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2019.08.30

科博NEWS展示「黒潮を越えた丸木舟 ~台湾→与那国島 航海の全記録~」

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科博NEWS展示「黒潮を越えた丸木舟 ~台湾→与那国島 航海の全記録~」は、
国立科学博物館「日本館1階中央ホール」で開催されています。

会期 2019年8月16日(金)~9月8日(日)

準備に3年、実行にさらに3年をかけた実験航海が今年7月に見事成功して話題になりました。この展示会場には今回の航海に使った丸木舟、櫂、旧石器時代の石斧レプリカなどが展示されています。
さらに初公開の短編動画、パネルで詳細を解説しています。

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日本旧石器時代の砥石 刀部磨製石斧(いずれもレプリカ)

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プロジェクトの歩み
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解説パネルの展示風景
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この実験航海は「日本人はどこから来たのか?」という命題の解を求める一連の研究の一つです。
チームリーダー海野陽介さんの著作でその全体像を知ることができます。

日本人はどこから来たのか?(文春文庫)
2019年2月10日 第1刷
著者 海部陽介
発行所 株式会社 文芸春秋
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日本人はどこから来たのか? (目次)

はじめに 私たちはどこから来たのか? 
遺跡調査は日本の国内で閉じているかぎり本当のことはわからない。本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究と言う重層的なこの10年の研究で浮かび上がってきた、人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である

第1章 海岸沿いに広がったのか?
私が強く違和感を抱いてきたのが、欧米研究者の間でいつのまにか定説となっている「海外移住説」だった。アフリカを出た人類は、中東から海岸沿いに広がっていったというものだが、はたしてそれは本当だろうか?

第2章 私たち以前の人類について
かつて私たちホモ・サピエンス以外にもいくつもの種類の人類がいた。北京原人やジャワ原人らの原人、より人間に近いネアンデルタール人らの旧人。これら滅びてしまった人類のことをまず、整理しておく必要がある

第3章 ヒマラヤ南ルート 
世界各地の遺跡年代をマッピングすると、ホモサピエンスは4万8000年前、ヒマラヤ山脈を隔てて、南北に分かれて拡散していったことがわかる。インドから東南アジアへ進んだ「南ルート」をたどった者たちを見る

第4章 ヒマラヤ北ルート
ヒマラヤの北ルートへ回った集団は予想外に早く南シベリアに進み、北極圏に至ったものまでいた。さらにモンゴルを経て、4万年前頃には中国、中国、朝鮮半島など東アジアに到達したらしいことが、石器の特徴から見えてくる

第5章 日本への3つの進出ルート
日本では3万8000年前に、突如人類遺跡が爆発的に現れる。それ以前の遺跡には確証がない。それまでいわば無人の野だった日本へ、対馬、沖縄、北海道の3ルートから別々に、初めて祖先が足を踏み入れた

第6章 対馬ルート、最初の日本人の謎
3ルートで最も早く日本に入ったのが対馬、学会では見過ごされてきたが、対馬から本州へは海を越える必要がある。しかし到来直後の遺跡からは、世界最古の往復航海を示す証拠が。最初の日本人は、航海者だったのだ。

第7章 沖縄ルート、難関の大航海
沖縄に来た祖先は誰だったのか。本州と全く異なる遺跡証拠は南ルートを示唆する。だがそれには台湾から黒潮を横断し100キロをはるかに超える航海が必要。その本当の困難さを知るには、航海の再現実験しかない

第8章 北海道ルート、シベリアからの大移動
北海道の人類出現は3ルートで最も遅い。すると彼らは大陸でなく本州由来の可能性もあるのか?だが北海道の2万5000年前の石器文化は北ルートと共通する。やはりシベリアから南下してきた祖先がいたのだ

第9章 1万年後の再会
対馬から入ってきた「最初の日本人」のルーツはどこなのだろう。今わかる証拠から考えられることはひとつ。ヒマラヤ南北ルートをたどったそれぞれの集団は、東アジアで1万年ぶりに再会し、混じりあったのだ

第10章 日本人の成立
3つのルートからそれぞれ日本列島に入ってきた3つのグループはいかにして今日の日本人までつながっているのだろうか? 朝鮮半島や中国で発掘される人骨や石器 などとの比較や、DNA研究でここまでわかった

第11章 ついに始動した「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」
アジア大陸と日本列島の間に広がる大きな海。3万年以上前に、祖先たちはこれをどう越えたのか? 謎を解くための壮大な実験プロジェクトが始まっている。数々の新しい発見を生み出した、プロジェクトの過去2年間を振り返る

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過去の関連投稿です。

ヒマラヤの北ルートへ回った集団は予想外に早く南シベリアに進み・・・・マンモスに遭遇した?
「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-

北海道ルート シベリアからの大移動
北海道縄文人 全ゲノム完全解読(礼文島の船泊遺跡から出土した約3800年前の縄文人)

砂丘に眠る弥生人-山口県土井ヶ浜遺跡の半世紀-

沖縄の旧石器時代が熱い!

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2019.08.27

中村弘峰「SUMMER SPIRITS」

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中村弘峰「SUMMER SPIRITS」は、
ポーラミュージアムアネックスで開催されています。

会期 2019年8月8日(木)〜9月1日(日)

古の文化と現代を組み合わせて、時代のギャップを感じながら楽しませてくれる作品、そんな作品を作る作家は多く存在しますが、

中村弘峰の作品は、「子供成長を願ったお雛様や五月人形に代表されるような、人々が人形に対してい抱いてきた祈りや願いが込められており、今も昔も変わらない人間の普遍さも表しています」(HPから)
そこに子供の夢をプラスした様々な作品はわくわくするほど楽しいですよ。

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The Otogi League Allstars:Momotaro  陶彫彩色 2015 作家蔵
「私の息子の節句のために制作しました」こんなお父さん・・羨ましいですね。

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打刀 銘 青龍 木彫彩色 edition 1/1 

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一同 礼っ! 陶彫彩色 2019 edition 1/1

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白虎の剣 陶彫彩色 2019 edition1/3

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日はまた昇る2019 edition1/3

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この矢はづせ給うな 陶彫彩色 2019 作家蔵
作者が今年四月に生まれた次男に作った端午の節句の人形 

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御伽大熊猫 2019 edition 2/6 

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AIR不老Ⅰ 弁慶model 陶彫彩色 edition 1/1


—HPの解説— 
中村弘峰は、104年続く博多人形師の4代目として福岡に生まれ、東京藝術大学大学院を修了後、家業を引き継ぎながら、従来の概念に留まらない創作人形を発表しています。中村の斬新な作品は、江戸時代の人形師が、現代にタイムスリップしたらどうなるか、という視点から発想を得て制作を行っています。その緻密な文様や色彩の美しさは、思わず見ている者の目を奪いますが、現代風にアレンジされた表現とのギャップも魅力のひとつと言えます。ユーモアの中にも、子供の成長を願ったお雛様や五月人形に代表されるような、人々が人形に対して抱いてきた祈りや願いが込められており、今も昔も変わらない人間の普遍さも表しています。
本展覧会では人気の高いアスリートシリーズから動物シリーズまで、新作を中心に約40点を展示予定です。

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2019.08.24

北斎展 リ・クリエイト(複製画)で天才絵師、北斎の謎と技に大接近!

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「北斎展 リ・クリエイト(複製画)で天才絵師、北斎の謎と技に大接近!」は、
そごう美術館で開催されています。

会期 2019年7月27日(土)〜9月1日(日)

数年前の福岡伸一監修「フェルメールの大国」リ・クリエイトは評判でした。
今回は「葛飾北斎」です。
放映ビデオの中で福岡さんは、「フェルメールブルー」(ターバン着彩のラピスラズリ)、「北斎ブルー」ベロ藍のバリエーション、その魅力に言及しています。
人間には原初より、海の青、空の青がDNAに組込まれていると・・・
北斎に限らず、浮世絵の魅力の一つはベロ藍のグラデーションによる表現ですよね。

夏休み期間中とあって、子供たちが熱心にメモしたり、写真に撮っていました。
解説パネルの内容も充実しています。


このコーナーも人気があって、皆さん波間に入って記念撮影をしていました。
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以下展示風景です。
暖簾をくぐって・・・
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富嶽三十六景 拡大版(46点)
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復刻版浮世絵木版画 岩下書店の独自解釈による『富嶽三十六景』
この解説、勉強になりましたよ。
一例です(ピントがあまかったですね)
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北斎版画にみられる遠近法のパネル解説もあります。

北斎漫画(初編〜十五編)の展示も楽しいです。

「富嶽百景」(計102点)
名所絵として、ほとんどの図に場所の表記をもつ『富嶽三十六景』とは異なり、風景画色の強い図でも特定の地名表記が無いものが多い『富嶽百景は、単なる風景画にとどまらず、故事や説話の情景を富士にからめて描いた絵本であり、当時、江戸の人々から好評を博した。
しかし富士山を描き続けた北斎が70歳を過ぎて生み出した『富嶽三十六景』は広く知られた作品だが、その後、75歳になった北斎による『富嶽百景』は、その作品自体よりむしろ尋常ならざる図面への意欲を著した跋文の方が広く世に知られている。

北斎自身「画眞面目の畫訣この譜に盡せり。(私の絵画の真価はこの図面で極めた)」と語ったというから、その自信のほどがうかがえる。(展示解説より)

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パネルにしての展示もあります。(拡大版)
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この様な展示解説も・・・・ジャポニズムの影響ですね。
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版画の制作過程を道具などを展示して詳しく解説しています。

木版画体験ワークショップなどが行われていて、親子での観覧者も多い展覧会でもあります。
夏休み企画としていい展覧会だと思いながら観てきました。

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2019.08.21

「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴るー スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展

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「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴るー スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展は、
すみだ北斎美術館で開催されています。

会期 2019年6月25日(火) 〜 2019年8月25日(日)

北斎の肉筆画の世界屈指のコレクションを誇るフリーア美術館は、日本美術の宝庫としても知られますが、フーリアの遺言により所蔵品はすべて門外不出とされ、その方針は現在も守られています。
本展では「綴(つづり)プロジェクト」によって、同館が誇る世界最大級の北斎の肉筆画コレクションの中から13点の高精細複製画を制作、すみだ北斎美術館所蔵作品とともに展示しています。


最近の複製技術は素晴らしく、本物の魅力を十分すぎるほど伝えてくれます。
本展では、複製画の作成過程を映したビデオの放映もあります。簡単に工程を記すと・・・

①デジタルカメラで多分割撮影したデータをパソコン上で合成します。

②この高精細デジタルデータをに対して独自の画像解析技術を使って忠実な色再現を行います。

③大型プリンターで、独自開発した紙本または絹本にプリントします。

④作品によって、伝統工芸士が金箔、銀箔、雲母の再現を行います。

⑤そして、文化財の修復に携わる伝統工芸士の技により表装が施されます。

正に本物?ですよね。

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森羅万象を描いた北斎の作品は何度見ても新しい魅力の発見があります。
展示構成は次の通りです。
1章 「玉川六景図」の研究
2章 古典と伝説
3章 美人画
4章 動物と植物
5章 自然と風景

複製画は綴(つづり)プロジェクト作品紹介 葛飾北斎で見ることができます。
玉川六景図 (高精細複製画)     葛飾北斎 原画はフーリア美術館 以下同じ 
源氏物語 早蕨図 (高精細複製画)
漁樵問答図 (高精細複製画)
雷神図 (高精細複製画) 
琵琶に白蛇図 (高精細複製画) 
遊女図 (高精細複製画)
年始まわりの遊女図 (高精細複製画) 
新年風俗図(初夢・朝化粧) (高精細複製画) 
鍋冠祭図 (高精細複製画) 
十二ヶ月花鳥図 (高精細複製画) 
蟹尽し図 (高精細複製画) 
富士田園景図 (高精細複製画) 
波濤図 (高精細複製画) 

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玉川六景図 (高精細複製画) (部分)
和歌に詠みこまれた6つの玉川(京都、大阪、和歌山、滋賀、東京、宮城)を題材とした六曲一双の屏風(6枚が左右で対象になっている)です。現在のフーリア美術館の仕立てでは、人物を右隻、風景を左隻と分けられていますが、もともとは人物と風景が一対とした計6組で構成されていた可能性が高く、本展では詳細な考察と共に、元の構成での展示を試みます。(HPより)
経緯を辿る資料が展示されています。

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年始まわりの遊女図 (高精細複製画)

フリーア美術館所蔵の肉筆画「波濤図」(複製) と、すみだ北斎美術館所蔵の版画「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の競演です。

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波濤図 (高精細複製画)

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「富嶽三十六景 神奈川県沖浪裏」 すみだ北斎美術館蔵

—HPの解説—
日本美術の宝庫として知られるフリーア美術館(米国ワシントンD.C.)は、所蔵品に関して門外不出の方針を貫いているため、日本でその名を知る人は多くありません。そこで本展では、フリーア美術館の協力のもと、特定非営利活動法人 京都文化協会とキヤノン株式会社が推進する「綴(つづり)プロジェクト」によって、同館が誇る世界最大級の北斎の肉筆画コレクションの中から13点の高精細複製画を制作、これをすみだ北斎美術館が所蔵する約130点の関連作品と共に展示します。六曲一双の大作「玉川六景図」に関する詳細な研究をはじめ、肉筆画の「波濤図」と版画の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の波の表現を比較展示するなど、最先端のデジタル技術と本物の作品の競演を通じ、北斎芸術の神髄に迫ります。


IM動画ニュース 「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴る- スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展
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2019.08.19

山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦

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「山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦」は、
日本橋高島屋で開催されています。

会期 2019年8月7日(水)~8月19日(月)

1893年(明治23)年北海道松前町に生まれた蓬春は東京美術学校西洋画科に入学しますが、教員に日本画への才能を見込まれて日本画科に転じ、松岡映丘の指導を受けます。大和絵の第一人者として活躍するなか、古今東西の芸術を吸収して絵画領域を拡げてゆきます。
伝統的な日本画に西欧的モダニズムを加えた作風は、新日本画として一世を風靡しました。

東山魁夷が「肌理の美しい作風」と言っていますが的確な表現だと思いました。

神奈川県立近代美術館に行く度に「どうしようかな~」と思いながら未だ行っていない「山口蓬春記念館」にぜひ行きたいと思いました。

展覧会の構成は次の通りです。
1、大和絵の頂点へ
2、蓬春美への飛躍
3、南方へ
昭和13、14年に台湾総督府主催の芸術展に審査員として赴き街の風景や先住民、コブ牛を写生しました。発表は先の戦争前夜。
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《南嶋薄暮》1940年(昭和15年)山口蓬春記念館蔵

4、蓬春モダニズムの展開
冴えた色彩感覚。マチス、ブラックなどの作風に接近した時期でもある。
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《佐与利》1951年(昭和26年)山口蓬春記念館蔵

1951年(昭和26年)上野動物園にやってきた愛らしい白熊を見に行き、画題に選んだそうです。02_20190819081901
《望郷 小下絵》(部分) 1953年 山口蓬春記念館蔵

5、リアリズムの追及
隈取のように表現された陰影がこの時期の作品の特徴。
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《まり藻と花》1955年(昭和30年)山口蓬春記念館蔵

6、新日本画への昇華
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《洩るゝ陽》1961年(昭和36年)山口蓬春記念館蔵

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《新冬》1962年(昭和37年)山口蓬春記念館蔵


エピローグ 蓬春へのオマージュ

 

—HPの解説—
日本画家・山口蓬春 没後50年―
大正、昭和を彩ったモダニズムの軌跡

大正、昭和の画壇で新しい日本画の創造に力を尽くした山口蓬春画伯の代表作を一堂に集め、半世紀にわたった画業の足跡をたどります。
蓬春は1893年(明治26)、北海道松前町に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)で西洋画科から日本画科に転じました。卒業後は、やまと絵の第一人者として活躍するとともに、古今東西の芸術を吸収して絵画領域を広げてゆきます。蓬春が創り上げた、伝統的な日本画に西欧的なモダニズムを加えた作風は「新日本画」として一世を風靡し、戦後の日本画壇を改革する原動力となり、後進の画家たちにも大きな影響を与えました。
つねに新しい時代の感覚を投影することで独自の世界を築き、日本画が進むべきひとつの方向を示した蓬春。初期から1971年(昭和46)に77歳で没するまでの代表作をそろえる本展は、まもなく没後50年の節目を迎えるのを前に、画伯が追い求めた新しい時代の日本の伝統美をあらためて堪能できるまたとない機会となるでしょう。

 


山口蓬春展 新日本画創造への飽くなき挑戦|高島屋
TakashimayaTV

 

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2019.08.17

「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-

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「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-は、
科学未来館で開催されています。
会期  2019年6月7日(金)~11月4日(月・休)

およそ5万年前にアフリカを出て北へと住む場所を広げ始めた新人(ホモ・サピエンス)は、その1万年後にはシベリアにたどり着きます。人類はマンモスやケサイ、トナカイ、バイソン、ヘラジカなどからなるマンモス動物群と出会います。
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ケナガマンモスのレプリカ

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チュラプチンスキーのケナガマンモス
体高が285cmで30〜40歳の雄のマンモス。2〜3頭分の骨より組み立てられています。 

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ケサイ

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ステップバイソン

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ホラアナライオン

004_20190815165401  ヒグマ、オオカミ、ユキウサギ、ウマ、クズリ、シベリアビッグホーン(別名ユキヒツジ)
人類はマンモスだけを狩猟していたわけではありませんが。大きな骨格と牙は、日常生活のさまざまな面で役立ちました。肉や内臓を食べるだけでなく、骨格で骨組みをつくり、毛皮でで覆ってテントのような住居を作って暮らしていました。
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ヤナRHS遺跡の骨角器

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ヤナRHS遺跡の石器

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トナカイの角でできた銛(上) ケサイの角でできた槍(下)

シベリアにマンモスが現れたのは、およそ40万年前です。そして今からおよそ1万年前に、孤島で生き残ったマンモス以外は、突如シベリアから姿を消しました。マンモスが人類と一緒だったのは2万〜3万年間です。
では、マンモスはなぜ絶滅したのか「気候の変化によるもの」か「人類が滅ぼしたのか」今のところ、どちらの説も根拠となる事実が足りません。
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仔ケナガマンモス「ディーマ」(標本)
年代:40,000年前/発掘:1977年6月/
発掘場所:マガダン州 コリマ川上流域

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仔マンモスのレプリカ(ミュージアムショップで展示) 

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ケナガマンモスのの頭骨と下顎骨
ケナガマンモスの歯は、上に2本下に2本の計4本です。
草をすりつぶすようにして食べていました。一日に16時間ほどかけて200㎏位食べていたそうです。

ケナガマンモスの毛を触ることができます。細いワイヤの感触でした。
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マンモスの糞
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マンモスをめぐる旅は現代へと移り、近畿大学先端技術総合研究所の加藤博己博士がロシア連邦サハ共和国の永久凍土で行われた発掘調査の現場を紹介します。本展最初のみどころである「ケナガマンモスの皮膚」や「仔ウマ」、「仔イヌ」など、世界初公開を含む数々の冷凍標本を間近で観察することができます。また、2018 年8 月にロシア北東連邦大学北方応用生態研究所(IAEN)と「マンモス展」チームにより実施された合同発掘調査の一部始終を、「マンモス展」チーフ・プロデューサーが日記形式で楽しく紹介します。(HPから)
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世界初公開、日本初公開の冷凍標本
(マイナス20℃以下の冷凍展示ケースで展示されています)
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ケナガマンモスの皮膚(冷凍標本) 世界初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:31,150年前/発掘:2018年8月12日/
発掘場所:サハ共和国 ベルホヤンスク地区 ユニュゲン

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仔ウマ「フジ」(冷凍標本) 世界初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:41,000~42,000年前/発掘:2018年8月/
発掘場所:サハ共和国 ベルホヤンスク地区 バタガイカ・クレーター

14_20190816073401 ケナガマンモスの鼻(冷凍標本) 世界初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:32,700年前/発掘:2013年9月/
発掘場所:サハ共和国 ノボシビルスク諸島 マールイ・リャホフスキー島
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仔イヌ(冷凍標本) 日本初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:12,450年前/発掘:2015年8月/
発掘場所:サハ共和国 ウスチ・ヤンスク地区 スィアラアフ川流域
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「ユカギルバイソン」(冷凍標本) 世界初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:9,300年前/発掘:2011年8月/
発掘場所:サハ共和国 ウスチ・ヤンスク地区 ヤナ・インジギルカ低地 チュクチャラフ湖

18_20190816073601 ライチョウ(冷凍標本) 世界初公開
特別重要文化財(ロシア連邦)
年代:1,600年前/発掘:2016年8月/
発掘場所:サハ共和国 ベルホヤンスク地区 ユニュゲン


「ユカギルマンモス」(頭部冷凍標本)の実物は冷凍室に展示されています。(この展示だけ撮影不可です)
レプリカがミュージアムショップに展示されています。
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コカギルマンモスのレプリカ

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この展覧会場で大きなスペースをとっているのが、近畿大学の「マンモス復活プロジェクトです。
この類の展覧会には必ずといっていいほど登場します。
マンモスの正体を知る鍵となるマンモスの「細胞核」を採取する上で直面した困難や、マンモスの細胞核が生命活動の兆候をみせたという発見など最新研究を紹介しています。
研究成果による様々な波及効果、必ず付きまとう生命倫理等にも触れています。
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2019.08.14

ムーぜの森(軽井沢絵本の森美術館、エルツおもちゃ博物館・軽井沢) 2019年6月

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前回投稿、軽井沢タリアセンの近くにミュージアム・パーク「ムーゼの森」があります。
ムーゼの森は「軽井沢絵本の森美術館」と「エルツおもちゃ博物館・軽井沢」を併設する施設です。

絵本の森美術館のまとめ映像です。

絵本の森美術館の、  
第一展示館では、初期から現代まで続く欧米の絵本を常設展示し、その魅力を紹介しています。
他に、名誉顧問で欧米児童文学研究者の吉田新一文庫と日本人絵本画家木葉井悦子氏寄贈作品の展示もあります。
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第一展示館

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第一展示館2階展示室。解説展示があります。

03_20190814072401窓からの緑。

第二展示館では企画展が開催されています。
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第二展示館

第3展示館では、ピーター・ラビットの常設展示が行われています(ピーター・ラビットひみつの部屋)05_20190813073601
第3展示館


静かな環境の絵本図書館(1,800冊を超える絵本が閲覧できます)で本を読んで、ピクチャレスク・ガーデンでのんびり花を愛でながら過ごす、このような時間も良いですよ。
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図書館

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ピクチャレスク・ガーデン

—HPから—
西洋に端を発し300有余年の歴史に彩られた絵本文化は西洋文化の息づく軽井沢と融合するとの考えから、軽井沢絵本の森美術館は、欧米絵本の創成期から現代まで広く紹介する絵本の専門美術館の先駆けとして、1990年7月に開館いたしました。その後、3期にわたり施設の拡充を行い、現在は15,000㎡の森に3つの展示館、図書館、ショップなどが点在し、自然の中で潤いと安らぎの時間をお過ごしいただけます。また、敷地内の「ピクチャレスク・ガーデン」も、絵本の世界と併せてお楽しみください。

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エルツおもちゃ博物館・軽井沢
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—HPのから—
「エルツおもちゃ博物館・軽井沢」は、「ドイツ・エルツ地方の伝統的木工工芸おもちゃと、欧州を中心とする知育玩具などを蒐集・展示する専門博物館で、ドイツ・ザクセン州ザイフェン村立「エルツ地方のおもちゃ博物館(Erzgebirgisches Spielzeugmuseum Seiffen)」の姉妹館として、1998年4月に開設いたしました。ドイツ人の質実剛健で伝統文化に対する誇りと、マイスターから生み出される感性豊かな巧みの技術は日本における民俗文化とも通じ、国や地域を超えたモノづくりの精神性は共通できるものと考え、開館に至りました。

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2019.08.11

軽井沢テリアセン(ペイネ美術館、軽井沢高原文庫)2019年6月

6月に軽井沢にある九つの美術館を訪れてきました。
その中の一つがペイネ美術館です。
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ぺイネ美術館は旧帝国ホテル建設時に来日したアントニン・レーモンドが、昭和8年に建てた「軽井沢・夏の家」と呼ばれるアトリエ兼別荘を移築し、美術館として使っています。
玄関でスリッパに履き替えて、館内を見てまわります。建物とペイネ作品を楽しむことになります。
ペイネ美術館は塩沢湖を中心にした自然豊かな軽井沢タリアセン内にあります。
「軽井沢・夏の家」の他にも旧朝吹山荘「睡鳩荘」などの歴史的建造物が移設されています。
また、軽井沢高原文庫には、野上弥生子書斎、堀辰雄の山荘などもあります。 

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旧朝吹山荘「睡鳩荘」

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堀辰雄の山荘

軽井沢タリアセンにはバラ園、遊興施設、レストラン、ショップなどがあります。
まとめです。

 

—軽井沢タリアセンのHPから—
軽井沢タリアセンは
軽井沢町の南に位置する塩沢湖を中心として、美術館や遊戯施設、レストラン、ショップなどが集まった総合的リゾート施設です。軽井沢高原文庫では、この地にゆかりのある作家・詩人の資料を見ることができます。
また、柔らかなタッチで寄り添う恋人たちを描いたレイモン・ペイネの作品を収蔵するペイネ美術館や、深沢紅子による繊細で可憐な野の花の絵が楽しめる深沢紅子野の花美術館があり、静かな森の雰囲気ともあいまって、心穏やかな時間が流れます。
敷地内はレジャー設備も充実。ゴーカートやモノレールでさわやかな風を切るひとときは、家族みんなの素敵な思い出となるはず。

「タリアセン」とは──────────
直訳すれば、ウェールズ語で「輝ける額」という意味です。
もともの語源はケルト神話に由来し「知恵者」であり芸術をつかさどる妖精「タリエシン」から、といわれています。

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2019.08.09

サントリー芸術財団50周年 遊びの流儀 遊楽図の系譜

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サントリー芸術財団50周年 遊びの流儀 遊楽図の系譜は、
サントリー美術館で開催されています。

会期 2019年6月26日(水)〜8月18日(日)

「遊びをせんとや生まれけむ」

この展覧会で遊びの流儀を遡り、「遊びって・・本来こういうことなんだよね」と妙に?関心しました。
展示作品に描かれている「遊び」を探しながら、遊びに加わる人々の表情、周辺の様子を熱心に鑑賞してきました。
まず、「個」で遊ぶというシチュエーションは登場しません。絵にならないから、ということもあるでしょうが、そもそも遊びとは皆で楽しむものなのでしょうね。

屏風等の作品を展示ケースの全面に展示して細部まで見やすいように工夫されているようでした。

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琴棋忌書画は君子の嗜みでもあり、沢山描かれてきました。
古の(伝統的な)遊びには貝合、鶯の鳴き声の優劣を比べる鶯合などの鳴合、2種以上の香を薫き合せて香の異同を判別し、その香の名を言いあてる組香などが知られます。さらには蹴鞠小弓打毬に至るまで、平安時代の貴族が楽しんだ雅な遊びが紹介されていて、その遊びに使われる道具も展示されています。

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《琴棋書画図屛風》 遮莫筆 六曲一双(部分)室町時代 16世紀 個人蔵
【展示期間:6/26~7/22】

一年十二か月の行事や風物を描く「月次絵」には、羽子板雪遊び花見月見など、季節の遊びや祭礼に興じる人々が描かれています。
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重要文化財 《十二ヶ月風俗図》 一帖のうち(一月)桃山時代 16~17世紀 山口蓬春記念館
【展示期間:6/26~7/22】

「邸内遊楽図屛風」には、庭先における輪舞や、池の舟遊び釣りをする人、蹴鞠小弓に熱中するグループなど、座敷では酒宴に興じる人々、の調理場面も描かれます。風呂場の男と世話をする湯女も。
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重要文化財 《遊楽図屛風(相応寺屛風)》 八曲一双 江戸時代 17世紀 徳川美術館
©徳川美術館イメージアーカイブ / DNPartcom 【展示期間:6/26~7/15】

芝居見世物物見遊山、アウトドアで娯楽尽くし。
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重要文化財 四条河原遊楽図屛風 二曲一双のうち右隻
江戸時代 17世紀 静嘉堂文庫美術館
©静嘉堂文庫美術館イメージアーカイブ / DNPartcom
【展示期間:7/24~8/18】

遊楽図の諸様相。 三味線が奏でる浮世のリズム、舞踏煙草ファッション文使い・・・・・02_20190730072401 03_20190730072501
国宝 《婦女遊楽図屛風(松浦屛風)》 六曲一双のうち右隻(部分)江戸時代 17世紀 大和文華館

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重要文化財 本多平八郎姿絵屛風 
二曲一隻 江戸時代 17世紀 徳川美術館
©徳川美術館イメージアーカイブ / DNPartcom
【展示期間:6/26~7/15】

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誰が袖図屏風 六曲一双のうち左隻 江戸時代 12世紀 根津美術館 【展示期間:7/24~8/18】

異国から伝わったカードゲーム
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金地うんすんかるた 一揃 江戸時代 17世紀 滴翠美術館 【全期間展示】

Backgammon boardから絵双六まで・・

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重要文化財 清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤 一合 桃山時代 17世紀 サントリー美術館【全期間展示】

 

展覧会の構成は次の通りです。
第1章 「月次風俗図」の世界  暮らしの中の遊び
第2章 遊戯の源流  五感で楽しむ雅な遊び
第3章 琴棋書画の伝統  君子のたしなみ
第4章 「遊楽図」の系譜(1) 「邸内遊楽図」の諸様相
第5章 「遊楽図」の系譜(2) 野外遊楽と祭礼行事
第6章 双六をめぐる文化史  西洋双六盤・盤双六・絵双六
第7章 カルタ遊びの変遷  うんすんかるたから花札まで
第8章 「遊楽図」の系譜(3) 舞踊・ファッションを中心に

 

—HPの解説—
遊びをせんとや生まれけむ」とは、平安時代末期の歌謡集『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の有名な一節です。この展覧会は美術のテーマとなった「遊び」に着目し、双六やカルタ、舞踊やファッションなど、男女が熱中した楽しみごとの変遷をながめます。とくに近世初期の「遊楽図」における屈指の名品の数々が一堂に集まり、暮らしと「遊び」のかかわりを探るかつてない機会となります。
古くから主要な画題であった「風俗図」や「遊楽図」には、平安時代以来の貝合や蹴鞠、羽子板など、情趣ゆたかな遊びに熱中する人々が描かれています。また、中世以降には、中国の士君子のたしなみとして奨励された「琴棋書画(きんきしょが)」(琴・囲碁・書道・絵画)の影響を受けて、「琴棋書画図」が屛風や襖絵に数多く制作されました。近世に入ると、花見や風流踊りに興じる開放的な気分にあふれた「野外遊楽図」が流行しますが、江戸時代前期には幕藩体制が安定に向かうとともに、室内で親密に遊ぶ様子を描く「邸内遊楽図」に中心が移ります。画面を眺めると、琴は三味線に、囲碁は双六に姿を変えて、「琴棋書画」の宴に見立てて描かれた遊楽の場面が幾つも見出せます。
現代を生きる私たちは、手中のスマートフォンで音楽やゲームに興じ、メールや画像をやり取りしています。その様子はあたかも、「琴棋書画」が端末1台に完結しているような趣です。しかし、一昔前までは、実際に人々が出会い、集わないかぎり成立しなかった技芸や遊びは少なくありません。
この展覧会は、とくに「遊楽図」の中で遊ぶ一人一人の表情に迫ります。ある時は無邪気に笑顔を交わし、またある時は物憂げに遊び暮らした先人たちの、遊びの極意や、浮世を生きる術に、思いを馳せるひとときをお届けします。

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2019.08.06

マイセン動物園展

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マイセン動物園展は、
パナソニック汐留美術館で開催されています。


会期 2019年7月6日(土)〜  9月23日(月・祝)

ドイツのマイセン磁器製作所で作られてきた動物に注目した展覧会です。

動物好きには、楽しく見飽きない展覧会。
基本的に撮影可ですが、何故か?本展タイトルの動物の多くが撮影不可になっていました。
その撮影不可の作品が、良いものばかり!

展覧会の構成は次のとおりです。

第 1 章 神話と寓話の中の動物
マイセン磁器で表現された神話と寓話をモチーフとした作品を展示しています。

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神話人物群像「ヒッポカンポスの引く凱旋車に乗るネプトゥヌス」 ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 1820 - 1920年頃  個人蔵

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山羊に乗る仕立屋 ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 1820 - 1920年頃 個人蔵
羊の毛波が見事に表現されています。着飾った仕立屋、山羊も同じ様な丸眼鏡をかけています。ユーモアあふれる作品。

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《猿の楽団》(部分)ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー、ペーター・ライニッケ 1820~1920年頃 個人蔵

第 2 章 器に表された動物
マイセンを代表するシリーズの一つ「スノーボール」と「動物」です。

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スノーボール貼花装飾カナリア付二人用ティーサービス  1820 - 1920年頃  個人蔵

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《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》 ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 1820~1920年頃 個人蔵
型成形し丹念張り付けた「スノーボール」は日本人のファンも多いようで・・・


第 3 章 アール・ヌーヴォーの動物
アール・ヌーヴォー(曲線の多用に代表される有機的なフォルムを特徴とした様式)は、マイセンでも取り入れられました。そして色彩部分でイングレイズ(釉薬の中に絵具を染み込ませ閉じ込める技法)を用いて、その色合いを生かした柔らかい表現に仕上げた動物たちです。

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子猫 エーリッヒ・オスカー・ヘーゼル 1956年  個人蔵 

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《二匹の猫》 オットー・ピルツ 1934~1940年頃 個人蔵

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シロクマ  オットー・ヤール  1903 - 1923年頃  個人蔵

このコーナーには、ワンちゃん、虎など様々な動物の作品が展示されていて、さながら動物園の趣です。
残念ですが、最も撮影不可の作品が多いコーナーでもありました。


第 4 章 マックス・エッサーの動物
マックス・エッサーは、マイセンにおけるアール・デコ様式を確立した一人です。ベッドガー炻器で制作した動物彫刻が彼の名を知らしめることになりました。エッサーに影響を受けた成型師による動物彫刻も展示されています。

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ライネケのキツネ(部分) マックス・エッサー 1924 - 1934年頃  個人蔵

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カワウソ マックス・エッサー 1927年 個人蔵

ーHPの解説―
ヨーロッパ初の硬質磁器製造に成功し1710年に王立磁器製作所設立を布告したドイツのマイセン磁器製作所。本展ではマイセンの動物に着目しご紹介します。 19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパの美術工芸界で流行したアール・ヌーヴォー様式はマイセンにも影響を与え、カップ&ソーサーから彫像にいたるまで幅広く取り入れられました。また同時期のマイセンでは、釉薬の下に絵付けする釉下彩や釉薬の上から描いた絵の具を沈みこませる釉中彩といった技法が多用されるようになり、淡く繊細な色調の作品が作られていきました。
一方、動物をモチーフとした美術作品は時代や地域を問わず制作されてきましたが、それらは何かを象徴するために描かれたり成形されたりするものもあれば、そのもの自身の愛らしさを伝えるために制作されるものなど様々で、マイセンでも同様でした。とりわけアール・ヌーヴォー期の動物作品は、模様から表情まで、動物のしなやかさを表現することに成功し、リアルさと愛らしさを見事に両立させたのでした。 本展では、そのようなアール・ヌーヴォー期の作品を中心に構成しています。磁器や炻器に加え、カタログなどの資料類も展示し、新しいアプローチでマイセンの造形と装飾をたどります。

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2019.08.04

日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

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日本・オーストリア外交樹立150周年記念
「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」は、
国立新美術館で開催されています。

会 期 2019年4月24日(水)~8月5日(月)

クリムトとシーレの作品を観るが大きな目的の一つだったので一様満足ですが・・・
この展覧会のコピーは、
ウィーン世紀末の全貌をまだ、あなたは知らない。
ウィーン世紀末 — それは新たな始まりだった。   

ウィーンの世紀末文化を「近代化モダニズムへの過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。(展覧会の概要から)
絵画、建築、グラフィック、工芸、音楽、ファッション、調度品それぞれ分野での時代を代表する作品の数々に私の能力ではなかなか整理がつかなかった。でもこの規模の作品を集めて見せてくれたのはありがたかったです。

展覧会の構成は次のとおりです。
第1章 啓蒙主義時代のウィーン — 近代社会への序章 —
女帝マリア・テレジアの、息子、皇帝ヨーゼフ2世は啓蒙思想の支持者で、行政や法律、経済、教育においてさまざまな改革を行った。ウィーンは自由な精神をもつ知識人たちを魅了し、ヨーロッパ文化の中心地へと変貌しました。
1-1 啓蒙主義時代のウィーン 
1-2 フリーメーソンの影響
1-3 皇帝ヨーゼフ2世の改革

第2章 ビーダーマイアー時代のウィーン ― ウィーン世紀末芸術のモデル ―
ウィーン会議以降、1848年に革命が勃発するまでの期間は、「ビーダーマイアー」と呼ばれました。人々の関心は「倹しい生活をそつなく送る」私的な領域に向けられました。画家たちは、日常生活や農村風景を描きました。

2-1 ビーダーマイヤー時代のウィーン
2-2 シューベルトの時代の都市生活
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《髭剃り用洗面器》 フランツ・ヴァルネーファー 1821年頃 プレス成型された銀 ウィーン・ミュージアム蔵

2-3 ビーダーマイヤ時代の絵画
2-4 フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミューラー — 自然を描く
2-5 ルドルフ・フォン・アルト — ウィーンの都市景観画家

第3章 リンク通りとウィーン — 新たな芸術パトロンの登場
皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世の間(1848-1916年)に、ウィーンは帝国の近代的首都へと変貌を遂げ、1857年に皇帝が都市を取り囲む城壁の取り壊しを命じ、新しいウィーンの大動脈となる、「リンク通り(リンクシュトラーセ)」を開通させました。沿道には、古典主義様式の国会議事堂、ゴシック様式の奉献教会、ルネサンス様式の大学などさまざまな歴史主義建築の建物が立ち並び、さらに19世紀末にはウィーン分離派のメンバーによる建物も建設されました。

3-1 リンク通りとウィーン
3-2「画家のプリンス」ハンス・マカルト
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ハンス・マカルト《ドーラ・フルニエ=ガビロン》18797-80年頃 油彩/板

3-3 ウィーン万国博覧会(1873年)
3-4「ワルツの王」ヨハン・シュトラウス

第4章 1900年 世紀末のウィーン — 近代都市ウィーンの誕生
カール・ルエーガーがウィーン市長として活躍した時代(1897-1910年)には、さらに都市機能が充実します。路面電車や地下鉄など公共交通機関も発展し、建築家オットー・ヴァーグナーがウィーンの都市デザイン・プロジェクトを数多く提案しました。(HPから)
絵画の分野では、1897年にグスタフ・クリムトに率いられた若い画家たちのグループが、オーストリア造形芸術家組合(ウィーン分離派)を結成、また、1903年には、ウィーン工房が設立されました。 

4-1 1900年 世紀末のウィーン
4-2 オットー・ヴァーグナー  — 近代建築の先駆者
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オットー・ヴァーグナー《カール・ルエーガー市長のための椅子》 1904年 ローズウッド、真珠母貝による象嵌、アルミニューム、皮

4-3-1 グスタフ・クリムトの初期作品 — 寓意画
4-3-2 ウィーン分離派の創設
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グスタフ・クリムト 《パラス・アテナ》 1898年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵

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グスタフ・クリムト《第一回ウィーン分離派ポスター》検閲後 1898年 カラーリトグラフ ウィーン・ミュージアム蔵

4-3-3 素描家グスタフ・クリムト

4-3-4 ウィーン分離派の画家たち
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マクシミリアン・クルツヴァイル《黄色いドレスの女性(画家の妻)》1899年 油彩/合板 ウィーン・ミュージアム蔵

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カール・モル《朝食にて(母と子)》1903年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵

4-3-5 ウィーン分離派のグラフィック
4-4 エミーリエ・フレーゲとグスタフ・クリムト
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グスタフ・クリムト 《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902年 油彩/カンヴァス
ウィーン・ミュージアム蔵 
この作品は撮影可でした。 

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《エミーリエ・フレーゲのドレス》複製 ウィーン・ミュージアム蔵

4-5-1 ウィーン工房の応用芸術
4-5-2 ウィーン工房のグラフィック
4-6-1 エゴン・シーレ — ユーゲント・シュティールの先へ
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エゴン・シーレ《ひまわり》
1909-10年 油彩/カンヴァス 149.5 x 30 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

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エゴン・シーレ《自画像》 1911年 油彩/板 ウィーン・ミュージアム蔵

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エゴン・シーレ《美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像》 1910年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵

4-6-2 表現主義 — 新時代のスタイル
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オスカー・ココシュカ《『夢見る少年たち』8.少女リーと私 出版:ウィーン工房 1907-08年 ウィーン・ミュージアム蔵

4-6-3 芸術批評と革新

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展覧会概要(HPから)
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは、絵画や建築、工芸、デザイン、ファッションなど、それぞれの領域を超えて、新しい芸術を求める動きが盛んになり、ウィーン独自の装飾的で煌きらびやかな文化が開花しました。今日では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代に、画家グスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、ヨーゼフ・ホフマン(1876-1958)、アドルフ・ロース(1870-1933)など各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金期を迎えます。それは美術の分野のみならず、音楽や精神医学など多岐にわたるものでした。
本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化モダニズムへの過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となって19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と言えます。

国立新美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
InternetMuseum

 

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2019.08.02

観てきた展覧会備忘録 2019年7月

華めく洋食器
大倉陶園100 年の歴史と文化
会期 2019年6月8日(土)~7月28日(日)
渋谷区立松涛美術館

青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―
会期 2019年7月2日(火)~9月22日(日)
戸栗美術館

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
会期 2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝)
国立西洋美術館

世界報道写真展2019
会期 2019年6月8日(土)〜8月4日(日)
東京都写真美術館

サントリー芸術財団50周年
遊びの流儀 遊楽図の系譜
2019年6月26日(水)~8月18日(日)
サントリー美術

中山英之展 , and then
会期 2019年5月23日(木)~8月4日(日)
ギャラリー間

唐三彩 ―シルクロードの至宝
会期 2019年6月22日(土)~8月25日(日)
出光美術館


特別展日本の素朴絵 ーゆるい、かわいい、たのしい美術
会期 2019年7月6日(土)~9月1日(日)
三井記念美術館


インプリントまちだ展2019
-田中彰 町田芹ヶ谷えごのき縁起
会期 2019年7月6日(土)〜9月23日(月)
町田市立国際版画美術館

畦地梅太郎・わたしの山男
会期 2019年7月6日(土)〜9月23日(月)
町田市立国際版画美術館


「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴るー スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展
会期 2019年6月25日(火) 〜 8月25日(日)
すみだ北斎美術館

特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」
会期  2019年7月6日(土)~8月25日(日)
江戸東京博物館


恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019
会期 2019年7月13日(土)~10月14日(月・祝)
国立科学博物館

北海道縄文人 全ゲノム完全解読(礼文島の船泊遺跡から出土した約3800年前の縄文人)
会期 2019年6月29日(土)~7月21日(日)
国立科学博物館


日本・オーストリア外交樹立150周年記念
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
会期 2019年4月24日(水)~8月5日(月)
国立新美術館

ジュリアン・オピー Julian Opie
会期 2019年7月10日(水)〜 9月23日(月)
東京オペラシティアートギャラリー

収蔵品展067 池田良二の仕事
会期 2019年7月10日(水)〜 9月23日(月)
東京オペラシティアートギャラリー


マイセン動物園展
会期 2019年7月6日(土)〜9月23日(月・祝)
パナソニック汐留美術館


日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」
会期 2019年7月9日(火)~9月16日(月)
東京国立博物館

 

野球殿堂博物館にも行って来ました。

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