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2020.12.24

舟越 桂 私の中にある泉

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《水に映る月蝕》2003年 楠に彩色、大理石 作家蔵

「舟越 桂 私の中にある泉」は、
渋谷区立松涛美術館で開催されています。

会期 2020年12月5日(土)~ 2021年1月31日(日)

彫刻家舟越桂の心のありようを「私の中にある泉」と呼び、本展のタイトルにしています。
舟越の制作活動(作品)を時系列で展示し、あわせて制作過程での心のありようを表す資料、家族の作品も紹介しています。

かつて、東京都庭園美術館で開催された舟越桂の展覧会、館内各部屋に置かれた作品が強く印象に残っているのですが・・・


展示構成は次の通りです。
(以下の画像はチラシからスキャンしています。縞模様が邪魔ですが悪しからず)
1章 私はあゆむ、私は作り出す
舟越が彫刻家の道に進む意思を固めたのは17歳の夏でした。
1980年代に舟越は木彫の人物半身像を多く手掛けてきました。
さりげない日常の衣装をまとい現代を生きる等身大の人物であるようでありながらも、どこか抽象的で静謐な雰囲気を漂わせています。 (キャプションから)
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《冬の本》1988年 楠に彩色、大理石 作家蔵
本作はのモデルは、彫刻家の叔父を持つという女性。

2章 私は存在する
彫像の製作は、しばしばまず作品を同じ大きさのデッサンを描くことからはじまり「何かいいものが現れるまでデッサンに食い下がる」という苦しみの時間を過ごします。
デッサンが仕上がると、木を彫り始めることが出来ますが、その段階でも最終的な形を生み出すまで同様の格闘が続きます。
木彫作品とデッサンが展示されています。
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《森へ行く日》1984年 楠に彩色、大理石、ゴムチューブ 作家蔵
特定のモデルを使わずに制作した作品。
首の細さや顔などから、作者本人としては「失敗した」と感じた作品であったといいます。
しかし完成から1週間後には、それまでの自身の作品とは異なる雰囲気を持つ本作にだんだんと魅力を感じはじめ、今では作家にとって特別な作品になっています。(キャプションから)

3章 私の中に私はみつける
1990年代前後から舟越の作品の「異形化」は、2000年代に入って本格化します。
そして2004年以後スフィンクスシリーズが始まります。
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《戦争をみるスフィンクスⅡ》2006年 楠に彩色、大理石、革 個人蔵
眉間にしわを寄せ、歯を食いしばるという舟越の作品の中では珍しく激しい感情表現がなされている作品。
本作では2003年に勃発したイラク戦争の対する怒りと嘆きが示されています。
戦争への自身の考えを作品を通して明確に示す必要を感じ、制作された作品です。(キャプションから)

4章 私は思う
舟越の思考の痕跡とも言えるメモなどが展示されています。
メモの一部はアトリエのの壁に貼られています。
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《自画像》1997年 紙に木炭、修正液 個人蔵

5章 私の中をながれるもの
舟越家各人のドローイングと絵画作品を紹介しています。
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舟越保武《キリスト》1972年 紙に木炭 個人蔵

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舟越直木《マグダラのマリア》2013年 紙に木炭、パステル 個人蔵

6章 私ははぐくむ
舟越が自身の妻や子供たち、甥たちのために作ったおもちゃを展示しています。
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《板切れの人形》1985年頃


―HPの解説ー
現代日本を代表する彫刻家、舟越桂(1951–)は、東京藝術大学大学院在学中に函館のトラピスト修道院から聖母子像制作の依頼を受けたことを契機に、本格的に木彫での人物像の制作を開始しました。1980年代にはじまる楠の木彫彩色の人物像は、1990年代前後から異形化が試みられるようになり、新たな表現領域が切り拓かれていきました。
舟越は、一貫して人間の姿を表すことにこだわり、「自分の中の水の底に潜ってみるしかない」と、創造にあたってまず自分自身と向き合う姿勢をとり続けてきました。その背後には「ある個人を特定して語っていく事、それが普遍的に人間について語る事になっていく」という思いがあり、また創作の源となる作者の内面は、ひそかに外につながる水脈を保つ地底湖のように、社会的あるいは個人的な様々な事象を受けとめ揺らぎ続けてもいるのです。
本展ではこの作家の心のありようを、「私の中にある泉」と呼びます。そして、1980年代から今日までの代表的な彫刻作品にくわえ、ドローイング、版画、何かを思うたびに書き留められるメモ、自作のおもちゃや小物などをつぶさに見ていくことで、作品が生み出される作家自身の内なる源泉の姿そのものを探ります。

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