西行 語り継がれる漂泊の歌詠み
「西行 語り継がれる漂泊の歌詠み」は、
五島美術館で開催されています。
会期 2022年10月22日(土)~12月4日(日)
西行に関する作品・資料は今までに断片的にみてきましたが、
この展覧会では「西行」をテーマとした古筆・絵画・書物・工芸など、国宝4件、重要文化財20件を含む名品約100点を展示(展示替えあり)する「西行」の決定版的展覧会だと思いました。
展覧会の構成は以下の通りです。
(チラシと本展会場のキャプションを参考に記しています)
(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)
チラシの「主な展示予定作品」から
第一部 西行とその時代
《国宝 平治物語絵巻 六波羅行幸巻》
鎌倉時代・十三世紀 東京国立博物館蔵
《西行像》
鎌倉時代・十四世紀 MOA美術館蔵
《国宝 僧円位書状 西行筆 》
平安時代・十二世紀 金剛峯寺蔵〈図は部分〉
西行が平氏や高野山と政治的な関りを持っていた事実を含む極めて重要な資料。
《国宝 一品経和歌懐紙 西行筆》
平安時代・十二世紀 京都国立博物館蔵
ふたつなく みつなきのりの
あめなれと いつゝのうるひ あまね
かりけり
わたつうみの ふかきちかひにたの
みあれは かのきしへにも
わたらさらめや
《円位書状 西行筆》
鎌倉時代・文治四~五年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
《重要文化財 山家心中集 伝冷泉為相筆》
鎌倉時代・十三世紀 妙法院門跡蔵
《重要文化財 残集》
平安時代・十二世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵
《国宝 拾遺愚草下 藤原定家筆》
鎌倉時代・十三世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵
第二部 西行と古筆
《一条摂政集伝 西行筆 》
平安時代・十二世紀 個人蔵
《重要文化財 曾丹集伝 西行筆 》
平安時代・十二世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵
《白河切 伝 西行筆》
平安時代・十二世紀 根津美術館蔵
《五首切伝 西行筆》
平安~鎌倉時代・十二~十三世紀 五島美術館蔵
《月輪切 伝 西行筆》
鎌倉時代・十三世紀 公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館蔵
あふとみし その夜の夢の さめてあれな
なかきねふりは うかるへけれと
あはれあはれ このよはよしや さもあらはあれ こむよもかくや
くしかるへき
第三部 西行物語絵巻の世界
《重要文化財 西行物語絵巻(巻替有)》
鎌倉時代・十三世紀 徳川美術館蔵〈図は部分〉
現在最古の西行物語絵巻
《西行物語絵巻断簡》
室町時代・十六世紀 北村美術館蔵
木のもとに たいねをすれば よしの山
はなのふすまを きする春風
なかむとて 花にもいたく ならぬれは
ちるわかれこそ かなしかりけれ
重要文化財 西行物語絵巻 俵屋宗達筆
江戸時代・十七世紀 国(文化庁保管)〈図は部分〉
第一巻の物語
友人の佐藤憲康が急死して駆けつける
出家の願いを奏上するため、御へ向かう
出家の妨げになると思い、駆け寄ってきた娘を蹴落とす
夜通し妻に出家の思い等を語る
明朝、出家のために家を出る
《西行物語絵巻 尾形光琳筆》
江戸時代・十八世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵
第四部 語り継がれる西行
《富士見西行絵尽》
江戸時代・十八世紀刊 国立国会図書館蔵
《人間万事西行猫》
江戸時代・寛政二年刊 大東急記念文庫蔵
草双紙のひとつ、題名は「人間が万事塞翁が馬」のもじり。源頼朝から銀猫を拝領した縁で、西行は三百両を手に入れる。しかし、無欲ゆえに金をもてあましたため、無駄遣いの旅に出る。
《桜西行蒔絵硯箱》
江戸時代・十八世紀 東京国立博物館蔵
西行は文治五年(1189)比叡山から琵琶湖を眺めながら慈円(1155~1225)と最後の和歌を詠み、翌年、桜の季節に入寂した。本作は、そうした西行の生涯を思い起こさせる意匠構成を思わせる。
《西行物語画帖 住吉具慶筆 (帖替有)》
江戸時代・十七世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵
《重要美術品 江口君図君図 円山応挙筆》
江戸時代・寛政六年 静嘉堂文庫美術館蔵
《四季歌意図巻 鈴木其筆 》
江戸時代・十九世紀 細見美術館蔵〈図は部分)
四季を題材とした和歌の情景を、歌人の姿とともに描いた絵巻。絵巻を春、夏、秋、冬に振り分け、秋が西行。
《西行法師図 橋本雅邦筆》
明治25年 東京大學 駒場博物館蔵
夕焼け空のもと、紅葉が色づく水辺でを背負った笈を背負った西行とその視線の先で鳥が飛び立つ鴫達沢(神奈川県大磯付近か)の情景を描いた大作。
「心なき 身にもはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ」
―HPの解説ー
平安時代末期の歌人・西行(さいぎょう 1118~90)は、さまざまなイメージで語り継がれながら、日本の文化に多大な影響を与えてきました。本展では、世に数点しか伝わらない稀少な西行自筆の手紙をはじめ、「西行」をテーマとした古筆・絵画・書物・工芸など、国宝4件、重要文化財20件を含む名品約100点を一堂に展観します(会期中一部展示替があります)。中世から近代に至るまで、西行が時を越えて人々の心に語りかけてきたものを探る、今までにない「西行」の展覧会です。
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