地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング
「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」は、
森美術館で開催されています。
会期 2022年6月29日(水)~ 11月6日(日)
コロナカ状況下、本展では、パンデミック以降の新しい時代をいかに生きるのか、心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か、を現代アートに込められた多様な視点を通して考えます。
本展のタイトル「地球がまわる音を聴く」は、オノ・ヨーコのインストラクション・アートから引用しています。(HPから)
展示作品が並ぶ中、オノ・ヨーコの作品が、3か所に分けて展示されていました。
(画像はクリックで拡大表示になります)
以下、会場と展示順不同です。
オノ・ヨーコ 1933年東京都生まれ、ニューヨーク在住
地球の曲 1963年春 オフセットプリント(複製)
ヴォルフガング・ライプ 1950年ドイツ、メッツィンゲン生まれ、ドイツ南部、南インドおよびニューヨーク在住
ヘーゼルナッツの花粉 2015-2018 花粉(ヘーゼルナッツ)
花粉を集める
2020年春―3月、4月、5月に
来る日も来る日も、
何週間も、
タンポポの草原に座り
この上なく集中して
激しく
時間も、我も、身も心も忘れて
信じがたく、思いも寄らない
世界の危機と混乱のただ中で
ひどい病にかかり、死にゆく数多くの人びと
新しい疫病?
600年前のような疫病がふたたび起こるなんて
とても想像できなかっただろう
いま、この私たちの生活のなかに、そばに
それでもなお、危機は大きければ大きいほど
人類に新しい未来をもたらし
どこかほかの場所へ向かい
ほかの何かを見つける手助けをしてくれた
想像しえたものの彼方に
私たちは見つける
新しいありようと生き方を
私たちが望むものと
私たちが人生に望むもの
大切なこと
そうでないこと
慎ましさ
謙虚さ
自分自身とほかの人たちに対する
世界に対する
自然に対する
宇宙に対する
まったくくちがう関係
自分自身と世界への異なる願い
新しい未来の新しいヴィジョン
ヴォルフガング・ライプ 2020年5月
日本語訳/小野正嗣
エレン・アルトフェスト
アートは 崇高な何かへ 繋がることができるものです。
丸太 2001年 油彩、キャンヴァス 所蔵:ヴィッキー ・シャー
ギド・ファン・デア・ウェルヴェ 1977年オランダ、パーペンドレヒト生まれ、ベルリン、アムステルダムおよびフィンランド、ハッシ在住
第9番 世界と一緒に回らなかった日 2007年 ハイビジョン・ビデオ・インスタレーション
青野文昭 1968年宮城県生まれ、同地在住
「秩序が生き生きと存在するためには、
つねに「外部」の環境のもとに
「ゆらいで」いなければならない
八木山橋 2019年 収集物、家具、合板、アクリル絵具ほか 作家蔵
僕の街にあったシンデン ー八木山超路山神社の復元から2000~2019 2019年作家蔵
ロベール・クートラス 1930年パリ生まれ、1985年同地にて没
僕の夜(リザーブ・カルト)1967-1981 油彩、厚紙 個人蔵
堀尾昭子 1937年徳島県生まれ、兵庫県在住
無題 2021年 シルクスクリーン、わら半紙
堀尾貞治 1939年兵庫県生まれ、2018年同地にて没
私にとって
分からんということが
何もわかっていないことが
希望なんです
「色塗り」シリーズ 1985-2018年 ミクストメディア 所蔵:一般財団法人堀尾貞治記念館
「一分打法」シリーズ 1997-2018年 所蔵:一般財団法人堀尾貞治気難関
飯山由貴 1988年神奈川県生まれ、東京都在住
ドメスティック・バイオレンス(DV)をテーマにした飯山由貴の、インタビューを中心としたインスタレーション作品。(撮影不可)
金崎将司 1990年東京都生まれ、同地在住
山びこ 2014年 雑誌、チラシ、ほか
モンティエン・ブンマー 1953年バンコク生まれ、2000年同地にて没
私の作品が
人々の繊細な感情や知覚を活気づけることを望んでいる
これらの感情が、かつてのように、
人間の本性のもとに戻ってくることを、私は望んでいる
自然の呼吸:アロカヤサラ 1995年 鋼、テラコッタ、ハーブ 所蔵:DCコレクション(チェンマイ)
金沢寿美 1979年兵庫県生まれ、東京都在住
初めて新聞紙を鉛筆で塗りつぶしたとき
肉眼では見えない
星までもが見えてくるような
感覚に襲われました
新聞紙のドローイング 2022年 黒鉛、新聞紙
小泉明郎 1976年群馬県生まれ、神奈川県在住
生命の複雑さと重さ、自然の力
それらにしかるべき形を与え認識の枠組みを作っていくことは、
芸術が未来に対して負っているひとつの課題なのだと考えます
グッド・マシーン バッド・マシーンン 2022年ビデオ・インスタレーション
内藤正敏 1938年東京都生まれ、同地在住
(このコーナーは撮影禁止)
修験道の霊山では
「視える自然」の背後に、
人間が意味づけた
「視えない自然」が隠されている
ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)1980年台北生まれ、同地在住
アートは二次元論的な考え方を超越し、
現実の理解は、
私たちを近づけてくれるものです
子宮とダイヤモンド 2021年 手吹きガラス、、鏡、ダイヤモンド
5人の空のダンサー 2021年:リブ・フォーエバー財団(台中)
―HPの解説ー
2020年以降、目に見えないウイルスによって日常が奪われ、私たちの生活や心境は大きく変化しました。こうした状況下、現代アートを含むさまざまな芸術表現が、かつてない切実さで心に響きます。本展では、パンデミック以降の新しい時代をいかに生きるのか、心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か、を現代アートに込められた多様な視点を通して考えます。自然と人間、個人と社会、家族、繰り返される日常、精神世界、生と死など、生や実存に結びつく主題の作品が「よく生きる」ことへの考察を促します。
また、本展では、美術館ならではのリアルな空間での体験を重視し、インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画など、国内外のアーティスト16名による約140点の作品を紹介します。五感を研ぎ澄ませ、作品の素材やスケールを体感しながらアートと向き合うことは、他者や社会から与えられるのではない、自分自身にとってのウェルビーイング、すなわち「よく生きる」ことについて考えるきっかけになることでしょう。 本展のタイトル「地球がまわる音を聴く」は、オノ・ヨーコのインストラクション・アート(*1)から引用しています。意識を壮大な宇宙へと誘い、私たちがその営みの一部に過ぎないことを想像させ、新たな思索へと導いてくれるものです。パンデミック以降の世界において、人間の生を本質的に問い直そうとするとき、こうした想像力こそが私たちに未来の可能性を示してくれるのではないでしょうか。
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