新・北斎展
新・北斎展は、
森アーツセンターギャラリー で開催されています。
会期 2019年1月17日(木)~3月24日(日)
大規模な「北斎展」といえば、トーハクで開催された((2015年)「北斎展」が思い浮かびます。
この時の出展数が500点、今回は(新・北斎展は)480点(展示替えあり)ですから同規模ですね。
そして、本展には初公開作品も多数出展されています。
本展(新・北斎展)の監修者・永田生慈氏はトーハクの「北斎展」にもゲストキュレーターとして参加されました。
永田生慈氏は北斎研究のために作品の収集も行いました。作品数は2000件を超えます。それらは2017年に一括して、故郷の島根県に寄贈されました。そして氏の遺志により、本展に出品された後は、島根県のみで公開されることとなりました。つまり、本展は永田コレクションを東京で見ることができる最後の機会となります。
永田生慈氏は本展を半世紀にわたって北斎と歩んだ自らの集大成とすべく準備を進めてきましたが、2018年2月6日に逝去されました。
(HPから)
北斎はその多彩さに、何度見ても飽きるこちがありません。
今のところ、展示会場は大混雑というほどではありませんが、列に並んでの鑑賞になります。
私はじっくり3時間半ほどかけて見てきました。
展覧会の構成は次の通りです。
第1章:春朗期─ デビュー期の多彩な作品
第2章:宗理期─ 宗理様式の展開
第3章:葛飾北斎期─ 読本挿絵への傾注
第4章:戴 斗 期 ─ 『 北 斎 漫 画 』の 誕 生
第5章:為一期─ 北斎を象徴する時代
第6章:画 狂 老 人 卍 期 ─ さら な る 画 技 へ の 希 求
因みに、2005年に開催されたトーハクの「北斎展」の構成は以下の通り。
第一期 春朗期--習作の時代--20歳頃~
第二期 宗理期--宗理様式の展開--36歳頃~
第三期 葛飾北斎期--読本挿絵への傾注--46歳頃~
第四期 戴斗期--多彩な絵手本の時代--51歳頃~
第五期 為一期--錦絵の時代--61歳頃~
第六期 画狂老人卍期--最晩年--75~90歳
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春朗期 安永8年 寛政6年(1779~1794) 20〜35歳
勝川春朗時代のデビュー作品。勝川派そのものの様な作品ですね。
四代目岩井半四郎 かしく(部分) 細判 安永8年(1779) 島根県立美術館(永田コレクション)
宗理期 寛政7年~文化2年(1795~1805) 36〜歳頃の作品
初公開です。
津和野藩伝来摺物より(曙艸)吉野山花見(部分) 寛政9年(1797) 島根県立美術館(永田コレクション)
近年発見された、もう一つの忠臣蔵、この作品も初公開です。
かな手本忠臣蔵 小判10枚 文化初・中期((1804-1813) シンシナティ美術館
葛飾北斎期 文化2年~文化6年(1805~1809) 46〜50歳
円窓の美人図 紙本額 文化2年(1805)頃 シンシナティ美術館
鯉亀図(部分)紙本1幅 文化10年((1813) 埼玉県立歴史と民族の博物館
すみだ北斎美術館所蔵の「隅田川両岸景色図巻」も一部展示されています。
すみだ北斎美術館では開館当初の企画展で全編公開されました。こちらの所蔵にも永田生慈氏は尽力されました。
戴 斗 期 文化7年~文政2年(1810~1819) 51〜60歳頃の作品
森羅万象を描き手本としましたが、特に人体のあらゆる動作をのびやかにとらえた絵手本は、観飽きません。
北斎漫画 絵手本 半紙本15冊 文化11年-明治11年(1814-78) 島根県立美術館(永田コレクション)
為一期 文政3年~天保5年(1820~1834) 61〜74歳頃
富嶽三十六景 凱風快晴 大判 天保初期(1830-34)頃 島根県立美術館(永田コレクション)
画狂老人卍期 天保6年~嘉永2年(1835~1849) 75〜90歳頃
この「ひまわり」をゴッホが見たとしたら、どんな感想を漏らすのでしょうか?
なんて思ったりして・・・北斎88歳の作品。
初公開です。
向日葵図(部分)紙本1幅 弘化4年(1847) シンシナティ美術館
寺伝によれば、弘法大師が西新井の地を訪れたとき、流行していた疫病を鎮めたとされる。本図の鬼は病魔を表し、大師がその退散を祈っている場面であるという。
弘法大師修法図 紙本1幅 弘化年間(1844-47) 西新井大師總持寺
最後の展示作品は最晩年の双幅「雨中の虎図」「雲龍図」(落款は九十卍筆)です。龍と虎の視線が・・見合います。
(3月4日までの展示)
記念撮影?コーナー
――HPの解説――
葛飾北斎(1760~1849)は世界で最も知られた日本の芸術家の一人です。
江戸時代後期に浮世絵師として登場してから
90歳で没するまでの約70年に及んだ北斎の画業は、
常に新たな絵画の創造への挑戦の連続でした。
度重なる画号の改名は有名ですが、画風もまた大胆に変え続けました。
つまりは自らをUPDATEし続けた人生に他なりませんでした。
本展では、「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』などの有名作だけに焦点を当てるのではなく、
日本初公開となる貴重な作品を含めた北斎の全生涯にわたる画業を展観します。
国内外に所蔵される北斎の名品・優品はもちろん、
近年更新された主な研究成果を参照しつつ、
発見・再発見されてきた作品を一堂に公開いたします。
森アーツセンターギャラリー 新・北斎展 HOKUSAI UPDATED
InternetMuseum
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コメント
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
は今年の注目美術展の一つだと思います。NHKBSプレミアムでも「江戸あばんぎゃるど」が放映されました。私も必ず観に行きます。近頃の人気の絵師大集合ですよね。伊藤若冲の動植綵絵は昨年パリで展覧会があり評判だったようです。北斎は世界で最も知られる画家の一人だそうですが、これからも若冲をはじめ江戸期の画家は世界的人気を集めそうですね!(ちょっと書き換えました)
投稿: 内田さんへ | 2019.02.15 20:40
昨日(2/14)東京都美術館の江戸のアバンギャルド一挙終結「奇想の系譜展」を観てきました。伊藤若冲の新出作品3点や動植綵絵より先行して描かれた紫陽花双鶏図、白隠慧鶴の達磨図、鈴木其一が若冲から感化されて描いた百鳥百獣図、曽我蕭白のグロテスクな作品、歌川国芳パノラマ浮世絵等 普段あまり観ない作品に触れてきました。その後浅草でいつもの大多福のおでんを食べて帰ってきました。
投稿: 内田 | 2019.02.15 18:06