最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展
最後の印象派、二大巨匠 シダネルとマルタン展は、SOMPO美術館で開催されています。
会期 2022年3月.26日(土)~ 06月26日(日)
メルシャン軽井沢美術館が廃館(2011年)する前の最後の展覧会が「薔薇と光のフランス人画家アンリ・ル・シダネル 小さな幸せ」でした。
メルシャン美術館とシダネルの作品がいつまでも印象に残っています。
ひろしま美術館、山梨県立美術館を巡ってきたこの展覧会、この美術館が最後の会場です。
ベルエポック期のフランス美術界にあって、前衛画家たちによるフランス近代美術史とは別の「もうひとつの本流」を担った画家がいました。その代表格のシダネルとマルタン、近年、フランス本国を中心に再評価の機運が高まっています。(HP参考)
過度なグローバル化による世相に反応してのことでしょうか?
私の大好きな画家ですので、山梨のときに観に行こうと思いましたが、SOMPO美術館での開催まで待っていました。
展覧会の構成は以下の通りです。
(3点の作品が撮影可能です(条件あり))
1.エタブルのアンリ・ル・シダネル
1888年のサロンに出品して好評を得た作品。草を食む牛と傍らで二人の羊飼いがしばし休息するという何気ない光景に神秘的な雰囲気が満ちています。
アンリ・ル・シダネル《エタブル、砂地の上》1888年 油彩/カンヴァス フランス、個人蔵
2.象徴主義
1890年頃よりマルタンの画面に象徴主義の影響が表れ始める。マルタンの象徴主義は、まずは詩や文学から着想を得て構成され、しばしば風景の名かの女性像というかたちで具現した。友人や姉妹がそのモデルをつとめることも多い(キャプションから)
アンリ・マルタン《腰かける少女》1904年以前 油彩/カンヴァス ランス美術館
世紀転換期以降のマルタンは、神秘的なテーマやモティーフから離れ、身近な人物を描くことが多くなる。
石垣に座る農村の少女がモデルになっていて、沈思黙考するその佇まいは内向的な幻想性を宿している。
3.習作の旅
アンリ・ル・シダネル《サン=トロペ、税関》1928年 油彩/カンヴァス フランス、個人蔵
4.アンリ・マルタンの大装飾画のための習作
マルタンは、大画面の装飾画にも優れ、多くの公共建築の壁画を手がけました。
アンリ・マルタン《二番草》1910年 油彩/板 フランス、個人蔵
夏から初秋にかけて、二番草を刈取る情景が描かれている。
アンリ・マルタン《ガブリエルと無花果の木[エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作]》
1911年 油彩/厚紙で裏打ちされた紙 フランス、個人蔵
食堂の装飾画に《海岸風景》《田舎の昼食》《山羊のいる風景》《恋人たちのいる風景》を描いたが、本作は《田舎の昼食》の全体構図を示す習作。
5.ジュルブロアのアンリ・ル・シダネル
1900年以降、画面から徐々に人の姿が消えていく。代わりにテーブルの上に整えられた食器や窓からこぼれる室内の灯りによって人の存在を暗示するシダネルの真骨頂とも言える作風が確立されていった。
アンリ・ル・シダネル《ジュルブロア、テラスの食卓》 1930年 油彩/カンヴァス フランス、個人蔵
6.ラバステッド・デュ・ヴェールのアンリ・マルタン
1900年にマルタンが見出した南仏のラバステッド・デュ・ヴェールとそこに購入した別荘マルケロル。
マルケロルの庭は、絵画の題材にすることを念頭において彼自身が造った空間であり、主要な着想源であった。
アンリ・マルタン《マルケロルの池》1910-1920年頃 油彩/カンヴァス フランス、ピエール・バスティドウ・コレクション
7.ヴェルサイユのアンリ・ル・シダネル
1909年から晩年かけて、シダネルは息子たちの教育のためにヴェルサイユに居を構え、ジェルブロアとの二重生活を送るようになる。
アンリ・シダネル《ヴェルサイユ、月夜》1929年 油彩/カンヴァス フランス、個人蔵
8.コリウールとサン・シル・ラポピーのアンリ・マルタン
後年マルタンは新たに2つの場所に家を購入し、その地の光景を描きました。
9.家族と友人の肖像
シダネルとマルタンによる版画・素描
ーHPの解説ー
19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)に焦点をあてた、国内初の展覧会です。印象派を継承しながら、新印象主義、象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立した二人は、幻想的な主題、牧歌的な風景、身近な人々やその生活の情景を、親密な情感を込めて描きました。「最後の印象派」と言われる世代の中心的存在であった二人は、1900年に新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)を設立、円熟期には共にフランス学士院会員に選出されるなど、当時のパリ画壇の中核にいました。
二人は深い友情で結ばれ同じ芸術観を共有しながらも、それぞれの活動拠点に由来して、異なる光の表現を追求します。シダネルは北フランスに特有の霞がかった柔らかな光を、マルタンは南仏の眩い光を描き出しました。本展では、世紀末からモダニスムへ至るベル・エポック期に、独自の絵画世界を展開した二人の道のりを、約70点の油彩・素描・版画を通して辿ります。
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