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2022.02.25

散歩の途中で野鳥を撮ってみました。 2022年2月

散歩途中の公園では「梅まつり」が始まりましたが、まだ寒い日が続きます。
2月は例年より寒かったような気がしてます。

ウグイスの囀る散歩道を、咲く花を探しながら歩く日も近いようですが・・・・
今月は「カワセミに遭遇する日が増えました。

(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

春の気配・・福寿草が咲いていました。
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カワセミ
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 カワセミ 
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カワセミとチュウサギ
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シロハラ ?
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 アカハラ
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シメ
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 シメ
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ツグミ
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 ツグミ
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ジョウビタキ(オス)
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 ジョウビタキ
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ジョウビタキ(メス)
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ハクセキレイ(オス?)
サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 ハクセキレイ
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ハクセキレイのつがい?
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カモ、オシドリ、カイツブリ、オオバン、ホシハジロなどは変わらず池を回遊しています。

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2022.02.22

御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―

『御大典記念 特別展よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―』は、サントリー美術館で開催されています。

会期 2022年1月26日(水)~3月27日(日)


奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた正倉院宝物。その精巧な模造品を一堂に公開する展覧会です。

正倉院宝物は1200年の歴史を経ていて、わずかな振動で崩れ落ちるようなものもあり、また文化財は天災や人災によって瞬時に消滅する危機に常に晒されています。
今あるものが永遠に続くものではない、その危機意識のもとに、もう一つの「ほんもの」を作っておく必要があります。

明治時代から行われてきた正倉院宝物の再現模造事業で製作された数百点におよぶ作品の中から、調度品、楽器、染織品、仏具など多彩な分野から、サントリー美術館では約70件と関連資料が展示されています。
現代の名工たちが、伝統工芸と最新の科学技術を融合させて再現した天平美の芸術的深みや品格が最大のみどころです。

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(クリックで拡大表示になります)

展示会場に入るとすぐに展示されているのが、原宝物は聖武天皇御遺愛品である《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》
8年の歳月をかけて再現されました。
普通、琵琶は4弦ですが、正倉院に伝わるこの琵琶は5弦です。
世界中でこの一面だけです。
紫檀で作った本体は螺鈿や玳瑁で装飾されています。(宝相華、ラクダに乗って琵琶を弾く人)
その美しさに展示ケースに何度も行き来して見入ってしまいました。

弦は「皇室内の御養蚕所で上皇后陛下が長年育てられた、日本固有種の蚕『小石丸』の繭を使い、手作りで糸をよりました。

展覧会場では『その音色』を聴くことができます。


サントリー美術館「御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物 ― 再現模造にみる天平の技 ―」
アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum

展覧会の構成は以下の通りです。
第1章:楽器・伎楽
第2章:仏具・箱と几・儀式具
第3章:染織
第4章:鏡・調度・装身具
第5章:刀・武具
第6章:筆墨

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模造 酔胡王面 一口 財団法人美術院 国宝修理所 
平成14~15年(2002~03) 宮内庁正倉院事務所蔵

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・模造 赤字唐花文錦 一帖 株式会社川島織物 
平成14年(2002) 宮内庁正倉院事務所蔵
・模造 黄銅合子 一合 [鋳造]般若勘溪 [彫金]浦島紫星 
平成16年(2004) 宮内庁正倉院事務所蔵

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模造 螺鈿箱 一合  [素地]川北良造 [髹漆・加飾]北村大通 [嚫]高田義男 
昭和51~52・54年(1976~77・79) 宮内庁正倉院事務所蔵


ーHPの解説ー
天皇陛下の御即位をはじめとする皇室の御慶事を記念し、正倉院宝物の精巧な再現模造の数々を一堂に公開する展覧会を開催します。
正倉院宝物とは、奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々です。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、調度品、楽器、遊戯具、武器・武具、文房具、仏具、文書、染織品など多彩な分野にわたります。中には、西域や唐からもたらされた国際色豊かな品々も含まれるなど、天平文化華やかなりし当時の東西交流もうかがい知ることができます。しかし、1300年近くという長い時代を経て今日にいたる正倉院宝物は、きわめて脆弱であるため、毎年秋に奈良で開催される「正倉院展」で一部が展覧される以外はほとんど公開されてきませんでした。
正倉院宝物の模造製作は、明治時代に奈良・東大寺で開催された奈良博覧会を機に始められました。明治時代後半より、宮内省正倉院御物整理掛のもとで、模造製作は修理と一体の事業として取り組まれましたが、昭和47年(1972)からは宝物を管理する宮内庁正倉院事務所によって宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点をおいた模造製作が行われるようになります。以来、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技と最新の調査・研究成果との融合により、優れた作品が数多く生み出されてきました。
本展は、これまでに製作された数百点におよぶ再現模造作品の中から、選りすぐりの逸品を一堂に集めて公開するものです。再現された天平の美と技に触れていただくとともに、日本の伝統技術を継承することの意義も感じていただけることと思います。

 

 

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2022.02.18

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展

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ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展は、東京都美術館で開催されています。

会期 2022年2月10日(木)~4月3日(日)

フェルメール《窓辺で手紙を読む女》を修復後、所蔵館以外で世界初公開ということで・・・・

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(左)ザビーネ・ベントフェルト《複製画:窓辺で手紙を読む女(フェルメールの原画に基づく》2001年 油彩・カンヴァス
(右)ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女≫(修復後) 1657-59年頃 油彩、カンヴァス
(画像はクリックで拡大表示になります)

 フェルメールが風俗画に転向して間もない初期の傑作。窓から光の差し込む明るい室内で女性が何かの行為に没頭するという、フェルメールらしい構図で描かれている。右端のカーテンは、実際に絵を覆っている現実のカーテンのようにも見える。このような表現は当時流行したもの、若きフェルメールが他の画家の表現を意識しながら、自身の画風を模索していたことがわかる。修復により現れた画中画には、愛の神であるキューピッドが嘘や欺瞞を象徴する仮面を踏みつける場面が描かれており、誠実な愛の勝利を表すと考えられる。


「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」展覧会紹介映像 奇跡の修復 篇
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展覧会の構成は以下の通りです。
・レンブラントとオランダの肖像画
・複製版画
・レイデンの画家―ザクセン選帝侯たちが愛した作品
・《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復
・オランダの静物画―コレクターが愛したアイテム 
・オランダの風景画 
・聖書の登場人物と市井の人々 


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レンブラント・ファン・レイン《若きサスキアの肖像》1633年油彩、板
描かれている女性は翌年に結婚するサスキアと見て間違いないだろう。しかし、彼女の古代風の衣装や、顔の上半分に差す影などから、本作は一般的な肖像画ではなく「トローニー」と呼ばれる頭部習作の一つだと考えられる。(キャプションから)

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ヘラルト・テル・ボルフ《手を洗う女》1655-56年 油彩・板
テル・ボルグは、オランダ上流階級の優雅で洗練された日常生活を伝える室内風景画を多く手がけ、フェルメールを始め同時代の多くの画家たちに影響を与えた。この作品に描かれる手を洗うという行為は、穢れのなさを示すが、同時代の寓意図像集のエンブレム「片方の手がもう片方の手を洗うように、恋愛は別の恋愛を伴う」との関連も指摘される。(キャプションから)

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ハブリエル・メツー《レースを編む女》1661-64年 油彩・板
レイデン出身のメツーは、窓辺からの光の差し込む明るい室内を舞台にするなど、フェルメールを意識した作品を残している。この作品ではレース編みに従事する女性と傍らに置かれた足温器の上に座る猫が描かれている。一見何の変哲もない日常的な風景だが、当時猫は官能的な象徴とみなされ、家の中に猫がいるこは不名誉なこととされていた。(キャプションから)

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ヤーコブ・ファン・ライスダール《城山の前の滝》1665-70年頃 油彩・カンヴァス
滝や急流のある風景は、ファン・ライスダールの作品の中で最も多い主題で、150点以上描かれている。その着想元となったのは現実の風景ではなく他の画家が描いた山岳風景であった。彼の作品は18世紀以降のドレスデンで特に人気を博し、この地の風景画に大きな影響を与えた。(キャプションから)

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ヤン・ステーン《ハガルの追放》1655-57年頃 油彩・カンヴァス
妻との間に子供ができたアブラハムが、愛人のハガルとその子イシュマイルを追放する旧約聖書の一場面。構図はレンブラントの版画を基にしているが、当時の風俗を取り入れたりして、変更を加え旧約聖書の物語を同時代の出来事のように描いている。(キャプションから)


ーHPの解説ー
17世紀オランダを代表する画家ヨハネス・フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》は、窓から差し込む光の表現、室内で手紙を読む女性像など、フェルメールが自身のスタイルを確立したといわれる初期の傑作です。1979年のX線調査で壁面にキューピッドが描かれた画中画が塗り潰されていることが判明、長年、その絵はフェルメール自身が消したと考えられてきました。しかし、その画中画はフェルメールの死後、何者かにより消されていたという最新の調査結果が、2019年に発表されました。
本展では、大規模な修復プロジェクトによってキューピッドの画中画が現れ、フェルメールが描いた当初の姿となった《窓辺で手紙を読む女》を、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館でのお披露目に次いで公開します。所蔵館以外での公開は、世界初となります。加えて、同館が所蔵するレンブラント、メツー、ファン・ライスダールなどオランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品約70点も展示します。

 

 

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2022.02.15

楽天モバイル(Rakuten Hand)導入顛末記 その後

私の登録メルアドに、突然、代替機返却依頼が送られてきました。

【楽天モバイルより】代替機(ドコモ回線対応スマホ)・SIMカード返却のお願い(2022/01/26)

以下メールの概要です。

このたび、お客様のご利用エリアにおける電波改善対策が完了いたしました。つきましては、以前お送りしておりました代替機およびSIMカードのご返却をお願いいたします。大変お手数をおかけしますが、以下の流れに従って、ご返却をいただけますようお願いいたします。

【ご返却の流れ】が記されたあとに・・・
代替機でご利用中のSIMカードは、2022年2月3週目を目途に停止いたします。こちらのSIMカードでのデータ通信・通話はできなくなりますので、ご了承ください。まだ楽天回線に接続できない方は、my 楽天モバイルアプリより通信品質向上レポートの送信をお願いいたします。

メール通り、2月5日に返送用の段ボールが送られてきました。
(代替機(ドコモ回線対応スマホ)・SIMカードご返却のお願い同梱)


返却準備を進めようと、使っていなかったRakuten Handを充電後に電源スイッチを入れると・・・Android Recoveryと表示されて立ち上がりません。
表示画面項目から、さまざま試行しましたが・・ダメでした。

私はiPhoneの使用経験しかなかったので、ネットで解決方法を検索し、漸く初期化、Wi-Fi接続などの手順を踏んで従来の状態に戻りました。

しかし、”緊急事態のみ”の表示は消えず電波環境は改善されていませんでした。
以前行った解決方法を再試行しましたが無駄でした。

ここまでで既に相当のストレスを感じていました。

返却用段ボール同梱の”代替機返却のお願い”に記された”楽天回線の届きにくい屋内の電波状況の改善”、”電波改善要望レポートの送信方法”などを行ってみたものの途中で挫折。

万策尽きたとの思いで、仕方なく”代替機返却のお願い”に記されている”お問い合わせ先電話番号”に電話しましたが(休日の午前11時頃)例の”録音音声”が終了してオペレーターが出るのを待っていても繋がることはありませんでした。

最後の手段がチャットでした。
チャットでの担当の方は、スムーズな対応で・・・本人確認などの手順を経ての結果が以下の通りでした。

「お待たせいたしました。ご不便をおかけして申し訳ございません。
この度はまだ電波が改善してないとのことですので、今お使いの代替機をそのまま延長してお利用いただければと存じます。ご不便をおかけして大変申し訳ございません」

以上が今回の顛末です。
今回の作業、私のスマホ知識・能力不足故の戸惑いなのかもしれません。

スマホのヘビーユーザーではないので代替機対応には満足しています。


楽天モバイル(Rakuten Hand)導入顛末記


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2022.02.11

生誕110年 香月泰男展

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(クリックで拡大表示になります)

生誕110年 香月泰男展は、練馬区美術館で開催されています。

会期 2022年2月6日(日)~3月27日(日)
前期 ~3月6日(日)
後期 3月8日(火)~3月27日(日)

以下「」内は香月泰男による解説文です。
展示会場で、作品にはグレー地の掲示が添えられています。

『生きることは、私には絵を描くことでしかない。それしか自分に納得できる生き方はない。今日は今日の絵を描き、絵の具を塗る』

展覧会構成は以下の通りです。
第Ⅰ章 1931~49 
逆光のなかのファンタジー

1章では、香月の修行時代と初期を特徴づける叙情的絵画世界(作品)を紹介しています。
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《釣り床》1941年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
香月は坊主頭の少年は「栄えゆくもの」といった意味の言葉を語ったという。枯れた花は「滅びゆくもの」


第Ⅱ章 1950~58 
新たな造形を求めて
 
『石というものは死んだような生きたような、非情なもんですわねえ、それは黒にもあるんです。僕の絵は”石”が基調になっているんですがね、石のハダが描けたら油絵のハダが描ける。あれほどの固さと重さが描けたら、と思っているんですよ』

香月は油彩画による日本的な美意識の表出をめざし、日本画の画材や木炭を絵の具に混ぜるといった技法の研究に取り込みました。やがて方解末を絵の具に混ぜ、マットな画面を作り、薄く溶いた黒い絵の具で描く方法にたどりつきます。
2章では、香月がシベリア・シリーズにいたるまでの試行を追いかけます。

第Ⅲ章 1959~68 
シベリア・シリーズの画家
『シベリアで私は真に絵を描くことを学んだのだ。それまでは、いわばとうぜんのことと前提にしていた絵を描くことができるということが、何者にも得難い特権であることを知った。描いた絵の評価、画家としての名声、そんなことは一切無関係に、私はただ無性に絵が描きたかった』
『記憶につながる制作だから夢の中の色と同じで、あまり多くの色を使えばウソになる。私の思いをジカに人に訴えたい』

3章では、1950年代末から60年代にかけて精力的に描かれたシベリア・シリーズと、同時期に描いた日常身辺をモチーフとした作品を紹介しています

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《復員(タラップ)》1967年 油彩・方解末・木炭・カンヴァス 山口県立美術館蔵
「一九四七年五月二十一日、早朝から甲板に出ていた。眼帯をかけた目に故国の新緑が水平線の上にかすんでみえた。暗い四年間の抑留生活に決別の思いをこめてよごれきった不用のもの(日本では)を海に投げ捨て、引上船「恵由丸」のタラップを降りた」

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《駄々子》1968年 油彩・方解末・木炭・カンヴァス 香月泰男美術館蔵


第Ⅳ章 1969~74 
新たな展開の予感
4章では、遺作となった《渚〈ナホトカ〉》など、画面に明るい色彩を乗せ、さらなる展開を感じさせる香月の晩年の作品を紹介しています。
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《公園雪》1971年 油彩・方解末・木炭・カンヴァス 島川美術館蔵

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《青の太陽》1969年 油彩・方解末・木炭・カンヴァス 山口県立美術館蔵
「匍匐訓練をさせられる演習の折、地球に穴をうがったという感じの蟻の巣穴を見ていた。自分の穴に出入りする蟻を羨み、蟻になって穴の底から青空だけを見ていたい。そんな思いで描いたものである。深い穴から見ると、真昼の青空にも星がみえるそうだ」

1974年3月に、生まれ育った家で画家は突然この世を去ります。突然の旅の終わりを迎えた画家のアトリエには《渚〈ナホトカ〉》がイーゼルに掛けられたままでした。
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渚(ナホトカ)
「一九四七年五月初旬、私たちはナホトカの渚に下車、漸くたどり着いたといえよう。ああ、この塩辛い水のつながる向こう岸に日本があるのかと舌でたしかめたものだ。私たちは一晩砂浜で寝た。その時の情景を描いた積りだが、何だか日本の土を踏むことなくシベリアの土になった人達の顔、顔を描いているような気がしてならぬ、二〇数年たった今の単純な私の感傷であろうか」



ーHPの解説ー
太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いたシベリア・シリーズにより、戦後美術史に大きな足跡を残した香月泰男(1911-74)の画業の全容をたどる回顧展を開催いたします。

山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月泰男は、1931年に東京美術学校に入学し、自身のスタイルの模索をはじめました。1942年に応召し、復員した1947年以降は、故郷にとどまって身の回りのありふれたものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返しました。1950年代後半に黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、極限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立していきました。
シベリア・シリーズは応召から復員までの主題を時系列にならべて紹介するのが一般的であり、そこではシベリア・シリーズのもつ戦争と抑留の記念碑としての側面が強調されてきたといえるでしょう。しかし、実際の制作の順序は、主題の時系列とはおおきく異なっています。
本展では、シベリア・シリーズを他の作品とあわせて制作順に展示します。この構成は、一人の画家が戦争のもたらした過酷な体験と向き合い、考え、描き続けた道のりを浮かびあがらせるでしょう。戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつある今、自身の「一生のど真中」に戦争があり、その体験を個の視点から二十年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」香月泰男の創作の軌跡にあらためて迫ります。

 

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2022.02.07

未来へつなぐ陶芸 ―伝統工芸のチカラ 展

未来へつなぐ陶芸 ―伝統工芸のチカラ 展は、パナソニック汐留美術館で開催されています。

会期 2022年1月15日(土)~ 3月21日(月・祝)

日本工芸会陶芸部会50周年を記念した展覧会。

陶芸部会所属作家を中心に、さらにそれ以外の陶芸家の作品を含め、概ね137作家139点の展示で、現代陶芸の”今”に焦点を当てます。

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(クリックで拡大表示になります)
上:松井康成《練上嘯裂文大壺 》1979年 茨城県陶芸美術館蔵
下:和田的《白器 ダイ/台》2017年 茨城県立陶芸美術館蔵


展覧会の構成は以下の通りです。
(会場内解説パネルを参考にしています)

第Ⅰ章 伝統工芸の確立
日本工芸会初期に活躍した作家たちの作品とその活動を紹介。
1章では、その初期の活動を支え、その存在を広く知らしめていった重要無形文化財保持者いわゆる人間国宝をはじめ、それに追従する19名の陶芸家の優品で伝統を創作活動の理念として活動を展開した伝統工芸(陶芸)の神髄を紹介する。
出品作家/金重陶陽、加守田章二、藤本能道、松井康成、三輪休和ほか

特集展示 column1
伝統工芸と創作工芸
日本工芸会と勢力を二分する日展の代表作家の作品を展覧。
コラム1では、日展に工芸部門が設けられた1927年から出品し、日本工芸会の草創期に日展の創作工芸(陶芸)をけん引した3人の代表作を紹介する。
出品作家/板谷波山、六代清水六兵衞、楠部彌弌

特集展示 column2
人間国宝(重要無形文化財保持者)の存在
1955年、初の重要無形文化財保持者となった陶芸作家4名を紹介。
コラム2では、1955年2月15日に陶芸分野で初の重要無形文化財の保持者に認定された4名の代表作を紹介する。
出品作家/荒川豊蔵、石黒宗麿、富本憲吉、濱田庄司
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荒川豊蔵《《志野茶垸》 1957年 東京国立近代美術館蔵

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富本憲吉《色絵金銀彩四弁花染付風景文字模様壺》 1957年 東京国立近代美術館蔵

第Ⅱ章 伝統工芸のわざと美
伝統陶芸の多彩な技と美の広がりを紹介。
2章では、伝統という名の下にありながら、実は多彩な展開を見せてきた、伝統陶芸の技と美の広がりを33名の受賞作や入選作を含む代表的な作品で紹介する。
出品作家/井上萬二、十三代今泉今右衛門、中島宏、吉田美統ほか
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十四代今泉今右衛門《色絵雪花薄墨墨はじき萩文鉢》 2019年 個人蔵

特集展示 column3
産地と表現
日本各地の窯業地出身の作家らによる意欲的な作品を展覧。
コラム3では、古くからの素材や技の伝承を大切にしながらも時代を捉えた作品を生み出すことで伝統工芸の歴史に新たな一ページを切り開く6名の独自性ある作品を紹介する。
出品作家/伊勢﨑淳、市野雅彦、五代伊藤赤水、三代德田八十吉、福島善三、三輪壽雪
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三代德田八十吉《耀彩鉢 創生》 1991年 東京国立近代美術館蔵

特集展示 column4
茶の湯のうつわ
日本の伝統文化を映す茶の湯のうつわを紹介。
コラム4では、展覧会という限られた場の中においても個性を強く感じさせる5名の茶碗、水差し、茶入れを紹介する。
出品作家/加藤孝造、鈴木藏、德澤守俊、波多野善蔵、樂直入


第Ⅲ章 未来へつなぐ伝統工芸
伝統的な技術・技法を駆使した現代作家の作品を紹介。
3章では、伝統的な技術、技法を駆使しつつ現代という時代を意識して作品を作り上げている57名のまさに”今”を感じさせる作品を紹介する。
これらから伝統工芸(陶芸)の未来の姿を感じることができる。
出品作家/井戸川豊、十四代今泉今右衛門、鈴木徹、前田昭博ほか
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鈴木徹《緑釉花器》2019年 個人蔵

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前田昭博《白瓷壺》 2012年 東京国立近代美術館蔵

特集展示 column5
素材と表現
新たな素材と独自の技法を展開する作家の作品を展覧。
コラム5では、新たな素材と陶芸における独自の技法により生み出された3名の代表作を紹介する。
出品作家/石橋裕史、隠﨑隆一、神農巌
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隠﨑隆一《備前広口花器》 2012年 個人蔵

特集展示 column6
新たな技法とうつわのかたち
未来の陶芸の可能性を予感させる新進気鋭の若手作家らの作品を紹介。
コラム6では、フォルムや文様による表現で未来の伝統工芸の可能性を予感させる7名の作品を紹介する。
出品作家/伊勢﨑晃一朗、渋谷英一、中田博士、新里明士、見附正康、和田的

 


 パナソニック汐留美術館「未来へつなぐ陶芸 - 伝統工芸のチカラ 展」
アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum

 

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2022.02.03

奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム

「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」は、東京都庭園美術館で開催されています。

会期 2022年1月15日(土)~4月10日(日)

シュルレアリスムを念頭にモードも中心に、さまざまな美術作品を交えて作品を展示、さらに最終章では<ハイブリッド>をキーワードに、モードの中に垣間見られる<奇想>表現を考察しています。
新館の展示室のみ撮影可能でした。(条件あり)
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

展示風景です。
ユアサエボシ作品展示風景
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舘鼻則孝作品展示風景(解説にはいつもレディ・ガガがステージでと・・)
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永澤洋一作品展示風景
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串野真也作品展示風景
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展覧会の構成は以下の通りです。
プロローグとして、諸橋近代美術館所蔵のダリのブロンズ
《描き出しのあるミロのヴィーナス》《炎の女》が展示されていて、期待感を持たせてくれます。
Chapter1 有機物への偏愛
Chapter2 歴史に見る奇想のモード
Chapter3 髪へと向かう、狂気の愛
Chapter4 エルザ・スキャパレッリ
Chapter5 鳥と帽子
Chapter6 シュルレアリスムとモード
6-1 分断化された身体
6-2 裁縫とシュルレアリスム
6-3 物言わぬマネキンたち
Chapter7 裏と表 ー発想は覆す
Chapter8 和の奇想
Chapter9 ハイブリットとモード

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チラシの表面
写真上:ヤン・ファーブル《Hals Pantser》1996-2002年
写真下:《コルセット》1880年頃 イギリス、神戸ファッション美術館蔵

チラシの裏面
1. ヘルベルト・ロイビン (Pantene (black background)> 1945年、 竹尾ポスターコレクション
2.エルザ・スキャパレッリ 《イヴニン グ・ケープ〉 1938年、京都服飾文化研究財団蔵、 広川泰士撮影
3.メレット・オッペンハイム〈手袋〉(『パルケット No.4 デラックス版」 [1985年] より) うらわ美術館蔵
4. 舘鼻則孝 <Heel-less Shoes (Lady Pointe) > 2014年、 個人蔵
5. ハリー・ゴードン《ポスター・ドレス》 1968年頃、 京都服飾文化研究財団蔵、畠山撮影
6. マルタン・マルジェラ 〈ネックレス〉2006年、京都服飾文化研究 財団蔵
7.串野真也 <LUNG-TSHUP-TA> 2009年、作家蔵


東京都庭園美術館「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」
アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum


ーHPの解説からー
20世紀最大の芸術運動であったシュルレアリスムは芸術の枠を超えて、人々の意識の深層にまで影響力を及ぼしました。革新的な意匠を生み出し、時代を先駆けようとする優れたクリエーターたちの表現は、時にシュルレアリスムの理念と重なり合うものであり、モードの世界にもシュルレアリスムに通底するような斬新なアイデアを垣間見ることができます。

一方、シュルレアリストたちと親交のあったエルザ・スキャパレッリは、シュルレアリスムの潮流のなかで示された特異な感覚を、モードの世界に積極的に取り込んでゆきました。またシュルレアリストたちは、帽子や靴、手袋といったファッションアイテムを霊感の源として、絵画や写真、オブジェといった作品のなかに生かしました。衣裳へのトロンプ・ルイユ(だまし絵)的なイラストの導入や、内側と外側の意識を反転させたようなデザイン等、シュルレアリスムを契機として出現したユニークな発想力は、まさに「奇想のモード」として今日にまで影響を与え続けています。

本展ではさらに、シュルレアリスムの感性に通ずるような作品群にも注目し、現代の私たちからみた<奇想>をテーマに、16世紀の歴史的なファッションプレートからコンテンポラリーアートに至るまでを、幅広く展覧します。シュルレアリスムがモードに与えた影響をひとつの視座としながら、その自由な創造力と発想によって、モードの世界にセンセーションをもたらした美の表現に迫ろうとするものです。

 

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