« 2022年5月 | トップページ | 2022年7月 »

2022.06.29

空箱職人 はるきる展

20220601_20220625182601 20220602_20220625182701

「空箱職人 はるきる展」は、そごう美術館で開催されています。

会期 2022年5月27日(金)~7月3日(日)

 

身近なお菓子の箱をはじめ飲料やカップ麺のパッケージをも驚きのアート作品に変化させる空箱職人はるきる。 学生時代にTwitterで発表した作品が大きな話題を呼び、 企業からのオファーも殺酬、Twitterのフォロワー数は 47万人を超え (2022年1月現在)、国内にとどまらず 世界中にファンが広がっています。

設計図を作らず頭の中で構想を練り形にしていく独特の手法、商品の世界観や元々のパッケージのイメージを壊さない こだわり、ミラクルと呼べる神技・紙技は、まさに「職人」です。 本展では、SNSで人気の作品から初公開の最新作まで約60点を、制作過程の映像や解説とともにご紹介いたします。 実物ならではの細部のクオリティ、パッケージのビフォー・アフターをお楽しみください。(HPの解説です)

職人的技巧と”商品の世界観や元々のパッケージのイメージを壊さない”このこだわりが”はるきる作品の肝”だと思いました。
人気作家であることが理解できました。

皆さん作品に近づいて熱心に見ているより?スマホで写真を盛んに撮っていました。SNSでシェアなのでしょう。

展覧会の構成は次の通りです。
展示作品にはコメントと構想、制作時間、使用個数を記したプレートが添えられています。
(画像はクリックで拡大表示になります)
第1章 Revolution ー箱が変身ー
20220610_20220625172501
PS5 クローストライダー 構想30時間 制作20時間 使用個数1×2
PS5 ゲームソフト 「Horizon Forbidden West」 は、1000年後の未来、機械獣との戦いや新たな部族との遭遇などを描いたオープンワールドアクションRPG.
「これまで制作してきたパッケージの中で最も大きい箱のため、ボリュームと重厚感、機械獣クローストライダーのゴツゴツした体と強さを表現しました。下顎をチェーンソーのようにするために作りこんでいます。」

20220611_20220625172901
パイの実の移動式工場 構想20時間 制作10時間 使用個数3

第2章 Fantasy ー童話の森
20220607_20220625170401
展示会場風景

20220608_20220625171001
ハーゲンダッツの鳥かご 構想30時間 制作30時間 使用個数1

20220609
カラ・ド・ショコラのバイオリニスト 構想20時間 制作10時間 使用個数2

第3章 Origin ーはるきるー
20220602_20220625155101
はるきるルーム

20220601_20220625155301
プリングルズの紳士たち(4作品)より

第4章 Nostalgia ー夢見た景色ー
20220612_20220625174301
神戸のローストショコラの港町 構想30時間 制作16時間 使用個数4

20220613
チョコレート効果のブリキ機関車 構想20時間 制作12時間 使用個数2

第5章 Hero ー新ヒーロー誕生
20220603_20220625163801
鬼ころしの鬼 構想30時間 制作40時間 使用個数1

20220606_20220625165301
ミルキーチョコレートのペコちゃん 構想20時間 制作15時間 使用個数3

第6章 Universe ー空の彼方へー
20220605_20220625164501
カップヌードルの宇宙飛行士 構想5時間 制作15時間 使用個数1

20220604_20220625164701
ネスレの銀河鉄道 構想20時間 制作10時間


プリングルスの空箱で工作しました!Made of Pringles package
空箱職人はるきる HARUKIRU

 

| | コメント (0)

2022.06.25

特別展「生誕100年 ドナルド・キーン展―日本文化へのひとすじの道」

202206_20220625072001
(画像はクリックで拡大表示になります


特別展「生誕100年 ドナルド・キーン展―日本文化へのひとすじの道」は、
神奈川県近代文学館で開催されています。


会期 2022年5月28日(土)~7月24日(日)

ドナルド・キーンさんには、丸の内の出光美術館に来られていたのを偶然お見掛けしたことがあります。

この展覧会で、日本文学研究の幅広さ、その深さに敬意を再確認しました。
日本文学との出会い、海軍日本語学校で日本語を習得し従軍。さらなる日本への関心から京都大学に留学、谷崎潤一郎、のちの文部大臣永井道夫、中央公論の嶋中鵬二などとの交流を経て帰国。コロンビア大学で教鞭をとり、(沢山の日本文学研究者を育てました)日本との行き来を含め世界を旅しました。
日本研究者として、日本文学の翻訳、評論と活躍。美術、能、文楽にの関心を寄せました。文学者と交流、書簡の交換も多く展示されています。
そして、東日本大震災を契機に日本人として帰化しました。

つまり、私は信じられないほど幸運だったのだ。 ギリシャ悲劇の結末は次のような戒めで終わることが多くて、それは死ぬまではその人間を幸福と呼んではならないということだった。これは、私にもあてはまることかもしれない。しかし現在、私の身体を満たしているのは感謝の気持で、それは世界の様々な土地にいる私の友人たち、とりわけ日本に対する感謝の気持である。
-「私と20世紀のクロニクル」(角地幸男訳)から

202201_20220625071501 202202_20220625071601

展示構成は以下の通りです。
キーンの経歴を軸に、教えを受けた研究者、交流のあった作家、纏わる書簡などの紹介 、世界各地への旅、普段の生活などを紹介展示しています。
Ⅰ Meeting with Japan  日本との出会い
Ryusaku Tunoda 角田柳作(1877~4963)
コロンビア大学で「日本研究施設」の解説を進めるとともに日本史の講義を行った。
キーンは1941年に角田から日本思想史の講義を受ける。


Ⅱ 日本研究の扉を開く
Arthur Waley  アーサー・ウエーリ(1889~1966)
1929年まで大英博物館に勤務。東洋版画・素描部に所属。
キーンはケンブリッジ在学中の1949年1月にウェーリに面会、以後親しく言葉を交わすようになった。


Ⅲ 碧い目の日本学者(ジャパノロジスト)
Michio Nagai 永井道夫(1923~2000)
三木武夫内閣の文部大臣
キーンが京都大学留学時代の下宿奥村家で出会い生涯の親友となった。

Hojo Shimanaka 嶋中鵬二(1923~1997)
1949年、25歳で中央公論社の社長に就任。キーンに三島由紀夫ら文学者を紹介、無名のキーンの評論を「中央公論」に掲載するなど協力を惜しまなかった。
キーンは嶋中を「友人」「大恩人」と呼んでいる。

ー日本の文壇の中へー
Junichiro Tanizaki 谷崎潤一郎(1886~1965)
谷崎が京都に住んでいたことが留学先を京都に選んだ理由のひとつともなった。
1954年に初対面、留学期間終了後も親しく交際を続けた。
    
Yasunari Kawabata 川端康成(1899~1972)
キーンは川端から受け続けた「親切とやさしさ」は「川端康成という人間の肝要にして欠くことのできない一部」と評している。

Yukio Mishima 三島由紀夫(1925~1970)三島作品の翻訳や紹介で国際作家としての三島の名声の確立を後押しした。三島に関する多くの回想や作品論を書き残し、三島からキーンに送られた97通の書簡とともに、その貴重な証言となっている。

Kobo Abe 安部公房(1924~1993)
科学知識には詳しいが外国語に弱い安部との会話はユーモアに満ちて笑いが絶えなかったと回想している。 

ー日本の演劇を世界へー

ー世界に広がる日本文化研究の裾野ー



Ⅳ 時を旅する ―文学史と日記からみた日本

ー日本文学史に取り組むー

Ryotaro Shiba 司馬遼太郎(1923~1996)
供に従軍の経験を持つ司馬とキーン。キーンは司馬を「戦友だった」と考えている。また、司馬の推挙によって、キーンは朝日新聞社客員編集委員に就任している。

ー百代の過客ー

ー忘れえぬ戦争の記憶ー


Ⅴ 日本人の心性を探る ー 伝記作者として

明治天皇(1852~1912)

渡辺崋山(1793~1841)

足利義政(1436~1490)

正岡子規(1867~1902)

石川啄木(1886~1912)


Ⅵ 私の大事な場所

オペラこそわが命


―HPの解説ー
 太平洋戦争目前の1940年(昭和15)に偶然手にしたアーサー・ウエーリ訳「源氏物語」との運命的な出会いに導かれて、ジャパノロジストの道へと進み、日本文化の魅力を世界へ、そして日本の人々へ伝えたドナルド・キーン(1922~2019)。アメリカと日本を往来しながら、古代から現代までの文学、歴史、芸能と幅広いジャンルの研究や翻訳に取り組み、後に続く日本文化研究者の教育にも力を注ぎます。書斎の人に留まらず、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、安部公房、司馬遼太郎ら、著名な文学者とも親交を結び、折に触れて書き残した彼らのプロフィールは、近代文学史の貴重な証言となっています。
 松尾芭蕉の「つひに無能無芸にして只此一筋に繋る」(「笈(おい)の小文(こぶみ)」)に日本研究を選択した心境を重ねてから70年余、キーンがひたすらに歩んだジャパノロジストとしての足跡と、オペラや旅、日本の人々と日本文化を愛した情熱的な生涯を紹介します。


日本文学を世界へ~ドナルド・キーンの生涯~
The Japan Foundation国際交流基金

| | コメント (0)

2022.06.21

芭蕉布-人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事-

芭蕉布-人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事-は、大倉集古館で開催されています。

会期 2022年6月7日(火)~7月3日(日)


平良敏子工房関連展示は、よく見かけます、私の偶然でしょうか?

2019年に渋谷区立松涛美術館で開催された展覧会「美ら島からの染と織 ─色と文様のマジック」で、工房での作業記録映像を見ていますが、
大倉集古館のこの展覧会でも同じもの?が放映されています。(地階で)
この映像を観てから展示作品を観て回るのがお勧めです。

柳宗悦に「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です」と言わしめた手織物の数々、その色彩、文様、織の繊細さを堪能させてくれる展覧会です。

1階展示室 喜如嘉の挑戦

2階展示室 喜如嘉の絣


20220601_20220616184701 20220602_20220616184701

20220601_20220620143401
芭蕉布 着尺 「変わり三段組」 


20220502_20220620143401
芭蕉布 着物「ムチリーくずし」
20220503_20220620143501
煮綛芭蕉布 琉球着物「黄地 小鳥 引下 綾中(トゥイグワー ヒキサギー アヤナカー)」 
琉球王国時代に王子夫人の夏衣裳であった。


―HPの解説ー
芭蕉布とは亜熱帯を中心に分布する植物・芭蕉からとれる天然繊維を原料とした、沖縄を代表する織物です。第二次世界大戦後に消滅しかけた伝統技法を復興させ、現代へ繋いだ女性こそが平良敏子です。その功績により、2000 年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。本展では沖縄本土復帰50 周年に寄せ、喜如嘉(キジョカ)に工房を設け、芭蕉布と共に生きる平良敏子の情熱と手仕事をご紹介いたします。民藝運動の主唱者・柳宗悦に「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です」と言わしめた手織物の数々を約70 点にわたり公開いたします。芭蕉の糸が織りなす透けるような風合い、古くから伝わる琉球藍や車輪梅の力強い色彩、バラエティに富んだ絣柄の世界をはじめとする芭蕉布の手わざの魅力を様々な角度からお楽しみください。

 
大倉集古館「芭蕉布-人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事-」
アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum

 

| | コメント (0)

2022.06.18

琉球沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」は、
東京国立博物館 平成館 特別展示室 で開催されています。

会期 2022年5月3日(火) ~6月26日(日)

沖縄県は復帰50年を迎えました。
今年は、さまざまな沖縄に関する展覧会が開催されてきました(開催されています)
この展覧会は沖縄の歴史を底流に、王国時代の歴史資料・工芸作品・国王尚家に伝わる宝物に加え、考古遺物や民族作品などの様々な文化財を一堂に会し、アジアにおける琉球王国の成立、および独自の文化の形成と継承の意義について紐解く総合的な展覧会です。

01_20220614180301 02_20220614180301
03_2022061418030104_20220614180401
(クリックで拡大表示になります)

展覧会の構成は次の通りです。

第1章 万国津梁アジアの架け橋
琉球王国は、アジア各地を結ぶ中継貿易の拠点として大いに栄えました。
王国や港市・那覇の活況を今に伝える記録、交易でもたらされた国際色豊かな品々が展示されています。

第2章 王権の誇り 外交と文化
琉球国王尚氏は、1470年からおよそ400年にわたり琉球を治めました。
首里城を彩った王家の宝物、中国皇帝や日本の将軍、大名に贈られた美しい漆器や染織品などが展示されています。

第2章のみ撮影ができます。
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)
20220501_20220614174201
模写復元 尚穆王御後絵 [本紙]東京藝術大学保存修復日本画研究室 [表装具]墨仙堂
紙本着色
令和2年度 [原資料]第二尚氏時代18世紀 沖縄一般財団法人沖縄美ら島財団

20220502_20220614171901
国宝衣裳展示風景 沖縄那覇市歴史博物館

20220505_20220614171901
展示風景

202205004
国宝唐衣裳など展示風景

20220504_20220614171801
国宝 王冠(付簪) 琉球王国尚家関係資料 第2尚家時代 18~19世紀 
沖縄那覇市歴史博物館

20220503_20220614172101
国宝 黒漆脇差拵(号 池金丸) 琉球国王尚家関係資料
信国作か 【刀身】鉄、鋳造 室町時代16世紀 【拵】木胎、漆塗 江戸時代17世紀
沖縄那覇市歴史博物館

202205005
青貝螺鈿鞘腰刀拵(号 北谷菜切) 琉球国王尚家関係資料 
【刀身】鉄、鋳造 室町時代15世紀 【拵】木胎、漆塗、螺鈿 江戸時代16~17世紀 
沖縄 那覇市歴史博物館

202205001
国宝 黒漆雲龍螺鈿東道盆 琉球国王尚家関係資料 木製漆塗、螺鈿 第二尚家関係資料
沖縄那覇市歴史博物館 

202205002
国宝 朱漆巴紋牡丹沈金馬上杯 琉球国王尚家関係資料 木製漆塗、沈金 第二尚氏時代18~19世紀
沖縄那覇市歴史博物館

202205003_20220614172801
国宝 唐冠服図帳 琉球国王尚家関係資料 紙本墨画着色 第二尚氏時代 乾隆30年(1765)
沖縄那覇市歴史博物館

第3章 琉球列島の先史文化
先史時代の人びとが日々の暮らしに用いた道具とともに、交流によってもたらされた希少な品々を紹介しています。

第4章 しまの人びとと祈り
しまの暮らしと祈りの形を通して、土地に根ざした多様な文化、地域の個性を見つめます。

第5章 未来へ
本展の締めくくりとして、首里城の復活を中心に、琉球文化の復興と継承の道のりをたどります。

 

ーHPの解説ー
令和4年(2022)、沖縄県は復帰50年を迎えます。かつて琉球王国として独自の歴史と文化を有した沖縄は、明治以降の近代化や先の戦争という困難を乗り越え、現在もその歴史、文化を未来につなぐ努力を続けています。本展は、王国時代の歴史資料・工芸作品、国王尚家に伝わる宝物に加え、考古遺物や民族作品などのさまざまな文化財が一堂に会します。
また、沖縄県では、平成27年度より琉球王国文化遺産集積・再興事業として、失われた文化遺産の復元に取り組んできました。この事業によって制作された復元作品も多数展示します。琉球・沖縄の歴史や文化を総合的にご覧いただけるまたとない機会です。

 

| | コメント (0)

2022.06.15

薬師池の花菖蒲 20220年6月中旬

薬師池公園の花菖蒲を撮ってみました。
この土日の様子です。
(クリックで拡大表示になります)

静止画はイチデジで撮りました。

動画は全てスマホで撮影しました。 

202206004

202206007

202206008

202206005

202205010

 202206009_20220615172701

202205012 





| | コメント (2)

2022.06.12

トーハクの一品 国宝 広目天(四天王立像のうち)

国宝 広目天立像は、
トーハク本館11室で展示されています。

展示期間 ~ 2022年8月28日(日)

11室の展示彫刻リストはこちらから

スタイリッシュで、憤怒の形相にも何か優しさを感じてしまいます。
右手のたなびく衣、装飾、光背、踏みつけられている邪鬼・・などなど見どころ満載です。
20220601_20220602104201
国宝 広目天(四天王立像のうち) 木造、彩色・截金 平安時代・12世紀 京都浄瑠璃寺 

平安時代後期の神将形像を代表す美作として著名な四天王像中の1躯です。この時期に流行した九体阿弥陀堂の現存唯一の遺構として知られる浄瑠璃寺本堂に伝来しました。 華麗な彩色・截金文様に飾られた本体だけでなく、光背や台座まで造像当時の姿をよく残しています。(キャプションから) 


四天王立像も展示されていました。
20220601_20220612070101
四天王立像 鎌倉時代・13世紀 木造、彩色・截金・玉眼 東京・浅草寺

仏教世界の四方を護る四天王。 こ のような身色や体勢の組み合わせ は、鎌倉時代に再興された東大寺大仏殿の像に倣うとされ、本像にも「南都興福寺伝来」との伝承があり ます。迫力のある表情や躍動的な表現に優れ、華麗な彩色や極細の金箔で表わされた截金の装飾も見事です。(キャプションから)

四天王とは・・・
以下、日本大百科全書(ニッポノカ)「四天王」の解説からの引用です。

インド神話時代から護世神とされ、仏教では須弥山の中腹にある四天王の主として、持国天(東方の勝身州)、増長天(南方の瞻部(えんぶ)州)、広目(こうもく)天(西方の牛貨(ごか)州)、多聞天(毘沙門天)、北方の瞿盧(くる)州)をいう。四大天王、護世四王ともいう。

帝釈天の外将で、上は帝釈天に仕え、下は八部衆を支配し、仏法、仏法に帰依する衆生、そして国家を守護する。梵天および帝釈天とともに仏法守護神として諸経に広く説かれている。

それぞれの形像については、インドでは貴人の姿で表現されたが、中国、日本では武将形となり、さらに忿怒の相も付加されるに至った。

 

| | コメント (0)

2022.06.08

大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―

大英博物館 北斎
―国内の肉筆画の名品とともに―は、サントリー美術館で開催されています。

会期 2022年4月16日(土)~6月12日(日)


サントリー美術館で「葛飾北斎展」が開催されるのは今回が初めてだそうです。
言われてみれば確かに・・・

19世紀から20世紀初頭にかけてコレクターたちが蒐集し、大英博物館に所蔵されてきた優品を中心に、国内の肉筆画を加えた展示で、北斎作品の魅力を存分に楽しませてくれます。

6人のコレクターおよび研究者の旧蔵品や著作、関連資料などが多数展示されていて、その言葉も会場で紹介されています。

―北斎が今のヨーロッパを魅了するのは、彼が世界をありのまま、素直に喜んで受け入れているからである―
ローレンス・ビニヨン/詩人・キュレーター

―複数の優れた絵師による作品ではなく、全て北斎一人によるものだということが、実に信じ難い―
アーサー・モリソン/小説家

20220501_20220608171001 20220502_20220608171001
202205003_20220608171001 20220504_20220608171101
(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります)


展覧会の構成は以下の通りです。
第1章:画壇への登場から還暦
20220501_20220608173701
市川海老蔵の山賊実は文覚上人 葛飾北斎 細判錦絵 寛政3年(1791)大英博物館

20220501_20220608171801
(この画像はクリックで拡大表示になります)
為朝図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 文化8年(1811) 大英博物館 ウィリアム・アンダーソン旧蔵
―芸術家として、北斎こそが正真正銘の日本人である―
ウィリアム・アンダーソン/外科医

濃密な彩色と金の切箔が施された本作は、北斎の最も手の込んだ作品のひとつ。版元 ・平林庄五郎が『椿説弓張月』の完成を祝って注文したもので、著者の曲亭馬琴 (1767~1848) が画中に漢詩を寄せる。源為朝が訪れた島の住民たちと力比べをし、自らの怪力を誇る場面である。(本展キャプテンから)

第2章:富士と大波
20220502_20220608202301
(この画像はクリックで拡大表示になります)
冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 横大判錦絵 江戸時代 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館

西洋の遠近法を用い、波の合間から富士を覗き見るような構図によって、我々の視線を奥へと誘導している。波しぶきは雪のように山頂に降り注ぎ、波頭はかぎ爪のような形をしている。合成化学顔料のブルシアンブルーが波の奥行と力強さを際立たせている。
本シリーズ中でもとくに人気の高かった本図は、長年にわたり繰り返し摺られ、おそらく8000枚程度も制作されたと考えられている。江戸の人々は誰でも、蕎麦2杯分よりもやや高い程度の値段で、本作を手に入れることができた。(本展キャプションから)


第3章 目に見える世界
20220501_20220608174401
諸國瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝 葛飾北斎 大判錦絵 江戸時代 天保4年(1833)頃 大英博物館

202205_20220608180301
若衆図 葛飾北斎 一幅 天保11年(1840) 大英博物館

第4章:想像の世界
202205_20220608174901
百物語 こはだ小平二 葛飾北斎 中判錦絵 江戸時代 天保4年(1833)頃 大英博物館

第5章:北斎の周辺
娘お栄(画号「応為」)の作品や下村観山などの作品が展示されています。

第6章:神の領域―肉筆画の名品―
20220501_20220608175501
渡船山水図 葛飾北斎 一幅 弘化4年(1847) 北斎館  

202205_20220608180901
流水に鴨図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 弘化4年(1847) 大英博物館

20220501_20220608175901
白拍子図 葛飾北斎 一幅 江戸時代 文政3年(1820)頃 北斎館

20220501_20220608181201
鯉亀図 葛飾北斎 一幅 文化10年(1813) 埼玉県立歴史と民族の博物館 


ーHPの解説ー
江戸時代後期を代表する浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)は、世界で最も著名な日本の芸術家の一人です。《冨嶽三十六景》や『北斎漫画』など、一度見たら忘れられないインパクトを持つ作品の数々は、国内外で高い人気を誇っています。
北斎と海外との関係については、モネ、ドガ、ゴッホら印象派およびポスト印象派の画家たちによる北斎への傾倒や、フランスを中心としたジャポニスムへの影響が有名ですが、イギリスにも多くのコレクターや研究者がおり、その愛好の歴史は19世紀まで遡ることができます。なかでも大英博物館には、複数のコレクターから入手した北斎の優品が多数収蔵されており、そのコレクションの質は世界でもトップクラスです。本展では、この大英博物館が所蔵する北斎作品を中心に、国内の肉筆画の名品とともに、北斎の画業の変遷を追います。約70年におよぶ北斎の作画活動のなかでも、とくに還暦を迎えた60歳から、90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当て、数多くの代表作が生み出されていく様子をご紹介します。また、大英博物館に北斎作品を納めたコレクターたちにも注目し、彼らの日本美術愛好の様相を浮き彫りにします。

 

| | コメント (0)

2022.06.05

スコットランド国立美術館 美の巨匠たち

スコットランド国立美術館 美の巨人たちは、
東京都美術館で開催されています。

会期 2022年4月22日(金)~7月3日(日)


スコットランド国立美術館所蔵の巨匠の名品で、ルネサンスから19世紀後半までの西洋絵画史の流れを紹介、その流れの中で活躍したイングランド、スコットランドの画家の名品も展示しています。

Img_20220605_0003 Img_20220605_0004
(左)ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》(部分)1618年 油彩・カンヴァス
18歳から19歳のベラスケスが自身の才能を世に示した初期の傑作。
(右)ジョシュア・レイノルズ《ウォルドグレイブ家の貴婦人たち》(部分)1780-81年 油彩/カンヴァス
Img_20220605_0001 Img_20220605_0002
(この画像(チラシ)はクリックで拡大表示になります) 

 

展示構成は以下の通りです。
プロローグ スコットランド国立美術館
20220601_20220605153201
アーササー・エルウェル・モファット《スコットランド国立美術館の内部》1885年 水彩、白の不透明水彩・紙


第一章 ルネサンス
20220606
アンドレア・デル・ヴェロッキオ(帰属)
《幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》1470年頃 テンペラ、油彩・カンヴァス(板から移行)
ラスキンの聖母という通称は、英国の評論家・美術家のジョン・ラスキンの所蔵品であったことによります。(キャプションから)
ヴェロッキオは、レオナルド・ダ・ヴィンチの師匠です。

20220602
エル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》1600年頃 油彩/カンヴァス
正面を向いたキリストが、右手を上げて祝福し、左手を世界を表す水晶玉に置く図像からはビザンティン美術や、ティツイアーノからの影響がうかがえる。(キャプションから)

第2章 バロック
20220607
ペーテル・パウル・ルーベンス《頭部習作(聖アンブロジウス)》1618年頃 油彩・板
祭壇画のための習作。


20220608
レンブラント・ファン・レイン《ベッドの中の女性》1647年 油彩/カンヴァス
本作はおそらく、聖書の登場人物であるサラが結婚初夜のベットから、8人目の夫トビアガアクマを追い払うのを見守っている場面であろう。
彼女は過去7度の結婚の初夜に悪魔によって新郎を殺されていた。(キャプションから)

第3章 グランド・ツアーの時代
20220604
フランソワ・ブーシェ《田舎の情景》(左から「愛すべきパストラル」1762年/「田舎風の贈り物」1761年/「眠る女教師」1762年 油彩/カンヴァス
花や鳥を差し出す様子は、男性がその女性に愛を捧げていることを意味する。
同時代の舞台作品から、インスピレーションを受け、ブーシェは1730年代からこうしたロマンティックで牧歌的な主題に取り組んだ。(キャプションから)
フランス・ロココを代表する画家の晩年作。

20220603
トマス・ゲインズバラ《ノーマン・コートのセリーナ・シスルスウェイトの肖像》1887年頃 油彩/カンヴァス
セリーナ(1760-1817)は、ハンプシャー州ノーマン・コートのシスルスウェイト家に嫁いだ女性で、ゲインズバラは、その夫ロバートのの肖像画と対の作品として本作を描いた。(キャプションから)


第4章 19世紀の開拓者たち
20220605
《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》
1857年 油彩・カンヴァス
結婚を目前に控えた画家のグランントの愛娘。グラントが亡くなるまで手元に置いていた作品。(キャプションから)

20220612
ジョン・エバレット・ミレイ《「古来比類なき甘美な瞳」》1881年 油彩/カンヴァス
ラファエル前派の画家。

20220610
ポール・ゴーガン《三人のタヒチ人》1899年 油彩/カンヴァス
1895年から1901年にかけ2度目のタヒチ滞在で描かれた作品。 
果実を持つ女性は、聖書に登場する誘惑する女イブのタヒチ版だ。
もう一人の女性は結婚指輪をはめ、義務と責任の道を表している。(キャプションから)


エピローグ
20220611
フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》 1867年 油彩/カンヴァス
1840年代後半以後、チャーチはナイヤガラの滝に取材した作品を20点以上制作しており、本作は現地で残したデッサンや写真をもとに描かれた大作。(キャプションから)


ーHPの解説ー
スコットランド国立美術館は、上質で幅広い、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する美の殿堂です。そんなスコットランドが誇る至宝の中から、ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、レノルズ、ルノワール、モネ、ゴーガンなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品を展示します。さらに、同館を特徴づけるイングランドやスコットランド絵画の珠玉の名品も多数出品。それらを西洋美術の流れの中でご紹介します。


| | コメント (0)

2022.06.02

月百姿 五条橋の月 月岡芳年

鎌倉の13人は、なかなかの評判を得ているようで、自分も見ています。

義経の登場する回の放送は終了しましたが、展覧会などで義経を描いた作品展示を見かけるとやはり気になります。

先日観に行った八王子夢美術館の月岡芳年展でも「義経」作品が展示されていました。
久しぶりで、ポストカードを購入しました。
この作品からも、芳年人気が頷けます。

義経(牛若丸)の天を衝く右手、投げられた扇への目線、身体、扇が左上から右下に一直線につながる構図は見事。
真横にたなびく衣のひだがスピード感を加えます。
武蔵坊弁慶の慌てる様子が目に浮かびます。
Pk20220601

月岡芳年 月百姿 五条橋の月 大判錦絵 明治21年(1888)

月百姿は、月岡芳年が明治18から25年(1885~1892)、数え47歳から54歳の時に発表した浮世絵の連作で、月をテーマとした全100点揃物の大判錦絵。

「月百姿」は、月にちなんだ物語を題材としていますが、平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女たち、あるいは幽霊や妖怪などの不可思議な存在まで、さまざまなテーマが登場します。


| | コメント (0)

« 2022年5月 | トップページ | 2022年7月 »