自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート
「自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート」は、
町田市立国際版画美術館で開催されています。
15世紀から19世紀までの西洋のナチュラルヒストリー(自然誌/博物学)とアート(美術/技芸)のつながりに注目し、人間が表してきた自然のすがた・かたち(画像)を展覧します。(HPから)
展覧会の構成は以下の通りです。
一部の作品が撮影可でした。
(画像はクリックで拡大表示になります)
第1章 想像と現実のあわい―15、16世紀
ハルトマン・シエーデル(1440-1514)著 《年代記》(ラテン語) 1493年7月12日刊 木版 明星大学
ニュルンベルクの歴史を記述した「年代記」は「天地創造」から始まり ます。父なる神は「手」だけで表されることも。最後は宇宙の頂点に座しています。その中心にある地上界は上下逆さに描かれており、読者ではなく神の視点から天地が正しく見えるようになっているのです。創造主を中心 としたキリスト教の世界観が反映されています。(キャプションから)
第2節 寓意と象徴
アルブレヒト・デューラー(1471-1528)『大受難伝』より《キリストの鞭打ち》1494年頃 木版
デューラーの描いたキリストの受難の場面にも毛むくじゃらの犬が描かれています。静かにこちらを見つめる犬の近くには、作者のモノグラム (組み 合わせ文字) が刻まれています。作者の存在を想起させる一種のキャラク ターとして、デューラーはこの犬を登場させたのでしょう。この犬と豊かな髪と髭をたくわえた自分の姿とを重ね見ていたのかもしれません。(キャプションから)
第4節 自然の蒐集ー動物
フェッランテ・インペラート(1550頃-1625頃)著《博物宝典》1集 ナポリ:コンスタンティーノ・ヴィターレ 1599年刊 木版
ナポリの薬種商インペラートは様々な自然物を蒐集していました。その品々は一部屋に保管されており、出品作はその様子を表わしたもの。 1599年にインペラートが刊行した博物誌を飾っていた木版画です。天井にまで展示された自然物は、種類によって正確に分類するというよりも、見栄えや装飾性に重きを置いた配置となっているようです。また語らう人々や愛玩犬の存在から、この部屋が一種の社交空間になっていた ことがうかがえます。(キャプションから)
第2章 もっと近くで、さらに遠くへ―17、18世紀
パシリウス・ベスラー(1561-1629)著《アイヒシュテットの庭園》 2葉 (初版1613年) エングレーヴィング、手彩色 コンサーズ・コレクション東京
ニュルンベルグの薬種商ベスラーは、アイヒシュテットの侯爵司教の造園と管理を任ぜられた人物でした。「アイヒシュテットの庭園」は、実際の 観察にもとづく描写とエングレー ヴィングによる迫真的な表現、そして丁寧かつ鮮やかな彩色、さらには紙面の大きさも相まって、目をひく植物画 となっています。(キャプションから)
第2節 キルヒャーの世界
アタナシウス・キルヒャー 著 《磁石、 あるいは磁気の術に ついて》 (ラテン語) 1654年刊(第3版、 初版1641年刊) エッチング、エングレーヴィング、 木版 町田市立国際版画美術館
アタナシウス・キルヒャー著《シナ図説》(ラテン語) 1667年刊 エッチィング、エングレービング 町田市立国際版画美術館
第3章 世界を分け、腑分け、分け入る―18、19世紀
ジョン・グールド(1804-1881)《キヌバネドリ科鳥類図譜》(英語) 1875年刊 リトグラフ、手彩色 放送大学附属図書館
第2節 世界を股に
第3節 自然を身近に
エルンスト・ヘッケル(1834-1919)《自然のが芸術形態》(ドイツ語)6点 ライプツイッヒ/ウイーン:書誌学研究所 1899~1904年刊 リトグラフ(多色) ポーラ美術館
ヘッケルはイタリアでの調査旅行で放散虫類の新種を発見し博物学者としての道を歩み始めます。
第4章 デザイン、ピクチャレスク、ファンタジー
第1節 自然の形ーデザイン
アルフォンシュ・ミュシャ(1860-1939)《主の祈り》(フランス語) 1899年刊 リトグラフ(多色)、ヘリオグラビュール 栃木県立美術館
オーブリー・ビアズリー(1872-1896)画 トマス・マロリー(1408頃-1471)著《アーサー王の死》(英語)3冊 1893,94年刊 ラインブロック 町田市立国際版画美術館
第2節 自然の姿ーピクチャレスク
ジョン・マーティン(1789-1854)《フレッシュウオーター・ベイ》 1985年頃 油彩・キャンバス 郡山市立美術館
ロバート・ジョン・ソーントン(1768-1837)編《フローラ神殿》(英語)14点 ロンドン:ロバート・ジョン・ソーンントン 1798~1807年刊 銅板
第3節 自然を詠うーファンタジー
エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1898)《フラワーブック》8点 1905年刊(原画1882~1898年)リトグラフ(多色)、手彩色 郡山市立美術館
―HPの解説ー
「自然という書物」展は、15世紀から19世紀までの西洋のナチュラルヒストリー(自然誌/博物学)とアート(美術/技芸)のつながりに注目し、人間が表してきた自然のすがた・かたち(画像)を紹介する展覧会です。
古くから人間は自然物や自然環境―動物や植物、肉眼では捉えることができない微小な生物、地球上の地勢や地質などを記録してきました。言葉と絵によって描写された自然の似姿の普及に、活字と版画などの印刷技術が大きな役割を果たしてきたことも特筆すべきでしょう。さらに自然は美術の霊感源となってきました。美術の表現手法が、自然の図解に用いられてきたことも見逃せません。
ナチュラルヒストリーとアートのつながりによって西洋の紙上に築かれてきた、自然のすがた・かたちのビオトープ(生息空間)ともいうべき世界を、この機会にぜひご堪能ください。
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