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2021.12.30

観てきた展覧会ベストテン 2021年

新コロナ禍の中、多くの展覧会が予約制をとっていて、気ままにふっらりと訪れることが叶わないのは残念でしたが、
お陰で?大変混み合うという展覧会もなく、時間をかけて鑑賞できたのはよかったと思います。

今年も順番はつけられませんでしたが、10の展覧会を思うままに選んでみました。


・長年マルチな活躍を第一線で続ける(活躍し続けた)美術家の作品の質と量に圧倒された展覧会。
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和田誠展
東京オペラシティ アートギャラリー 
会期 2021年10月9日(土)~ 12月19日(日)

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GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?
東京都現代美術館
会期 2021年7月17日(土)- 10月17日(日)


ゴッホ作品の初期収集家ヘレーネが収集した作品から、ゴッホの生涯を概観。
オランダ時代の素描に注目しました。
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ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
東京都美術館 
会期 2021年9月18日(土)~12月12日(日)


・日本仏教の根本をあらためて勉強させてくれた企画展
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伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて
東京国立博物館
会期 2021年10月12日(火) ~ 11月21日(日)

・小規模美術館ならではの展示空間創りが秀逸でした。
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陰翳礼賛「陰翳礼讃 影に浮かぶ仏の美 闇に輝く絵画の光」
上原美術館
会期 2021年4月29日(木・祝)~9月26日(日)


・国立科学博物館の一連の企画展(どれも大変興味を持ってみてきました)
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企画展「加速器 -とてつもなく大きな実験施設で宇宙と物質と生命の謎に挑んでみた-」
国立科学博物館の日本館1階企画展示室および地球館地下3階常設展示室内
会期  2021(令和3)年7月13日(火)~ 10月3日(日)


・今年の展覧会の傾向のひとつ・・・
高齢まで活躍し続ける女性美術家、それぞれの置かれた立場から発信し続けた美術家、高齢からスタートした美術家などの展覧会が目立ちました。
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アナザーエナジー展:
挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人
森美術館
会期 2021年4月22日(木)~2022年 1月16日(日)

・巴水の良さを再確認させてくれた展覧会(情緒豊かな旅の版画に魅了されました)
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浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―
町田市立国際版画美術館
会期 2021年7月10日(土)〜9月12日(日)

・江戸絵画を中心に中世から近代にいたる作品を網羅して、日本絵画の変遷をたどる展覧会
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サントリー美術館 開館60周年記念展 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品
サントリー美術館
会期 2021年4月14日(水)~6月27日(日)

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マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在
東京都現代美術館
会期 2021年3月20日(土・祝)~ 6月20日(火) 22日(火) 

 

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2021.12.28

散歩の途中で野鳥を撮ってみました。 2021年12月

寒い季節、少々脚の調子が良くなかったこともあって散歩時間が短くなりました。
その中で、これだけの野鳥観察ができたのは幸運でした。
決まった散歩コースなので、見かける野鳥の種類は増えませんが、その生態を観察するのは楽しいです。

(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

オシドリ
オシドリ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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カワセミ
カワセミ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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シジュウカラ
シジュウカラ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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モズ
モズ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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スズメ
スズメ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 
都心では、巣作り可能な建物が減りスズメの数も減っているようですが・・・・
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コサギ
コサギ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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ハクセキレイ
ハクセキレイ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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セグロセキレイ
セグロセキレイ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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キセキレイ
キセキレイ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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カルガモ
カルガモ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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ホシハジロ
ホシハジロ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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カイツブリ
カイツブリ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
12月この時期に子育てするカイツブリを見かけるのは初めてでした。
巣の中で、お母さんと子供2羽が待つなか、お父さんが帰ってきました。
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回遊しながらの食餌・・・少々魚が大きかったようです。
雛鳥は何度かトライしますが、結局飲み込むことができず、親鳥が食べました。 
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2021.12.25

松江泰治 マキエタCC

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(クリックで拡大表示になります)

「松江泰治 マキエタCC」は、東京都写真美術館で開催されています。

会期 2021年11月9日(火)~2022年1月23日(日)

マキエタ(makieta)は、ポーランド語で模型を意味するそうです。
〈CC〉は「シティー・コード」(City Code)の略で、各作品のタイトルには撮影地の都市コードが付されています。(マキエタ・シリーズ作品にも付されています。 

模型を写した作品と現実を写した作品が混じって展示されているので、作品を前にして「この作品はどっち?」と見極めてみるのも楽しいです。見極めるヒントのひとつは人物かなぁ~?映っていればの話ですが・・・

地平線を入れず、影を作らない、そして全ての事物にガチピン、パンフォーカスの松江作品は一度見たら印象に残り続けるはずです。

わたしも過去に作品を何度か見ていて、この大規模個展を楽しみにしていました。

本展は撮影可でした。(条件あり)
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)
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HAM 18249 2012  発色現像方式印画 作家蔵  DENMARK 17939  2021  発色現像方式印画  東京都写真美術館蔵

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MAD 1892149  シングルチャンネル・ヴィデオ、カラー、サイレント 作家蔵

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PRG 164177    2021 発色現像方式印画  作家蔵

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Guatemala 1904 2021 Guatemara 1905  2021 発色現像方式印画 作家蔵 

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PEN 21320   2011   発色現像方式印画  アマナコレクション 

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FLR 192649     2021 発色現像方式印画  作家蔵
手前の人物はフィギュア?

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TYO 90942    2021 発色現像方式印画  作家蔵

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SAY 192383   2021    発色現像方式印画  作家蔵

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WAW62222    2021   発色現像方式印画  作家蔵


展示風景
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TOPMUSEUM 東京都写真美術館

ーHPの解説ー
松江泰治(1963年、東京都生まれ)は世界各地の地表を独自の視点で写してきました。作家が撮影時に設けた、画面に地平線や空を含めない、被写体に影が生じない順光で撮影するといったルールは、写真の本質を問い直すような平面性を生み出しています。本展では、作家がこれまでに制作してきた作品の中から、〈CC〉と〈makieta〉という二つのシリーズを、初公開となる新作も交えて紹介します。 2001年から制作されている〈CC〉は、「シティー・コード」(City Code)を略したシリーズ名の通り、 各作品のタイトルには撮影地の都市コードが付されています。ギリシャのアテネから撮影が始まったこのシリーズでは、作家が訪れた世界各地の都市の諸相が克明に写し出されています。画面全体にピントを合わせることで、奥行きが取り除かれ、画面上にあらゆるものが等しく存在しています。
一方、2007年から制作されている〈makieta〉の作品にも、都市コードや地名が付されています。 「makieta」(マキエタ)とはポーランド語で模型を意味し、実際の都市や自然を撮影した他の作品と同じルールで、世界各地の都市や地形の模型が写されています。エクアドル・キトの博物館に展 示されていた模型を起点に、レンズを通して模型から立ち現れる風景には、現実と見紛うほどの精巧さがあり、その曖昧な境界は写真の本質を浮き彫りにします。

ミッドキャリアでの個展となる本展では、最新作を含む二つのシリーズを通して作家の現在地を示 すとともに、その表現の可能性を探ります。

 

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2021.12.22

360 Reality Audio 音源をヘッドホン、イヤホンで聞いてみました。 2012年12月 

360 Reality Audio 音源を聴くようになった切っ掛けは、ワイヤレススピーカーSRS-RA5000の衝動買いです。
購入前にSONYのサイトでサンプル動画をみてイヤホンで聴いてはいました。 
 
10月20日(だったと記憶)「amazon muisc unlimited」がサービス内容を変更しハイレゾと360 Reality Audio、ドルビーアトモスも全部楽しめるようにバージョンアップしました。ヘッドホン対応です。

スマホ画面で360 Reality Audioとステレオ音源をタップまたはスワイプで切り替えられて、その違いがよくわかります。
音が廻る感覚はまさに立体音響空間ですし、楽器の輪郭も明瞭に感じられます。
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(画像クリックで拡大表示になります)

家では、ワイヤレススピーカーまたはヘッドホンで聴いていますが、
電車で移動中にも、Bluetoothイヤホンで360 Reality Aodioを聴いてみようと・・・・

iPhoneとアンドロイドスマホを持ち歩いていますが、アンドロイドスマホで聴くことががほとんど。

車内(4G環境)で360 Reality Audioの楽曲を聴いてみると、音切れが激しくて聞くに堪えません、ステレオに切り替えると音切れはありません。

家の中で(Wi-Fi環境で)同なじ組み合わせで聴くと問題はありません(音が途切れることはありません)

360 Reality Aodioは、そもそもWi-Fi、5G環境での使用を想定しているのでしょうか?

楽曲をダウンロードしてオフラインで聴く手はあるでしょうが、ファイル容量が気になります。
結局、電車の中では、ステレオモードで聴くことになりそうです。


いろいろ調べ、試してみるのも楽しいとは思いますが・・・
私は、アナログオーディオ世代なので、フルデジタル、ストリーミングが主流の環境下、今どきのオーディオ技術理解に苦戦してます。

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2021.12.18

企画展「発見!日本の生物多様性 ~標本から読み解く、未来への光~」

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(クリックで拡大表示になります)

企画展「発見!日本の生物多様性 ~標本から読み解く、未来への光~」は、国立科学博物館日本館一階企画展示室及び中央ホールで開催されています。

会期 2021(令和3)年 12月14日(火)~2022(令和4)年 2月27日(日)

ーHPからー
日本列島は、豊富な固有種をはじめとする特徴的な生物相が見られる地域です。
一方で、現在では多くの種が絶滅の一歩手前の危機的状況にあり、中には既に絶滅してしまった種も存在します。
標本などのコレクションが、日本の生物多様性の変遷と現状の把握、さらには実際の種の保全に対してどのように貢献しているのか、貴重な標本や関連資料の展示の中から「発見」していただくことを目指した企画展です。

中央ホールの展示風景を動画にしてみました。
本展は写真、動画も撮影できます(撮影条件あり)


以下、展示構成及び主な展示内容です。
本展の解説冊子(18ページ)を参考にしています。
この冊子は、復習資料になりますので是非いただいてきてください。
(画像はクリックで拡大表示になります)
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第一章 激変する日本の生物多様性
①幻となった生き物たち
ニホンオオカミ(EX)
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ニホンカワウソ(EX)
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トキ(CR)
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チョウザメ(EX)
地球上から絶滅した種子植物
②再発見や復活に望みをつなぐ
シマクモキリンソウ(CR)79年ぶりの再発見と開花、繁殖の成功
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ホソバノキミズ(EX)の再発見
再発見されたクニマス(EW)
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カドタメクラチビゴムシ(EX)の再発見
③アントロポシーンにおける生物多様性の急変動を読み解く
急速に減少した都市部の生物多様性
コウノトリ(CR)
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《鳥類魚之図》コウノトリ 作者:津島重豪 江戸時代後期
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サクラソウ(NT)
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消えた東京湾のアオギスとアオギス釣り文化
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帰化植物が引き起こした絶滅危惧チョウの増加
ツマグロキチョウ(EN)
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第二章 標本で解明!日本の生物多様性の今
①日本の生物コレクション白書
~科博の標本、日本の博物館の標本~
ガムシ(NT) ミズスマシ(VU) ゲンゴロウ(VU) タガメ(VU) コオイムシ(NT)
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日本の絶滅寸前種標本の収蔵状況の把握
国立科学博物館の現生生物コレクション
何をどのくらい持っている?
データは公開されている?
いつ頃採られた?
②自然史標本をめぐる新展開
植物のDNA非破壊抽出法の開発
昆虫標本からDNAを得る方法
普通種だった’絶滅’菌:ハハシマアコウショウロ
再発見された’絶滅’菌:カバイロチャダイゴケ
標本で見る分布域の縮小
第三章 国立科学博物館の挑戦
~日本の生物多様性の保全のために~
①過去の情報を引き出し、未来に活かす
ライチョウ(EN)中央アルプスへの再導入個体群の選定
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植物標本に残されたランミモグリバエの発見とDNA解析
ツクバハコネサンショウウオ(CR)新種発見と保全施策への貢献
②リビングコレクションの保全への活用
花と送粉者の関係に着目しカンアオイ類の進化史を解明
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絶滅植物の最初の野鳥復帰例:コシガヤホシクサ(EW)
野生絶滅種・絶滅寸前種のシダの増殖
③豊かな自然環境をいつまでも
SDGsと国立博物館の取り組み
標本情報電子化の世界的潮流

 

多岐にわたる豊富な内容で会場内だけではで咀嚼しきませんでした。科博の企画展では解説冊子を用意していることが多く復習に役立ちます。丁寧な姿勢に毎回感心しています。

 

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2021.12.15

福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧

福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧は、千葉市美術館で開催されています。

会期 2021年10月2日(土)~ 12月19日(日)

本展では、千葉市美術館のコレクションから、福田美蘭自らが選定した江戸から明治時代の美術をきっかけに、新たに創作された作品を中心に展示します。福田は、もとになった日本美術をどのように写し、読み解き、このように思いもよらぬ絵画を生み出していくのでしょうか。(HPから)

福田美蘭のパロディー?を思わせる作品などを楽しむ企画展と言えそうです。

作品にはご本人執筆の解説が添えられています。

月岡芳年は浮世絵の衰退期と言われる激動の時代に浮世絵師であることと、風俗画家として新しい世相を描くことの狭間で、報道性、時事性を備えた新時代の要望に応える作品の可能性を追求した。「風俗三十二相」は女性の心情や願望を描き出した芳年の晩年を代表する美人画で、そのうちの 「けむそう」 は、奥方が広がる煙に悩まされる様子を描く。芳年の持つ、師匠の国芳に通じる反骨的気性を反映させて、ここではその煙は五輪のかたちとなり、オリンピックの東京招致が決まってか ら、五輪マークに象徴される威圧感、また複数の人が心の中で「なんかいやだな」と思うけれど、なかなか言い出しづらい 「オリンピックがけむたい」という2020年の心情を表している。( 福田美蘭)
↓ 煙が五輪マークに・・・↓

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(このチラシ画像はクリックで拡大表示になります)

一部の展示作品が撮影可能です。
(以下の画像もクリックで拡大表示になります) 
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福田美蘭《見返り美人 鏡面群像図》 パネルにアクリル絵の具 2016年平塚市美術館蔵 
菱川師宣が描いた江戸の理想の美人像である「見返り美人図」
師宣の理想の世界を、絵画の中で鏡に写すことで、そのリ アリティを実体のある姿として見てみたいと思い、ここでは無背景を角度と向きの違う6枚の鏡面に見立てて、そこに映り込む姿を描いている。(解説パネルから一部引用)

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菱川師宣《酒呑童子 褒章》 大判墨摺筆彩 延宝(1673-81)末期 千葉市美術館蔵

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福田美蘭《大江山の酒呑童子退治》 パネルにアクリル絵の具 2019年
酒呑童子は少なくとも19図の組ものであることが分かっている。
そこで、この一枚のみの千葉市美収蔵品を理解したいと思い、全図 が所蔵されている、ハンブルク美術工芸博物館の画像データのうち、最終図に至る、大江山へ鬼退治に向かう10枚の摺物を1 枚の画面に構成した。
当時、相当に普及した人気の物語であり、全図には物語を語る詞書は書かれていないのだが、ここでは 10の場面を誘導するかたちで、画中に物語のあら筋を書いた。(解説パネルから一部引用)

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鳥居清信 《二代目市川団十郎の虎退治》大々判丹絵 正徳3年(1713)頃 千葉市美術館蔵

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福田美蘭《二代目市川団十郎の虎退治》 パネルにアクリル絵の具 2020年
虎が新型コロナウィルスに見立てられて・・・ 

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鈴木春信《坐舗八景 台子夜雨》 中判摺物 明和3年(1766)頃 明和3-4年(1766-67)頃 千葉市美術館蔵

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福田美蘭《坐舗八景 台子夜雨》 複製版画に彩色4枚組 20210年
子供の持つ飾の部分を赤に着色し、うとうとする母の髪に悪戯の飾りを差そうとする幼い男の子を、姉が見守る微笑ましい光景の中に、新型コロナの流行が収まる願いを込める(解説パネルから一部引用)

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鈴木春信《三十六歌仙 紀友則》 中判錦絵 明和4年(1767)頃 千葉市美術館蔵

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福田美蘭《三十六歌仙 紀友則》 和紙にインクジェットプリント、エンボス加工 2021年
春信の雪の表現が醸し出す江戸の穏やかな日常の信頼、安心、美しい自然といったコロナ禍の現実が失いつつあるあるものを伝えてくるので、ここでは女性が千鳥を見ながら、供の少女と言葉を交わすときの飛沫をきめ出しのようにエンボス加工で表している。(解説パネルから一部引用)
「供の少女と言葉を交わすときの飛沫」の発想は、スパコンの飛沫検証趣味レーションの映像を見たことががきっかけだそうです。


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美南見十二候 九月 大判錦絵 天明4年(1784)頃 千葉市美術館蔵

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福田美蘭《美南見十二候》 九月 パネルにアクリル絵の具 2021年
「人工の光と自然の光の対比は西洋の影響である」という研究者の指摘(注)に触れるまで、私は画面左端に描かれた行灯に気付かなかっ た。 (注)小林忠  学習院大学最終講義 2012年1月
そして、福田美蘭は、
「燈火と月の光は異なる影を生み、西洋絵画の持つ合理的な明暗法とは違う、その闇の中に、今日の生活が失った豊かな日本人の心情がある様に思う」と・・(解説パネルから一部引用)


以上は展示作品のほんの一部です。さらに楽しい作品が続きます。
解説も結構な分量ですので十分な時間をとってのお出かけがお勧めです。

展示風景(この範囲までの展示作品が撮影可能です)
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ーHPの解説ー
福田美蘭(1963-)は、東京藝術大学を卒業後、最年少での安井賞や国際展での受賞等、国内外での活躍を通して独自の作風を切り拓き、絵画の新たな可能性に挑戦し続けています。人びとの固定観念を覆し、新たなものの見方や考え方を提案する福田の芸術は、単なる絵画という枠にとどまらず、豊かな発想力によって独自の展開を遂げてきました。
 これまでも日本美術をもとにイメージを広げた作品を多く発表してきた福田ですが、本展では、千葉市美術館のコレクションから、自らが選定した江戸から明治時代の美術をきっかけに、新たに創作された作品を中心に展示します。福田は、もとになった日本美術をどのように写し、読み解き、このように思いもよらぬ絵画を生み出していくのでしょうか。周密な観察力や入念なリサーチに基づく精緻な表現と自由な発想とが共存する福田の新たな作品は、私たちの日本美術への眼差しを更新するとともに、作品を鑑賞するとは何かということを改めて考えさせてくれるでしょう。この作家の新作とともに、発想元となった千葉市美術館のコレクションも同時に展観いたします。
 本展は、2001年の世田谷美術館、2013年の東京都美術館以来の大規模な個展となります。福田の飽くなき探究心をもって制作された作品を通して、コレクションの意義を見直すとともに、美術館という場における私たちの体験そのものを問い直す契機になればと願っています。

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2021.12.12

生誕120年記念篁牛人展 ~昭和水墨画壇の鬼才~

生誕120年記念篁牛人展 ~昭和水墨画壇の鬼才~は、大倉集古館 で開催されています。

会期 2021年11月2日(火)~2022年1月10日(月・祝)

孤独と酒を最良の友とし、自由奔放な生き様を貫いたた異色の水墨画家・篁牛人(1901~1984)
強烈な個性を持つ篁牛人の作品を理解するヒントを本展の解説などから探してみました。

「この渇筆という特異な技法は、藤田嗣治の乳白色の肌色と、小杉放菴の枯淡な水墨画に刺激されて篁牛人が開発したものだ。そして牛人はピカソを敬愛していたという 」

それぞれの画家から刺激を受け、篁牛人の個性みなぎる独自の描法に昇華した、その過程も本展で見ることができます。

新日曜美術館などで取り上げられた本展、篁牛人の画業(人気)が全国区に拡がるきっかけになるかもしれません。

展覧会の構成は次の通りです。
これが牛人だ!
Ⅰ.工芸図案化から渇筆画の創出へ
Ⅱ.放浪時代の試行錯誤
Ⅲ.パトロンの出現から旺盛な制作へ
素描・塑像・その他


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(このチラシ画像はクリックで拡大表示になります)

《仙人と金時》1967年 紙本墨画 富山市篁牛人記念美術館蔵
河北倫明は、牛人の絵の渇筆による濃淡とするどい線描の効果には、「手を鍛えた工芸性と、心を鍛えた精神性の不思議な結合」が実現されていると述べた。(キャプションから)

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《西王母と小鳥》1969年 紙本墨画 富山県水墨美術館蔵
ふくよかな肢体をひねる腰の上で翼を休める小鳥に向けた西王母の視線へと構図が見事に収斂している。
この西王母の身体の膨張感はすさまじい。

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《風神雷神》左隻 1969年頃 紙本墨画(6曲1双)富山市立篁牛人美術館蔵

童画のようなおおらかさと明るさは牛人の画業に通底するものがあるようです。


ーHPの解説ー
孤独と酒を最良の友とした異色の水墨画家・篁牛人(1901~1984)。特定の師につくことも美術団体に属すこともなく、芸術に至上の価値を置く自由奔放な生きざまを貫いた孤高の画家であった牛人は、「渇筆」という技法(渇いた筆などで麻紙に刷り込むように墨を定着させる)によって、独自の水墨画の世界を開拓しました。大胆さと繊細さを併せ持つ渇筆は、細くたおやかな筆線と共存し、中間色層が極端に少ない白と黒の画面の中で、デフォルメされた特異な形態表現が不思議な緊張感をみなぎらせます。

本展では、牛人の画業を三章に分けて構成し、水墨画の大作を中心として、初期の図案制作に関連する作品なども含め、水墨画の鬼才・篁牛人の世界をあまさず紹介します。

 

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2021.12.08

サントリー美術館 開館60周年記念展 千四百年御聖忌記念特別展 「聖徳太子 日出づる処の天子」

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サントリー美術館 開館60周年記念展
千四百年御聖忌記念特別展
「聖徳太子 日出づる処の天子」は、
サントリー美術館で開催されています。

会期 2021年11月17日(水)~2022年1月10日(月・祝)

東博で開催された特別展「聖徳太子と法隆寺」は、法隆寺において護り伝えられてきた寺宝を中心に、太子の肖像や遺品と伝わる宝物、また飛鳥時代以来の貴重な文化財を通じて、太子その人と太子信仰の世界に迫るという趣旨の展覧会でした。

サントリー美術館の本展覧会では、太子信仰の中核を担ってきた四天王寺の寺宝を中心に、信仰の高まりとともに各地で造られたさまざまな太子像やゆかりの品々をご紹介、展示しています。

この展覧会では多くの聖徳太子絵伝が展示されています。
先ずは、予習を兼ねて絵伝を鑑賞してから、全体を観るというのがいいかもしれません。
(点眼鏡を借りての鑑賞もお勧めです)
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重要文化財《聖徳太子絵伝》第2幅、遠江法橋筆 鎌倉時代 元享3年(1323) 大阪四天王寺(画像提供=奈良国立博物館) 


【「聖徳太子絵伝」で読み解く太子の生涯】 サントリー美術館 開館60周年記念展 「千四百年御聖忌記念特別展 聖徳太子 日出づる処の天子」
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展示構成は以下の通りです。

第1章:聖徳太子の生涯 ― 太子の面影を追って
《聖徳太子絵伝》とあわせて、太子が所持したと伝わる飛鳥時代の品々や、その事績を物語る作品を展示しています。

第2章:聖徳太子信仰の広がり ― 宗派を超えて崇敬される太子
聖徳太子は日本に仏教を広めた人物として、没後まもなく信仰の対象となります。最澄や親鸞、一遍といった各宗派の祖師からも崇敬されます。なかでも親鸞は、太子を「和国の教主」と呼び熱烈に信仰したことが知られています。
この章では、多種多様な太子像の全貌と、諸宗派における太子信仰の広がりを示す作品を紹介しています。

第3章:大阪・四天王寺の1400年 ― 太子が建立した大寺のあゆみ
大阪・四天王寺は、推古天皇元年(593)に聖徳太子が建立した日本最古の官寺です。
四天王寺の1400年におよぶ長い歴史を、その名宝とともに紹介しています。

第4章:近代以降の聖徳太子のイメージ…そして未来へ ― つながる祈り
日本仏教の祖として崇められてきた聖徳太子の明治時代以降のイメージをたどるとともに、歴史を重ねてきた、四天王寺聖霊会(しょうりょうえ)の舞楽所要具などを紹介しています。([注]大阪・四天王寺では「遠忌」を「聖忌」と称します。)

令和3年(2021)、四天王寺では100年に一度の御聖忌に向け、新たに「聖徳太子童形半跏像」を造立しました。
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《聖徳太子童形半跏像》 松下宗琳佛所作 令和3年(2021) 大阪・四天王寺

 



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(このチラシ画像はクリックで拡大表示になります)
以下、展示品の「キャプション」からです。
《聖徳太子童形像・六臣像》桃山時代 16世紀 大阪・四天王寺
帳の下、台座の上に正面を向いて立つ垂髪の聖徳太子と、太子を礼拝する6人の待臣を描く。左手の柄香炉は「孝養像」右手の笏は成人後の「摂政像」の意味が含まれる。一見、頬の丸い童形像ながら、眉はつり上がり、厳しい大人びた表情が特徴である。

重要文化財《聖徳太子童形立像 (孝養像)》鎌倉時代 14世紀 茨城・善重寺 
柄香炉を持つ「孝養像」に加え、笏によって「摂政像」としての意味も重ねられてた太子像。眉目秀麗な顔立ちや、制作当初から残る華麗な盛り上げ彩色は見どころである。善乗寺は親鸞門弟ゆかりの寺院の一つで、本像は江戸時代に二代水戸藩主徳川光圀によって寄進されて以来同寺に伝わる。

《聖徳太子童形立像(植髪太子)》鎌倉時代 13~14世紀、および重要文化財《髹漆厨子》室町時代 永享8年(1436) 兵庫・鶴林寺
「植髪太子」として信仰をあつめる鶴林寺の秘仏で県外初出品となる。下着と袴を着けるのみの裸形着装像。植髪太子の名の通り、人間の頭髪が植え込まれ、その長い髪は当初結っていたと想定される。厨子は室町時代にさかのぼる優品で、本像を現在まで守り伝えてきた。

国宝《七星剣》飛鳥時代 7世紀、大阪市天王寺(画像提供=東京国立博物館 Image:TNM Image Archive) 
太子所用の伝承を持つ国内屈指の古刀で表面には雲気を吐く獣・雲・北斗七星などが金で表されている。これらの文様は古代中国の天体思想に由来し、衆生救済や国家安穏の意図が込められているとう。「太子伝来七種の宝物」の一つに数えられる。

《日出処の天使》完全版第3巻P.84 ©山岸涼子/KADOKAWA
雑誌「Lala」1980年4月号~1984年6月号に連載された「日の出処の天使」の原画。
主人公の厩戸(聖徳太子)は、神々しいほどの美しい容姿を持ち、超人的な力を持つ一方、蘇我毛人(そがのえみし)の母であるは間人皇女(はしひとのひめみこ)への愛に苦悩する人物として描かれる。第7回講談社漫画賞少女部門受賞。

 

ーHPの解説ー
令和3年(2021)は聖徳太子(574~622)の1400年遠忌にあたり、太子ゆかりの寺院では、周年を迎える令和4年にかけて盛大な法会や記念事業が営まれています。
用明天皇の皇子として生まれた聖徳太子は、推古天皇の摂政を務め、十七条憲法の制定や遣隋使の派遣など国家の礎を築いたことで有名な人物です。さらに、大阪・四天王寺や奈良・法隆寺の創建に代表されるように、仏教を深く修め、その興隆に尽くしました。太子は、「日本仏教の祖」として没後まもなく信仰の対象となり、天台宗開祖・最澄や浄土真宗開祖・親鸞、時宗開祖・一遍などの名だたる高僧や、貴賤を問わず多くの人々からの尊崇を集めてきました。
本展覧会では、太子信仰の中核を担ってきた四天王寺の寺宝を中心に、信仰の高まりとともに各地で造られたさまざまな太子像やゆかりの品々をご紹介します。太子の生涯をたどりながら、1400年の時を経て、今なお人々に親しまれる太子信仰の世界を紐解きます。


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2021.12.04

散歩の途中で野鳥を撮ってみました。 2021年11月

紅葉の綺麗な公園(散歩道の・・)などで、11月に野鳥を撮ってみました。
変わりない野鳥メンバーですが・・・
季節に関係なく見られる野鳥のほかに、少しづつですが数種の野鳥が姿を見せ始めています。
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

ジョウビタキ(ルリビタキかも?)
ジョウビタキ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 202111001_20211203184701

カワセミ
カワセミ  サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
202111001_20211129111701
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ハクセキレイ
ハクセキレイ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 
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キンクロハジロ
キンクロハジロ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
20211101_20211129212201

カイツブリ
カイツブリ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科 
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カルガモ
カルガモ サントリー愛鳥活動 日本の鳥百科
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