最期の浮世絵師 月岡芳年展
最期の浮世絵師 月岡芳年展は、
八王子市夢美術館で開催されています。
会期 2022年4月8日(金)〜6月5日(日)
芳年というと所謂残酷絵を思い浮かべるかもしれません。
過去の展覧会においても取り上げられるケースが多くありました。
本展では残酷絵?はほとんど?ありません。
奇抜な発想、スピード感、情感あふれる表情、人気絵師の本質を納得させてくれる作品は「観るものをわくわく」させてくれます。
揃物を中心にした150点の作品には、一点一点に解説が添えられていて鑑賞を助けてくれます。
展覧会の構成は以下の通りです。
(主な揃物作品)
第一章 芳年の壮 芳年の武者絵
(一魁随筆)
一魁随筆 西塔ノ鬼若丸 大判錦絵 明治5~6年(1872~73)
鬼若丸(弁慶の幼名)が古池の化物鯉を退治したという逸話を描いたもの。
「一魁」は芳年の画号にちなんだもの。
(芳年武者无類)
(大日本名将鑑)
第二章 芳年の想 芳年の歴史画
(新撰東錦絵)
新撰東錦絵 鬼神於松四郎三朗を害す図 大判錦絵二枚続 明治19年(1886)
美貌の盗賊鬼神のお松が、夫を殺した夏目四郎三朗に復讐する場面である。病をよそおい、四郎三朗に背負われて川を渡るとき背後から襲う、可愛らしい振袖姿だが表情ひとつさえ変えない。(展示解説から)
(新形三十六怪撰) 題は三十六歌仙のもじり
新形三十六怪撰 地獄大夫 悟道の図 大判錦絵 明治23年(1890)
室町時代に堺に住んだ伝説の遊女地獄大夫。客を迎えるときは念仏をとなえたという。背景には骸骨の花魁道中が広がる。(展示解説から)
第三章 続物の妙
芳流閣両雄動 大判錦絵二枚続 明治18年(1885)
曲亭馬琴「南総里見八犬伝」の芳流閣の場面。捕り物の名手犬飼見八が犬塚信乃を屋根の上に追い詰める場面。(展示解説から)
第四章 芳年の妖と艶
(東京自慢十二ヶ月)
(風俗三十二相)
第五章 報道
郵便報知新聞
かなよみ新聞
第六章 月百姿
月百姿 忍岡月 玉渕斎 大判錦絵 明治22年(1889)
風に乱れ散る花びらに袖をかざすのは玉渕斎。浪士の身であった玉渕斎が花の盛りの上野を歩いていると、金持ちの花見客が「そんな粗末な着物では花を振り払うこともあるまい」とからかう。玉渕斎は即興で見事な短歌を詠んで返し酔客らをやり込めたという。(展示解説から)
ーHPの解説ー
幕末から明治時代に活躍し、「最後の浮世絵師」とも呼ばれる月岡芳年(1839〜1892)の画業に焦点を当てる展覧会です。
月岡芳年は天保10(1839)年、江戸の新橋に生まれました。幼い頃から画業を志し、12歳のとき、奇想の絵師と呼ばれる歌川国芳(1798〜1861)に入門し、15歳の若さで画壇にデビューします。その後22歳頃から本格的に浮世絵師として活動をはじめ、54歳で没するまでの間に多くのすぐれた作品を世に送り出し続けました。その生涯で手がけた作品数は、一説には1万点にもおよぶと言われています。
芳年といえば、「英名二十八衆句」などの無惨絵に見られる、残酷な作品を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、そうした血生臭いものは芳年が若年の頃に発表された、ごくわずかのシリーズに見られる傾向にすぎません。芳年の作品全体をとおして見ると、勇壮でスピード感あふれる武者絵、歴史画や大衆好みの巷の事件を集めた錦絵新聞の挿絵、日本近代美人画の先駆け的な要素を感じさせる美人画など、実に多種多様であることがわかります。近年では、芳年作品が持つ人物の内面性までも表現する的確な描写や、西洋画の写実性を加味し、静謐さと緊張感が高い次元で響き合う稀有な画風など、その魅力が多角的な視点から評価され、人気が再燃しています。
本展では、昨今の芳年芸術への再評価の流れに鑑み、芳年の集大成的作品である「月百姿」をはじめ、「新撰東錦絵」、「新形三十六怪撰」といった円熟期の傑作を中心に、約150点を展示します。柔軟な発想とたくましい絵心で幕末明治の浮世絵界を駆け抜けた芳年芸術の世界を是非お楽しみください。
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