横浜美術館コレクション展 「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」
横浜美術館コレクション展 「ヨコハマ・ポリフォニー:1910年代から60年代の横浜と美術」
会期 2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)
横浜美術館は、このコレクション展を終えると、大規模改修工事のため2年に及ぶ長期休館に入ります。
(HPの解説)
「ポリフォニー」とは、独立した複数の旋律とリズムの声部から成る「多声音楽」を意味します。横浜美術館の長期休館前最後のコレクション展となる本展では、1910年代から60年代に横浜で育まれた作家たちの声と創作の響き合いに耳を傾けながら、横浜を磁場としたアートシーンを探訪します。
本展が着目する60年間に、日本では明治から大正、さらには昭和と元号が変わり、関東大震災と第2次世界大戦が多くの街に甚大な被害をもたらしました。横浜もこの間2度にわたって灰燼(かいじん)に帰し、そこから復興を成し遂げたという意味において、激動の時代でした。
この時代の美術の流れを俯瞰(ふかん)すると、横浜では東京を中心とした美術史の大きな流れと連動した表現が生み出されてきた一方で、進取の気性に富んだ港町ならではの個性ゆたかな才能や人的ネットワークが育まれたことが分かります。開港以降、西洋文化の窓口であった横浜は、幕末・明治期に五姓田(ごせだ)派を中心に洋画技法を国内でもいち早く受容し、日本における洋画の揺籃(ようらん)の地となりました。それに続く大正・昭和期の横浜における美術の動きは、1919年の横浜美術協会の発足をひとつの起点とし、美術を支える組織が整い始め、作家たちによる自立的な運動が成熟していきました。1960年代になると、1989年に開館した横浜美術館誕生の布石となる動きもあらわれてきます。
本展では10章構成で横浜とゆかりある作家たちを中心に光をあて、彼らの証言や表現、関係の深い作家による創作の連なりを約150点の所蔵品により追うことで、横浜の地をひとつの手がかりに、およそ60年の美術を複眼的に捉えることを試みます。岸田劉生らとフュウザン会に所属した洋画家・川村信雄のもとに集まった洋画家たちの熱気、伊東深水や川瀬巴水らによる新版画と横浜との関係、奥村泰宏や常盤とよ子が活躍したハマ展写真部創設前史や、イサム・ノグチと岡田謙三の友情にまつわる物語など、横浜を磁場としたアートシーンの魅力を再発見するまたとない機会になるでしょう。
展覧会の構成は以下の通りです。
(以下の画像(展示風景)はクリックで拡大表示になります)
序章 憧れの西洋美術
【出品作家】有島生馬、ポール・セザンヌ
ポール・セザンヌ 《縞模様の服を着たセザンヌ夫人》 1883-85 油彩、カンヴァス
第1章 横浜美術協会創設前後―川村信雄とその周辺
【出品作家】岸田劉生、河野通勢、椿貞雄、川村信雄 ほか
河野 通勢 《自画像》 1918(大正7) 油彩、厚紙
第2章 フランスへの旅立ち
【出品作家】藤田嗣治、長谷川潔、木下孝則、里見勝蔵 ほか
佐伯 祐三 《滞船》 ca.1926(昭和元頃) 油彩、カンヴァス
第3章 関東大震災からの復興
【出品作家】中島清之、片岡球子、加山四郎、ギュスターヴ・モロー、オーギュスト・ロダン ほか
片岡 球子《 緑蔭》 1939(昭和14) 紙本着色、片岡球子氏寄贈
第4章 新版画の興隆―鏑木清方から石渡江逸まで
【出品作家】鏑木清方、伊東深水、川瀬巴水、石渡江逸、チャールズ・バートレット ほか
川瀬 巴水《東京十二題 大根がし》1920(大正9)多色木版 《東京十二題 雪に暮るる寺島村》多色木版
第5章 横浜懐古―川上澄生の世界
【出品作家】川上澄生
川上澄生《南蛮ぶり》1955(昭和30)多色木版、黄紙 《陸海軍》1933(昭和8)黒刷木版、手彩色
第6章 横展写真部創設
【出品作家】安藤不二夫、奥村泰宏、常盤とよ子、浜口タカシ ほか
常盤 とも子《窓》1955(昭和30)ゼラチン・シルバー・プリント 常盤とよ子氏寄贈 《路上》1954(昭和29)ゼラチン・シルバー・プリント
第7章 ニューヨークでの活躍―岡田謙三とイサム・ノグチ
【出品作家】岡田謙三、イサム・ノグチ
イサム・ノグチ《死すべき運命》1959(1962鋳造)ブロンズ 岡田 謙三《垂直》1964(昭和39)油彩、カンヴァス
第8章 前衛美術のパイオニア―斎藤義重
【出品作家】斎藤義重
斎藤 義重 《内部》1981(昭和56) ラッカー、木、ボルト、紐
《カラカラ》1936(昭和11)ラッカー、ナイロン、木1973(昭和48)再制作 《クレーン》1967(昭和42)合板、ラッカー
第9章 ハマ展の洋画家と彫刻家
【出品作家】中村好宏)、山中春雄、森兵五、兵藤和男、 江見絹子、井上信道ほか
第10章 「今日の作家展」
【出品作家】磯辺行久、村上善男、岡本信治郎、荒川修作、白髪一雄、横尾忠則 ほか
白髪 一雄《梁山泊》1967(昭和42)油彩、カンヴァス
横尾 忠則《黒いY字路7》2011(平成23)アクリル絵具、カンヴァス 横尾忠則氏寄贈
| 固定リンク
コメント