風景の科学展 芸術と科学の融合
企画展「風景の科学展 芸術と科学の融合」は、
国立科学博物館 日本館1階企画展示室で開催されています。
会期 9月10日(火)~12月1日(日)
写真家上田義彦氏の世界各地の風景写真に、研究者が解説文をつけ標本とともに展示。グラフィックデザイナー佐藤卓氏の企画による美しい展示空間もみどころ。(HPより)
写真の構図とか、光の表現とか、色彩表現とか・・・を科学者が定量的に検証し解明するという企画展ではありません。
先日旅行した時にも、この展覧会とか、北海道に取材した画家の展覧会のことが脳裏に浮かびました。
例えば、先日撮ってきた青い池。
この写真から・・・
「透き通るような青い水面に映る木立と朽ち果てようとする池の白樺。遊歩道には活き活きとした白樺の木」という感想もあるでしょう。
この展覧会の解説では、こうなるのかもしれません。
「この付近の湧水には水酸化アルミニウムなど、主に白色系の微粒子が含まれており、美瑛川本流の水と混ざることによって分散され一種のコロイドが生成される。水中に差し込んだ太陽光がコロイドの粒子と衝突散乱して水の吸収による青色の透過光が加わり、美しい青色に見える」(Wikipediaを参考にしました)
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この写真から、専門知識をもった科学者はこの様な連想をするのだな~
科学博物館ならではの楽しい展覧会だと思いました。全文を読んでいくとチョット疲れるかな~
以下の解説文は、展覧会場の解説パネルの内容の一部を、書き写したものです。
グレンコー(スコットランド)
深淵たるバイソンの群れ
最終氷期である約2万年前、日本の本州北部では、この写真で見られるような環境があったはずで、そこには寒冷地域の草原や森林ステップに適応したステップバイソンが棲息していた。岩手県一関市花泉から保存状態の良いステップバイソンの化石が見つかっている。
ステップバイソン肩甲骨
ガンジス川(インド)多様な人類の集団の混合
アフリカで生まれた人類は、およそ6万年前に世界に旅立った。インドはアジアへの進出の起点となる地域だったので、その後、東南アジアや東アジア、オセアニアや南北アメリが大陸に進出した人々はみな、この地を通過したことになる。
ガンジスガワイルカの頭骨
世界には本来は海に住む海棲哺乳類の仲間が棲息する大河がある。ガンジス川もそのひとつで、体長2.6m淡褐色のカワイルカであるガンジスガワイルカが棲息している。
屋久島(日本)
屋久島の付着藻類被膜
日本のきれいな河川に見られる珪藻の多くは日本固有種である。日本国内でそれぞれの地域に固有の種が存在するかどうかは、まだまだ研究途上だが、屋久島の付着性藻類マットからは今のところ他の地域からの報告はない珪藻の固有種が見つかっている。
東尋坊(日本)東尋坊風景
この写真で激しい波を打ち浴びている黒い岩石は「安山岩」という、日本にもっとも多く分布する火山岩である。東尋坊の安山岩は約1500万年まえに日本海が開いて日本列島がユーラシア大陸から分断されたとき地下が割れて噴出したマグマが固化したものである。
一例を記しましたが・・このような作品とその解説が続きます。
—HPの解説—
芸術家の目が切り取った風景に、自然科学の研究者は何を見るのだろうか。
本展では、写真家・上田義彦が撮影した写真を、国立科学博物館の研究者が解説し、対象物とともに展示する。
解説の多くは風景の背後にある時間の流れを意識したもので、瞬間を切り取った写真に
重層的な意味を付け加えている。風景に地球の歴史を感じることは、私たちの認識をより深いものにするはずで、
そこに「芸術と科学の融合」の目指す地平がある。 ―国立科学博物館 篠田 謙一
自由な芸術と、事実の科学。芸術と科学はまったく違うベクトルのように思える。
いつの間にか、そんな概念が我々に刷り込まれてはいないだろうか。しかし人は、意識と感覚を分けて
生きているわけではない。見るという意識の直後に、好き嫌い、気持ちいい気持ち悪い
という感覚が沸き起こる。その後に初めて、その感覚がどこから来ているのかを知りたいと思う。
「何だこれは?」という感覚的な興味が、「もっと知りたい」と事実を欲求するのである。
写真という芸術を入口に、科学の世界に誘う展示を、さてあなたはどう見るだろうか。 ―グラフィックデザイナー 佐藤 卓
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