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2019.03.16

イケムラレイコ 土と星 Our Planet

Photo

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」は、
国立新美術館で開催されています。

会期 2019年1月18日(金)~4月1日(月)

イケムラレイコの大規模展覧会は、2011年にも東京近代美術館で開催されています。
タイトルは「イケムラレイコ うつりゆくもの」でした。

解説には、こうありました・・・・
茫洋としたとらえどころの無い横たわる少女の姿。 そこには、ほとんど脚が描き込まれていません。 ”うつりゆくもの”その心象風景をそのまま描き込んだような・・・・足を描くと移ろう心象が固定されてしまうかのように。

少女の姿が背景に溶け込むような曖昧なフォルムと色彩、その平面作品が、
とても印象に残った展覧会で、今回の展覧会も楽しみにしていました。


心の内側から湧き上がってくる曖昧な感情を表現すること。
「このあいまいな空間は、自分の思い込み、発想が投影できる」とイケムラレイコは語ります。

少女の姿であり、ウサギの耳を持つ人間の姿であったり、擬人化した?木々であり、全てのものが空間に溶け込む風景だったりします。

イケムラレイコは、ドローイング、絵画、版画、写真、彫刻、インスタレーションとその活動範囲をさらに拡げています(制作主題も含めて)。


今回の展示空間は、焦点が拡散した、という気がしないでもないですが・・・・
1970年代にスペインに渡り、ヨーロッパで制作活動を続けるイケムラレイコの作品210点でその軌跡をたどります。

展覧会の構成は以下の通りです。
1. プロローグ|Prologue
2. 原風景|Origin
3. 有機と無機|Organic and Inorganic
4. ドローイングの世界|Realm of Drawings
5. 少女|Girls
6. アマゾン|Amazon
7. 戦い|War
8. うさぎ観音|Usagi Kannon / 10. 庭|Garden
9. 山|Mountains
11. 木|Trees
12. 炎|Flame
13. 地平線|Horizon
14. メメント・モリ|Memento Mori
15. コスミックスケープ|Cosmicscape
16. エピローグ|Epilogue


この展覧会の一部作品が撮影できます(条件あり)

10
《有機と無機》展示風景

001
《受胎告知》の習作 1985年 木炭/紙 42×29.8cm バーゼル美術館

002
《母とミコ》 1995年 テラコッタ、釉薬 91×55×55cm 個人蔵、ドイツ

003
《オーシャン lll 》 2000/01年 油彩/ジュート 120×160cm ヒルティ美術財団

06
《うさぎ観音II 》 2013/14 ブロンズ、パティナ ケルン市立東洋美術館

07
《うさぎ観音II 》 (部分)

09
《うさぎ観音》 2012/14 滋賀県立陶芸の森にて制作 陶 作家蔵


01
《うねりの春》 2018年 顔料/ジュート 作家蔵
005
《うねりの春》 2018年 顔料/ジュート 190×290cm 作家蔵


02
左から 《東海道》 《始原》 《東海道》 2014年 テンペラ/ジュート 作家蔵
004
《始原》 2015 年 テンペラ/ジュート 190×290cm 作家蔵


04_2
左から 《始原Ⅱ》 《始原Ⅲ》 《コロイア》 2014年 テンペラ/ジュート 作家蔵


05
《ツァラトゥストラⅢ》 2014年 顔料、油彩/ジュート 190×290cm 個人蔵

展覧会概要(HPから)
ヨーロッパを拠点に活動し、国際的にも高い評価を得ているイケムラレイコの大規模な個展を開催いたします。

イケムラレイコは、1970年代にスペインに渡り、その後スイスを経て、1980年代前半からはドイツを拠点に活躍してきました。絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真など、イケムラが手掛けるメディアは多岐にわたります。それはイケムラが、何かが生まれる途上に潜在している、いまだはっきりとは見えない無限の可能性を表現するという独創的な芸術的課題に、多様なメディアをもって挑んできたことの証でもあるでしょう。本展覧会では、そのような不可能にも思える目標に真摯に取り組んできたイケムラの創造の軌跡を、約210点の作品とともにご紹介します。

スイスで本格的に画家としての活動を開始したイケムラは、1983年にドイツに移りました。当時の絵画を席巻していたのは、力強い色とかたちで、人間の生の感情を表出する新表現主義と呼ばれる動向でした。イケムラもまた、女性であること、そして異邦人であることの困難に抵抗するかのような荒々しい絵画や、多様な線で構成されたユーモラスで人間味あふれるドローイングなど、実験的な試みに没頭しました。そうした制作を経て、1990年代以降に現われてきたのは、名もない小さな動物や無垢な少女たち、母と子、木々や山と一体化した人物、誕生と死を含みこむ神話的な原始の風景などでした。

人や自然をコントロールし、体系化することによって成り立つ今日の社会は、自然災害だけでなく、原発の事故など、人が作りだしたさまざまなひずみによって揺さぶられています。うつろな空間に漂うはかなげな少女や、現代美術で正面から取り上げられにくかった母と子の像、そして、幻想的な、自然と一体化した小さな生きものたちのすがたには、この世に生まれでた、あるいは、これから生まれいづるものたちの存在の多様性を、あるがままに受け入れようとする強靭な思想が感じられます。寡黙でささやかな、自らのうちに深く沈みこんでいく内省的な作品世界は、まさにこの点において、きわめて今日的な批評性に満ちています。それは、日本とヨーロッパという異なった土壌で鋭敏な感覚を磨いてきたイケムラだからこそ見出しえた、啓示に満ちた景色でもあるでしょう。

2011年に東京国立近代美術館と三重県立美術館で開催された「イケムラレイコうつりゆくもの」展以降、イケムラは、社会に向き合う態度をより意識するようになったといいます。本展覧会は、独創的な創造活動により、破綻しかけた社会の構造にまで切り込もうとするイケムラの芸術をたどりなおし、多面的に追体験できるように、16のインスタレーションの集合として構成されています。展覧会のクライマックスには、近年の総合的な世界観を、神話的な空間に表出した大型の風景画の部屋が現われます。展覧会を通じて、そうした景色の向こうに広がる世界を、多くの来場者とともに考えることができれば幸いです。



国立新美術館 イケムラレイコ 土と星 Our Planet
InternetMuseum

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