大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―
大英博物館 北斎
―国内の肉筆画の名品とともに―は、サントリー美術館で開催されています。
会期 2022年4月16日(土)~6月12日(日)
サントリー美術館で「葛飾北斎展」が開催されるのは今回が初めてだそうです。
言われてみれば確かに・・・
19世紀から20世紀初頭にかけてコレクターたちが蒐集し、大英博物館に所蔵されてきた優品を中心に、国内の肉筆画を加えた展示で、北斎作品の魅力を存分に楽しませてくれます。
6人のコレクターおよび研究者の旧蔵品や著作、関連資料などが多数展示されていて、その言葉も会場で紹介されています。
―北斎が今のヨーロッパを魅了するのは、彼が世界をありのまま、素直に喜んで受け入れているからである―
ローレンス・ビニヨン/詩人・キュレーター
―複数の優れた絵師による作品ではなく、全て北斎一人によるものだということが、実に信じ難い―
アーサー・モリソン/小説家
(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章:画壇への登場から還暦
市川海老蔵の山賊実は文覚上人 葛飾北斎 細判錦絵 寛政3年(1791)大英博物館
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為朝図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 文化8年(1811) 大英博物館 ウィリアム・アンダーソン旧蔵
―芸術家として、北斎こそが正真正銘の日本人である―
ウィリアム・アンダーソン/外科医
濃密な彩色と金の切箔が施された本作は、北斎の最も手の込んだ作品のひとつ。版元 ・平林庄五郎が『椿説弓張月』の完成を祝って注文したもので、著者の曲亭馬琴 (1767~1848) が画中に漢詩を寄せる。源為朝が訪れた島の住民たちと力比べをし、自らの怪力を誇る場面である。(本展キャプテンから)
第2章:富士と大波
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冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 横大判錦絵 江戸時代 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館
西洋の遠近法を用い、波の合間から富士を覗き見るような構図によって、我々の視線を奥へと誘導している。波しぶきは雪のように山頂に降り注ぎ、波頭はかぎ爪のような形をしている。合成化学顔料のブルシアンブルーが波の奥行と力強さを際立たせている。
本シリーズ中でもとくに人気の高かった本図は、長年にわたり繰り返し摺られ、おそらく8000枚程度も制作されたと考えられている。江戸の人々は誰でも、蕎麦2杯分よりもやや高い程度の値段で、本作を手に入れることができた。(本展キャプションから)
第3章 目に見える世界
諸國瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝 葛飾北斎 大判錦絵 江戸時代 天保4年(1833)頃 大英博物館
第4章:想像の世界
百物語 こはだ小平二 葛飾北斎 中判錦絵 江戸時代 天保4年(1833)頃 大英博物館
第5章:北斎の周辺
娘お栄(画号「応為」)の作品や下村観山などの作品が展示されています。
第6章:神の領域―肉筆画の名品―
渡船山水図 葛飾北斎 一幅 弘化4年(1847) 北斎館
流水に鴨図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 弘化4年(1847) 大英博物館
白拍子図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 文政3年(1820)頃 北斎館
鯉亀図 葛飾北斎 一幅 文化10年(1813) 埼玉県立歴史と民族の博物館
ーHPの解説ー
江戸時代後期を代表する浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)は、世界で最も著名な日本の芸術家の一人です。《冨嶽三十六景》や『北斎漫画』など、一度見たら忘れられないインパクトを持つ作品の数々は、国内外で高い人気を誇っています。
北斎と海外との関係については、モネ、ドガ、ゴッホら印象派およびポスト印象派の画家たちによる北斎への傾倒や、フランスを中心としたジャポニスムへの影響が有名ですが、イギリスにも多くのコレクターや研究者がおり、その愛好の歴史は19世紀まで遡ることができます。なかでも大英博物館には、複数のコレクターから入手した北斎の優品が多数収蔵されており、そのコレクションの質は世界でもトップクラスです。本展では、この大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品とともに、北斎の画業の変遷を追います。約70年におよぶ北斎の作画活動のなかでも、とくに還暦を迎えた60歳から、90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当て、数多くの代表作が生み出されていく様子をご紹介します。また、大英博物館に北斎作品を納めたコレクターたちにも注目し、彼らの日本美術愛好の様相を浮き彫りにします。
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