「町田市立博物館最終展 ―工芸美術の名品―」
「町田市立博物館最終展 ―工芸美術の名品―」
会期 2019年4月20日(土)〜年6月16日(日)
町田市立博物館は、とてもよい企画展を多く開催してきた、こじんまりとした博物館という印象です。
開館から45年を迎えた現在の建物で最後の展覧会です。
新たに「町田市立国際工芸美術館」として町田市国際版画美術館隣接地に2024年に開館する予定です。
ローカルなイメージの今の博物館が好きなんだけどな~
第一展示室(入口から右、中央の展示ケース)
第一展示室(左の展示ケース)
第二展示室への通路(休憩所)
第二展示室(入口から右側の展示ケース)
第二展示室(中央から左の展示ケース) 第二展示室(奥から入口方向を見た展示風景)
町田市立博物館の<コレクションのあゆみ>と作品鑑賞の要点を 紹介する展覧会です。
この博物館で開かれた過去の展覧会を懐かしみながら鑑賞してきました。
写真撮影可です(条件あり)スマホで撮りました。
以下は、展示室解説からの引用です。
<コレクションのあゆみ>
大津絵の蒐集
太めのあじわいある描線、おおらかで明快な色彩、江戸時代に近江国・大津(現・滋賀県大津)で街道筋のみやげものとして売られていた大津絵は、どこか土臭くて暖かく、親しみのある庶民的な絵画といえます。
その始まりは江戸時代の初め頃の寛文年間(1624〜44年)、仏画を主体としたものでしたが、比較的早い時期に美人画や役者絵に通ずる世俗的な画題も見られるようになります。やがてこうした作品が主流となって風刺的な意味合いを込めたものや擬人化した猫や猿といった動物、鬼などの滑稽でユーモアにあふれた図柄も加わり、人気となっていきました。
町田市立博物館ではこうした素朴な味わいと江戸文化を伝える貴重な歴史資料として大津絵に注目して収集をすすめ、現代は50点に及ぶ貴重なコレクションを築いています。
ガラス作品の収集①
町田市立博物館では、1982年に開催された「チェコスロバキアのガラス展」で出品された作品の一部を購入したことがきっかけとなり、ガラス作品の収集を1983年から始めました。その後さるコレクターが中国ガラスの優れたコレクションを手放すと言う情報を得て、1987年から中国・清朝のガラス作品や鼻煙壺のまとまったコレクションを入手しました。1980年代に収集したチェコ・ボヘミアと中国のガラスは、当館のガラスコレクションの中核となっています。その後、チェコ以外のヨーロッパのガラスや古代のガラス、日本のガラスなどを少しずつ加えながら、博物館のガラススコレクションが形成されてきました。
錦絵の収集
日本のストーリー漫画の嚆矢と言われる「のらくろ」の作者田川水泡は、1969年に杉並区・高井戸から緑多い閑静な住宅街の町田市・玉川学園へと転居し、晩年の20年間を過ごしました。そこでは趣味の園芸を楽しみつつ漫画の仕事と滑稽の研究に打ち込みました。滑稽の研究とは長年滑稽な話の創作を職業としてきた水泡が、そもそも滑稽とは何かと思い立ち、始めたものでした。この研究は1981年と1987年に『滑稽の構造』『滑稽の研究』にまとめられて講談社から上梓されましたが、研究のために収集された江戸から昭和戦前までの版本や錦絵などの戯画や狂画、風刺画は研究が一区切りしたとのことから、550点が田川水泡コレクションとして当館に寄贈されました。
陶磁器の収集
町田市立博物館には約3500点の陶磁器が所蔵されていますが、これらの陶磁器コレクションは6人の方々による寄贈を基礎に成り立っています。1987年に町田市民の岩崎安吉氏から1420点の近代染付磁器を寄贈されたことが始まりで、1990年に山田義雄氏から東南アジア陶磁567点、氏の御遺族から1992年に中国陶磁等675点が寄贈・譲渡されました。この時点で当館は陶磁器の魅力を皆様にご紹介するに十分なコレクションを形成したといえます。
このような寄贈資料を活用した展覧会を30回ほど開催してきました。特に、東南アジア陶磁は他に類のない分野として評価され、1994年に中村三四郎氏から東南アジア陶磁626点、2008年に木内宗久氏から茶道具に用いた東南アジア陶磁265点、2013年に上神亮治氏から東南アジア陶磁と中国陶磁132点が寄贈され、1500点に及ぶ一大コレクションを形成するにいたりました。
ガラス作品の収集②
町田市立博物館がガラス工芸の展示・収集に力を入れている館であることが知られるようになってくると、次第に作品寄贈の申し出が増えてきました。2002年には旧岩田工芸硝子株式会社より、近代日本を代表するガラス作家である岩田藤七・久利・糸子の作品計100点が寄贈されました。2005年には個人コレクターの方から、中国・清朝のガラス、鼻煙壺を含む67点が寄贈されました。明治・大正期に精緻で優れたエナメル彩を制作していた松浦玉圃は、ガラス業界では知る人ぞ知る存在でしたが、2015年には松浦家に伝わった玉圃の作品8点が当館に寄贈されました。2016年には昭和を代表するガラス作家の1人である青野武市の作品87点がご遺族より寄贈され、2018年には国際的なガラス作家の大平洋一氏より、世界の最古のガラスの技法書とされる『ラルテ・ヴェトラリア』などの資料89点が寄贈されました。
展覧会概要(HPから)
開館45年を迎えた町田市立博物館は、本展覧会をもって現在の建物での展示事業を終了することとなりました。同時に町田市では、市立博物館のガラスや陶磁器などの工芸美術のコレクションを中心に展示する(仮称)町田市立国際工芸美術館の開館にむけて準備を進めています。
本展では市立博物館45年間の〈これまで〉を振り返り、ご愛顧への感謝の気持ちをお伝えするとともに、〈これから〉を(仮称)町田市立国際工芸美術館へとバトンタッチしようという企画です。本展は2部で構成され、第1部では市立博物館のコレクションのあゆみを名品約35点とともにたどります。第2部ではコレクションのなかでもガラスと陶磁器にスポットを当て、〈赤〉と〈青〉という象徴的な色に着目して選んだ古今東西の作品約100点によって、工芸美術の魅力をたっぷりとご紹介します。さらに近年所蔵となった世界初のガラス技法書『ラルテ・ヴェトラリア(L'Arte Vetraria)』も初公開します。
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