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2020.03.20

長崎盛輝著 日本の傳統色 その色名と色調

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日本の傳統色 その色名と色調
著者 長崎盛輝
発行 2001年10月初版発行
発行者 安田英樹
発行所 青幻舎

本書カバーに記された解説です。
文学を彩る様々な色は、これまで実際にその正しい色を見ることができず、
文献を検索して推理する以外にありませんでした。
本書は、色彩学の権威者である著者が
長年にわたって蒐集した故文献・古裂・染見本帳など、
権威ある典拠により考証し、
さらにそれを試染して色調を確かめてあります。
225色すべてに、染料・古染法・色調や流行沿革などを収蔵、
あわせて文献年表・和洋色名対照一覧表・参考文献・英名を付し、
また活用に至便なようにカラー・チャートを添えた、
日本色彩芸術辞典です。

では、この時期”春”を象徴する色の一つ「桜色」を本書解説から引用してみます。

桜の色に似て、ほんのり紅みを含んだ淡紅色をいう。それは、『延喜縫殿式』の「退紅(あらぞめ)」より更に淡く、紅染の最も淡い色である。桜に因んだ色名は平安文学の装束の重色の名称によくあらわれてくるが、染色の名称の桜色はこの時代には見つからない。「桜」の重色の配合については諸説があるが、その中で実物の花色に最も近いのは「表白・裏赤花」とする説(『女官飾抄』)であろう。この色目は、赤みを帯びた若葉の上に白い花を咲かせた山桜を表したものである。織色では、経(たて)を紅、緯(ぬき)を白にとったものがこの色に近い。「染色」の「桜色」は江戸時代後期の『手鑑模様節用』「新古典染色考節附色付譜」や、中期ごろのものとされている『紺屋伊三郎染見本帳』にも見えているから、この染色は中期ころには広く行われていたのではないかと思われる。
英名「ベリー ペール オーキッド ピンク」 らんの花に見る紅味のごくうすい色。
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225色についてこのような詳細な解説が記されています。
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先日スマホで撮った桜


昨年話題になった、陛下の御召物「黄櫨染の御袍」についても本書が参考になりました。
櫨の木(ハゼノキ)の黄色の下染めに蘇芳又は柴根を上掛けした黄褐色をいう。この染色は「延喜縫殿式」に綾一疋に櫨14斤、蘇芳11斤、酢2升・・・・この染色は引仁十一年(820)に天皇の晴の儀式に着用の袍の色と定められ、地の文様は桐、竹、鳳凰(のちに麒麟が加えられる)で、天皇以外は用いることができない「絶対禁色」とされた・・・・
(文字変換に時間がかかりそうな単語が含まれているので、かなりの部分を省略しました)

色の命名にもさまざな歴史・由来が潜んでいて、奥深いですね。 

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