国宝 普賢菩薩像
国宝 普賢菩薩像
東京国立博物館 国宝室(2階 日本美術の流れ 2室)
展示期間 2023年4月11日(火)~5月7日(日)
平安時代から伝わる国宝「普賢菩薩像」(東京国立博物館)が3年に及んだ修理、養生を終え公開されています。
前回修理から約100年、傷みが進んでいた仏画の最高傑作を後世に伝えるべく、学識者らによる修理委員会、技師らの作業は困難を極めました。
「紡ぐプロジェクト」最初の修理助成対象事業だそうです。
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国宝 普賢菩薩像 絹本着色 平安時代・12世紀
昭和26年(1951) 国宝指定
普賢菩薩は、濁って乱れきった世の中において、仏の究極の教えといわ れる『法華経』を信仰する人の前に現れ、励まし、守護する存在として『法華経』に登場します。
この作品には、六本の牙の白象に乗った普賢菩薩が、今まさに、信仰する人の前に現れた情景が描かれます。『法華経』に説く「白玉色」を表現した菩薩の身体は、濃淡や太さの変化で肉身の立体感を表すしなやかな淡墨線で象られています。 これは北宋時代の仏画の技法をとり入れたものと言 われています。また、上質な顔料で彩られた衣には、髪の毛ほどの細さに切った金箔を用いた截金技法によって様々な文様が精緻に施されています。
仏画でありながらなまめかしささえ感じさせる、ひときわ優れて繊細なこの作品は、平安時代12世紀の仏画を代表する傑作のひとつです。
今回、文化庁・ 宮内庁・読売新聞社が官民連携で取り組む 「紡ぐプロジェ クト」から修理費用を寄付頂いたことを契機に行われた、3ヶ年に及ぶ解体修理が無事に完了しました。作品本来の繊細な表現や描写をとり戻し、表具も、平安時代の作品らしい上品な美しさが引き立てられるものに新調され ました。令和の時代によみがえった平安王朝の美をご堪能ください。
(担当研究員:沖松健次郎)
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