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2023.01.21

面構 片岡球子展  たちむかう絵画

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面構 片岡球子展 たちむかう絵画は、
そごう美術館で開催されています。

会期 2023年1月1日(日・祝)~1月29日(日)

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(画像はクリックで拡大表示になります)


片岡球子の一方の代表作《面構シリーズ》
片岡球子の展覧会は何度か見てますが、《面構》のみで構成された展覧会は、私にとって初めてです。
一点一点に詳しい解説があり、鑑賞を助けてくれます。
とても楽しく拝見してきました。

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《面構 歌川国貞と四世鶴屋南北》1982(昭和57)年 東京国立近代美術館蔵
これまでの浮世絵師と戯作者という歴史上の人物の組み合わせから一歩進んで、彼らと彼らの作品に登場する人物を同じ空間の中に配置した群像表現を試みている。
左端は狂言作者の四世鶴屋南北、右端に座るのが浮世絵師の歌川国貞である。
二人の間には、南北の代表作『浮世柄比翼稲妻』の「鞘当」の場面が展開する。(キャプションから)

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《面構 狂言作者河竹黙阿弥・浮世絵師三代豊国》 1983(昭和58)年 神奈川県立近代美術館蔵
国貞(右端)と、国貞の浮世絵を基に歌舞伎を創作した黙阿弥(左端で煙管を持つ)とが「白波五人男」について熱く論ずる姿を描いた、歌舞伎の舞台を思わせる華やかな作品である。(キャプションから)

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《面構 歌川国芳と浮世絵研究科鈴木重三先生》 1988(昭和63)年 北海道立近代美術館蔵
本作は、落合芳機《歌川国芳死絵》と、国芳《七浦大漁繁昌の図》が出典。
片岡は「鯨のあばれまわる雄渾な自然を描き込み、
現場でこれを見る美女たちと面構えの主人公達もこの場に居合わせたとして国芳のチョンマゲ姿と現代の洋服姿の鈴木先生が同じ場所で、
この捕鯨を見学し、それぞれの思いをほりさげて描いたつもりである」と摸べ綴る。
鈴木は、片岡の浮世絵研究に助言、支援した先生。(キャプションから)

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《面構 安藤広重》1973(昭和18)年 神奈川県立近代美術館蔵
歌川(安藤)広重が、自身の代表作を見つめる。
片岡は弟子の二代広重による肖像をモデルに、若き日は定火消同心であった広重に思いを馳せ、江戸小紋を着こなす粋な姿で描いている。(キャプションから)

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左から《面構 足利尊氏》《面構 足利義政》《面構 足利義満》1966(昭和11)年 神奈川県立近代美術館蔵
京足利家の菩提寺である京都等持院を訪れた際・・
尊氏が「衣冠束帯をまとったエビス様のようなお顔で、風格があり、包容力のある腹の大きそうな男性」に見えた歴史の中の尊氏像とまるで違うと片岡は感じた。
片岡は、「義政公は、文学的で顔が高貴でなんとも言えない人間の潤いというものを感じる。ほれぼれとするような好男子なんです」と印象のままに綴っている。
義満は、「尊氏とは見るからに風格がちがいます。生まれながらの将軍といったところがありました。赤ら顔で髭が濃くて、堂々としている。いかにも金閣寺をつくってという感じがする」と片岡が等持院の廟所で初めて木彫像を見た印象をこう表現している。(キャプションから)


ーチラシのからー 
再興第51回院展より開始した「面構」シリーズは、1966年から2004(平成16)年までの38年間で44点を出品、片岡球子のライフワークとなりました。『面構は 顔だけを描いているだけでなく、その人間が現代に生きていたらどんな風に役立つかなどと思いながら描いています。』片岡球子の言葉にあるように、「面構」は単に歴史上の人物の肖像ではありません。人間の「魂」を描きたいと考えた片岡球子が取り組み続けた作品です。綿密に取材・推敲を重ね確信をもって血肉のある人間に仕立てあげています。

本展は、迫力ある「面構」シリーズ42点と初公開の小下図、「面構」の出発点となる作品などを展示する大変貴重な機会となります。片岡球子が生涯をかけて挑んだ「面構」―「たちむかう絵画」から、日本画の持つ力と新たな可能性をぜひ感じてください。


展示リストです。
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コメント

コメントを頂き有難うございます。
片岡球子作品、面構も富士山シリーズも大好きです。
この面構のみで構成された展覧会も、とても楽しかったです。

上野の美術館、博物館に行くと上野東照宮にも寄ります。
日光東照宮は、修復の経過を確認しに何度も行きました。
以前から行こう思っていた、久能山にも今年は必ず行きます。

投稿: 内田さんへ | 2023.01.23 20:56

ご無沙汰してます。片岡球子の面溝シリーズには興味がありますが、まだ観たことがありません。直ぐにでも観に行きたいのですが??。昨年10月に静岡県藤枝市に移住した為、文化に触れる機会が少なくなってしまいました。大河ドラマの影響で混雑が予想される久能山東照宮に早々と行ってきました。生誕480年記念「徳川家康公展」愛刀ソハヤノツルキ、甲冑・歯朶具足、金陀美具足、眼鏡等を見学。これからも楽しく読ませて頂きます。

投稿: 内田清隆 | 2023.01.23 12:44

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