浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―
「浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―」は、
町田市立国際版画美術館で開催されています。
会期 2021年7月10日(土)〜9月12日(日)
前期・後期で完全入れ替え
前期 7月10日(土)~8月9日(月・振休)
後期 8月12日(木)~9月12日(日)
この展覧会では一部の作品が写真撮影できます。
(画像はクリックで拡大表示になります)
それぞれの時代の「風景浮世絵師・画家」を代表する3人を特集した展覧会、
前期・後期で総数373点の 展示です。
歌川広重 寛政9年(1797年)~安政5年(1858年)
小林清親 弘化4年(1847年)~大正4年(1915年)
川瀬巴水 明治16年(1883年)~昭和32年(1957年)
3人の浮世絵師それぞれの個性を今一度検証する絶好の機会になるはずです。
版画技法、表現の詳しい解説もあり、理解を助けてくれます。
清親は、時代を象徴する風景を記録する一面が、
巴水は旅の情緒を写し取る・・・
清親、巴水作品は懐かしい風景。
広重は、何度見ても新鮮、ゴッホなど印象派の画家が驚きをもって受容したのがわかります。
展示構成は以下の通りです。
1章 江戸から東京へ―三世代の眼―
江戸の広重、明治の清親、大正・昭和の巴水、
3人の絵師・画家の江戸・東京の風景画を並べて展示しています。
(第一章は全点撮影可です)
展示風景
歌川広重《名所江戸百景 深川木場》安政3年(1856)東京藝術大学蔵
小林清親《武蔵百景之内 深かわ木場》明治17年(1884)会社渡邊木版美術画舗蔵
川瀬巴水《東京十二題 木場の夕暮》大正9年(1920)ギャラリーそうめい堂蔵
歌川広重《東都名所 芝増上寺雪中ノ図》天保(1830-44)末期 個人蔵
小林清親《芝増上寺雪中》明治17年(1884) 会社渡邊木版美術画舗蔵
木林巴水《東京二十景 芝増上寺》大正14年(1925) 町田市立国際版画美術館蔵
2章 歌川広重―江戸の名所絵―
1節 東海道の絵師、広重
東海道五十三次からの展示。
歌川広重《東海道五十三次之内 日本橋朝の景》天保4-5年(1833-34)頃 町田市立国際版画美術館蔵
歌川広重《東海道五十三次之内 庄野 白雨》天保7年(1836)頃 町田市立国際版画美術館蔵
2節 さまざまな江戸名所絵
東都名所、各所江戸百景、富士三十六景などから・・・
歌川広重《東都名所 吉原仲の町夜桜》 天保(1830-44)前期 個人蔵
3節 竪絵の新感覚
歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》安政4年(1857)東京藝術大学蔵
歌川広重《名所江戸百景 深川万年橋》安政4年(1857)個人蔵
3章 小林清親―明治の光線画
明治初期には清親が「光線画」と呼ばれる風景版画を発表。文明開化後の東京を繊細な光と影で表し、名所絵に新たな表現をもたらしました。(HPの解説から) ジャーナリスト的視点での作品も見かけます。
1節 新しい風景、新しい暮らし
小林清親《海運橋 第一銀行雪中》 明治9年(1876)頃 町田市立国際版画美術館蔵
小林清親《本町通夜雪》明治13年(1880)町田市立国際版画美術館蔵
2節 天候・時刻のうつろい
小林清親《千ほんくい両国橋》明治13年(1880)町田市立国際版画美術館蔵
小林清親《天王寺下衣川》明治13年(1880)町田市立国際版画美術館蔵
3節 江戸浮世絵への回帰
小林清親 田口米治補筆《武蔵百景之内 両国花火》明治17年(1884) 株式会社渡邊木版美術画舗蔵
4章 川瀬巴水―大正・昭和の新版画
旅の絵師、巴水は旅先の風景を抒情的に描きました。
巴水は単純で面白味のある風景が版画に適しているとか、景色が良いだけの風景は版画に向かないなどと書いています。(キャプションから)
東京十二題、東京二十景、旅みやげ第一集・第二週・第三集、日本風景集などから・・・
1節 東京風景―自然と伝統への同化
川瀬巴水《東京十二題深川上の橋》大正9年(1920)町田市立国際版画美術館蔵
2節 旅行と風景―ロマンへの誘い―
川瀬巴水《旅みやげ第三集 周防錦帯橋》大正3年(1924)株式会社渡邊木版美術画舗蔵
旅みやげ 第一集 仙台の寺 大正8年(1919)ギャラリーそうめい堂蔵
川瀬巴水《日本風景集Ⅱ 関西編 大阪宗右衛門町の夕》昭和8年(1933)株式会社渡邊木版美術画舗蔵
ーHPの解説ー
江戸の歌川広重(うたがわひろしげ、1797-1858)、明治の小林清親(こばやしきよちか、1847-1915)、そして大正から昭和の川瀬巴水(かわせはすい、1883-1957)――各時代に優れた風景版画を制作した三人の絵師・画家を紹介します。
江戸後期の浮世絵界では、旅や名所に対する関心の高まりを背景に「風景」が「美人」「役者」と並ぶ人気ジャンルとして大きく花開きました。その第一人者である広重は、四季豊かな日本の風土を数多くの「名所絵」に描き、後世の絵師たちに大きな影響を与えていきます。その後、明治初期には清親が「光線画」と呼ばれる風景版画を発表。文明開化後の東京を繊細な光と影で表し、名所絵に新たな表現をもたらしました。そして大正期、すでに浮世絵がその役目を終えたころ、伝統木版画の技術をよみがえらせた「新版画」の制作が開始されます。その代表的な画家である巴水は、関東大震災前後の東京や旅先の景色を抒情的にとらえ、風景版画の系譜を継いでゆきました。
本展では、変わりゆく日本の風景を「三世代の眼」がどのようにみつめ表現してきたのか、その違いを対比しながら、時代を超えて響きあう風景観や抒情性に着目します。どこか懐かしい、100年にわたる日本の風景を、旅するようにご堪能ください。
(出品点数373点、前期後期で全点展示替え)
※本展は新型コロナウイルスの影響のため、当初予定されていた会期(2020年夏)より変更して開催するものです。
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