京都智積院の名宝 抒情と荘厳
「京都智積院の名宝 抒情と荘厳」はサントリー美術館で開催されています。
会期 2022年11月30日(水)~2023年1月22日(日)
展示替えがあります。
京都・奈良を旅したいと思ていても、なかなか行けず。
この展覧会に早速出かけました。
初日に行って、後に再訪しました。
秀吉は、三歳で亡くなった長男・鶴松(棄丸)の菩提を弔うために、大伽藍を持つ祥雲禅寺(祥雲寺)を作りました。その室内を絢爛豪華な障壁画で埋め尽くすように命じられたのが、当代人気の絵師・長谷川等伯とその一門でした。
国宝《楓図》《桜図》《松に秋草図》《黄蜀葵図》は祥雲寺客殿のために描かれた障壁画です。
祥雲寺の障壁画はさまざまな変遷を経たのち、智積院に受け継がれ現在に至っています。
等伯プロデュース国宝障壁画一挙公開。
展覧会場では、等伯の国宝《楓図》と長男・久蔵の《桜図》が並べて展示されています。
将来を嘱望されながら久蔵は《桜図》を描き上げたわずか2年後26歳で亡くなります。
そして久蔵の死後に描かれたと思われるのが等伯の《楓図》です。
国宝《桜図》長谷川久蔵 五面のうち四面 桃山時代 16世紀 智積院蔵
緑鮮やかな柳を背景に大輪の八重桜がみごとに花開き春爛漫の風情をたたえている。胡粉(白い絵の具)を盛り上げた桜の花弁は金地に明るく映える。
傍らには山吹、躑躅、菫、蒲公英などの可憐な草花がさきそろう。等伯の長男・久蔵筆とする説が有力で、智積院障壁画は、父子の最後の共同制作となった。(キャプションから)
国宝《楓図》長谷川等伯 六面のうち四面 桃山時代 16世紀 智積院蔵
等伯が描いた紅葉を軸とする絢爛豪華な競演である。巨木を軸とする狩野永徳の大画様式をふまえながら、等伯は生い茂る秋草を、野趣あふれる姿で併せ描く。楓の枝は粗放な筆運びだが、木犀、鶏頭、萩、菊などは傍らに寄り添うように描かれており、誰もが心和む空間を構築することに成功している。(キャプションから)
展示構成は以下の通りです。
第1章 空海から智積院へ
第2章 桃山絵画の清華 長谷川派の障壁画
智積院の名宝が結んだ美
第3章 学山智山の仏教美術
第4章 東アジアの名品集う寺
国宝《松に秋草図》長谷川等伯 二曲一双 桃山時代16世紀
《楓図》《桜図》は画面に上下の切り詰めがあるのに対し、本作は屏風に改装されながらも制作当初の画面の高さを維持していることで貴重である。木槿や芙蓉の白い花は写実的に描かれているが、薄の配置には幾何学的な構図感覚がうかがわれる。茎と葉が勢いよく伸びていく描写は実に見応えがある。(キャプションから)
《婦女喫茶図》堂本印象 四面 昭和33年(1958
洋装と和装の女性が野点をするという寺院の襖絵としては大胆な主題である。この時期の堂本印象は抽象主義への挑戦を続けており、本作も庭の樹々などから、その取り組みをうかがうことができる。斬新な画題と表現により、寺内外の話題になったと伝わる。なお、女性2人は印象の姪がモデルとされている。(キャプションから)
重要文化財《童子経曼荼羅図》 一幅 鎌倉時代 13世紀
童子の病気や安産祈願のためにとり行われた童子経法の本尊画像。中央に童子を守る栴檀乾闥婆が坐し、その周囲に童子の生命を脅かす鬼神と病に悩む裸形の童子を組にして描く。特に栴檀乾闥婆の装いは、金箔の上から白や朱などで繊細に描き込まれており、鎌倉時代前半の仏画のなかでは優品に数えられる。(キャプションから)
国宝 金剛経 張即之 南宋時代 宝祐元年(1253)
重要文化財 爆布図(滝図)一幅 宋時代 13世紀
サントリー美術館「京都・智積院の名宝」 58秒
サントリー公式チャンネル
―HPの解説ー
京都・東山に建つ智積院は、弘法大師空海(774~835)から始まる真言宗智山派の総本山で、全国に末寺約3,000を擁します。高野山中興の祖といわれる興教大師覚鑁(1095~1143)の法統を受け継ぎ、後に隆盛を極めた紀伊国根来寺山内で室町時代中期に創建されました。天正年間には豊臣秀吉政権の下で一旦衰退しますが、その後、徳川家康の寄進を受け、江戸時代初期には現在の地に再興を遂げました。この地には元々、秀吉の夭折した息子・鶴松(棄丸)の菩提を弔うために建てられた祥雲禅寺があり、長谷川等伯(1539~1610)と息子・久蔵(1568~93)が描いた名高い金碧障壁画群も、智積院による手厚い保護を受けて今日まで大切に守り伝えられてきました。
本展は、国宝「楓図」「桜図」など、誰もが知る障壁画群を初めて寺外で同時公開し、桃山時代の絢爛豪華な抒情美にふれる貴重な機会となります。また、国宝「金剛経」や重要文化財「孔雀明王像」の他、仏堂を荘厳する仏教美術の貴重な優品や、近代京都画壇を代表する堂本印象(1891~1975)による「婦女喫茶図」に至るまで、智積院が秘蔵する多彩な名宝を一堂に公開します。
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