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2022.07.22

長谷川潔 1891-1980展 ― 日常にひそむ神秘 ―

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(画像はクリックで拡大表示になります)

長谷川潔 1891-1980展 ― 日常にひそむ神秘 ―は、
町田市立国際版画美術館で開催されています。

会期 2022年7月16日(土)〜9月25日(日)


長谷川潔の日本での版画家としての初期作品から、年代に区切って特徴的な作品を観ていきます。
関連作家の作品も含めて165点の展示。
仏訳『竹取物語』の挿絵頁の多量展示も見ものです。
版画専門美術館ならではの技術的解説も丁寧です。


展覧会の構成は以下の通りです。

第Ⅰ章(プロローグ) 日本時代 文芸雑誌『仮面』の画家 1913-1918
長谷川潔が画家を志し、版画の制作を始めた1912年から日本を去る1918年まで、文芸雑誌『仮面』同人の版画家として活動した時期の作品を紹介しています。
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『仮面』4巻4号 1915年4月刊 小野忠重旧蔵  長谷川潔 《四つの家の窓(口絵)》 

コラム1 『仮面』および日本版画倶楽部の版画仲間
永瀬義郎 (1891-1978)広島新太郎 (1889-1951)の作品を紹介しています。

コラム2 萩原朔太郎詩集『月に吠える』への共感
公刊『月映』の田中恭吉、藤森静雄などの作品を紹介しています。

第Ⅱ章 フランスで銅版画家として立つ 1919-1941
フランスに渡り、表現を模索しつつ創作活動を開始してから、独自の表現を確立するまでの作品の紹介です。その間にメゾチント(マニエール・ノワール)という版画の古典技法を研究し、現代版画の技法としてよみがえらせています。
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長谷川潔 《思想の生まれる時》 1952年 ドライポイント 手彩色

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長谷川潔《ポアン・ダンテロガシオン号》 1930年 メゾチィント

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長谷川潔 《二つのアネモネ》 1934年 アクアチィント Mogawa氏寄贈

コラム3 青年時代の刺激
パリに向かったのも、憧れのムンク(1864-1944)の存在でした。
ムンクの《病める子』などが展示されています。 

第Ⅲ章 仏訳『竹取物語』1934(1933)
1934年に完成した挿絵本、仏訳『竹取物語』の挿絵ページを可能な限り多く展示しています。
フランス語のテキストは、パリの日本大使館勤務の外交官本野盛一です。
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長谷川潔 《仏訳『竹取物語』(リーヴル・ダール協会刊)特別会員版 別バージョン挿絵 1934(1933)年 エングレーヴィング

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長谷川潔 《仏訳『竹取物語』(リーヴル・ダール協会刊 )挿絵 表紙 扉 1934(1933)年 エングレーヴィング

コラム4 エングレーヴィングという超絶技巧
エングレーヴィングの技術的、作品の特徴解説。アルブレヒト・デューラー (1471-1528)などの作品が展示されています。

第Ⅳ章 日常に神秘を視る 1941-1950年代末
長谷川潔は第二次世界大戦中に、見慣れた一本の樹が不意に人間と同等に見えるようになり、万物は同じだと気づいて以来、自分の絵は変わったと書き残しています。(HPから)技法的にはエングレーヴィングで制作した銅版画が増加します。
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長谷川潔 《一樹(ニレの木)》1941年』 ドライポイント

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長谷川潔 《窓辺卓子》1954-55年  メゾチント  Mogawa 氏寄贈

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長谷川潔 《野辺小禽》1957年  エングレーヴィング

コラム5 メゾチント技法の作品を比較する。
メゾチィント技法の解説。ジョン・マーティン (1789-1854)、浜口陽三1909-2000)などの作品が展示されています。

第Ⅴ章 精神の高みへ ―「マニエール・ノワール」の静物画 1950年代末~1969
「マニエール・ノワール」(メゾチント)による静物画を多数制作した時代。長谷川潔の表現世界の到達点として位置づけられています20220711
長谷川潔 《<コップに挿したアンリコの花>(過去・現在・未来)1965年 メゾチィント
《メキシコの鳩 静物画》1966年 メゾチィント

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長谷川潔 《骰子独楽と幸運の星》1962年  メゾチント 

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長谷川潔 《横顔》 1970年 メゾチント

コラム6 フランスの友人画家たち
ラウル・デュフィ (1877-1953)、アンドレ=デュノワイエ・ド・スゴンザック (1884-1974)の作品が展示されています。

第Ⅵ章 エピローグ
長谷川潔自身が技法と表現の両面から、それまでの仕事を概観できるように構成した1963年発行の版画集(評論家によるテキスト入り)と、最晩年の作品を展示します。(HPのから)


―HPの解説ー
長谷川潔は1910年代半ばに文芸同人雑誌『仮面』の版画家として創作活動を開始、 1918年に日本を去って以来パリを拠点に活動した銅版画家です。サロン・ドートンヌやフランス画家・版画家協会に所属してパリの画壇で高く評価されたほか、フランスでは文化勲章、日本では勲三等瑞宝章を授与されるなど、芸術家としての功績がたたえられています。

国際版画美術館は2018年度にこの版画家の展覧会を開催しました。
本展はその時の展覧会をベースに、最初期の作品から1970年代の銅版画までを年代順に展示するとともに、関連作家の作品も展示し、全体を165点で構成するものです。また挿絵本の優品である仏訳の『竹取物語』について、挿絵頁を可能な限り多く展示します。
長谷川潔の深い精神性が反映された表現世界に今一度向き合ってみてください。

 

 

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