オランジュリー美術館コレクション 「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展
オランジュリー美術館コレクション 「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」は、
横浜美術館で開催されています。
会期 2019年09月21日(土)〜2020年01月13日(月)
20世紀初頭のパリ、モンパルナスの芸術家たちと親交をもったポール・ギョームは画廊を開設し、自らもコレクターとして作品を収集します。
そして、自邸を美術館にする構想をいだきますが、実現できぬまま亡くなります。コレクションを引き継いだ妻のドミニカが手を加えますが、最終的にフランス国家に譲渡され、オランジュリー美術館で展示されることになります。
ポール・ギョームの邸宅(フォッシュ通り22番地、1930年頃);ポール・ギョームの書斎
当時の写真や資料に基づく再現模型(1/50)制作:レミ・ムニエ(2006年)オランジュリー美術館
アメデオ・モディリアーニ《新しき水先案内人ポール・ギョームの肖像》1915年、油彩、厚紙を貼った合板
モディリアーニはモンパルナスにアトリエの提供を受けています。若きパトロン、ギョームは弱冠23歳でした。
アンドレ・ドラン《大きな帽子を被るポール・ギョーム夫人の肖像》1928-29年、油彩、カンヴァス
この展覧会で詳しくは触れられていませんが・・・・
ポール・ギョームは、自動車修理工場で働いていたときに、アフリカから輸入したタイヤの原料となるゴムの荷物の中にアフリカ彫刻を見つけ、その造形に魅了されます。
以後アフリカ彫刻売買の仕事を始めます。
ギョームは、パリにおけるアフリカ彫刻ブームのきっかけを作ったとされます。
ギョームは、元々パリのナイトクラブで働いていたドミニカ(ジュリエット・ラカーズ)と結婚します。
このドミニカという女性、いわゆる悪女とされる人物のようで・・・
ギョームは若くしてなくなりますが、生前「自分のコレクションを国に寄贈する」と遺言していました。
ギョームの死後ドミニカはジャン・ヴァルテルと結婚します。ヴァルテルとの関係はギョームの生前からあったようです。
ドミニカは、コレクションが国に渡るのを阻止すべく、「ギョームとの間に子供がいた」とでっち上げます。子どもとして連れてこられたのがジャン=ピエールでした。
やがてジャン・ヴァルテルが不審死・・・ドミニカには別の愛人がいたようで。
子供とされたジャン=ピエールは、ドミニカが「自分を殺そうとしている」と訴えを起こします。
訴訟問題を抱えたドミニカは司法取引でコレクションの数点を売却したとも・・・・
結局ドミニカは、ピエールとの確執を抱えながら亡くなります。
最終的にコレクションはフランス政府寄贈されました。
ドミニカが収集した作品にも評価はあるようですが、
ドミニカは、あまり前衛的な作品を好まず趣味に合わないものは売却し、自分好みのコレクションに作り変えたようです。
その一旦は、この展覧会のピカソの展示作品にも表れているように思いました。
パブロ・ピカソ《布をまとう裸婦》1923年頃、油彩・カンヴァス
重量感のある彫刻的な裸婦像は、ピカソの新古典主義時代の根幹をなす主題でした。
という経緯は別として多くの画家のパトロンとして、画商、コレクターとして活躍したギョームが集めた印象派とエコール・ド・パリの作品は、見応えがありました。
この展覧会では、ギョームと関わった13人の画家を、経緯を交えた解説を参考に観ていきます。同美術館所蔵146点の約半数70点が展示されています。
アルフレッド・シスレー《モンビュイソンからルヴシエンヌへの道》1875年、油彩・カンヴァス
クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年、油彩・カンヴァス
オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス
ポール・セザンヌ《りんごとビスケット》1879-80年頃、油彩・カンヴァス
「りんごでパリを征服する」と語りシンプルな形の果物と食器などをモチーフに絵画の革新に取り組みました。
アンリ・ルソー《婚礼》1905年頃、油彩・カンヴァス
最後列右から2番目がルソーです。
アンリ・マティス《赤いキュロットのオダリスク》1924-25年頃、油彩・カンヴァス
キース・ヴァン・ドンゲン《ポール・ギヨームの肖像》1930年頃、油彩・カンヴァス
アンドレ・ドラン《アルルカンとピエロ》1924年頃、油彩・カンヴァス
マリー・ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》1923年、油彩・カンヴァス
シャネルは本作を気に入らず、受取を拒否しました。画家はシャネルを「田舎娘」一蹴し、肖像画を描き直すことはなかったそうです。
モーリス・ユトリロ《サン=ピエール教会》1914年、油彩・補強した厚紙
シャイム・スーティン《小さな菓子職人》1922-23年、油彩・カンヴァス
ーHPの解説からー
展覧会概要
横浜美術館開館 30 周年を記念して、オランジュリー美術館所蔵品による「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した 12 人の画家たち」を開催いたします。
パリのセーヌ川岸に建つ、オレンジ温室を改修した瀟洒な佇まいのオランジュリー美術館。画商ポール・ギヨームが基礎を築いた同館所蔵の印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、マティス、ピカソ、モディリアーニらによる名作がそろったヨーロッパ屈指の絵画コレクションです。
ギヨームは若き才能が集まる 20 世紀初頭のパリで画商として活動する一方、自らもコレクターとして作品を収集しました。私邸を美術館にする構想を果たせぬまま彼が若くして世を去った後、そのコレクションはドメニカ夫人により手を加えられていきました。そしてこれらの作品群はギヨームとドメニカの二番目の夫の名を冠した「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」としてフランス国家へ譲渡され、同館で展示されるようになりました。
本展は同館が所蔵する 146点の絵画群のうち 13人の画家による約 70点が、21 年ぶりにまとまって来日する貴重な機会です。コレクションに秘められた物語とともに、世界中の人々に愛され続ける名品の数々をご堪能ください。
| 固定リンク
コメント