唐三彩 ―シルクロードの至宝
「唐三彩 ―シルクロードの至宝」は、
出光美術館で開催されています。
会期 2019年6月22日(土)~8月25日(日)
これだけ纏まった唐三彩を鑑賞するのは、久しぶりというか、初めてのような気がします。
丁寧な解説が理解を深める手助けをしてくれます。
王侯貴族の葬礼に際し、来世での使用のために墳墓内に納められた唐三彩は、文字通り唐時代(618 - 907)主に緑釉・褐釉・白釉(透明釉)で彩色された陶磁器作品です。さらにコバルトを用いた藍釉を施した作品も加わります。
施釉陶器を墳墓の副葬品として埋納する風習が広まった漢時代(206 B.C.-A.D.220)から南北朝(439 - 589)、隋(589 - 618)時代、そして中国陶磁を代表する存在となった唐三彩。
シルクロードを通じた東西の交流から生まれた唐三彩のフォルム。
さらに中国周辺の国々で作られた作品を紹介して、三彩陶磁器の系譜を、全容を概観しています。
展覧会の構成は以下の通りです。
プロローグ 三彩への道
第1章 唐三彩 ―シルクロードの至宝
三彩胡人 中国 唐時代 出光美術館
胡人、つまり外国人の俑である。俗に深目高鼻と呼ばれる特徴や髪が巻き毛になっているなど、エキゾチックな胡人の特徴が良く表現されています。(キャプションを参考にしています)
三彩馬 中国 唐時代 出光美術館
西方伝来のプロポーションのよい優良場にさらにエキゾチックな趣を加えている。馬の俑も、駱駝とともに明器として好んで墓に副葬された唐三彩を代表する動物俑である。(キャプションを参考にしています)
三彩騎駝人物 中国 唐時代 出光美術館
駱駝に騎乗する胡人の俑である。先のとがった帽子、褐色の長いブーツを履くなど、イラン系のソグド人を表していると思われる。(キャプションを参考にしています)
三彩貼花文壺(万年壺)中国 唐時代 出光美術館
このような壺は、死後の世界での未来永劫に続く飲食を支えるための食物を蓄えた明器の壺ということで、万年壺と呼ばれる。(キャプションを参考にしています)
三彩蓮花瑞鳥文三足盤 中国 唐時代 出光美術館
型づくりの平縁の盤である。底部には3本の脚がつく。このタイプの三脚付き盤は唐三彩として作例も多い。(キャプションを参考にしています)
第2章 伝統と革新の融合 ―唐三彩の諸相
三彩貼花騎馬人物文水注 中国 唐時代 出光美術館
色鮮やかな三彩の水注。西方より伝来した素材の異なるこのタイプの水注の特徴を兼ね備えた三彩水注である。(キャプションを参考にしています)
第3章 遼三彩とペルシア三彩
三彩印花牡丹文稜花長盤 中国 遼時代 出光美術館
型作りで印花装飾が施された稜花形の長盤は遼時代の三彩作品に多く見られる。このような遼花長盤は金属器の盤に倣ったものと考えられる。(キャプションを参考にしています)
エピローグ 三彩スタイルの系譜
—HPの解説—
20世紀初頭の中国で鉄道敷設工事中に偶然発見され、その存在が知られるようになった唐三彩。その名の通り、唐時代(618 - 907)に緑釉・褐釉・白釉(透明釉)という三色、あるいは、コバルトを用いた藍釉を加えた多彩な鉛釉をかけ分けた装飾が特徴です。華麗な色釉に彩られた多色釉陶器である三彩は、またたく間に世界のコレクターを魅了し、今では中国陶磁を代表する存在となっています。
この時代はシルクロードを通した東西交流が盛んな時代でもありました。砂漠の貿易商人である胡人(ソグド人)や長距離交易の際の乗り物であったラクダといった異国情緒たっぷりな人物や動物の像、さらには西方伝来のうつわ類を再現した唐三彩は、国際色溢れる当時の雰囲気を私たちに教えてくれます。
また、王侯貴族の葬礼を彩り、来世での使用のために墳墓内に埋納された唐三彩は、当時の陶芸技術の粋をあつめた芸術品でもあり、まさに至宝と呼ぶにふさわしい作品なのです。
本展では、平成21(2009)年開催の「中国の陶俑(とうよう)」展以来10年ぶりに、出光コレクションの唐三彩を厳選し、一堂に展観します。
さらに、中国の周辺、北部草原地帯に王朝を建設した契丹(きったん)族の遼(りょう)と西方のペルシア地方に誕生した独特の三彩(遼三彩とペルシア三彩)、および、唐の滅亡後におこった歴代の王朝(金~清時代)において、制作の伝統が守られながらも、新たに発展してきた多種多様な三彩スタイルの陶磁器もあわせてご紹介します。 陶磁器装飾の一つのスタイルとして、アジア各地で花開いた三彩の美の世界をご堪能ください。
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