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2023.07.30

ジャン・アンリ・ファーブル生誕200年記念 今森光彦の地球昆虫紀行 フジフイルム スクエア

ジャン・アンリ・ファーブル生誕200年記念
今森光彦の地球昆虫紀行

会期 2023年7月28日(金)~8月24日(木)

フジフイルム スクエア

(以下の画像はクリックで拡大表示になります)
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夏休み企画でしょうか、老若男女誰でを楽しめる展覧会。
当日も、子ずれのお母さんを多く見かけました。

美しい昆虫の姿を、素晴らしい写真で見せてくれます。
六本木に行く度に、何度でも見たい展覧会だと思いました。


展覧会の構成です。
1 世界の昆虫
アジア
北米とヨーロッパ
アフリカ
マダガスカルとオセアニア
中南米
2 日本の昆虫・里山・環境活動 

 展覧会場のレイアウト
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写真撮影可でした。(条件あり)
 

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ハナカマキリ/マレーシア
ランの花の中に身を潜めて、獲物を待ち伏せるハナカマキリの幼虫。この美しい狩人は、歩く時もゆらゆらと花びらが風に揺れるような、自然の動きを見せる。(キャプションから)

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コーカサスオオカブトムシ/マレーシア
東南アジア最大のカブトムシ、コーカサスカブトムシ。喧嘩は迫力がある。(キャプションから)

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ナルボンヌのドクグモ。 ドクグモ/フランス

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アカバナビワハゴロモ/マレーシア

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アフリカタマオシコガネ/ケニア
ウェディングボールは、産卵し幼虫を養うために使われる。ウェディングボールを数メートル運び、適当な場所が見つかると地下に埋める。この重労働をオスは1匹で行う。(キャプションから)
 
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(左)キサントパンススメガ/マダガスカル 
キサントパンススメガが長い口吻をしなやかに伸ばす。気の遠くなるような長い年月が作り出した昆虫と植物との奇跡の約束が、闇の中でかわされる。(キャプションから)

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(中央)キイロツノギス/コスタリカ

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ムネトカゲボウバッタのオス(右)とメス(左)

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ハナビロカマキリ/日本
花にやって来る小昆虫を待つ、里山に普通に見られるハナビロカマキリ。



―HPの解説ー
フジフイルム スクエア は、魅力あふれる昆虫の姿をご紹介する「ジャン・アンリ・ファーブル生誕200年記念  今森光彦の地球昆虫紀行」 を開催いたします。

昆虫の驚異的な姿を芸術性豊かに捉えた写真集『昆虫4億年の旅』で、第28回土門拳賞を受賞した今森光彦氏。本展では今森氏の作品を通し、地球上に生息する昆虫の不思議な世界を紹介します。それは大自然に生きる小さな生命と出会う旅でもあります。
また、私たちに身近な里山*1 に生きる昆虫や、その生息環境についても注目。里山の生態系に入り込み、撮影を行う今森氏の里山写真と、今森氏が取り組むSDGs*2、里山環境の再生活動について紹介します。

同時に、切り絵作家としても活躍する今森氏の、立体昆虫切り紙作品もあわせて展示。多角的に昆虫の魅力に迫ります。
子どもから大人まで楽しめる昆虫たちの作品をご覧いただき、昆虫の生きる自然環境に思いをはせていただけますと幸いです。

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2023.07.26

デイヴィット・ホックニー展 東京都美術館

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デイヴィット・ホックニー展

会期 2023年7月15日(土)~11月5日(日)

東京都美術館

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展覧会の構成です。 

第1章「春が来ることを忘れないで」
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《№118、2020年3月16日「春の到来 ノルマンディー 2020年」より》作家蔵 
ヨーロッパでは春の到来を告げる花として親しまれている黄色のラッパスイセンが輝くような色彩で描かれている。公開の数日前にiPadで制作され「春が来ることを忘れないで」という見出しが付されたその絵は未知の感染症による混乱と不安の渦中から、ささやかながら確かな生の希望を全世界に届けた。(展覧会解説パネルから)

第2章「自由を求めて」
主にホックニーの初期作品を紹介しています。
戦後の荒廃から復興を果たしたロンドン。1959年ホックニーはロンドンの王立美術学校に入学します。当時の文化の影響を受けながら、自己の内面の告白するような作品を作りました。
1960年テートギャラリーでパブロ・ピカソの個展を見たホックニーは画風を自在に変化させる創造性に強い衝撃を受けたと言います。
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《イルージョニズム風のティ・ペインティング》1961年 テート

第3章「移りゆく光」
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《スプリンクラー》1970-71年 テート
1964年にカルフォルニアで制作を始めたホックニーは、そこにあるあらゆるものが、人工的だということにあるとき気がついた。ほとんど雨が降らない土地における青々と手入れされた芝生は、その象徴であった。赤い枠によって外の世界と切り離され、現実と夢の境目のような光景が描かれた本体からは、アメリカ西海岸の中産階級の日常をどこか冷ややかに観察する異邦人の視線がうかがえる。(本展キャプションから)

第4章「肖像画」
ホックニーは、家族や恋人、友人など、周りにいる親しい人たちをモデルに、多くの肖像画を描いてきました。20230731
《クラーク夫妻とパーシー》1970-71年テート

第5章「視野の広がり」
ホックニーは1983年に京都の龍安寺石庭を訪れました。
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《龍安寺の石庭を歩く 1983年2月、京都》1983年 東京都現代美術館蔵
100枚以上の写真を張り合わせたフォトコラージュです。
ホックニーは1983年に京都龍安寺を訪れました。そして、縁側を少しずつ歩いた移動しながら、足元から塀まで順番に100枚以上の写真を撮って張り合わせました。
ホックニーはここで、複数の視点から見たものを、ひとつの平面で表現する面白さを発見したのです。

第6章「戸外制作」
1977年、ホックニーはイギリスのヨークシャーで風景画の制作を始まます。2004年には彼の母親と姉が住んでいたイースト・ヨークシャー、ブリトントンの旧居に拠点を移し、手つかずの自然の残るなだらかな丘陵地帯を描くことで、イギリスのJ.Ḿ.Wターナー、ジョン・コンスタブル、バルビゾン派の画家が築いた風景画の伝統に革新をもたらしました。

第7章「春の到来、イースト・ヨークシャー」
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デイヴィット・ホックニー 《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウオルトゲート 2011年》

第8章「ノルマンディーの12か月」
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ノルマンディーの12か月 2020-2021年(部分)複数のiPad絵画による構成/紙 2020-21年 作家蔵
ウィルスの感染拡大に伴う世界的なロックダウンが続くなか、身近な自然を変わらずひたむきに見つめたホックニーが、1年を通してiPadで描き続けた、庭の景色を繋げた90mに及ぶ大作。
制作のヒントになったのは、ノルマンディーの歴史的な物語りを描くため、11世紀に作られた70メートルの刺繍画「バイユーのタペストリー」です。

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家の辺り(夏)2019年 インクジェット・プリント/紙 作家蔵

(画像はクリックで拡大表示になります)

―HPの解説ー
東京都現代美術館では、2023年7月15日(土)から11月5日(日)まで、「デイヴィッド・ホックニー展」(主催:東京都現代美術館、読売新聞社)を開催します。現代で最も革新的な画家のひとりデイヴィッド・ホックニー(1937年、イギリス生まれ)の日本では27年ぶりとなる大規模な個展です。
ホックニーは60年以上にわたり、絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術といった分野で多彩な作品を発表し続けてきました。本展は、イギリス各地とロサンゼルスで制作された多数の代表作に加えて、近年の風景画の傑作〈春の到来〉シリーズやCOVID-19によるロックダウン中にiPadで描かれた全長90メートルにもおよぶ新作まで120点余の作品によって、ホックニーの世界を体感できる機会となるでしょう。

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2023.07.22

デイヴィット・ホックニー 《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウオルトゲート 2011年》 デイヴィット・ホックニー展

ホックニーがイースト・ヨークシャーの春の風景画に初めて取り組んだのは 2006年のことである。そして2010年、晩冬から初夏にかけて刻々と移り変わっていく自然の様相は単一の絵画のみでは表現しつくせないと思い至り、「春の到来」という主題を複数の絵画で構成されるシリーズとして提示するという構想を抱く。なによりも、同年4月に入手したiPadがそれを可能にするのではないかと考えた。こうして制作されたのが、大型の油彩画 1点とiPad 作品51点のシリーズ〈春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォ ルドゲート 2011年〉である。 (本展の解説パネルから)

 

デイヴィット・ホックニー展では、一部の作品が撮影可でした。(条件あり)
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

2023年に86歳を迎えるホックニーの近年の代表作《春の到来》、日本初公開です。

 デイヴィット・ホックニー 《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウオルトゲート 2011年》
2011年 油彩/カンヴァス(32枚組 各91.5× 122cm)365.5×975.2 ポンピドゥー・センター
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iPad作品51点のうちの12点が展示されています。
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《12月18日》《12月29日№1》《12月29日 №2》《1月2日》

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《5月16日》《5月30日》《5月31日№1》《6月2日》

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《1月29日》《3月25日》《5月4日》《5月11日》

 

デイヴィット・ホックニー展

会期 2023年7月15日(土)~11月5日(日)

東京都美術館


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2023.07.18

野又 穫 想像の誤謬 東京オペラシティー アートギャラリー

野又 穫  想像の誤謬

会期 2023年7月6日(木)~ 9月24日(日)

東京オペラシティー アートギャラリー

 

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当館コレクションの寄贈者・寺田小太郎氏は野又の作品をこよなく愛し、1980年代から毎年収集を続け、代表作40点あまりが収蔵される最大の所蔵館となりました。(本展解説から)

過去の展覧会で、見るたびに気になる野又穫の絵画。
一度見ると忘れない個性です。

そんな野又穫の大規模展覧会、楽しみにしていました。

展覧会場は、章立てもなくキャプションの類も皆無で、一点一点に番号が振られているだけです。

作品が、展示リストの番号順にも並んいるわけでもありません。

作品リストにある解説を頼りに鑑賞してきましたが・・・今回も?謎を抱えながら、展覧会場を出ることになりました。

本展は撮影可でした。(条件あり)
(画像はクリックで拡大表示になります)

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《Voyage-1 2005》  東京オペラシティ アートギャラリー蔵

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《Forthcoming Places-2 来るべき場所2》東京オペラシティ アートギャラリー蔵

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《Alternative Sights-2》2010 アクリル絵具、キャンバス 作家蔵 

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《Windscape-11 風見の地11》1997東京オペラシティ アートギャラリー蔵

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《Bubble Flowers 波の花》2013 アクリル絵具、キャンバス 作家蔵

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(左の作品)《Perspective-21 内なる眺め 21》2001 アクリル絵具、キャンバス
東京オペラシティ アートギャラリー蔵

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《Babel 2005 都市の肖像》2005 アクリル絵具、キャンバス
東京オペラシティ アートギャラリー蔵


撮った写真をまとめてみました。



―HPの解説ー
目の前に広がる見知らぬ風景に、不思議な構築物がそびえ立つ。なぜか懐かしさを感じさせる野又穫(のまた みのる1955-)の絵画は、架空の光景と一言で片付けることのできない、現実と地続きにある非現実とでもいうべき独特の世界が特徴です。当館コレクションの寄贈者・寺田小太郎氏は野又の作品をこよなく愛し、1980年代から毎年収集を続け、代表作40点あまりが収蔵される最大の所蔵館となりました。
野又は東京藝術大学でデザインを学んだ後、広告代理店のアートディレクターとして勤務するかたわら絵画制作に取り組みました。1986年佐賀町エキジビット・スペースでの個展を皮切りに、いくつかの個展を開催して作家活動に専念することとなり、以降「知る人ぞ知る」作家として熱心なファンの注目を集めてきました。そんな野又は2020年、イギリスの有力ギャラリー、ホワイト・キューブにてオンライン個展が開催された後、同ギャラリー所属が決まり、一躍世界を舞台とする作家となったのです。
そのきっかけは、2004年東京オペラシティアートギャラリーでヴォルフガング・ティルマンスと同時開催で行われた野又の個展でした。来日中の現ディレクターがこの個展を観た記憶が年月を経て結実し、今日の国際的な注目へとつながりました。
企画展示室では初めての個展となる本展では、当館コレクションはもとより、初期から最新作まで、野又穫の全貌を広々とした空間で展示する機会とします。一人のコレクターの眼から始まった作家と美術館の長年の関係、そして世界へ。点が線で結ばれて星座がつくられるように、いくつもの幸せな出来事によって編まれた物語とも言うべき本展に、ご期待ください。

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2023.07.14

私たちは何者?ボーダレス・ドールズ 渋谷区立松濤美術館

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私たちは何者?ボーダレス・ドールズ 

会期 2023年7月1日(土)~8月27日(日)
前期:7月1日(土)~7月30日(日)
後期:8月1日(火)~8月27日(日)

渋谷区立松濤美術館

本展は、そんな日本の人形の一括りにはできない複雑な様相を、あえて「芸術」という枠に押し込めず、多様性をもつ人形そのものとして紹介することで、日本の立体造形の根底に脈々と流れてきた精神を問うものです。(HPの解説から)

良く練られた企画(内容)で興味津々で鑑賞してきました。

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(チラシ表)村上隆 Ko²ちゃん(Project Ko²) 1/5原型制作:BOME(海洋堂) 平成9( 1997)年 油性塗料、アクリル絵の具、グラスファイバー、鉄 個人


展示構成です。
(図録の解説を引用しています)

第1章 それはヒトか、ヒトガタか
人形、すなわち、ヒトガタ(ヒトのカタチ)とは何か、その問いと向き合うことからこの旅を始めよう。
日本人にとっての人形には、人体をただ単に写したものにとどまらず、生命が宿る第2のヒトやカミとして存在している一面がある。
そんな魂を宿すために作られた人形を紹介する。
展示資料:人形代、サンスケ、オシラサマ ほか
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人形代 平安京跡出土 平安時代前期 京都市指定文化財 京都市蔵

第2章 社会に組み込まれる人形、社会をつくる人形
ここでは、人形の他にも、宮廷社会で愛された御所人形や男児の健康や出世を願う武者人形といった社会に組み込まれ、社会を作った人形を紹介する。
展示作品:雛人形、御所人形、武者人形 ほか
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立雛(次郎左衛門頭) 江戸時代・18~19世紀 木、紙、胡粉彩色 東京国立博物館

第3章 「彫刻」の誕生、「彫刻家」の登場
ここでは、近代以降に理論形成していく「彫刻」に生き続け、受け継がれていく人形の造形性を紹介する。
展示作品:小島与一、森川杜園、平櫛田中、農民美術運動 ほか
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川路農美生産組合 伊那踊人形 1920~1930年代 木、着彩 上田市立美術館

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小島与一 三人舞妓 大正13(1924)年 陶、着彩 アトリエ一隻眼

第4章 美術作品としての人形 ―人形芸術運動
「彫刻」とは区別されることで「美術」の周縁に置かれた人形が「美術」のひとつとして地位を確立したのは昭和時代初期であった。この中心となったのが「人形芸術運動」と総称される人形作家たちの活動であった。
展示作品:久保佐四郎、平田郷陽、堀柳女 ほか

第5章 戦争と人形
戦時の重要な人形としてとりあげられるのは《慰問人形》だろう。この素朴な人形は、太平洋戦争時代に特攻隊などの戦地の兵士に送られたものであり、戦地に赴かないおもに少女たちによる手作りの人形だった。
展示作品:池田修三、高浜かの子、慰問人形 ほか

第6章 夢と、憧れと、大人の本気と
ここでは、身の回りに美的なものを置くことで、生活を豊かにするような意図を持った芸術家による人形や商業製品でありつつも少女たちのアイコンとして憧れの的となった人形を紹介する。
展示作品:竹久夢二、河村目呂二、中原淳一 ほか

第7章 まるでそこに「いる」人形 ―生人形
幕末から明治時代初期にかけて、市井の人々の生活の中にあった人形のひとつが、生人形であった。生人形が「美術」という分野で語られていくのは1990年代からであった。市井の人々の中にあった生人形は、現在的な視点で「美術」となり「博物館」「美術館」という場所で展示されることによって再認識されるようになる。
展示作品:安本亀八、松本喜三郎 ほか
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松本喜三郎 素戔嗚尊 明治8(1875)年 木、胡粉、布 桐生市本町四丁目自治会

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安本亀八(三代) 生人形 徳川時代花見上臈 明治時代・20世紀 木彫、桐塑、胡粉彩色、毛髪、紙張子 東京国立博物館

第8章 商業×人形×彫刻=マネキン
展示作品:荻島安二、向井良吉

第9章 ピュグマリオンの愛と欲望を映し出せ!
展示作品:ラブドール ほか

第10章 ヒトガタはヒトガタ
人形を巡る旅は、現代に生きる作家たちの人形で幕を閉じます。
展示作品:天野可淡、工藤千尋、BOME、松﨑覚、村上隆、四谷シモン
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BOME リセットちゃん 平成30(2018)年 レジンキャスト 株式会社海洋堂 


―HPの解説ー
日本の人形といったら、みなさんは何を思いおこすでしょうか。お雛様?呪い人形?それともフィギュアでしょうか?はたまた、生人形や蠟人形、マネキンも、日本の人形を語る上で欠かせないものでしょう。
このように日本の人形は、もはや、体系化することが難しいほどに多様な種類があふれているのです。
そして、日本の人形の歴史を振り返れば、民俗、考古、工芸、彫刻、玩具、現代美術と、実にさまざまなジャンルのボーダーラインを縦横無尽に飛び越えながらあり続けていることがわかります。分野を問わない、曖昧な存在を武器として生きながらえてきた唯一無二の造形物が人形といえるでしょう。
本展は、そんな日本の人形の一括りにはできない複雑な様相を、あえて「芸術」という枠に押し込めず、多様性をもつ人形そのものとして紹介することで、日本の立体造形の根底に脈々と流れてきた精神を問うものです。

何かに縛られることなく軽やかに境界を越えていく日本の人形は、普段、私たちが囚われている「美術」、あるいは「芸術」という概念にさえ揺さぶりをかけます。私たちは一体何を「芸術」とし、何を「芸術」ではないとしているのか。それは果たして正しいのか。人形をとおし「芸術」そのものを考える機会となるでしょう。

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2023.07.10

特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中 泉屋博古館東京(六本木) 

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(画像はクリックで拡大表示になります)


特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中

会期 2023年6月3日(土)~7月23日(日)

泉屋博古館東京(六本木)

今回の展覧会の主役は「写生帖」
櫻谷さんの没後、櫻谷文庫の長持に約600冊あまりが保管されていました。
そのなかでも特に内容が濃く重要性の高い大判の風景写生帖は、紙面の継ぎ足しが多いこともあり、劣化が進み、開くことすらできない冊子もありました。
昨年、公益財団法人住友財団の助成により一冊ずつ処置を終え、今回の展示が可能となりました。

本年3月に「木島櫻谷 写生帖」データベースとして公開しました。(HPから要約)

ホール展示の「写生帖」のみ撮影可でした。

「写生帖よ、君は生涯のよき友」
高遠な山岳、広大な河海。この世の万象をすべて収める君。いつの日か、画家として大成する日をともに目指そう」
「題写生帖自警」明治36年(1903)より

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勿論、木島櫻谷の代表作と言える《寒月》(前期展示)などの大作屏風の展示もあり、櫻谷の魅力を存分に楽しめる展覧会になっています。

展覧会の構成は次の通りです。

第1章 写⽣帖よ!― 海⼭川を描き尽す

第2章 光と⾵の⽔墨 — 写⽣から⼭⽔画へ
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《南陽院本堂障壁画》明治43年(1910)京都・南陽院蔵 【前後期で入替あり】
櫻谷の到達点のひとつ、墨のグラデーションによる空間表現(空気遠近法)が見事です。
明治40年に創設された文展の花形作家として34歳の櫻谷が手掛けた全50面の襖絵の内4面。

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《泊船》大正4年(1915)個人蔵 【通期展示】
明治45年(1912)5月に再訪した福井県美浜早瀬の写生に基ずく作品。
 
第3章 ⾊彩の天地 — 深化する写⽣
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《駅路之春》(左隻)大正2年(1913)福田美術館蔵 【通期展示】
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《駅路之春》(右隻)
「駅路(うまやじ)」とは宿駅のある街道を指す言葉。本作は花鳥画、風俗画、動物画など様々なジャンルを横断し、写生をもとに装飾性や抒情性を加えた櫻谷芸術のエッセンスが凝縮した代表作。

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《寒月》(左隻)大正元年(1912)京都市美術館蔵 【展示期間 6/3-6/18】
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《寒月》(右隻)
泉屋博古館(六本木)の過去の展覧会で拝見した作品。今回は前期展示を見逃したので見られませんでした。 

第4章 胸中の⼭⽔を求めて
最後の帝展出品作で、57歳にして到達した櫻谷山水画のひとつの頂点ともいうべき『峡中の秋』を中心に、収集し手元に置いて愛でた古典絵画などを紹介

エピローグ 写⽣にはじまり、写⽣におわる。

―HPの解説ー
近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価がすすむ日本画家・木島櫻谷(このしま・おうこく1877-1938)。
動物画で名を馳せた彼ですが、生涯山水画を描き続けたことも見逃すことはできません。何よりも写生を重んじた彼は、日々大原や貴船など京都近郊に足を運び、また毎年数週間にわたる旅行で山海の景勝の写生を重ねました。その成果は、西洋画の空間感覚も取り入れた近代的で明澄な山水画を切り拓くこととなりました。一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また古画を愛した彼は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。
本展では屏風などの大作から日々を彩るさりげない掛物まで、櫻谷生涯の多彩な山水画をご覧いただき、確かな画技に支えられた詩情豊かな世界をご紹介します。あわせて画家の新鮮な感動を伝える写生帖、収集し手元に置いて愛でた古典絵画や水石も紹介し、櫻谷の根底にあり続けた心の風景を探ります。

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泉屋博古館近くの植え込みに咲いていた花、近頃よく見かけるような気がしますが・・・
アガパンサス?
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2023.07.06

霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展 そごう美術館

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霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展

会期 2023年6月3日(土)~7月9日(日)

そごう美術館

この展覧会、基本撮影可ですが・・・
展示作品の中で、特に興味を惹かれた「大日如来像の仏塔、獅子像4体」は撮影不可でした。
YouTubeで”大森暁生”と検索すると制作過程の動画が見れます。

約1200年前に空海が東寺に造り、1486年の文明の土一揆で焼失してしまった幻の大日如来像を、空海の定義をもとに大森の解釈を加え10年の歳月をかけ完全な姿で蘇らせ、2023年10月 讃岐国分寺(香川県)に奉納予定です。会場では、この大日如来坐像の仏頭および明王の化身である 獅子像4体を展示いたします。(チラシの解説から)
奉納されたお寺を参拝してみたいと思いましたが、如何せん遠方。


展覧会風景です。
(画像はクリックで拡大表示になります)
作家の言葉とともに・・・

大事なことはその職に就くという覚悟。

大學の卒業制作
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カラスの舟は昇華する 櫛の木、乾漆、米松 1996年 作家蔵

幻に実際に触れることが出来るのが彫刻の最大の魅力である。

彫刻を鏡面ステンレスにはめ込むことで、 フレームの外の「景色を切り取る」という コンセプトが生まれた。鏡を使った作品の多くは実際に見た景色の再現というよりも、 自身の原風景の中を飛んでいる姿 そんな思いで創っています。なのでそのイメージはフルカラーではなく、どこかモノクロなのです。
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Swan in the frame(Type-A) 檜、漆、彩色、ステンレス、アガチス、銅 2005年 個人蔵

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不死の華 檜、漆、金箔、彩色、ステンレス 2016年 個人蔵

作品《抜けない刺の狼》について、
狼の頭になにか象徴的なものを付けた作品にしたいと思った。 

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抜けない刺のエレファント 楠、漆、彩色 2002年 作家蔵

自分にとって動物は愛でる対象ではありません。風のように空高く飛び、稲妻のように地を蹴り、波のごとく大海原を自由に泳ぐ、人間にはとてとても真似できない”超”能力はの敬意と憧れ、それにつきます。

このテーブルの前に座ったものは「なんだお前は?」と言わんばかりに、水場に来たクーガーの鋭い眼光に睨まれることになる。
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月夜のテーブル ーCougarー 楠、漆、彩色、杉、鉄、ガラス 2004年 作家蔵


―チラシの解説からー
彫家・大森暁生 (おおもりあきお / 1971年〜) は、 主に木と金属を素材として実在する ものから架空のものまで命あるものをモチーフに制作しています。その彫刻は、霊気を 帯びているかのように神秘的で、今にも動き出しそうなほどリアルです。

大森は、1996年愛知県立芸術大学卒業後、籔内佐斗司 (やぶうちさとし) 工房で修業し、独立。国内外の ギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館などでの発表のみならず、ファッションブランドやレストラン、 テレビドラマやミュージシャンなど異分野とのコラボレーションも的に行い、表現の幅を広げます。 鏡のギミックによりモチーフが軽やかに浮遊して見える「in the frame」シリーズ、熊本市動物 センターに保護された犬や猫を題材にした「光の肖像」の作品群など多様な作品を発表します。 また、約1200年前に空海が東寺に造り、1486年の文明の土一揆で焼失してしまった幻の大日如来 像を、空海の定義をもとに大森の解釈を加え10年の歳月をかけ完全な姿で蘇らせ、2023年10月 讃岐国分寺(香川県)に奉納予定です。会場では、この大日如来坐像の仏頭および明王の化身である 獅子像4体を展示いたします。

本展では、大学の卒業制作 (カラスの舟は昇華する) (1996年)から、 (ぬけない棘のエレファント) (1999年) や (死に生けるBabirusa-) (2016年)などの代表作、 ファッションブランドとのコラボ レーション作品、「ルパンの娘」 ドラマ版 (フジテレビ) 劇場版 (東映)、 「Get Ready /」 (TBS) への 提供作品、 讃岐国分寺の「完全版大日如来坐像制作プロジェクト」の紹介、そして最新作を今日まで 作家が発してきた言葉とともに約100点展覧いたします。 大森晩生の軌跡とこれからをご覧ください。

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2023.07.02

6月花散歩 2023 

雨の日が多く、梅雨の合間の晴れた日はあまりの暑さに出歩くにも時間を選んでということになります。

花菖蒲の群生、追いかけるように紫陽花の開花も盛期を迎え、
6月も終わりとなると花菖蒲の花は姿を消し、紫陽花の花も枯れ始めました。

6月の散歩の途中で撮った写真、動画をまとめてみました。

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