ますむらひろしの銀河鉄道の夜―前編
ますむらひろしの銀河鉄道の夜―前編は、
八王子夢美術館で開催されています。
会期 2023年1月28日(土)〜3月26日(日)
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宮沢賢治原作の『銀河鉄道の夜』は37歳で早世した宮沢賢治が執筆していた未完の作品です。病床でも推敲を続け、一次稿、二次稿、三次稿、四次稿とされる草稿が残されています。
南欧を思わせる街を舞台にした、少年ジョバンニとカムパネルラの物語。幼なじみの二人はケンタウム祭の夜、銀河鉄道で不思議な旅をします。
この展覧会では、漫画(猫をキャラクターとした)とともに宮沢賢治の原作から文章を抜粋して掲載しています。
1、午後の授業
ジョバンニと幼なじみのカムパネルラが学校で銀河について教わってます。答えを知りながらも二人はなぜか黙ってしまいます。
2、活版所
放課後ジョバンニは活版所に向かいます。ここで、印刷する文字をひとつひとつ並べる仕事をしているのです。
3、家
ジョバンニは病気のお母さんと二人で暮らしています。漁師のお父さんはしばらく帰っていません。
4,ケンタウルス祭の夜
今日はお祭りの日です。街に出ると、ザネルたち意地悪なクラスメートがジョバンニをからかいます。
ジョバンニは、口笛を吹いているようなさびしい口付きで檜のまっ黒にならんだ町の坂を降りて来たのでした。
その真ん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。ジョバンニはわれを忘れて、その星座の図に見入りました。
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いちばんうしろの壁には、空じゅうの星座をふしぎな獣や蛇や魚や瓶の形に書いた大きな図がかかっていました。
ほんとうに、こんなような蠍だの勇士だの空にぎっしり居るのだろうか
ああ、ぼくはその中をどこまでも歩いてみたいと思ったりして、しばらくぼんやり立って居ました。
5、天気輪の柱
ジョバンニはひとりで、天気輪という柱のある丘を登ります。野原を見渡すと汽車の音が聞こえてきました。
もう時間だ行こう
こんなにしてかけるなら、もう世界中だってかけれると、ジョバンニは思いました。
6、銀河ステーション
ジョバンニは、いつのまにか小さな列車に乗っていて、すぐ前の席で窓の外を見ていた子供はカムパネルラでした。
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気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗っている小さな列車が走り続けているのでした。ほんとうにジョバンニは夜の軽便鉄道の小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながら座っていたのです。
7、北十字星とプリオシン海岸
立派な十字架を通り過ぎて海岸近くの停車場に着きました。二人が降りると、そこでは学者が化石の発掘をしています。
8、鳥を捕る人
車室に戻った二人のとなりに座ったのは鳥をつかまえる商売をしている人でした。鶴や白鳥などのいろいろな鳥です。
9、ジョバンニの切符
車掌がやってくると、鳥を捕る人とカムパネルラはすぐに切符を取り出します。ジョバンニは切符を持っていたのでしょうか。
「ジョバンニとカムパネルラをのせた銀河鉄道の旅は続く」
というコメントで、この展覧会は終了ですが・・・
後編の開催の予定はいまのところないそうです。(平成5年度の予定にはない)
ホワイエ奥の部屋に置かれたパネルは撮影可です。
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ジョバンニとカムパネルラ
ジョバンニとカムパネルラ
ケンタウルス祭の夜の街
ケンタウルス祭の夜の街
天の川、天気輪?、ジョバンニ
ーHPの解説ー
『銀河鉄道の夜』。宮沢賢治の数々の作品の中でもひときわ輝く謎めいた孤高の名作に、漫画界の異才ますむらひろしが挑み、大作『銀河鉄道の夜・四次稿編』(原作・宮沢賢治、作画・ますむらひろし)が生まれました。信仰と大地と共に生きた宮沢賢治と独特のファンタジーと猫のキャラクターで知られる漫画家ますむらひろし、それぞれの世界観が交錯し、昇華された美しくも切ない物語が読者の心に降り注がれます。
ますむらひろし最新作の『銀河鉄道の夜・四次稿編』は、全4巻・約600頁からなり、本展覧会では、そのうち既刊の第1巻・第2巻の漫画生原稿と創作資料、メモ、ラフスケッチなどを展示し、ますむらひろしによる「銀河鉄道の夜」の世界を紹介します。
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