六古窯 —〈和〉のやきもの
「六古窯 —〈和〉のやきもの」展は
出光美術館で開催されています。
会期 2019年4月6日(土)~6月9日(日)
中世から現在まで焼きもの作りが続く瀬戸(愛知) 、越前(岡山)、信楽(滋賀)、丹波(兵庫)、備前(福井)は六古窯と称され、小山富士夫が命名しました。圧倒的なシェアの美濃焼(岐阜)以外にも伝統的な焼き物があることを紹介する意味で・・・・
中世の人々にとっては必需品で三種の神器といえる壺・龜・擂鉢の素朴な趣は、桃山時代には茶の器としても注目され、近現代では、観賞用の陶器としても愛でられるようになりました。
本展では、奈良時代から江戸時代までの各地でつくられてきた陶器を中心に、中世の焼き物に影響を与えた朝鮮、中国の焼き物も交えて展示しています。
展覧会の構成はつぎの通りです。
第1章 中世陶器の系譜 ―瓷器系・須恵器系・土師器系
第2章 六古窯と中世諸窯
第3章 中世陶器の系譜から発展した茶陶
第4章 中世の人々が好んだ唐物
第5章 後世の眼が見た中世のやきもの
特集展示① 中世のひとびとの〈こころ〉
特集展示② おおきいやきもの
特集展示③ 茶入
大壺 常滑窯 日本 平安時代後期 出光美術館
よく焼締った茶褐色の地肌の上に、肩から胴に黄緑釉の自然釉が勢いよく滴り落ちている。常滑窯で作られた粘土紐を積み上げて成型した大振りの壺。(キャプションから)
壺 備前窯
日本 室町時代後期
兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)
本作品は長胴で口縁部は玉縁状を呈する備前の壺である。紐作り成形の後に胴部は横向きの箆けずりによる調整が行われている。堅牢で壊れにくい備前焼(壺・龜・鉢など)は日常生活具として需要が高く全国に流通した。(キャプションから)
双耳壺 越前窯 日本 室町時代 福井県陶芸館
高さ40㎝を超える大型の越前窯の双耳壺である。熟練した作りてでさえもコントロールできない、土と炎の格闘の中で生み出された「やきもの」の姿を感じさせるうつわ。(キャプションから)
唐物肩衡茶入 銘 道阿弥 福建系 中国 南宋時代 出光美術館
筒茶碗 信楽窯 日本 桃山時代 出光美術館
信楽窯のものは、村田珠光が古市播磨に宛てた消息中の「志からき者」の言葉に見られるように、茶の湯のうつわの世界では備前窯同様に早くから用いられてきた。16世紀後半の天正年間頃まではもっぱら和物の中では信楽と備前が中心であった。(キャプションから)
灰釉葦鷺文三耳壺 渥美窯 日本 平安時代 重要文化財
愛知県陶磁美術館(財団法人 松永記念館寄贈)
青磁袴腰香炉 龍泉窯
鬼桶水指 日本 信楽窯 桃山時代 愛知県陶磁美術館
鬼桶水指は麻の繊維(苧:かむらし)を水に浸けてほぐすための農業用具の「緒桶」を水指の見立て、それが「鬼桶」の名称がついたとされる。室町時代後期頃から、この様に日常用の質素な道具が茶の湯の道具として取り上げられるようになり、唐物至上主義からの脱却という新しい展開をみせている。(キャプションから)
展示概要(HPから)
素朴ながらも豪快で力強さを備える中世のやきもの。その表面は素材の土の色、窯の中で焼成(しょうせい)されるときに炎の熱を受けて生じた緋色、人智の域をこえて流れる釉薬(ゆうやく)の表情が特徴的です。まるで生命がやどっているかのような個性が魅力となっています。
なかでも平安時代後期から鎌倉・室町時代といった中世に生み出され、現代に至るまでやきもの作りが続いている瀬戸(せと)、常滑(とこなめ)、越前(えちぜん)、信楽(しがらき)、丹波(たんば)、備前(びぜん)は六古窯と称され、日本的なやきものとして親しまれてきました。2017年には文化庁の「日本遺産」にも選定されています。これらの中世のやきものは、伝統的な技術に加え、中国や朝鮮半島など唐物をはじめとする舶来の文物に影響を受けながらも、各地で独自のスタイルを生みだしました。
作られたやきものは、壺・甕(かめ)・擂鉢(すりばち)など当時の人々の生活の必需品であり、中世の人々の生活にとっては三種の神器ともいえるものです。その伝統は桃山・江戸時代へ継承されていきます。一方で、日常のうつわであったものが、桃山時代には茶の湯のうつわとしても注目されました。さらに近現代においては実際に使用するわけではなく、鑑賞する陶器としても愛でられるようになります。このように六古窯に代表される中世のやきものは、各時代の人々の社会や日常生活の中に溶け込みながら、日本における伝統文化・価値観の中で美や魅力をみいだされてきたのです。
本展では、中世のやきものに影響を与えた青銅器、中国陶磁、茶道具などもあわせて展観し、中世のやきものの世界へ誘います。
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