シャルル=フランソワ・ドービニー展
シャルル=フランソワ・ドービニー展は、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。
会期 2019月4日20日(土)~6月30日(日)
「国内初の本格的なドービニーの展覧会」ということですが・・・
ドービニーという風景画家の存在は知っていたし、さまざまな展覧会でその作品は見ているのですが、では思い浮かぶ作品は?
と訊かれると、心許ないです。
ドービニーは所謂「バルビゾン派の七星」の一人で、この展覧会の「序章:同時代の仲間たち」にはコロー、ルソー、デュプレ、さらにベーニア、クールベ、ラビエール、ドーミエの作品も展示されています。
1817年パリに生まれたドービニーは、生後まもなく里親に預けられた後、風景画家であったパリに住む父親のもとの戻り、画家への道を歩み始めます。1835年からのイタリア旅行を経て、ローマ賞に挑戦しますが落選します。以後1840年代は挿絵の仕事などで生計を立てながら、パリを中心にフランス各地を巡って描き、サロンに出展していました。 1843年には、フォンテーヌブローに滞在してバルビゾン派の画家たちと親しく交流し、もっぱら風景画を描き「バルビゾン派」の画家としての自身の方向性を確立していきました。
1859年以後、サロンでの受賞、国家買い上げなどを重ね、写実主義の風景画家として広く認知されるようになりました。一方で印象を荒描きしだけの未完成作品であるとの非難もありました。
1857年にアトリエ船ボタン号を入手したドービニーは、旅をしながら河川風景を描くようになり「水辺の画家」として名声を確立します。後に、より大きな船を購入したドービニーはさらに広範囲に各地を廻りながら習作を描き、オーベールあるいはパリのアトリエでサロンに備えて完成作を描きました。
屋外で意欲的に習作を描くようになったドービニーは、各地でモネやピサロなどの若い画家たちと出会って影響を与える一方、筆触分割などの新たな技法を知り、自作に取り入れています。
この展覧会は、ドービニーの油彩、版画などの作品約60点と周辺の画家による作品20点で構成されています。
「水の画家」ドービニーですね。森と水辺の自然に癒される展覧会場です。
展覧会の構成は以下の通りです。
序章:同時代の仲間たち
第1章:バルビゾンの画家たちの間で(1830~1850)
第2章:名声の確立・水辺の画家(1850~1860)
第3章:印象派の先駆者(1860~1878)
第4章:版画の仕事
写真は内覧会参加時に主催者の特別の許可を頂いて撮影しました。
(左)カミーユ・コロー 地中海沿岸の思い出 1872年頃 油彩/カンヴァス ランス美術館
(右)カミール・コロー オンフルール 1850-70年 油彩/カンヴァス ランス美術館
カミーユ・コロー 地中海沿岸の思い出 1872年頃 油彩/カンヴァス ランス美術館
シャルル=フランソワ・ドービニー 池の風景 1847年 油彩/板 ランス美術館
シャルル=フランソワ・ドービニー オワーズ河畔 1860年 油彩/板 ランス美術館
シャルル=フランソワ・ドービニー ボッタン号 1869年 油彩/カンヴァス フランス、個人蔵
ボッタン号の模型 ダニエル・ラスカン(シャルル=フランソワ・ドービニー末裔)
2006-07年 木材 フランス、個人蔵
シャルル=フランソワ・ドービニー ポルトジョアのセーヌ川 1868年 油彩/板 フランス、個人蔵
シャルル=フランソワ・ドービニー ディエップの海岸 制作年不明 油彩/板 株式会社ジールハウス
シャルル=フランソワ・ドービニー 葡萄の収穫 1863年頃 油彩/板 フランス、個人蔵
シャルル=フランソワ・ドービニー 版画集「船の旅」 1862年 15枚一括額装 エッチィング フランス、個人蔵
シャルル=フランソワ・ドービニー 「船の旅」の原板 1862年 銅(原版) オーヴェール=シュル=オワーズ、ドービニー美術館
展示風景
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