円谷さんの靴 特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」
特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」は、
江戸東京博物館で開催されています。
会期 2019年07月06日(土)〜08月25日(日)
この展覧会に「円谷幸吉さんの靴」が展示されていました。
円谷さんというと、どうしても「遺書」を思い浮かべてしまいます。
川端康成は「千万言も尽くせぬ哀切である」と評し、三島由紀夫も自著で評価しています。
(余談ですが・・この二人のノーベル賞をめぐる駆引きをNHKが放送していていましたね。興味を持って見ました)
この遺書、私はその昔、沢木耕太郎の「破れざる者たち」に収められた「長距離ランナーの遺書」で読みました。
2〜3年前?にも文藝春秋に「マラソン円谷 悲劇の謎が解けた」という一文が掲載されました。
円谷さんは未だに話題の人であり続ける様です。
概ねメキシコオリンピックへむけての重圧、コーチとの経緯、そして恋愛関係の破綻などが語られてきたように思います。アマチュアスポーツにおけるコーチのあり方という角度から語られることもありましたね。
この遺書は円谷さんの姿、語り口そのもの、真面目で優しい人柄の映し絵の様な文面だと私は思っています。
遺書の全文
父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿 もちも美味しうございました。
敏雄兄姉上様 おすし美味しうございました。
勝美兄姉上様 ブドウ酒 リンゴ美味しうございました。
巌兄姉上様 しそめし 南ばんづけ美味しうございました。
喜久造兄姉上様 ブドウ液 養命酒美味しうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き有難とうございました。モンゴいか美味しうございました。
正男兄姉上様お気を煩わして大変申し訳ありませんでした。
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、
良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、
光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、
幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、
立派な人になってください。
父上様母上様 幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。
何卒 お許し下さい。
気が休まる事なく御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません。
幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。
アベベ 円谷幸吉 マラソン (64`東京五輪)
同様のビデオが展示会場で放映されています。
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特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」のHP解説から。
日本におけるスポーツとオリンピックの歴史をひもとく展覧会を開催いたします。
江戸時代の蹴鞠けまり、相撲、打毬だきゅうなどの伝統的な競技に関する絵画や道具類から、近代オリンピックで活躍した日本人選手の競技用具やメダルなど、多彩な資料を展示。江戸時代に行われていた伝統的な「スポーツ」を概観し、明治以降の近代スポーツの受容と流行からオリンピックへの参加、そして1964年東京オリンピックへの大会招致と開催に至るまでの歴史を紹介します。2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の概要なども紹介し、東京で2度目の開催となる世界的スポーツの祭典への期待感を盛り上げていきます。
なお、本展覧会は都内在住・在学の中学生、小学生以下のお子様は観覧料が無料です!ぜひご来場ください。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 江戸の「スポーツ」事情
剣術の稽古で使われていた、江戸時代の防具。
「直心影流剣術で使用された防具」1834年(天保5年)東京都江戸東京博物館蔵
シンクロナイズドスイミングのような、江戸の曲芸的な泳ぎが描かれた錦絵。
「極暑あそび」歌川豊国(三代)/画 1852年(嘉永5)早稲田大学演劇博物館蔵
第2章 近代スポーツと東京
「懐中覚」堤磯右衛門/著
日本における運動会のルーツのひとつ
『懐中覚』より横須賀製鉄所で行われた運動会の様子
堤磯右衛門/著 1868年(慶応4) 横浜開港資料館/寄託 堤真和/蔵
野球やサッカーなど、様々なスポーツを日本語で紹介した最初期の書籍
『戸外こがい遊戯法』坪井玄道、田中盛業/編 1885年(明治18) 東京都江戸東京博物館/蔵
第3章 オリンピックへの道
幻となった1940年の東京オリンピック招致を記念した旗。
「第12回オリンピック東京大会手旗」1936年(昭和11)頃 東京都江戸東京博物館
第4章 1964年東京オリンピック・パラリンピック
第5章 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて
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