創立150年記念事業 未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品― 川村清雄《形見の直垂(虫干)》 中国·汝蒸《青磁盤》
創立150年記念事業 未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―
2022年4月12日(火) ~ 2023年4月9日(日)
以下の画像はクリックで拡大表示になります。
展示期間 11月22日(火)~12月25日(日)
《形見の直垂(虫干)》
川村清雄筆 明治32~44年(1899~1911)
(下の画像、照明がガラスケースに映り込んでいます)
着物姿の少女が左手をのばし、何かに思いを募らせるかのように、白い衣装をみつめています。この作品は明治時代における油彩画の先駆者のひとり、川村清雄 (1852~1934) が恩人ともいえる勝海舟 (1823~99) の死を悼み、亡き恩人に捧げられた万感の思いをこめた絵です。
少女がまとう白い直垂は、勝の葬儀の際に棺に従った川村自身が着たものです。右の小さな棺の上にのった洋装の石膏胸像は勝の肖像写真をもとにしたものといわれています。和蘭絨毯や勝の朱の式服 (礼服)能装束、古代ローマの火皿などといった勝の遺愛の品々が、花を添えられて並べられています。
川村は旗本の家に生まれ、明治維新後早くに渡欧してイタ リアやフランスで本格的に油彩画を学び、西洋の伝統的な技法を身につけました。緻密なマティエールを表現する高度な画力を持つに至った川村は、帰国後には絹や金銀箔など、日本画の材料と手法を積極的に取り入れていきました。この作品のなかでも、美しい色彩によって、和洋の衣装や道具が対照するように構成されて、西洋の絵画である油彩画に和の趣が強く描き出されています。
担当研究員 松嶋雅人
本館14室にも「未来の国宝」が展示されていました。
展示期間 2022年11月15日~12月25日
《青磁盤》
中国·汝蒸
北宋時代·11~12世紀|陶製|川端康成旧蔵
香取國臣氏·芳子氏寄贈
汝窯は北宋時代の末、宮廷の命によって青磁を焼いたとされる窯。
伝世品は世界に90点ほどしかなく、本作品は日本で見いだされた稀少な例です。
白い胎と、雨後の空にたとえられる淡い青色の釉が特徴で、高台内に支釘痕が3つ残ります。
古美術の愛好でも知 られる川端康成旧蔵品。(キャプションから)
創立150年記念事業
未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―
年間展示予定はこちらから
ほぼ、一か月に1作品のペースで展示替えが行われるようです。
ーHPからー
東京国立博物館は、令和4年(2022)に創立150年を迎えました。この150年の歴史のなかで収集された文化財のなかには、国指定の国宝や重要文化財となっていなくとも素晴らしい作品が数多く収蔵されています。
「150年後、もしくはその先の未来、この国宝室にはどのような作品が展示されているのだろう」。
こういった問いかけから、今年度は「未来の国宝―東京国立博物館 書画の逸品―」というテーマで展示を行なうことにしました。私たち研究員が選び抜いたイチ押しの作品を「未来の国宝」と銘打って、年間を通じてご紹介していくという試みです。
数万件に及ぶ絵画、書跡、歴史資料のなかから選び抜いた、東京国立博物館コレクションの「逸品」をどうぞご堪能下さい。
| 固定リンク
コメント