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2020.01.28

佐藤忠良記念館(宮城県美術館)

佐藤忠良記念館は、宮城県美術館内にあり、
記念館のエントランスにも受付があります。
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佐藤忠良記念館は宮城県出身の彫刻家・佐藤忠良氏から、ブロンズ彫刻・素描、氏が収集した美術作品などの寄贈を受けたのを機に、1990年(平成2)に増築オープンし、随時展示替えをしながら公開しています。


「テレビドラマ若者たち」「寅さんシリーズのマドンナ役」で出演し、現役の舞台女優の佐藤オリエさんは、佐藤忠良の娘さんです。
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オリエ 1949 ブロンズ

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オリエ′85 1985 ブロンズ

画家を志した忠良は、20歳で札幌から上京しました。美術学校入学のために「川端画学校」に通って絵画を勉強し始めましたが、美術雑誌で紹介されていたロダン以後のフランス近代彫刻の作品に感銘を受け彫刻家に転身しようと考えます。

自画像はその頃の作品です。翌年、忠良は東京美術学校彫刻家に入学し、彫刻家の道を歩み始めることになります。

佐藤忠良は、 ロダンの生命主義的芸術に傾倒し、本郷新、柳原義達、船越保武らとともに、国画会、新制作展を足場に創作活動を繰り広げ、一貫して塑像による具象彫刻の道を歩んできた彫刻家です。

そのほとんどの作品は人間像であり、身近な人物をモデルにした生命感にみちた頭像、清新な女性像、純真無垢なこども像、それに少数の愛すべき動物たち・・・。それらが佐藤忠良の作品モティーフです。(館内解説パネルから)

 

展示構成は以下の通りです。
《初期の油彩画》
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自画像 1933 麻布、油彩     (静物) 1932 板、油彩


《さまざまな顔》
展示風景
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記録を作った男の顔 1977-78 ブロンズ


《自然なしぐさ》
展示風景
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《いろいろなポーズ》
展示風景
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ボタン(大) 1967-69 ブロンズ


《円熟期の作品から》
展示風景
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帽子・夏 1972 ブロンズ


《佐藤忠良の素描》
展示風景
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佐藤忠良コレクションも2点展示されていました。

 

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2020.01.26

「暁斎×暁翠」父娘で挑んだ画の神髄 河鍋暁斎・暁翠伝

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「暁斎×暁翠」展は、
高崎市タワー美術館で開催されています。

会期 2020年1月25日(土)~3月22日(日)

四期に分けての展示替えがありますのでご注意ください。

「北斎と応為」はドラマ化?されたり応為の作品が展示される機会も増えて、一定の評価は定まっているようです。
暁翠の評価については、(私が「暁斎と暁翠」の作品を並べた展覧会を見るのは今回が二度目ですが・・)これからなのかもしれません。

共作作品からも、暁翠の技量の確かさは分かります。
暁斎の下絵を元に暁翠が描いた美人図です。
暁斎の下絵の猫を狆に替え、山水屏風や調度品を描き加えています。
狆の毛並み、可愛らしさが伝わります。
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河鍋暁翠《寛永時代美人図》大正5年(1916)絹本着色

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河鍋暁斎・暁翠合筆《十二ヶ月年中行事之図》絹本着色
暁斎が1月から6月までの年中行事を描き娘の暁翠が7月から12月までの行事を描き、対にした父娘合作の双幅です。

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河鍋暁斎・河鍋暁翠《霊山群仙図》文久年間〜明治25年(1861〜91)絹本着色、金彩
版元を営む、文渓堂・丁子屋平兵衛の注文で、暁斎が文久年間から描き始め、その後、暁翠が着色して完成させた山水画。

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河鍋暁翠《美人を驚かす内裏雛》絹本着色
内裏雛が動き出すという設定、父親譲りのセンスでしょうか?

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河鍋暁翠《月に崖上の狼》明治17年(1884)頃 紙本墨画

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河鍋暁翠《能・石橋》絹本着色

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河鍋暁翠《百福図》絹本着色


河鍋暁斎の展覧会は度々開催されていますし、浮世絵名品展(肉筆画)には必ずと言っていいほど出展されます。
この展覧会にも何度も拝見した作品とともに優品が集まっています。
下絵数点、千代紙、扇子絵、暁斎漫画、暁斎デザインの硯、筆入れなどの作品も・・・興味を持って観てきました。
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河鍋暁斎《極楽太夫図》絹本着色

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河鍋暁斎《文読む美人》明治21年(1888)年頃 絹本着色

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河鍋暁斎ほか合作《書画展覧余興之図》明治14年(1881)頃 紙本墨画淡彩
問時、画家や書家を招き、その場で制作、即売する書画会が盛んでした。

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河鍋暁斎《蝦蟇仙人・ 鉄拐仙人 》明治19年(1886)絹本着色
暁斎の弟子でイギリスの建築家ジョサイア・コンドル(暁英)旧蔵品

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河鍋暁斎・山岡鉄舟賛《枯木に鴉》紙本墨画

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河鍋暁斎《風神雷神図》(双幅)絹本墨画淡彩

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河鍋暁斎 スハ井版《風流蛙大合戦之図》元時元年(1864)大判錦絵三枚続
元治元年(1864)の長州征伐を蛙合戦に見立てた錦絵。
版名をスハ井、暁斎も「狂人」「狂者」と仮名で記しています。


ーHPの解説からー
幕末から明治維新、そして文明開化期という荒波のなか、生来のバイタリティと圧倒的な描写力で縦横無尽に作品を生み出し、国際的にも評価の高い絵師・河鍋暁斎(1831~1889)。その暁斎を父とし、幼少から絵の手ほどきを受け、女子美術学校(現、女子美術大学)の教師を務めるなど女性日本画家の先駆者であった娘・河鍋暁翠(1868~1935)。本展覧会では父と娘の画業を紹介し、自由闊達な作品世界の魅力を楽しんでいただきます。そして文明開化期という荒波のなか、生来のバイタリティと圧倒的な描写力で縦横無尽に作品を生み出し、国際的にも評価の高い絵師・河鍋暁斎(1831~1889)。その暁斎を父とし、幼少から絵の手ほどきを受け、女子美術学校(現、女子美術大学)の教師を務めるなど女性日本画家の先駆者であった娘・河鍋暁翠(1868~1935)。本展覧会では父と娘の画業を紹介し、自由闊達な作品世界の魅力を楽しんでいただきます。

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高崎市タワー美術館はこのビルの3、4階にあります。(入口は4階)
JR高崎駅東口(2階)から徒歩2分です。
近くて便利、こじんまりした館内ですが快適です。
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2020.01.23

中野正貴写真展「東京」

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中野正貴写真展「東京」は、
東京都写真美術館で開催されています。

会期  2019.年11月23日(土・祝)〜2020年1月26日(日)

東京の原風景ってそれぞれ違うのでしょうが、私も長年渋谷区に住んでいたので、懐かしい気持ちで見てきました。
そして、急速に変貌する街並みに、「どうなっちゃうんだろう」と不安になったりもしています。

本展は写真撮影できます。(条件あり)
以下展示風景です。
《東京無人》 
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渋谷駅東口1992年8月 

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六本木ヒルズ2003年1月


《東京水景》
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日本橋2007年


《東京再生》
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渋谷区神南2019年

《東京主塔》
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東麻布2004年

《東京窓景》
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六本木2004年2月

《東京切片》
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渋谷


ーHPの解説―
誰も知らない都市の断面。
変貌を続ける世界都市「東京」。 2020 年オリンピックの舞台となるこの大都市を鋭い感性と巧みな空間把握で30 年余にわたり撮影し続ける中野正貴。誰もいない東京の姿を写した『TOKYO NOBODY』、ビルや民家の窓から垣間見たシュールな『東京窓景』、川を漂い水上を浮遊する都市像を捉えた『TOKYO FLOAT』などを発表し話題となる。 本展は“東京三部作”といわれる代表作を中心に、新作・未発表作で構成した集大成展。本展用に編成された「TOKYO TOWER」や8×10 など大型カメラで撮られた4m 超の巨大プリントなど作品約100 点によって、巨大都市の変わりゆく表情を中野独自の視点でとらえた「東京」を展覧する。

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2020.01.20

岡田杏里個展「El yo y el Yo」(エル・ジョ・イ・エル・ジョ)

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岡田杏里
個展「El yo y el Yo」(エル・ジョ・イ・エル・ジョ)は、
銀座蔦屋書店のイベントスペースGINZA ATRIUM で、開催されています。

会期  2020115日(水)〜24日(火)

銀座に行くと立ち寄る蔦屋書店、
イベントスペースには、素朴なフォルムと明るい色面が対比する作品群が並び、
生命力溢れる空間が作られていました。

国内外での個展、グループ展、滞在制作の他、2014年以降は壁画アートプロジェクト「ヘキカキカク」を通じてメキシコ、グアテラマ、ネパールなど世界各国でパブリックアートとしての壁画を制作するなど、多方面で活躍をみせる岡田は、「現実と幻想」、「現代性と⼟着性」をテーマに、現代社会への違和感や現実世界で起こる様々な事象、訪れた⼟地の⽂化や風習、⾮日常の風景、先住⺠の神話や詩などを⾏来しながら、タブロー、壁画、インスタレーション作品の制作を⾏っています。(HPから)

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ーHPの解説からー
スペイン語で「わたしとわたし」を意味する「El yo y el Yo」(エル・ジョ・イ・エル・ジョ)と題された本展では、光と闇、内側と外側など相反する事柄を作品に表すことで、そこから新たな物語が生まれるのではないか、という岡田の根底のテーマを⼀望するように、会場を埋め尽くすほどの圧倒的な作品数で岡田のこれまでの作品と新作を発表します。

岡田杏里は、1989埼⽟県生まれ。2016年に東京藝術大学大学院美術研究科を卒業。2014⽯橋財団国際交流油画奨学生としてメキシコ、グアテマラへの留学や、2016ポーラ美術振興財団在外研修員として、ベラクルス州立大学美術研究所(メキシコ)での研修を経て、2019年からはメキシコ国立自治大学UMAMに留学、日本とメキシコを拠点に活動しています。

国内外での個展、グループ展、滞在制作の他、2014年以降は壁画アートプロジェクト「ヘキカキカク」を通じてメキシコ、グアテラマ、ネパールなど世界各国でパブリックアートとしての壁画を制作するなど、多方面で活躍をみせる岡田は、「現実と幻想」、「現代性と⼟着性」をテーマに、現代社会への違和感や現実世界で起こる様々な事象、訪れた⼟地の⽂化や風習、⾮日常の風景、先住⺠の神話や詩などを⾏来しながら、タブロー、壁画、インスタレーション作品の制作を⾏っています。

滞在しているメキシコでの生活を通じて、「同じ空間の中に原始の世界から現代社会までが共存し、街中でもジャングルの村でも、時折幻を見ているかのような不思議な気分になる」と語る岡田の作品には、メキシコの風⼟と⽂化から受けた影響が現れています。

 

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2020.01.18

松屋創業150周年記念 利休のかたち 継承されるデザインと心展

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「松屋創業150周年記念 利休のかたち 継承されるデザインと心展」は、
松屋銀座八階イベントスクエアで開催されています。
   
会期  2019年12月27日(金)〜2020年1月20日(月)

「利休のかたち」と、その「かたち」が受け継がれてきた軌跡と意義を2章に分けて紹介する展覧会です。

展覧会の構成は次の通りです。
第一章 利休の美意識と作意 
利休にまつわる貴重な現存作例を通じ、あらためてその美意識をたどります。

茶の湯の文化は、鎌倉時代に抹茶を飲む習慣が、禅宗文化とともに中国から伝来し発達したものです。当初道具類は中国から輸入したものが使われ、それら様々な輸入品の総称を「唐物」と言いました。後の「侘茶」の流行と共に「和物」に混じって「高麗物」も使われるようになりました。
先ずは利休の座右にも置かれ、愛でたであろう唐物・高麗物などが展示されています。
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重要美術品 唐物尻膨茶入 利休尻膨 中国 南宋-元時代(13-14世紀)永青文庫

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本手利休斗々屋茶碗 朝鮮 朝鮮時代・16世紀 藤田美術館

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黒中棗 安土桃山時代・16世紀 

そして「利休好み」「利休形」の作品展示です。
理想の茶碗「宗易形(利休形)」の茶碗
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黒樂茶碗 銘 万代屋黒 長次郎 作 安土桃山時代・16世紀 樂美術館


注文制作の釜「宗易形(利休形)」の釜
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湯の窯 与次郎 作 安土桃山時代・16世紀 武者小路千家官休庵


第二章 千家と職家 -かたちとこころの継承
利休の道統を継いだ二代少庵宗淳、三代元伯宗旦の道具を紹介するとともに、千家道具の制作にたずさわった職家歴代の作品を展示します。今日まで利休にまつわる「かたち」が、その「こころ」とともに脈々と継承されてきた軌跡とその意味を考えます。(HPから)

千家十職と利休形の継承
「塗師・十三代中村宗哲」、「釜師・十六代大西清右衛門」、「楽焼十五代吉左衛門樂直入」各氏の紹介パネルの後に、纏わる作品が展示されています。
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利休形茶器 十二 三代中村宗哲 作 江戸時代 中村家

展示は、「利休の形の成立と展開」「おわりに 利休の形とは」と続き、文献などの展示
さらに茶室の模型には制作年代を越えて、茶道具が置かれています。

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竹茶杓 千少庵 作 安土桃山または江戸時代(16-17世紀) 茶道資料館


最終コーナーに「長次郎最初期の作品」とされる茶碗が展示されています。
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赤樂茶碗 銘 白鷺 長次郎 作 安土桃山時代・16世紀 裏千家今日庵



ーHPの解説ー
日本文化の礎の一つともいうべき「茶の湯」。本展は、その大成者千利休(1522-91)にまつわる道具を通じ、その「かたち」が現在まで脈々と受け継がれてきた軌跡と意義を紹介するものです。今日、茶の湯に用いる道具には、「利休好み」や「利休形」など、その名を冠したものが数多く存在します。利休が見出した品々、或いは創意による道具など由来は様々ですが、いずれも継承されてきた「利休のかたち」です。

利休が好み、つくり出した作品を通して、利休の美意識と作意をご覧いただくとともに、千家道具の制作にたずさわる職家の人々が、利休の「好み」や「型」を道標としてつくり伝えてきたさまざまな作品を文献史料とともに紹介します。
新春のひととき、「赤樂茶碗 銘 白鷺」や「黒樂茶碗 銘 万代屋黒」をはじめとする作品や史料約80件を通じて、未来へ伝えるべき日本文化の「かたち」とその「こころ」にふれていただきたく、ご案内申し上げます。

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2020.01.13

未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか

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「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」展は、
森美術館で開催されています。


会期:2019年11月19日(火)~ 2020年3月29日(日)


加速度的に進んでいくイノベーション。
私はついて行けるだろうか?、様々な意味で・・・そんな感じを抱きながら観てきました。

AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です(HPから)

展示構成は次のとおりです。
1、都市の新たな可能性
展示風景

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XTUアーキテクツ 2000年設立、パリ拠点
《✕クラウド・シティー》  2019年
大気汚染や人口過密、地球温暖化などにより、地表に住むことが難しくなった近未来、雲の上の大気圏内に居住空間を作るという提案。多様な機能を持つモジュールで構成され、使用用途によって増減する。

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ポメロイ・スタジオ 2012年設立、シンガポール拠点
《ポッド・オフグリッド》2016年
会場に浮かぶエネルギー・インフラに頼らない(オフグリッド)コミュニティ創出を目的とした、モジュール型の開発による都市のプロトタイプ。各モジュールは、住居、公共施設、農業地などのセクターと、発電、水濾過、廃棄物処理を行うユーティリティ・ユニットから構成されてています。
 

2,ネオ・メタボリズム建築へ
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ミハエル・ハンス・マイヤー 1973年ドイツ、ボン、生まれ、ミュンヘン在住
《ムカルナスの変異》 2019年 アルミニューム、EPS、スチール、合板
「ムカルナス」とは、イスラーム建築で見られる持ち送り構造の装飾で、数種類の単純な幾何学模様を繰り返すパターンが特徴。コンピュータシミュレーションにより、人間では到底作図できないようなデザインを生み出している。制作にはコンピュータ情報によって動くロボとアームがパイプ一本一本を違う長さに切断して組み合わされている。

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エコ・ロジック。スタヂオ 2005年設立、ロンドン拠点
H.O.R.T.U.S.XL  
《アスタキサンチンg》 2019年
PETGバイオジェル、ユーグレナ
バイオ技術を使った彫刻。
サンゴの形をコンピュータによってシュミレーションした造形物は、3Dプリントで出力に最適化された3次元のブロックに分離して作られています。ブロック内には微細藻類が埋め込まれ、それらが太陽光によって光合成を行い、酸素を生成しながら造形物内で生物のコロニーが形成されています。


3、ライフスタイルとデザインの革新
日産のインスタレーション《未来の自動運転》コーナーには行列が・・・
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エイミー・カール 1980年ニューヨーク生まれ、サンフレんシスコ在住
《「インターナル・コレクション」シリーズ》 2016ー17年
解剖学に基づき、人間の神経系、肺、靭帯などの体内の組織を主題に制作された一連のドレス。


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大人気のロボットコーナー


 4、身体の拡張と倫理
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アギ・ヘインズ1989年ロンドン生まれ、ロードアイランド州プロビデンス在住
《「変容」シリーズ》
外科技術で身体機能を強化した5人の新生児が表現されています。より良い大人に成長することを願って親が、我が子の身体を修正するという設定。倫理観を問いかけています。

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パトリシア・ピッチニーニ 1965年シエラレオネ、フリータウン生まれ、メルボルン在住
《親族》 2018年 ファイバーグラス、毛
オランウータンと人間の架空の交配種をもとに、母親が2人の子どもを優しく抱く彫刻。
「自然とは何か」「人工的に新しい生命を作ることは進化と呼べるのか」「代替臓器を作るためのヒトと他の生物種の混合体のような生命に対して、人は共感できるのか」「人間のニーズに合わせて人工的に進化させることはどこまで許されるのか」

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ディムート・シュトルーベ ベルリン生まれ、アメリカ在住
《シュガーベイブ》 2014年 
バイオプリンターで制作された生骨髄細胞と細胞培養基材、血漿(プラズマ)ガラス製容器、循環システム、マイク、スピーカー他
フィンセント・ファン・ゴッホが切り落とした左耳を「生きた状態」で再現した本作は、「タンパク質による彫刻」で、話しかけると神経インパルスを模した音がリアルタイムで生成される仕組みを持つ。


5、変貌する社会と人間
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ラファエル・ロサノ=ヘメル&クシュシトフ・ウディチコ
ロサノ=ヘメル;1967年メキシコ・シティ生まれ、モントリオールとマドリッド在住
ウディチコ;1943年ワルシャワ生まれニューヨーク、ボストンとワルシャワ在住
《ズーム・パビリオン》 2015年 インタラクティブ・ビデオ・インスタレーション
顔認識のアルゴリズムを使用して室内の鑑賞者が検出され、位置や行動、関係性などが壁に表示されて映し出されます。そのため表情の機微までもがつぶさに他の鑑賞者と共有されます。


—HPの解説ー
ーの発達は、いま、私たちの生活のさまざまな側面に大きな影響を与えようとしています。近い将来、人間は多くの判断を AI(人工知能)に任せるようになり、AIが人類の知能を超え、私たちの社会や生活に急激な変化をもたらす「シンギュラリティ」が到来すると言われています。また、ブロックチェーン技術は、社会システムに新たな信用と価値を作り出し、多様なバイオ技術は、食や医学、そして環境に多大な影響を与えることになるでしょう。私たち人間が身体機能を拡張させ、いま以上に長寿を享受する時代もそう遠くない話なのかもしれません。そうした急激な変化がもたらす未来は決して明るいものだけではないかもしれませんが、私たちは、少なくとも20-30年後の未来のヴィジョンについて考えることが必要なのではないでしょうか。それは同時に、豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何かという根源的な問いにもつながるのです。

本展は、「都市の新たな可能性」、「ネオ・メタボリズム建築へ」、「ライフスタイルとデザインの革新」、「身体の拡張と倫理」、「変容する社会と人間」の5つのセクションで構成し、100点を超えるプロジェクトや作品を紹介します。AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です。

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2020.01.08

パリ世紀末ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界展

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パリ世紀末ベル・エポックに咲いた華
サラ・ベルナールの世界展は、
渋谷区立松濤美術館で開催されています。

会期 2019年12月7日(土)~2020年1月31日(金)

ロートレックの元恋人?
サラ主演の『ジスモンダ』のポスターで一躍時の人となったミュシャ。
ルネ・ラリックとサラ・・・などなど、過去の展覧会などから、
断片的に覚えていたサラ・ベルナール、
その全貌を紹介する展覧会です。

大女優サラ・べルナール》
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W. & D. ダウニー《『テオドラ』でのサラ・ベルナール》1884 年 写真 ダニエル・ラドゥイユ・コレクション

1862年に国立劇場コメディ=フランセーズでデビュー、その後はオデオン座に移籍し、女優としてのキャリアを積みました。
1872年に出演したヴィクトール・ユゴーによる戯曲『リュイ・ブラース』での演技が高く評価され彼女は国民的人気を獲得します。
1880年に自らの名を冠した「サラ・ベルナール劇団」を立ち上げ、1899年にはパリ市立劇場を借り上げて「サラ・ベルナール座」とします。
そして、サラ・ベルナールは、興行主であり監督兼俳優としての地位を不動のものとしていきました。
さらには精力的に海外公演を行い、国際的な大女優のさきがけとなったとされます。
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ジャック・ドゥーセ《イブニングドレス》19世紀末 個人蔵

サラが活動した当時のフランスは「ベル・エポック(良き時代/美しき時代)」と呼ばれる華やかな時代でした。それはポスター芸術の黄金期でもありました。 

《サラ・ベルナールとアルフォンス・ミュシャ》
サラ・ベルナールの舞台「ジスモンダ」は好評で、年明けの再演が決まっていました。
再演告知のポスターを作らなくてはなりませんでしたが、クリスマス休暇で主だったデザイナーはいません。
パリ中を探したサラは、仕方なく、休暇をとったデザイナーの代わりに出社していた無名のミュシャにポスターの依頼をします。
ミュシャは年末の数日間でポスター「ジスモンダ」を完成させます。
出来上がったポスターを見たサラは、その素晴らし出来栄えに興奮を抑えられなかったそうです。
街に貼られたポスターは、すぐに持ち去られ、ミュシャは一躍時の人になりました。
サラと6年間の専属契約を結んだミュシャは、その後も次々とサラ主演の公演ポスターを制作しました。
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アルフォンス・ミュシャ《ロレンザッチオ》1896年 堺アルフォンス・ミュシャ館蔵

1891年もしくは1894年にラリックはサラと知り合います。
サラがプライベートや舞台上でルネ・ラリックの装飾品を身に付けたことで、ラリックは世間の注目を集めることになりました。
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デザイン:アルフォンス・ミュシャ/制作:ルネ・ラリック《舞台用冠 ユリ》1895年 箱根ラリック美術館蔵

サラ・ベルナールは、画家たちにインスピレーションを与えるミューズでもあるとともに、自ら著作の出版や、芸術家として彫刻を制作するなど多様な分野で活躍しました。
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《サラ・ベルナール(H・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックによる俳優13人の肖像画〉連作から)》1898年 個人蔵

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サラ・ベルナール《キメラとしてのサラ・ベルナール》1880年頃 エタンプ市美術館蔵

展覧会の構成は次の通りです。
第1章 サラ・ベルナールの肖像  ―女優、時代の寵児として
第2章 パトロンとしてのサラ・ベルナール ―ミュシャ、ラリックとの関係 
第3章 サラ・ベルナールとその時代-ベル・エポック
第4章 サラ・ベルナール伝説

—HPの解説ー
フランス出身の女優、サラ・ベルナール(1844*‐1923)は、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて活動しました。パリで女優として成功を収めた後は、ヨーロッパ諸国やアメリカなどフランス国外にも活躍の場を広げました。また、自らの一座を立ち上げ劇場経営にも携わったほか、アーティストとして彫刻作品の制作を行うなど、生涯にわたって幅広い活躍を続けます。
サラは画家アルフォンス・ミュシャ(1860‐1939)や宝飾デザイナーのルネ・ラリック(1860‐1945)など、若き芸術家たちの才能をいち早く見出し、パトロンとしてその活動を庇護したことでも知られています。このようにサラはのちにアール・ヌーヴォーの旗手となる芸術家たちが大成する素地を作っただけでなく、そのデザインの成立にも深く関わった人物であったことがわかります。
本展は、サラの人生を当時の貴重な写真や肖像画、舞台衣装や装飾品のほか、ミュシャやラリックによる作品をもとに通覧する、日本初の展覧会です。また、彼女が生きたベル・エポックの時代に制作された華やかなポスター作品なども展示し、サラ・ベルナールの世界を多面的にご紹介します。

*サラの生年については諸説ありますが、本展では1844年に生まれたとする説を採用しています。

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2020.01.03

博物館に初もうで 2020年

2020
東京国立博物館「博物館に初もうで」
会期 2020年1月2日(木)~1月26日(日)

トーハクのお正月2〜3日は様々なイベントが行われます。
獅子舞と和太鼓演奏は、毎年本館入り口で開催されていましたが、今年は東洋館前に舞台を移しての開催でした。
特別公開「高御座・御帳台」が行われているためでしょうか?
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和太鼓演奏

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獅子舞

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特別公開「高御座・御帳台」入場に並ぶ人々、この時90分待ちでした。

本館 特別1室・特別2室では、
特集「博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ」が開催されています。
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以下のカテゴリーに分けての展示です。
《十二支の鼠》
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十二支図帯止 赤銅、色絵など江戸〜昭和時代・19〜20世紀

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十二支図 渡辺南岳筆 江戸時代・18世紀

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鼠か描かれた部分

《大黒天と鼠》
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袱紗 紺繻子地鼠大根米俵摸様 江戸時代18〜19世紀

《さまざまな鼠色》
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《さまざまな鼠色》展示風景

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一つ身振り袖 鼠色縮緬地萩流水烏帽子鞍摸様 江戸時代・19世紀
赤子のための着物

《鼠の名前と分類》
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動物図張込帳 田中房種編 明治4〜12年(1871〜79)

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著獣図 紙本着色 江戸時代・19世紀

《かわいい鼠》
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鼠蒔絵印籠 朱漆銘「塩見政誠」 明治時代・19世紀

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鼠水滴 明治時代・19〜20世紀 

《鼠と猫》
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鼠よけの猫 歌川国芳筆 江戸時代・19世紀 

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鼠草子(部分) 江戸時代・18世紀


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本館、総合文化展でもお正月にちなんだ沢山の展示を見ることができます。

国宝展示室には恒例の長谷川等伯「松林図屏風」が展示されていて相変わらずの人気でした。
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2020.01.01

新年のご挨拶 令和2年(2020)

明けましておめでとうございます。
旧年中は、拙ブログにお付き合い頂きありがとうございました。
本年も宜しくお願い致します。

今年はオリンピック開催で盛り上りそうですね。
チケット抽選は惨敗、せめてマラソンだけでも・・・と思っていたら札幌開催に変更、完全TV観戦です。

相変わらず今年も、美術館、博物館の訪問記が中心になりますが、暇な時にでも覗いてみてください。

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指月布袋画賛 仙厓 江戸時代 紙本墨画・墨書

 

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