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2019.06.16

ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―

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ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―は、
パナソニック汐留美術館で開催されています。

会期 2019年4月6日(土)〜6月23日(日)


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《出現》 1876年頃 油彩 ギュスターヴ・モロー美術館蔵

ファム・ファタール(男にとっての「運命の女」の意味。男を破滅させる魔性の女のこと。)
出世作《出現》はモロー50歳の時の作品です。
サロメの物語を描いた有名な作品は数多く存在し、一定のパターン(お盆にのった生首)がありますが、

《出現》はモローならではの個性が魅了的な作品ですね。
光に包まれて宙に浮かぶ洗礼者ヨハネの首をサロメは上目遣いに睨んでいます。
この見つめ合う構図はモロー作品の特徴でもあるようです。
画面全体にインド・中国の装飾を取入て神秘性を持たせ、瀟洒な布をまとい妖艶と悪魔的なものをない交ぜにしたサロメ、そのフォルム・構成は丹念に素描、試作を重ねて得たものだそうです。

この展覧会で2人の女性が紹介されています。金銭から身の回りの世話までしていた 耳の不自由な母ポーリーヌ・モローと30年来の恋人・・修道女のようなアレクサンドリーヌ・デュルー。
生涯独身であったモローは、寝室の奥にアレクサンドリーヌのための秘密の、彼女の好きな調度品で飾られた部屋を設けていました。

モローが「私の最後のときには、あなたと二人きりになって手を握っていてほしい」と願ったアレクサンドリーヌも、母の死の6年後帰らぬ人となりました。モローは邸宅にこもって絵を描くことに集中します。

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《アレクサンドリーヌ》 インク・鉛筆/紙 

最愛の母ポリーヌ、修道女のような恋人アレクサンドリーヌと暮らしたモローとファム・ファタール。
モローが描いた女性像に焦点を当てた展覧会です。

展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 モローが愛した女たち
第2章 《出現》とサロメ
第3章 宿命の女たち
第4章 《一角獣》と純潔の乙女

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《24歳の自画像》 1850年 油彩/カンヴァス
素描による自画像は多く残したが、油彩による唯一の作品。

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《一角獣》 1885年 油彩/カンヴァス
モローのサインはあるが未完成の作品。一角獣は処女にしかなつかないという。瀟洒に飾った婦人たちと従順な一角獣が緑豊かな場所で親密な時を過ごす幻想的な風景が描かれる。(キャプションを参考にしました)

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《サロメ》 1875年頃 油彩/カンヴァス

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《エウロベの誘惑》 1868年 油彩/カンヴァス
オウィディウスの「変身物語」を描いた一場面。エウロベとゼウスを、モローが物語に基づいた略奪ではなく二人の関係を神聖なものとして描いた独自の解釈を見ることができる。(キャプションを参考にしました)

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《トロイアの城壁に立つヘレネ》 油彩/カンヴァス

— HPの解説 —
象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー(1826‐1898)は、神話や聖書をテーマにした作品で知られています。産業の発展とともに、現実主義的、物質主義的な潮流にあった19世紀後半のフランスにおいて彼は、幻想的な内面世界を描くことで、真実を見いだそうとしました。本展は、そのようなモローが描いた女性像に焦点をあてた展覧会です。出品作品は、パリのギュスターヴ・モロー美術館が所蔵する、洗礼者ヨハネの首の幻影を見るサロメを描いた名作《出現》や、貞節の象徴とされた幻獣を描いた《一角獣》を含む油彩・水彩・素描など約70点によって構成されます。神話や聖書に登場する、男性を死へと導くファム・ファタル(宿命の女)としての女性、誘惑され破滅へと導かれる危うい存在としての女性、そしてモローが実生活において愛した母や恋人。展覧会では、彼女たちそれぞれの物語やモローとの関係を紐解いていき、新たな切り口でモロー芸術の創造の原点に迫ります。

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