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2022.11.27

源頼朝が愛した幻の大寺院 永福寺と鎌倉御家人―荘厳される鎌倉幕府とそのひろがり―

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神奈川県立博物館(国指定史跡 旧横浜正金銀行本店)

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(画像はクリックで拡大表示になります)


「源頼朝が愛した幻の大寺院 永福寺と鎌倉御家人―荘厳される鎌倉幕府とそのひろがり―」は、

神奈川県立歴史博物館で開催されています。

会期:2022年10月15日(土)~12月4日(日)

 
永福寺(ようふくじ)は源頼朝が建立した寺院です。
源義経、藤原泰衡など、頼朝の奥州攻めで亡くなった武将たちの鎮魂のため、平泉の中尊寺二階大堂等を模して建立され、建久5年(1194年)に三堂が完成しています。鎌倉幕府から手厚く保護されましたが、応永12年(1405年)に焼失し、以後は再建されませんでした。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を意識した展覧会がさまざま開催されていて、この展覧会もその一つですね。

本展の主な展示内容を箇条書きにまとめてみました。
・在野の研究者が始めた黎明期の鎌倉研究。
・平安後期の鳥羽離宮や陸奥平泉の寺院群と鎌倉の永福寺とのつながり、
・鎮魂のために建立されたとされる永福寺、その威容と外観は、そもそも誰のため何のための発信だったのか。
・高価で特徴的な永福寺の瓦(現在では永福寺式瓦と呼称される)を各地の御家人は何故求めたのでしょうか。
・永福寺は鎌倉幕府の荘厳化を象徴的存在でした。内部の荘厳化も際立っていて、内部の造像は運慶が手がけたと考えられています。
・中世鎌倉における、宗教儀礼に必須の音楽の受容と、その残滓としての仮面に注目します。
終章で今後の永福寺研究の可能性を探ります。

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(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)
東鏡(慶長古活字版)神奈川県立歴史博物館
菩薩(行道面)日光山輪王寺
弁財天坐像 神奈川 鶴岡八幡宮
王の舞面 静岡 津毛利神社 静岡県指定有形文化財
唐草文軒平瓦 八事裏山窯跡出土 愛知 荒木集成館
寺銘軒丸瓦 神奈川県 鎌倉市教育委員会
当麻曼荼羅縁起 神奈川 光明寺 国宝
大日如来坐像 真如苑真澄寺 半蔵門ミュージアム安置 重要文化財
中世瓦群 満願寺出土 神奈川 横須賀市自然・人文博物館

展示構成は次の通りです。
序章 発掘された永福寺と鎌倉研究
1章 京・平泉の浄土世界
2章 永福寺の偉容と鎌倉幕府
3章 象徴たる永福寺式瓦と鎌倉御家人
4章 東国霊場と鎌倉幕府の荘厳
5章 神さびた中世仮面と音楽文化
終章 武士本拠の景観と復原

 


特別展「源頼朝が愛した幻の大寺院 永福寺と鎌倉御家人―荘厳される鎌倉幕府とそのひろがり―」展示解説 永福寺と瓦
かなチャンTV(神奈川県公式) 

―HPの解説ー
鎌倉の二階堂にある国指定史跡永福寺(ようふくじ)跡。かつて源頼朝は、奥州合戦で平泉藤原氏を滅ぼした際に、中尊寺・毛越寺・無量光院をはじめとした北の都の絢爛豪華な浄土世界を目の当たりにし、その文化を鎌倉に持ち帰りました。その結果、文治五年(1189)に臨池伽藍をそなえた大寺院・永福寺を鎌倉二階堂に建立することが計画され、都市鎌倉のなかに浄土世界が体現されました。以後永福寺は、鶴岡八幡宮寺・勝長寿院とならび宗教的権威として鎌倉幕府を支えるだけでなく、その偉容は東国武士たちに対して幕府支配の正当性を文化的側面から見せつける存在でもありました。ところが鎌倉幕府滅亡後の永福寺は、室町期の火災で焼失してしまうと再建されることなく廃絶してしまい、地中にその歴史をとどめることになります。
 しかし、文献史料のみならず、永福寺跡からは往事の壮麗さを示すに余りある考古資料であふれており、鎌倉幕府や鎌倉御家人たちにとって永福寺がいかに重要視されていたかが偲ばれます。本展は、鎌倉幕府の成立とその展開に深く関わった永福寺に注目し、その全貌と軌跡を、文献資料・考古資料・美術資料などの多彩な歴史資料群から複合的かつ立体的に復原していきます。

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2022.11.23

特別展 生誕150年記念 板谷波山の陶芸― 近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯

特別展 生誕150年記念 板谷波山の陶芸
― 近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯

泉屋博古館東京

会期 2022年11月3日(木・祝)~ 12月18日(日)


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板谷波山と言えば「葆光彩磁の作品を思い浮かべる」という方が多いと思います。
本展では、至高の作品とともに、故郷への思い、理想の作品作りののための試行錯誤の足跡を通して波山の生涯をたどります。

展覧会の構成は以下の通りです。
(本展会場の解説等を参考にしました)
≪ホール≫ 序章 ようこそ、波山芸術の世界へ
ホールのみ撮影可能でした。
(画像はクリックで拡大表示になります) 
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《唐花文壺(生素地)》1962’昭和37)年

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《彩磁更紗花鳥文花瓶》1919(大正8)年頃 泉屋博古館東京蔵


≪第1展示室≫ 
序章 ようこそ、波山芸術の世界へ  /  第Ⅰ章 「波山」へのみちのり
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《彩磁蕗葉文大花瓶》1911(明治44)年頃 廣澤美術館蔵
波山の生涯で最大作として知られる大花瓶。波山の若きエネルギーが横溢したアールヌーボースタイルの秀作。

芸術家を志して―東京美術学校時代
東京美術学校と石川県工業学校
「昔の美術学校は、絵画をはじめ漆器、彫金、染物、織物と各種の工芸をやったもので・・・」(「波山焼」東京タイムズ(1953年))
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《元禄美人》1894(明治27)年 東京藝術大学


≪第2展示室≫
第Ⅰ章 「波山」へのみちのり
故郷・下館ー文人文化の街
「私の父はいささか茶道のたしなみがあったので、私は幼時から陶器や諸道具に接する機会が多かった(「波山焼」東京タイムズ)1953年
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《彩磁菊花図額皿》1911(明治44)年 しもだて美術館蔵
1911(明治44)年全国窯業品共進会で皇后陛下行啓の際に御前制作した作品。
本作のような絵画風の飾皿は、波山の最初期にのみ作られた。


≪第3展示室≫
第Ⅱ章 ジャパニーズ・アール・ヌーヴォー/陶芸革新―アヴァンギャルド波山

第Ⅱ章 ジャパニーズ・アール・ヌーヴォー/ Ⅱ-2 アール・ヌーヴォー―いのちの輝き

第Ⅲ章 至高の美を求めて/Ⅲ―1 葆光彩磁の輝き
「陶器に彫刻を施しかつこれに適当な着色を試みて、この彫刻と彩色との調和した理想的陶磁器を制作してみよう。(「奮闘的窯業家板谷波山氏を訪れて)「美術之日本」1909年
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重要文化財《葆光彩磁珍果文花瓶》1917(大正6)年 泉屋博古館東京
1917(大正6)年、日本美術協会展で最高賞金牌第一席を受賞した記念碑的作品で、住友春翠が購入した。「大作花瓶類図集」(出光美術館蔵)には7枚に及ぶ図案があり、波山が「結果非常ニ良好ナリ」と記した快心作である。近代陶芸初の重要文化財作品に指定された。

第Ⅲ章 至高の美を求めて/Ⅲ―2 色彩の妙、陶技の極み
「技術を持つことは表現の基本である」(「陶技随想」『現代の図案工芸』1920年
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《彩磁蔓葦文香炉[火舎 寺田龍雄]》大正後期 廣澤美術館

≪第4展示室≫
第Ⅲ章 至高の美を求めて/Ⅲ―3 侘びの味わい―茶の湯のうつわ
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《天目茶碗》1944(昭和19)年頃 筑西市(神林コレクション)蔵


―HPの解説ー
近代陶芸の巨匠 板谷波山(本名・板谷嘉七)は、令和4年(2022)3月3日、生誕150年を迎えました。
明治5年(1872)茨城県下館町(現・筑西市)に生まれた波山(-1963)は、明治22年東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科に入学、岡倉天心や高村光雲に師事しました。明治36年には東京・田端の地に移り、陶芸家「波山」として数々の名作を生みだします。昭和9年(1934)帝室技芸員に任命され、昭和28年には陶芸家初の文化勲章を受章しました。
波山は、理想の作品づくりのためには一切の妥協を許さず、端正で格調高い作品を数多く手がけました。代表作の一つ、重要文化財 《葆光彩磁珍果文花瓶(ほこうさいじちんかもんかびん)》は、大正6年(1917)波山芸術を愛した住友春翠によって購入され、泉屋博古館東京に継承されています。
この記念すべき年に、選りすぐりの名作と共に、波山が愛した故郷への思いや人となりを示す貴重な資料、試行錯誤の末に破却された陶片の数々を通して、「陶聖」波山の様々な姿を紹介いたします。波山の作品に表現された美と祈りの世界に癒され、彼の優しさとユーモアにあふれた人生に触れるひと時をお楽しみください。


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2022.11.19

つながる琳派スピリット神坂雪佳

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「 つながる琳派スピリット神坂雪佳」は、
パナソニック汐留美術館で開催されています。

会期 2022年10月29日(土)~ 12月18日(日)

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(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)

近代琳派・神坂雪佳の作品は、度々観てきて気になる作家であり続けていてました。
過去の「神坂雪佳展」は見逃してきたこともあり、本展を楽しみにしていました。
尾形光琳にはじまり、琳派を継ぐもの、100年後の江戸琳派の酒井抱一、そして抱一の弟子鈴木基一などの作品展示から始まり、神坂雪佳の多彩な仕事・作品を詳細に紹介する決定版的展覧会だと思いました。

展覧会の構成は次の通りです。
Ⅰ あこがれの琳派 
琳派誕生、そして開花
光琳を継ぐもの 
江戸琳派の美 
Ⅱ 美しい図案集 ―図案家・雪佳の著作 
Ⅲ 生活を彩る ―雪佳デザインの広がり
Ⅳ 琳派を描く ―雪佳の絵画作品

(以下、本展会場のキャプションを参考にしました。)

・”近代琳派”と称される神坂雪佳は、自身が琳派作品のコレクターでもありました。
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酒井抱一《槇に秋草図屏風》江戸後期 細見美術館
光琳写しとして知られるもので、抱一が編集した光琳の画集「光琳百図」に原画が紹介される。光琳画では、画面上方にまで草花が描かれるのに対し抱一は花の数を減らし、視点を低くして余白を生かした。

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中村芳中《月に萩鹿図》江戸後期 細見美術館


・図案家としての神坂雪佳の代表作『百々世草』『ちく佐』など・・
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神坂雪佳『百々世草』原画より「八つ橋」 紙本著色
1909(明治42)年頃 芸艸堂蔵
「百々世草」は、三冊に計六十図が収められた図案集。雪佳図案の集大成ともいえる作品集である。鑑賞用としても人気が高い。


・神坂雪佳は染色、漆器、陶磁器ほか、室内装飾から造園に至るまで、多彩なデザインを手がけました。
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神坂雪佳 図案/神坂佑吉 作 《鹿図蒔絵手元箪笥 大正末〜昭和初期 京都国立近代美術館
本作の鹿の造形は、雪佳が宗達や光琳を手本にしていることをよく伝える。


・神坂雪佳様式の代表的絵画作品。
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神坂雪佳《杜若図屏風》大正末~昭和初期 個人蔵
光琳のように型を繰り返したり、右隻、左隻の極端にずらす構図はとらず雪佳はよりシンプルに描いた。

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神坂雪佳《十二ヶ月草花図》より「三月 春草」 下「十一月 蔦に嫁菜》
大正末〜昭和初期 細見美術館
琳派では馴染みのある草花を月次で色鮮やかに描く。デフォルメやトリミングにみる大胆さには、雪佳の特性が余すところなく発揮されている。

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神坂雪佳《白鷗図》昭和2年頃 細見美術館
アールヌーヴォーを想起させる曲線の美の繰り返しで優美に描かれる。岩のたらし込みや花の描き方、彫塗を用た輪郭線などから琳派を強く意識していることが読み取れる。昭和天皇の即位の大礼に際して制作された作品。

 

―HPの解説ー
明治から昭和にかけて京都で画家・図案家として活躍した神坂雪佳(1866-1942)。20世紀の幕開けと同時に欧州で最先端の美術工芸を視察したことで、日本古来の装飾芸術の素晴らしさを再認識します。本展は、雪佳が手本とした琳派の美の潮流を本阿弥光悦や尾形光琳らの名品にたどるとともに、古典と近代的発想を融合させ、美術と意匠の二つの分野を自在に往来した近代琳派・神坂雪佳の多彩な世界をご覧いただきます。


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2022.11.15

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

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東京国立博物館創立150年記念
特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」 

東京国立博物館平成館 特別展示室

会期 2022年10月18日(火) ~ 2022年12月11日(日)
(展示替えあり)

今、最も予約をとるのが難し展覧会かもしれません。
私は、開催早々に行ってきました。

11月29日(火)〜12月11日(日)の入場予約開始が
11月15日(火)午前10時からです。ラストチャンスですね!(公式サイトはこちら

完全予約制なので、展示会場内に人混みというわけではありませんが、展示作品によっては行列ができて、その行列がなかなか動かない状態でした。
混雑を予想して、美術館用の双眼鏡を持参しました。

何年も東博に通っているので、既に拝見した作品が多数展示されていましたが、国宝に囲まれた空間にいられたことは何とも幸せな時間でした。

第2部の東博150年の追体験は新しい発見があり興味深く観覧してきました。


展示構成は次の通りです。(チラシなどから引用してます)
第1部 東京国立博物館の国宝
史上初!所蔵する国宝89件すべてを公開!
所蔵する国宝89件のすべてを展示します。(会期中、一部展示替えあり)。さらに、日本最多を誇る19件の国宝刀剣コレクションが、一つの展示室で通期に渡って勢ぞろいします。

第2部 国立博物館の150年
明治から令和まで、東博150年の歩みを追体験。
明治から令和に至る150年の歴史を3期に分け、各時代の収蔵品や関連資料などから、当館の歩みを紹介します。

第1章 博物館の誕生(1872~1885)
第2章 皇室と博物館(1886~1946)
第3章 新たな博物館へ(1947~2022)

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(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)

第2会場の出口付近に展示されている(展示されていた)「金剛力士像」と「見返り美人」(11月3日まで展示)が撮影可能でした。
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)
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金剛力士像 平安時代 12世紀 

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見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀 11/13(日)まで展示

会場のパネルにあるQRコードを読み込んで作品にレンズを向けてシャッターを押すとこんな写真が撮れました。
ただし、ピントが合わないです。私が下手なのかも知れませんが?
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―HPの解説ー
本展は、東京国立博物館創立150年の大きな節目を記念して開催するものです。150年の間に積み重ねられた約12万件という膨大な所蔵品の中から、国宝89件すべてを含む名品と、明治から令和にいたる150年の歩みを物語る関連資料を通して、東京国立博物館の全貌を紹介します。
展示は2部構成で、計150件を展示。東京国立博物館にはじめて来館される方には新発見の場として、親しいリピーターの方には再発見の場として、魅力的な展示内容と展覧会場を創出します。


東京国立博物館「国宝 東京国立博物館のすべて」
アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum

 

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2022.11.12

西行 語り継がれる漂泊の歌詠み

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「西行 語り継がれる漂泊の歌詠み」は、
五島美術館で開催されています。

会期 2022年10月22日(土)~12月4日(日)
 

西行に関する作品・資料は今までに断片的にみてきましたが、
この展覧会では「西行」をテーマとした古筆・絵画・書物・工芸など、国宝4件、重要文化財20件を含む名品約100点を展示(展示替えあり)する「西行」の決定版的展覧会だと思いました。

展覧会の構成は以下の通りです。
(チラシと本展会場のキャプションを参考に記しています)
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(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)


チラシの「主な展示予定作品」から

第一部 西行とその時代

《国宝 平治物語絵巻 六波羅行幸巻》
鎌倉時代・十三世紀 東京国立博物館蔵

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《西行像》
鎌倉時代・十四世紀 MOA美術館蔵

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《国宝 僧円位書状 西行筆 》
平安時代・十二世紀 金剛峯寺蔵〈図は部分〉
西行が平氏や高野山と政治的な関りを持っていた事実を含む極めて重要な資料。

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《国宝 一品経和歌懐紙 西行筆》
平安時代・十二世紀 京都国立博物館蔵

ふたつなく みつなきのりの
あめなれと いつゝのうるひ あまね
かりけり

わたつうみの ふかきちかひにたの
みあれは かのきしへにも
わたらさらめや

《円位書状 西行筆》 
鎌倉時代・文治四~五年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

《重要文化財 山家心中集 伝冷泉為相筆》
鎌倉時代・十三世紀 妙法院門跡蔵

《重要文化財 残集》
平安時代・十二世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵

《国宝 拾遺愚草下 藤原定家筆》
鎌倉時代・十三世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵

 

第二部 西行と古筆

《一条摂政集伝 西行筆 》
平安時代・十二世紀 個人蔵

《重要文化財 曾丹集伝 西行筆 》
平安時代・十二世紀 冷泉家時雨亭文庫蔵

《白河切 伝 西行筆》
平安時代・十二世紀 根津美術館蔵

《五首切伝 西行筆》
平安~鎌倉時代・十二~十三世紀 五島美術館蔵

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《月輪切 伝 西行筆》
鎌倉時代・十三世紀 公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館蔵
あふとみし その夜の夢の さめてあれな
なかきねふりは うかるへけれと

あはれあはれ このよはよしや さもあらはあれ こむよもかくや
くしかるへき

第三部 西行物語絵巻の世界

《重要文化財 西行物語絵巻(巻替有)》
鎌倉時代・十三世紀 徳川美術館蔵〈図は部分〉
現在最古の西行物語絵巻

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《西行物語絵巻断簡》
室町時代・十六世紀 北村美術館蔵
木のもとに たいねをすれば よしの山
はなのふすまを きする春風

なかむとて 花にもいたく ならぬれは
ちるわかれこそ かなしかりけれ

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重要文化財 西行物語絵巻 俵屋宗達筆
江戸時代・十七世紀 国(文化庁保管)〈図は部分〉
第一巻の物語
友人の佐藤憲康が急死して駆けつける
出家の願いを奏上するため、御へ向かう
出家の妨げになると思い、駆け寄ってきた娘を蹴落とす
夜通し妻に出家の思い等を語る
明朝、出家のために家を出る

《西行物語絵巻 尾形光琳筆》
江戸時代・十八世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

第四部 語り継がれる西行

《富士見西行絵尽》
江戸時代・十八世紀刊 国立国会図書館蔵

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《人間万事西行猫》
江戸時代・寛政二年刊 大東急記念文庫蔵
草双紙のひとつ、題名は「人間が万事塞翁が馬」のもじり。源頼朝から銀猫を拝領した縁で、西行は三百両を手に入れる。しかし、無欲ゆえに金をもてあましたため、無駄遣いの旅に出る。

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《桜西行蒔絵硯箱》
江戸時代・十八世紀 東京国立博物館蔵
西行は文治五年(1189)比叡山から琵琶湖を眺めながら慈円(1155~1225)と最後の和歌を詠み、翌年、桜の季節に入寂した。本作は、そうした西行の生涯を思い起こさせる意匠構成を思わせる。

《西行物語画帖 住吉具慶筆 (帖替有)》
江戸時代・十七世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵

《重要美術品 江口君図君図 円山応挙筆》
江戸時代・寛政六年 静嘉堂文庫美術館蔵

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《四季歌意図巻 鈴木其筆 》
江戸時代・十九世紀 細見美術館蔵〈図は部分)
四季を題材とした和歌の情景を、歌人の姿とともに描いた絵巻。絵巻を春、夏、秋、冬に振り分け、秋が西行。 

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《西行法師図 橋本雅邦筆》
明治25年 東京大學 駒場博物館蔵
夕焼け空のもと、紅葉が色づく水辺でを背負った笈を背負った西行とその視線の先で鳥が飛び立つ鴫達沢(神奈川県大磯付近か)の情景を描いた大作。
「心なき 身にもはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ」

 

―HPの解説ー
平安時代末期の歌人・西行(さいぎょう 1118~90)は、さまざまなイメージで語り継がれながら、日本の文化に多大な影響を与えてきました。本展では、世に数点しか伝わらない稀少な西行自筆の手紙をはじめ、「西行」をテーマとした古筆・絵画・書物・工芸など、国宝4件、重要文化財20件を含む名品約100点を一堂に展観します(会期中一部展示替があります)。中世から近代に至るまで、西行が時を越えて人々の心に語りかけてきたものを探る、今までにない「西行」の展覧会です。

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2022.11.08

川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり

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(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)

川内倫子:M/E
球体の上 無限の連なり

会期 2022年10月8日(土)~ 12月18日(日)

東京オペラシティ アートギャラリー


本展のタイトルにもある、メイン展示〈M/E〉とは、「母(Mother)」、「地球(Earth)」の頭文字であり、続けて読むと「母なる大地(Mother Earth)」、そして「私(Me)」でもあります。2019年以降に撮影された新作のシリーズです。

川内倫子がとらえる”光”その個性に魅力をを感じるファンは多いと思います。
日常の出来事、世界で起こっていること、近所の川、世界の大自然、全て同じ地球で起こっていること・・繋がっていること・・・・

以下のシリーズ作品が展示されています。
《Halo》
《4%》
《One surface》
《An interlinking》
《Illuminance》(映像)
《光と影)
《A whisper》
《あめつち》
《M/E》
《やまなみ》


(画像はクリックで拡大表示になります)

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《無題》(シリーズ「4%」より」)2013 

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《One surface》2022 展示風景

《An interlinking》展示風景
突き当りの壁面に《光と影》
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《Illuminance》2001-2022 展示風景 
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シリーズ「M/E」展示風景
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《無題》(シリーズ「M/E」より)2020
《無題》(シリーズ「M/E] より)2019

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《無題》(シリーズ「M/E」より) 2011(両作品)

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シリーズ「M/E」(展示風景)

《やまなみ》展示風景
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スマホで撮った写真をまとめてみました。



―HPの解説ー
写真家・川内倫子(1972–)は、柔らかい光をはらんだ淡い色調を特徴とし、初期から一貫して人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さを撮り続けています。身の回りの家族や植物、動物などの儚くささやかな存在から、長い時を経て形成される火山や氷河などの大地の営みまで等しく注がれる川内のまなざしは、それらが独自の感覚でつながり、同じ生命の輝きを放つ様子を写しとっています。国内の美術館では約6年ぶりとなる大規模個展である本展では、この10年の活動に焦点を当て、未発表作品を織り交ぜながら川内の作品の本質に迫ります。
展覧会タイトルでもある〈M/E〉は、本展のメインとなる新作のシリーズです。〈M/E〉とは、「母(Mother)」、「地球(Earth)」の頭文字であり、続けて読むと「母なる大地(Mother Earth)」、そして「私(Me)」でもあります。アイスランドの火山や流氷の姿や北海道の雪景色と、コロナ禍で撮影された日常の風景とは、一見するとかけ離れた無関係のものに思えますが、どちらもわたしたちの住む地球の上でおこっており、川内の写真はそこにあるつながりを意識させます。本展は、人間の命の営みや自然との関係についてあらためて問い直す機会となることでしょう。

 

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2022.11.04

大蒔絵展 漆と金の千年物語


「大蒔絵展 漆と金の千年物語」は、
三井記念美術館で開催されています。

会期 2022年10月1(土)〜11月13日(日) 

平安、鎌倉、室町、南北朝、桃山、江戸、明治、近・現代の蒔絵の名品が勢ぞろい。
技法、意匠などの変遷を確認しながら素晴らしい作品を堪能してきました。
展示替えで見逃した作品が多数あり後悔しました。
本阿弥光悦の意匠の大胆さは際立ちます。

展示構成は次の通りです。(作品リストから)
展示室1・2
第1章 源氏物語絵巻と王朝の美
第2章 神々と仏の荘厳
第3章 鎌倉の手箱

展示室3
第4章 東山文化-蒔絵と文学意匠
第6章 江戸蒔絵の諸相
6-1 初音の調度

展示室4
第3章 鎌倉の手箱
第4章 東山文化-蒔絵と文学意匠
第5章 桃山期の蒔絵-黄金と南蛮
5-1 新たな権力者と蒔絵
5-2 蒔絵、西洋と出会う
第6章 江戸蒔絵の諸相
6-1 初音の調度

展示室5
第6章 江戸蒔絵の諸相
6-2 琳派の美
6-3 江戸の名工

展示室6
6-4 掌の中の蒔絵-広がる需要層

展示室7
6-3 江戸の名工
6-4 掌の中の蒔絵-広がる需要層
6-5 長崎と輸出用漆器
第7章 近代蒔絵-伝統様式

第8章 現代の蒔絵ー人間国宝

20221101 20221102
20221103 20221104
(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)

 20221105
 重要美術品  《石山切》 藤原行成筆 平安時代12世紀 MOA美術館
「本願寺本三十六人家集」のうちの「貫之集下」にあたる。料紙は白地に獅子唐草文様の雲母摺りで、筆者は藤原定信と伝えられ、12世紀初期の書写と推定される。定信は藤原行成(972~1027)の五代の孫にあたる。(キャプションから)


国宝 《澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃》 平安時代12世紀 高野山金剛峯寺
燕子花や沢潟が咲き乱れる水辺で千鳥が群れ遊ぶ幻想的な情景を金と青金色の粉を用いた、研出蒔絵、螺鈿で表現している。千鳥の細部には毛彫りも施されている。制作当初は仏具または経巻が収められていたと考えられる。(キャプションから)


国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 鎌倉時代・13世紀 サントリー美術館
有職文様の一種である浮線綾文を整然と並べあらわした堂々たる姿の沃懸地手箱。ひとつの浮線綾文は、精緻に切り抜いた螺鈿の小片4種13パーツで構成される。蓋裏には約30種の草花の折枝文が研出蒔絵で描かれている。(キャプションから)


重要文化財 菊慈童蒔絵手箱 室町時代・15世紀 西新井大師總持寺
水辺に咲く大輪の菊に柄杓を組み合わせ、中国皇帝の侍童で、深山に配流されたが、菊の露を飲み不老不死の仙童となった菊侍童の説話を表現する。人物の姿を描かずに持ち物や、景物で物語を暗示する意匠を「留守模様」という。(キャプションから)


重要文化財 子日蒔絵棚 伝本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
天板に「源氏物語」「初音」の帖にちなむ根引きの松、上段は「夕顔」の帖から扇面に夕顔、中段には「関屋」の帖から御所車と白丁を描く、古典文学を題材とし、厚貝螺鈿や鉛板を用いた大胆な意匠は、光悦蒔絵の特徴を備える。(キャプションから)


20221106
重要文化財 蔓梅擬目白蒔絵軸盆 原羊遊斎作/酒井包一下絵 江戸時代・文政4年(1821) 東京都江戸東京博物館
黒漆地の余白を残しつつ蔓梅擬と目白を金・銀・青金の薄肉高蒔絵や珊瑚の象嵌で表した、繊細優美な軸盆。抱一自筆の下絵と書状が附属する。神田の材木商・森川家の注文で「江都四時勝景図(江戸東京博物館蔵)をのせるために作られた。(キャプションから)


20221107
蒔絵八角菓子器 白山松哉作 明治44年(1911) MOA美術館
蓋甲には螺鈿と切金で花唐草もンをあらわす。身の1段は青貝で各面に異なった表現を見せ、2、3段目は、薄肉高蒔絵で種々の模様を描く、4段目は、切金と色漆で幾何学模様をあらわし、最下段は、各種の平目粉を置き並べている。(キャプションから)



―HPの解説ー
漆で絵を描き、金粉や銀粉を蒔きつけて文様をあらわす「蒔絵」は、日本文化において長きにわたり理想美の象徴となっています。本展覧会はMOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の3館が共同で開催するもので、平安時代から現代の漆芸家作品にいたるまで、3会場で国宝25件、重要文化財51件を含む計188件を展観して、蒔絵の全貌に迫ります。
三井記念美術館では、国宝7件、重文32件を含む計127件を展示。国宝「初音蒔絵調度」(徳川美術館蔵)をはじめ、平安時代の和様意匠の完成を示す国宝「澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃」(高野山金剛峯寺蔵)、鎌倉時代の手箱、琳派様式の蒔絵、江戸時代から近代に活躍した名工による作品など、各時代を代表する名品に、現代の人間国宝を加えた選りすぐりの蒔絵をご紹介します。
さらに国宝「源氏物語絵巻」(徳川美術館蔵)をはじめとした物語絵巻や屛風、仏教経典や書跡なども合わせて展観し、日本人が追求した美の系譜をたどります。

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