ゴッホ展 ハーグ、そしてパリ。ゴッホへの道
「ゴッホ展 ハーグ、そしてパリ。ゴッホへの道」は、
上野の森美術館で開催されています。
(置いてあったチラシは兵庫県立美術館のものでした)
会期 10月11日 (金) 〜 2020年1月13日 (月)
過去、さまざまな角度から焦点を当てたゴッホの展覧会が開かれてきました。
この展覧会は、パリ以前のハーグ派の影響下で描いた作品をより多く展示しています。
ひたすら描き続けた10年を、残された手紙とともに辿ります。
(展示会場には、手紙の抜粋がたくさん表示されています)
ゴッホ展はいつも人気ですね、入場待ちはありませんでしたが、会場内は狭いこともあって混み合っていました。
展覧会の構成は次の通りです。
Part1 ハーグ派に導かれて
独学からの一歩
他の画家たちがそうしてきてるように、農民の暮らしのすべてを観察して描くよ。
1881年9月半ば 弟テオへの手紙より(エッテン)
ハーグ派の画家たち
何か、他のものに手を付ける前に、素描をもっと多く、そして誠実にやれと諭してくれたのはマウフェ自身だったんだ。
1885年7月23日頃 弟テオへの手紙より(ハーグ)
≪ 4頭の曳き馬 ≫アントン・マウフェ 制作年不詳 油彩・板 ハーグ美術館
テオ、色調と色彩がどれほど重要なことか!それに対する感覚をつかめない者は、生命を表すことなんてとうていできないだろう。
これまで僕には見えていなかったものをマゥフェはたくさん教えてくれた。
1881年12月23日頃 テオへの手紙より(エッテン)
≪ 出会い(仔ヤギ) ≫マテイス・マリス 1865-66年頃 油彩・板 ハーグ美術館
農民画家としての夢
作品中の農民の姿を描くこと、それこそが人物像のなんたるかだよ。
1885年7月14日頃 弟テオへの手紙より(ニューネン)
≪農婦の頭部 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1885年、ニューネン 油彩・カンヴァス
スコットランド・ナショナル・ギャラリー
≪ ジャガイモを食べる人々 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1885年4-5月、ニューネン リトグラフ、インク・紙
ハーグ美術館
≪器と洋梨のある静物 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1885年9月、ニューネン 油彩・カンヴァス
ユトレヒト中央美術館
Part2 印象派に学ぶ
パリでの出会い
あぁ、クロード・モネが風景を描くように、人物を描かなければ。
1889年5月3日 弟テオへの手紙より(アルル)
≪ クールブヴォワのセーヌ河岸 ≫クロード・モネ 1878年 油彩・カンヴァス
モナコ王宮コレクション
≪ ライ麦畑、グラット=コックの丘、ポントワーズ ≫カミーユ・ピサロ1877年、ポントワーズ 油彩・カンヴァス
静岡県立美術館
アルルでの開花
この1周間は、ずっと小麦畑の中にいて、太陽にさらされながらとにかく仕事をしたよ。
1888年6月21日 弟テオへの手紙より(アルル)
≪ タンギー爺さんの肖像 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1887年1月、パリ 油彩・カンヴァス
ニュ・カールスベア美術館
今週、ひまわりの絵がタンギーの店に掛かっていて、とても良い。きみの絵はタンギーの店を明るくするね。タンギー爺さんはあの絵をとても気に入っているんだが、他の作品と同じく売ろうとはしない。
1889年12月22日 弟テオからの手紙より(パリ)
≪ 麦畑 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年6月、アルル 油彩・カンヴァス
P. & N. デ・ブール財団
さらなる探求
僕の野心はほんの大地の端くれだ。芽吹く麦だ、オリーブの園に糸杉だ。例えば最後のやつなんかはそう易々とは描けない。
友人の画家ベルナールへの手紙より (サン=レミ)
≪ 糸杉 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年6月、サン=レミ 油彩・カンヴァス
メトロポリタン美術館
もうずっと糸杉のことで頭がいっぱいだ。ひまわりの絵のようになんとかものにしてみたいと思う。これまで誰も糸杉を僕のように描いたことがないというのが、驚きでしかたがない。その輪郭や比率などはエジプトのオベリスクのように美しい。それに緑色のすばらしさは格別だ。
問題は日に照らされた風景における暗い斑点だ。とても興味深いのだが、思い通りに表現するのがたいへん難しい。そして、糸杉は青を背景に、というよりは青の中にあるべきだ。
1889年6月25日 弟テオへの手紙より(サン=レミ)
≪ 夕暮れの松の木 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ
1889年12月、サン=レミ 油彩・カンヴァス
クレラー=ミュラー美術館
≪ 薔薇 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年5月、サン=レミ 油彩・カンヴァス
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
サン=レミにいた最後の数週間、一心に花束を描いたよ。バラや紫のアイリスだ。
1890年5月21日頃 妹ウィルはの手紙より(オーヴェル・シュル・オワーズ)
≪ オリーヴを摘む人々 ≫フィンセント・ファン・ゴッホ
1889年12月、サン=レミ 油彩・カンヴァス
クレラー=ミュラー美術館
そうだ、僕は絵に命を懸けた。そのために半ば正気でなくなっている。それも良いだろう。
1890年7月23日 テオへの手紙より(オーヴェル・シュル・オワーズ)
—HPの解説—
豊かな表現力と鮮やかな色彩で人々を魅了し続ける画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。彼が画家として独自の画風を確立するまでには「ハーグ派」と「印象派」の画家たちとの出会いがありました。本展では、彼に影響を与えた画家たちの作品を交えながらゴッホの画業の変遷をたどり、ゴッホが後期印象派を代表する画家の一人になるまでを紹介します。
| 固定リンク
コメント