#映える風景を探して 古代ローマから世紀末パリまで
「#映える風景を探して 古代ローマから世紀末パリまで」は、町田市立国際版画美術館で開催されています。
会期 2021年4月24日(土)~6月27日(日)
オールドマスターから印象派まで、手がけた版画作品を鑑賞できる版画専門美術館ならではの企画展です。
油彩画、刊行本も交えての展示で大変楽しめました。
絵画史にインパクトを与えたであろう機材、カメラ・オブスクラ、クロード・グラス、幻燈機彩オプティコンなども展示されています。
「#映える風景」をテーマに、16~19世紀のヨーロッパで制作された版画、挿絵本、油彩 画、写真を展示する特別展。古代ローマの荘厳な遺跡や、神話の世界を思わせる森、 賑やかなパリの市街地など、さまざまな場所をめぐるようにして、その時代に流行した 風景画のルールや楽しみ方を紹介します。(HPから)
展覧会の構成は次の通りです。
(以下の画像はクリックで拡大表示になります)
第1章 版に刻まれる風景 版画が伝える土地のようす
ブリューゲル、ルーベンス、レンブラント、カナレット、ピラネージなどのオールドマスターの名品で風景画が生まれ成熟するまでの歴史をたどります。
ピーテル・ブリューゲル(父)原画 ヨハネス・ファン・デゥエテクム(版刻) ルーカス・デゥエテクム(版刻)『大風景画』より 改悛のマグダラのマリア 1555-56年 エッチング、エングレーヴィング 町田市立国際版画美術館
ぺーテル・パウル・ルーベンス(原画)スヘルテ・アダムスゾーン・ボルスウェルト(版刻)《野良の帰り》1638年頃 エングレーヴィング 町田市立国際版画美術館
『ローマの景観』より トレビの泉
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ 『ローマの景観』より トレビの泉 1751年 エッチィング 町田市立国際版画美術館
第Ⅱ章 研ぎ澄まされる風景 「絵になる景色」の作り方
17世紀のローマでは、クロード・ロラン が古代の 理想郷を思わせる 「理想風景画」を完成させました。 彼の洗練された 風景表現は後世の画家に受け継がれ18-19世紀のイギリスで最高潮に達します。
18世紀後半のイギリスでは風景画の需要拡大に応え、「絵になる景色」 の作法を解 説する本も刊行されました。 J.M.W. ターナー (1775-1851) はそう した理論から学んだ画家のひとりで、 やがて自らの眼で捉えた光や大 気のニュアンスを描き出すようになります。 イギリス人たちの瑞々しい風景表現はやがてフランスにもたらされ、 カミーユ・コロー (1796-1875) バルビゾン派の画家に受け継がれていきました。(展覧会場の解説パネルから)
クロード・ロラン(クロード・ジュレ)《笛を吹く人物のいる牧歌的風景》 1630年後半 油彩・キャンヴァス 静岡県立美術館
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《メリック修道院、スウェイル渓谷》1816-17年 水彩 栃木県立美術館
ジョセフ・マロード・ウイリアム・ターナー《ネッカー川対岸から見たハイデルブルグ》 1846年 エッチング、ライン・エングレーヴィング 郡山市立美術館
ジョン・コンスタンブル(原画) デヴィド・ルーカス(版刻) 虹、ソールズベリー大聖堂 1834-37年 メゾチント 郡山市立美術館
ジャン・フランソワ・ミレー 《耕す人》 1855-56年 エッチング 町田市立国際版画美術館
カメラ・オブスクラ 1790年頃 横浜市民ギャラリーあざみの
第Ⅲ章 本の中の風景 世界旅行の時間旅行
めくるめく挿絵本と旅行記の時代。古代エジプトから世紀末パリまで、世界中を飛び回る大冒険。
ナポレオン・ボナパルトが1798年に行ったエジプト遠征にも、考古学者から数学者まで160名を超える研究者が同行しています。ナポレオンの勅令を受けて、彼らのテキストやスケッチは『エジプト誌』という書物にまとめられ、1809-22年にかけて全23巻が刊行されました。
科学芸術委員会(編)『エジプト誌』より 《フィラエ島 彩色された室内の景観、大神殿の柱廊からの眺め》エッチング(多色)、エングレーヴィング、手彩色 1809-28年刊 町田市立国際版画美術館
アレクサンドル=エヴァリスト・フラゴナール(画)《サン・ロ通り側の裁判所の眺め(「古ノルマンディー編」第2巻)》1822年(1825年刊)リトグラフ 町田市立国際版画美術館
(左)レオボル・フラメング(著)『行くパリ、来るパリ』より パリのノートル=ダムの尖頭 町田市立国際版画美術館
(右)ヴィクトル・ユゴー(著) ドービニー/ジョアノ/ブーランジェ他(画)栃木県立美術館
第Ⅳ章 楽しむための風景 世紀末の版画、写真、視覚装置
写真が普及した19世紀後半 版画は 「唯一の技術」という特権的地位を失うことになりました。 パノラマやジオラマといった 取って代わって風景写真が増大していく時代には、版画を復興さ べく芸術家たちが立ち上がります。
凸レンズや照明のトリックで楽しむエンターテインメントと、写真の普及にあらがう版画家たち・・・
カミーユ・ピサロ《ライ麦畑、グラット=コックの丘、ポントワーズ》 1887年 油彩・カンヴァス 静岡県立美術館
カミーユ・ピサロ《雨の印象》 1879年 エッチング、アクアチント 町田市立国際版画美術館
『腐食銅版画協会;近代の腐食銅版画』より A.Pマルシアル(アドルフ・マルシアル・ポテモン)腐食銅版画協会本部 1864年刊
エッチング 町田市立国際版画美術館
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