企画展「加速器 -とてつもなく大きな実験施設で宇宙と物質と生命の謎に挑んでみた-」
企画展「加速器 -とてつもなく大きな実験施設で宇宙と物質と生命の謎に挑んでみた-」は、
東京国立博物館の日本館1階企画展示室および地球館地下3階常設展示室内で開催されています。
会期 2021(令和3)年7月13日(火)~ 10月3日(日)
加速器とは、陽子や電子などの粒子を人工的に加速し、それらをぶつけ たときに起こる反応を調べることによって、素粒子や原子核を研究する ための装置です。加速器には実験室に収まる小型のものから、最先端の科学研究では加速器のサイズが数キロメートルの巨大なものがあります。
この展覧会では、大型加速器施設の実際の様子や、加速器の基礎から、宇宙の謎に迫る最先端研究、身近なところで利用されている研究成果などを紹介しています。
「ようこそ加速器の世界へ‼」国立科学博物館
【国立科学博物館公式】かはくチャンネル
「消えた素粒子の謎」に挑む ~素粒子物理の研究~
Belle II 実験
反物質が消滅し、 物質が生き残ったの は、物質と反物質の性質が微妙に違うことを表しています。 この違いのことを「CP対称性の破れ」と呼びますが、これは 1960年代にすでに実験的に知られていました。
1973年、日本の物理学者、益川敏英博士と小林誠博士はこの実験結果を解釈し、現在「小林・益川理論」として知られる理 論を発表しました。 2001年、Belle 実験 (日本、KEK) Babar 実験 (アメリカ) で行われた観測により、小林・益川理論が正しいことが実証され、2008年に両博士 はノーベル物理学賞を受賞しました。
しかしまだ、 CP対称性の破れが完璧に説明できたわけではありません。 BelleⅡ実験はなおも、 新しい事実を発見すべく続けられています。
BelleⅡ測定器 1/10モデル 高エネルギー加速器研究機構(KEK)
スーパーチェンバー(宇宙線飛跡観測装置)応用化学工業株式会社
電荷をもった粒子を見えるようにする装置。
荷電粒子が飛行する軌道を放電現象を用いて可視化する。
T2K(Toukai to Kamioka)実験
東海村(茨木県)から神岡町(岐阜県)までの意味でなずけられ、2009年から測定を開始、2013年には生成したミュー型のニュートリノが電子型に変化する現象を世界で初めて発見しました。
2014年からはニュートリノの反粒子の生成を開始して、粒子と反粒子でニュートリノ振動の振る舞いに違いがないかの研究を始めました。最近の研究では、まだ確定的でなないものの、90%以上の信頼度で違いがあるという結果が得られています。
カミオカンデはスーパーカミオカンデに進化、さらに2027年のデータ取得開始を目指して建設が始まります。現在のスーパーカミオカンデの約8倍の有効体積を持ち、より多くのニュートリノを検出します。J-PARCの加速器も、これまでの約2.5倍のニュートリノを生成できるように増強を進めています。(本展解説冊子から)
(次の動画は、この展覧会では紹介していません)
東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設
スーパーカミオカンデ実験の紹介ビデオ 2019年3月
制作・著作
東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設
NHKエンタープライズ
映像提供 NHK
20インチ光電子増倍管(KEK実験・スーパーカミオカンデ)
展覧会の構成は以下の通りです。
第1会場(日本館1階企画展示室)
第1章 加速器ってなんだ?
「原子よりも小さな粒子って何?」「どうやって加速するの?」「加速してどうするの?」……そんな皆さんの疑問に答えます。
第2章 巨大実験施設へようこそ
科学研究に使われる加速器には、びっくりするほど巨大なものもあります。大型加速器施設とは、どんなところなのでしょうか?
電磁ホーン(大強度ニュートリノビームを生み出す心臓部)
電子・陽電子加速器用加速感カットモデル(1980年頃) KEK
超電導磁石のスライス(LHC用・JPARC用) KEK
第3章 宇宙・物質・生命の謎にせまる
とてつもなく大きな加速器の研究施設で研究しているのは、素粒子たちです。
原子よりも小さな原子核、さらに小さな素粒子を調べることで、この世界の謎に迫ります。
第2会場(地球館地下3階常設展示室内)
日本の大型加速器のあゆみ
戦前から戦後へ、そして現在へ。日本における大型加速器の歴史を、資料とともにたどります。
KEKB加速器施設の全体像(部分)Scale1/1000
その他関連機器の展示があります。
小柴昌俊、小林誠、益川敏英、梶田隆章各氏がノーベル賞を受賞した分野だけに知っておくべきだと思いました。
これからも受賞者がでるといいですね!
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