ジョン・グールドの鳥類図譜ー19世紀 描かれた世界の鳥とその時代
玉川学園創立90周年記念特別展
「ジョン・グールドの鳥類図譜ー19世紀 描かれた世界の鳥とその時代」は、
玉川大学教育博物館で開催されています。
会期 2019/10/28(月)~2020/2/2(日)
展示期間の前期と後期で一部の資料の入れ替えがあります
前期 2019/10/28(月)~12/7(土)
後期 2019/12/10(火)~2020/2/2(日)
キャンパス内の施設ですので、休館日などは確認要です。
入校の際、詰め所での手続きが必要です。
この企画展は、短期間でしたが東京芸術劇場でも開催されました。
上皇上皇后両陛下が行幸啓になり、玉川大学教育博物館外来研究員の黒田清子さんが展示物に関してご説明しました。
2012年にもこの教育博物館で「ジョン・グールドの鳥類図譜」の展覧会は開催されていて、この時も平成天皇皇后両陛下、秋篠宮殿下妃殿下がご覧になっています。
私もこの展覧会で「ジョン・グールドの鳥類図譜」の図像の美しさに魅了された一人です。
山科鳥類研究所と玉川学園教育博物館のコレクションを合わせると、グールドの鳥類図譜をほぼすべて網羅することになるそうです。
「ヒマラヤ山脈百鳥類図譜」全1巻(1831-1832)
「ヨーロッパ鳥類図譜」全5巻(1832-1837)
「オオハシ科鳥類図譜」全1巻(初版;1833-1835 補遺;1858-1875)
「キヌバネドリ科鳥類図譜」全1巻(初版;1836−1838 補遺;1858-1875)
「鳥の図像第1分冊」(1837−1838)
「オーストラリア及び近隣諸島の鳥類概説」(1837-1838)
「オーストラリア鳥類図譜」全8巻(1840−1848 補遣;1851-1869)
「アメリカ産ウズラ類鳥類図譜」全1巻(1844-1850)
「ハチドリ科鳥類図譜」全6巻(1849-1861 補遺;1880-1887)
「アジア鳥類図譜」全7巻(1849-1883)
「イギリス鳥類図譜」全5巻(1862-1873)
「ニューギニアおよびパプア諸島鳥類図譜」全5巻(1875-1888)
ジョン・グールド「ハチドリ科鳥類図譜」第2巻
出版:メルボルン ヒル・ハウス 1994
この本は頁をめくって、見ることができます。
展覧会の構成は以下の通りです。
19世紀に至るまでの博物画
オランジェリー・コレクションの鳥類図譜の墨摺り画が主に展示されています。
グールドの鳥類図譜ができるまで
グールドの標本「アカボウシヒタキモドキ」山科鳥類研究所所蔵
ジョン・グールドが描いた原画、工房スタッフの描いた原画の展示。
ジョン・グールド書簡などの展示。
グールド鳥類図譜制作の一般工程(文章だけだと分かりずらいですね。会場の解説パネルには工程ごとの画像があります。また、ハチドリが描かれた石版(復元)の展示もあります)
①グールドが実際の鳥の観察や剥製などをもとにラフスケッチを描く、またはグールドの指示により画家がラフスケッチを描く。
②グールドの監修のもとラフスケッチを参考にして、画家がラフスケッチを描く。
③グールドの監修のもと、レイアウト画を参考にして原画を描く
④レウアウト画、または原画から図をトレースする
⑤トレースの絵柄に木炭か黒鉛をぬる
⑥石版面に裏面を上にしたトレース紙をのせ、アウトラインを描く
⑦石版面にアウトラインが描かれる
⑧石版面の転写した図の線をもとに画家が油性描画材で描く
⑨出来上がった石版を印刷所に運び、刷師は描いた石版面に薬品を加えて製版を行う
⑩版面に水を含ませる
⑪版面にローラーでインクをのせる(描いていないところにはインクがつかず、描いたところにはインクがつく)
⑫刷師がプレス機を使って墨刷版を印刷する
⑬刷られた墨刷版に色着師が原画を参考にして彩色を行う
グールド工房の画家と制作を支えた人々
エリザベス夫人の原画、工房ので制作に携わった人々の履歴紹介と原画が展示されています。
描かれた鳥たちーグールドの鳥類学
制作に加わったH.Cリヒター、ジョン・グールドの作品が多く展示されていました。
長谷川正美、黒田清子作成「グールド図譜による鳥類系統樹曼荼羅」の展示もありました。
グールド制作鳥類図譜
図譜原本の展示です。
コトドリ「オーストラリア鳥類図譜」第3巻
アカオビチュウハシ「オオハシ科鳥類図譜(補遣)」山科鳥類研究所所蔵)
ギンケイ「アジア鳥類図譜」第7巻
ウスグロハチドリ「ハチドリ科鳥類図譜」第2巻
カタカケフウチョウ「ニューギニア及びパプア諸島鳥類図譜」第1巻
19世紀を彩る鳥類図譜
主にオランジェリー・コレクションから、19世紀の鳥類図譜を紹介しています。
栗本丹州(写)「百鳥図 附百鳥図賛」の展示もありました。
玉川学園教育博物館HPの鳥人ジョン・グールドの世界に詳しい解説がありますので興味がある方は是非。
ーHPの解説ー
19世紀ヨーロッパでは、世界各地から送られてくる物珍しい動植物が人々の関心を集め、標本の展示会が開かれ、実物大の絵に解説を付した図譜が多数制作されました。なかでもイギリスの博物学者ジョン・グールド(1804-81)が制作した鳥類の図譜は、絵の美しさと学術的内容をそなえ、現在も世界的に貴重な資料として高く評価されています。
このたび、玉川学園創立90周年を記念し、玉川大学教育博物館の所蔵するジョン・グールドの鳥類図譜全41巻を6年ぶりに公開するとともに、山階鳥類研究所より『オオハシ科鳥類図譜(補遺)』『キヌバネドリ科鳥類図譜(補遺)』『鳥の図像』の3巻及びグールドの標本6体を出品いただき、国内で初めてグールドの鳥類図譜44巻を一堂に展示する特別展を開催します。
展示は、「鳥類図譜の成り立ちと技術」「グールドの鳥類学」「19世紀の鳥類図譜」などをテーマに、グールドの鳥類図譜を中心に、同時代に制作された他の鳥類図譜、グールドのスケッチ、レイアウト画などによる図譜の制作過程や石版画の制作方法がわかる資料、鳥類の進化の様子をグールドの図版で示した鳥類の系統樹マンダラなどを展示します。
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