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2019.06.08

ルート・ブリュック 蝶の軌跡

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「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展は、
東京ステーションギャラリーで開催されています。

会期:2019年4月27日(土)〜6月16日(日)

観覧客の男女比がこれほど明確な展覧会も珍しいのでは?
あくまでも私が観に行った日の時間帯での感想ですが、9(女)対1(男)位の感じでした。01_36

さらに余談ですが、
本展は、当初全点撮影可でしたが、早々に「カメラのシャッター音に対する苦情が著しく多いため、3階展示室のみ撮影可能とし、2階展示室での撮影は禁止」になりました。この処置に関しては賛否両論ですね。ほどほどの気遣いは観覧者にも必要な気がします。

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ブリュックの発想、世界観は、独自の文化や生命観をもつフィンランドの風土と、家庭環境(父親が蝶類の研究者、画家)にあるようです。(夫は世界的デザイナー)

学生時代は建築家になりたいという夢を持ちますが、二人の兄に反対されて断念。グラフィックデザインに転向します。
ブリュック作品の世界観がアラビア製陶所の目にとまり、1942年に美術部門のアーティストとして入所します。

陶芸の経験も知識もなかったブリュックは懸命に技術を習得し、1950年前後に職人たちと共に独自の技術を開発しオリジナルの陶板をつくりました。静物や鳥、建築などのモチーフを描いた陶板作品はミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞するなど高く評価されました。

1950年代後半以降にブリュックの作品は具象から抽象表現に変化します。
もともと建築家志望であったブリュックは、1970年代後半から教会や市庁舎などの建築のための大壁画を手掛けます。膨大な数のタイルを手作業で組み合わせて制作したそのモザイク壁画はモチーフの存在感と場の空気を見事に伝えています。

展覧会の構成は次の通りです。
Ⅰ 夢と記憶
Ⅱ 色彩の魔術
Ⅲ 空間へ
Ⅳ 偉業を成すのも小さな一歩から
Ⅴ 光のハーモニー

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最後の晩餐 1950-51年頃
ブリュックは1951年のミラノ・トリエンナーレに、本作を含む作品群んを出品してグランプリを獲得。次の1954年のミラノ・トリエンナーレで教会が主催した特別展に招待されたのは、宗教的なテーマや荘厳な作風が評価されたためだろう。(キャプションを参考にしました)

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イースターの鳥 1950年
焼成後に生じるひび割れに色素を染み込ませることでそれを強調し、深みのある表現としている。ブリュックの作品には初期から鳥のモティーフが頻出し、多様なスタイル、多様な姿で陶板に登場するほか、鳥そのものを立体的に表した作品もある。(キャプションを参考にしました)

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ライオンに化けたロバ 1957年
1940年代末から実践してきた型取りによる鋳込み成形作品の到達点といえる秀作。イソップ童話に基づく作品名。一見強面だがやさしい夫がモデルだという説もある。(キャプションを参考にしました)

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お葬式 1957-58年
6名の黒衣の人物が、花輪で装飾された棺を担いでいる。1957年1月に父親を亡くしたブリュックの喪失感は大きく、この作品は彼女が自分自身のために制作したものといえる。花リネア(リンネ草)があしらわれている。ブリュックのミドルネーム「リネア」は亡き父フェリクスが娘に与えた。(キャプションを参考にしました)

夫妻で海外を旅して、多くの作品を残しています。
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シチリアの教会 1951年  1952-53年

家庭を大事にしたブリュックです。 聖母子それとも・・
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母子 1950年代

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蝶 1957年

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スイスタモ(部分) 1969年 

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都市 1958年

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黄金の深淵 1969年

―HPの解説—
北欧・フィンランドを代表するアーティスト、ルート・ブリュック。名窯アラビアの専属アーティストとして約50年にわたって活躍し、初期の愛らしい陶板から膨大なピースを組み合わせた晩年の迫力あるモザイク壁画まで、幅広い作品を手がけました。重厚でエレガントな釉薬の輝きと、独自の自然観にもとづく繊細な図や形態は、今も多くの人々を魅了しています。
本展は、約200点のセラミックやテキスタイルなどを通じて、その多彩な仕事を日本で初めて網羅する展覧会です。初期と後期でドラマティックに変わる作風の謎、たしかな伝統技術に裏打ちされた細やかな凹凸による動きなど、実物の作品は皆さまにいくつもの発見を促すでしょう。作品の空間効果にこだわったブリュックにちなんだ、ダイナミックな展示構成も予定しています。ブリュック没後20年、日本-フィンランド外交樹立100周年の2019年春。「明るく、かわいい」印象で語られがちな「北欧・フィンランド」のイメージを刷新する展示をご期待ください。

 

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