャンルを横断し、写生をもとに装飾性や抒情性を加えた櫻谷芸術のエッセンスが凝縮した代表作。
《寒月》(左隻)大正元年(1912)京都市美術館蔵 【展示期間 6/3-6/18】
《寒月》(右隻)
泉屋博古館(六本木)の過去の展覧会で拝見した作品。今回は前期展示を見逃したので見られませんでした。
第4章 胸中の⼭⽔を求めて
最後の帝展出品作で、57歳にして到達した櫻谷山水画のひとつの頂点ともいうべき『峡中の秋』を中心に、収集し手元に置いて愛でた古典絵画などを紹介
エピローグ 写⽣にはじまり、写⽣におわる。
―HPの解説ー
近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価がすすむ日本画家・木島櫻谷(このしま・おうこく1877-1938)。
動物画で名を馳せた彼ですが、生涯山水画を描き続けたことも見逃すことはできません。何よりも写生を重んじた彼は、日々大原や貴船など京都近郊に足を運び、また毎年数週間にわたる旅行で山海の景勝の写生を重ねました。その成果は、西洋画の空間感覚も取り入れた近代的で明澄な山水画を切り拓くこととなりました。一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また古画を愛した彼は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。
本展では屏風などの大作から日々を彩るさりげない掛物まで、櫻谷生涯の多彩な山水画をご覧いただき、確かな画技に支えられた詩情豊かな世界をご紹介します。あわせて画家の新鮮な感動を伝える写生帖、収集し手元に置いて愛でた古典絵画や水石も紹介し、櫻谷の根底にあり続けた心の風景を探ります。
泉屋博古館近くの植え込みに咲いていた花、近頃よく見かけるような気がしますが・・・
アガパンサス?
agasa
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