没後70年 南薫造 展
没後70年 南薫造 展は、
東京ステーションギャラリーで開催されています。
会期 2021年2月20日(土)~ 4月11日(日)
東京ステーションギャラリー得意の「知られざる画家発掘シリーズ」でしょうか?
南薫造の作品を観るのは多分はじめてと思って出かけましたが、記憶に残っている作品は数点ありました。
東京美術学校教授を務め、帝室技芸員に任命された画家ですから、知る人ぞ知る存在なのだとは思いますが・・・
チラシのコピーに「派手さはないけど、心に”ぐぐっ”と響きます!とあるように、画家の個性が際立つという作品は少ないようですが、てらいなく自らの周辺の風景を描き続けた作品には説得力がありました。
南薫造(1883~1950)は、明治末から昭和にかけて官展を中心に活躍した画家です。
南は現在の広島県呉市生まれ。
明治の終わりにイギリスに留学しました。
フランスではなくイギリスを選んだのは、イギリスの水彩画への思い入れがあったようです。
南が出版した『水彩畫の描き方』の中に、
「水彩画は誰でもが知る如く瞬間的な現象を捕らへて直ちに描き得る大きな特徴を持っていると同時に此の精緻なる描写の点に至っても油彩を超えたる性能を備えて居ることを知る要がある」と記しています。(本展キャプションから)
《ロンドンの裏庭》1907年 水彩、紙 広島県立美術館蔵
《うしろむき》1909年 水彩・紙 広島県立美術館
1909(明治42)年春、南は友人たちとウィンザーで2週間を過ごした。この作品は宿泊先の少女マリーを描いたもの。
1909年からフランスに渡り、伊、独、蘭、米を経由して帰国。
帰国後の南は、印象派に影響を受けた風景画や人物画を描きました。
創作版画運動の先駆けとなるような木版画も制作しています。
《魚見(自刻)》1911年頃 木版、紙 個人蔵
《六月の日》1912年 油彩、カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
第6回文展に出品した南の代表作
《りんご》1911年頃 油彩、カンヴァス 広島県立美術館蔵
晩年には故郷の風景、家族周辺の作品も 多く残しています。
南薫造記念館の展覧会チラシ
《庭先の孫娘たち》1946年頃
この作品は本展では展示されていません。
展覧会の構成は次の通りです。
第1章 初期 美校時代
第2章 留学時代
第3章 帰国後の活躍
第4章 晩年 郷里での活躍
―HPの解説ー
なぜ 南薫造展か?
日本では毎年数多くの美術展が開催され、多くの観客を集めています。大規模な西洋美術展はもとより、最近では、江戸期を中心とする日本美術や、現代アートの展覧会が大きな話題となることも少なくありません。そうした中で、めっきり数が減っているのが日本近代洋画の展覧会です。東京ステーションギャラリーでは2012年の再開館以来、一貫して近代洋画の展覧会の開催を続けてきました。それは多くの優れた洋画家たちの業績が忘れられるのを恐れるからであり、優れた美術が、たとえいま流行りではなかったとしても、人の心を揺り動かすものであることを信じるからです。
南薫造(1883-1950)、明治末から昭和にかけて官展の中心作家として活躍した洋画家です。若き日にイギリスに留学して清新な水彩画に親しみ、帰国後は印象派の画家として評価される一方で、創作版画運動の先駆けとなるような木版画を制作するなど、油絵以外の分野でも新しい時代の美術を模索した作家ですが、これまで地元・広島以外では大規模な回顧展が開かれたことがなく、その仕事が広く知られているとは言えません。
本展は、文展・帝展・日展の出品作など、現存する南の代表作を網羅するとともに、イギリス留学時代に描かれた水彩画や、朋友の富本憲吉と切磋琢磨した木版画など、南薫造の全貌を伝える決定版の回顧展となります。
| 固定リンク
コメント