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2021.10.04

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる

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『Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる』は、東京都美術館 ギャラリーA・B・Cで開催されています。

会期 2021年7月22日(木・祝)~10月9日(土)

生きるための、心の糧としてのアート。
自らを取り巻く障壁の中で「よりよく生きるため」に情熱をもって表現をつづけた、東 勝吉、増山たづ子、ズビニック・セカル、ジョナス・メカル、シルヴィア・ミニオ=パルウェルロ・保田、それぞれの生涯と作品を解説展示しています。

(以下の画像はクリックで拡大表示になります)

東 勝吉(1908-2007)
東 勝吉は長年木こりの仕事をしていて、78歳で由布院の老人ホームに入所し余生を送っていましたが、83歳の時に園長から水彩絵の具を送られたのを契機に由布院などの風景を描き始めました。
その時要介護2の身体でしたが周囲が目を見張るように、熱意と集中力を示したそうです。

東 勝吉はなくなるまでの16年間で百余点にもわたる水彩画を仕上げました。
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展示会場風景  

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自画像 2006年 水彩、紙 由布院アートストック

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鈴懸の径  日田市清岸寺町 製作年不詳 水彩、紙 由布院アートストック

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草取り 1996年 水彩、紙 由布院アートストック

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御幸橋から由布算山 1999年 由布院アートストック

美しい風景を、感じたままに、色を選んで構成・定着していく・・
「ほっとさせられる」作品ばかりの幸せ空間です。


増山たづ子(1917-2006)
岐阜県旧徳山村の農家の主婦であった増山たづ子は、ダム建設のため水没が決定した村を全自動のフィルム カメラにより、 60歳から28年間に渡って撮影した。
インバール作戦に従軍し、 恐らく戦死したであろう夫がもし帰還したとき、 故郷が水没して二度と目にできなく なっていたというのでは忍びないそのために村と人々を記録にとどめておく。 この思いが、撮影に彼女を駆り 立てた動機であった。

フィルムやプリント代に年金のすべてが使われ、 撮影総数は実に10万カット、 彼女自身が整理したアルバムは600冊にも及ぶ。
彼女の熱い眼差しの痕跡である膨大な写真は、ひとつの村を舞台にした 「世界の記憶」 でもある。 88歳で増山たづ子が永眠した同じ2006年、 ダムの試験灌水が始まり、旧徳山村は水没した。(本展解説パネルから)Woll-bridges20210907
展示会場風景

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「写真というものは妙なもんでな、
写真を通してな、
いままで気がつかなかった村の美しさ、
それから人の表情の美しさ
というものがわかったな。
ますます好きになってしまったで、
こん村が。」
増山たづ子『ふるさとの転居通知』 情報センター出版局、1985年55頁。 

イラはな、自分の励みのために、写真を撮ってるんだな。 (同34頁。)

写っている村民の皆さんの表情が素晴らしいです。
写し手の人柄が、このような表情を作らせるのだな・・・と感心してしまう作品が会場に溢れていました。


展示会場風景(ズビニック・セカル  シルヴィア・ミニオ=パルウェルロ・保田)Woll-byidges202109022


シルヴィア・ミニオ・パルウェルロ・保田(1934-2000)
イタリアのサレルノに生まれた。彫刻家であった夫を支え、家事と育児に専念しつつ、寸暇を惜しみ、彫刻と絵画の制作にいそしんだ。敬虔なクリスチャンであった彼女の真摯な制作は、切実な祈りそのものだった。(本展のHPから)
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シエナの聖カタリナ像とその生涯の浮き彫り(部分) 1980-84年 ブロンズ 愛知県松山市・聖カタリナ大学

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家族の肖像(4) 1970-90年代 油絵具、カンヴァス 神奈川県立近代美術館

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羊の毛を刈る(2) 油絵具、紙、厚紙 神奈川県立近代美術館

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聖女の足 1980年(鋳造2000年) ブロンズ 神奈川県立近代美術館


ズビニェック・セカル(1923-1998)
チェコのプラハに生まれ、反ナチス運動に関わった結果、
投獄の憂き目にあい、強制収容所での日々を経て、後年アーティストとなったセカル。40歳を過ぎて取り組んだ彫刻作品は、名状しがたい存在への問いを湛えている。(本展のHPから)
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幽霊 1987年 木、塗料、鉄 個人蔵

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しっかりと組み合う 1967年 鉄、木 個人蔵

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遠い国からの挨拶、遠い国への挨拶 1988年 木、染料 個人蔵

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仮面をつけた仮面 1990年 ブロンズ 個人蔵


ジョナス・メカス(1922-2019)
リトアニアの農家に生まれ、難民キャンプを転々とした後、ニューヨークに亡命。貧困と孤独のなか、中古の16ミリカメラにより身の回りの撮影を始め、類例のない数々の「日記映画」を残すことになった。(本展のHPから)
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展示風景

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仕事中のアンディ・ウォーホル、ファクトリー、ニュヨーク、1976年(「時を数えて、砂漠に立つ」より)樹脂、アルミニューム 個人蔵
ジェローム・ヒルと友人、友人の自宅にて、この家にはナポレオンが逗留したこともある、カシス、1966年(「ジェロームへのノート」より)樹脂、アルミニウム 個人蔵

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エルビス・プレスリー、マディソン・スクエア・ガーデン、ニューヨーク、1977年(「歩みつつ垣間見た美しい時の数々」より)
ジョージ・マチューナス、死の2か月前、ニューマルボロのジェーン・ブラウン宅、1978年3月(「時を数えて、砂漠に立つ」より)



企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展覧会風景 紹介動画
東京都美術館 Tokyo Metropolitan Art Museum


企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」ギャラリートーク
東京都美術館 Tokyo Metropolitan Art Museum


ーHPの解説ー
東勝吉(1908-2007)、増山たづ子(1917-2006)、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田(1934-2000)、ズビニェク・セカル(1923-1998)、ジョナス・メカス(1922-2019)。本展でご紹介する5人は、表現へといたる情熱の力によって、自らを取巻く障壁を、展望を可能にする橋へと変え得たつくり手でした。彼らにとっての表現とは、「よりよく生きる」ために必要な行為であり、生きる糧として、なくてはならないものだったのです。
5人のまったく異なる背景から生まれた作品のアンサンブル――絵画、彫刻、写真、映像――には、記憶という言葉から導かれる、不思議な親和性があるように思われます。何ら交わることのなかった軌跡が、ある世界へと見るものを誘う想像・創造の連鎖。本展では、生きるよすがとしてのアートの魅力にふれていただきたいと考えています。



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