「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯国~その至宝コレクション~」
「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯国~その至宝コレクション~」は、
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。
会期 2019年10月12日(土)~12月26日(木)
この展覧会、花をテーマにした作品の素晴らしさが目立ちました。
最終コーナー「第7章 花の静物画」は撮影可でした。
花の静物画展示風景
ー展覧会場の解説からー
モチーフとしての花は、静物画というジャンルの成立を告げる役割を果たしている。何かを物語るための手段であった古いオランダ絵画に描かれた花を学びつつも、バロック以降の時代においては、美的な関心や未知の植物への興味を背景に、植物を題材とした芸術作品が大量に生み出されることになった。
バロック期のオランダを代表する画家たちは、あらゆる種類、由来、分野の花を豪奢な花束としてひとつにまとめた静物画を描いている。こうした絵画においては同じ時期には咲かない花が一緒に描かれているが、自然に忠実な植物表現が本質的な価値基準として設定されていたので、季節や他の植物分野との整合性は二次的なものと見なされたのである。
18世紀以降のウィーンでは、植物への関心が高まる社会を背景に、ヴァルトミュラーなどの芸術家がこのような伝統をビーダーマイヤー期まで継続した。リヒテンシュタイン家を含めた各コレクションが所蔵していたこうした絵画は盛んに学ばれ、コピーされていたが、ウィーン窯でも花の静物画を磁器に絵付けした製品を盛んに生産していた。ヨーゼフ・ニッグ(1782-1863)が教鞭を執った磁器製作所併設の花の絵付けを学ぶ教室は、特にビーダ―マイヤー期に花の静物画が発展するために重要な場所であった。
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》1839年、油彩・板
ウィーン窯で作られた陶板画です。
(左)《白ブドウのある花の静物》(右)《黒葡萄のある花の静物》
帝国時期製作所/絵付け:ヨーゼフ・ニッグ 1838年、硬質磁器
ウィーン窯・帝立磁器製作所/ 絵付け:ヨーゼフ・ガイアー《色絵金地花文クラテル形花瓶》1828年頃、硬質磁器
ウィーン窯・帝立磁器製作所/ 絵付け:アントン・デーリンク、イグナツ・ヴィルトマン《金地花文ティーセット》1815年、硬質磁器
展覧会の構成はつぎの通りです。
第1章 歴史と貴族の生活
ヨーゼフ・ノイゲバウアー《リヒテンシュタイン侯フランツ1世、8歳の肖像》
第2章 宗教画
ルーカス・クラーナハ(父)《聖バルバラ》1520年以降、油彩・板
マルコ・バザイーティ《聖母子》1500年頃、油彩・板
第3章 神話画・歴史画
ペーテル・パウル・ルーベンスと工房《ペルセウスとアンドロメダ》1622年以降、油彩・キャンヴァス
第4章 磁器―西洋と東洋の出会い
磁器:日本・有田 金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴェルト《染付山水文金具付ポプリ蓋物》
本体:1680-1700年、磁器 金具装飾:1775/1785年、鍍金されたブロンズ
第5章 ウィーンの磁器工房
ウィーン窯・デュ・パキエ時代(1718-1744)《カップと受皿(トランブルーズ)》1725年頃、硬質磁器、黒呉須、多彩色上絵付
第6章 風景画
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー
《イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望》1840年、油彩・板
第7章 花の静物画
ーHPの解説からー
世界で唯一、侯爵家(君主)の家名が国名となっているリヒテンシュタイン。スイスとオーストリアにはさまれた小国ながら、世界でも屈指の規模を誇る個人コレクションを有し、その華麗さが宝石箱にもたとえられ世界の注目を集めています。
本展は、侯爵家秘蔵のルーベンス、ヤン・ブリューゲル(父)、クラーナハ(父)を含む、北方ルネサンス、バロック、ロココを中心とする油彩画と、ヨーロッパでも有数の貴族の趣向が色濃く反映された、ウィーン窯を中心とする優美な陶磁器、合わせて約130点で構成されます。絵画と陶磁器の共演は、優雅さとくつろぎが調和する貴族の宮廷空間へ誘ってくれることでしょう。
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