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2019.02.04

インポッシブル・アーキテクチャー  もうひとつの建築史

01

「インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」は、
埼玉県立近代美術館で開催されています。


会期 2019年2月2日[土] ~3月24日[日]


建築展を見ていると、実現しなかった構想、設計作品が展示されていることが多々あります。

この展覧会は、様々な理由で実現しなかった構想を (あえて実現できないことを想定した構想を含め)
20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて図面、模型、関連資料などを展示して紹介しています。

何故実現しなかったのか、完成しなかったのか・・・故に却って時代背景が鮮明に浮かび上がるような思いで見てきました。

07
黒川紀章《東京計画1961-Herix計画》模型 1961年 森アートコレクション、東京 撮影;大橋富夫 
東京の人口増加に対して東京湾の埋め立てでなく、杭構造によって竹型(巨大な円柱構造)あるいは樹木型(柱の周囲に円形の構造を重ねる)で垂直に空中に伸びていく構造を等間隔に作りそれらすべてを空中交通と地中交通で結ぶという計画を構想している。
1956年に発見された遺伝子の二重螺旋構造に着想をえたもの。(キャプションから)

この構想を、現代の(今の)東京にCGで再現したビデオが、展覧会入口で放映されていて、その斬新な風景に未来都市?を思いました。

02
ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ《フリードリヒ通り駅の摩天楼》フォトモンタージュ(展示は複製)1922年頃
石や煉瓦の建築に囲まれた当時のベルリンでミースの案は、あまりにも革新すぎたため落選し、コンペではより小型の保守的なプランが勝利した。(キャプションから)


03
.映像制作・監督:長倉威彦、コンピューター・グラフィックス:アンドレ・ザルジッキ/長倉威彦/ダン・ブリック/マーク・シッチ、≪ウラジミール・タトリン「第三インターナショナル記念塔」(1919-20年)≫、コンピューター・グラフィックス、1998年
労働者の国際的な組織のための塔。鉄のらせんの中にガラスの建物が4つあり、それぞれが回転する。当時の世界で最も高かったエッフェル塔を超える、400mの高さを目指した。ロシアに建てる予定だったが、内戦が続いていたことなどもあり、実現しなかった。(パンフレットから)

09
マーク・フォスター・ゲージ《グッゲンハイム・ヘルシンキ美術館》コンピューター・グラフィックス、2014年
コンテストに出された美術館の建築のアイデア。インターネットからダウンロードした3D画像を組み替えてつくられている。建築の面積は⒓000㎡。フィンランドの首都ヘルシンキに建てられる予定だったが、政府のお金が足りず、この美術館の建築計画そのものが中止になった。(パンフレットから)

04
ブルーノ・タウト書籍「アルプス建築」より挿図 1919年 東京都市大学図書館蔵 写真提供:新潟県立万代橋美術館

05
荒川修作+マドリン・ギンス《問われているプロセス/天命反転の橋》4模型 1973-89年 撮影;上野則宏
もはや、この模型から現実的風景は想像できませんでした。

06
ヤーコフ・チェルニホフ書籍「建築ファンタジー101のカラーコンンポジションン、101の建築小図より 1933年 個人蔵
イタリアのサンテリアやイワン・レオニードの建築ドローイング、またはカンデンスキーの絵画を連想させるものがある一方で、現実的な建築構造や、機械を描き出しているものも見逃せない。(キャプションから)


08
藤本壮介《ベトンハラ・ウオーターフロント施設》コンピューターグラフィックス 2012年

ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)の新国立競技場の模型、アピールビデオ、膨大な設計資料(冊子)が展示されています。
ザハ・ハディドのこの風景体感してみたかった!あの騒ぎはいったい何だったのだろうか・・・・ワイドショー政治?のあやうさに関しては、ワイドショーが始まったころからアーティストは指摘してきたはず。

前川國男の国立博物館案、磯崎新の新宿都庁案など、現存のそれと比べて「どちらがいいかな~」なんて思ったりしました。


解説を読みながら丹念に見ていくとかなりの時間を要します。

山口晃、合田誠の絵の前の椅子に座って気分転換。

なにしろこれだけのボリュームですから・・・・
主な出品予定作家(アルファベット順)
会田誠、安藤忠雄、アーキグラム、荒川修作+マドリン・ギンズ、ヤーコフ・チェルニホフ、ヨナ・フリードマン、藤本壮介、マーク・フォスター・ゲージ、ピエール・ジャン・ジルー、ザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)、ジョン・ヘイダック、ハンス・ホライン、石上純也、磯崎新、川喜田煉七郎、菊竹清訓、レム・コールハース、黒川紀章、ダニエル・リベスキンド、前川國男、カジミール・マレーヴィチ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、長倉威彦、コンスタン・ニーヴェンホイス、山口文象(岡村蚊象)、岡本太郎、セドリック・プライス、エットレ・ソットサス、スーパースタジオ、瀧澤眞弓、ウラジーミル・タトリン、ブルーノ・タウト、ジュゼッペ・テラーニ、山口晃、村田豊


――HPの解説――
 建築の歴史を振り返ると、完成に至らなかった素晴らしい構想や、あえて提案に留めた刺激的なアイディアが数多く存在しています。未来に向けて夢想した建築、技術的には可能であったにもかかわらず社会的な条件や制度によって実施できなかった建築、実現よりも既存の制度に対して批評精神を打ち出す点に主眼を置いた提案など、いわゆるアンビルト/未完の建築には、作者の夢や思考がより直接的に表現されているはずです。
 この展覧会は、20世紀以降の国外、国内のアンビルトの建築に焦点をあて、それらを仮に「インポッシブル・アーキテクチャー」と称しています。ここでの「インポッシブル」という言葉は、単に建築構想がラディカルで無理難題であるがゆえの「不可能」を意味しません。言うまでもなく、不可能に眼を向ければ、同時に可能性の境界を問うことにも繋がります。建築の不可能性に焦点をあてることによって、逆説的にも建築における極限の可能性や豊穣な潜在力が浮かび上がってくる-それこそが、この展覧会のねらいです。   
 約40人の建築家・美術家による「インポッシブル・アーキテクチャー」を、図面、模型、関連資料などを通して読み解きながら、未だ見ぬ新たな建築の姿を展望します。

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