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2018.10.11

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

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オルオルセー美術館特別企画
ピエール・ボナール展は、国立新美術館で開催されています。

会期 2018年9月26日(水)~ 12月17日(月)


ボナールといえば、
ゴーギャン の影響から派生したナビ派のボナールという印象が強く、思い浮かぶ作品も「細やかな心象表現」を見事に描いた・・・という印象。
そして、日本画、浮世絵への関心・・・

私が、この展覧会を観て再認識したのは、ボナール作品の色彩の豊かさ、素晴らしさでした。
ボナールの個性、魅力はむしろこれらの作品にあるかも?と思ったほどです。

もうひとつ、二度の世界大戦を経験したボナールの作品に時代の反映を感じることはありませんでした。
描かれている対象の殆どは、妻マルトを含めた周辺の人と静物、住み着いた或いは移り住んだ土地の風景です。


展覧会の構成は以下の通りです。
1.日本かぶれのナビ
2.ナビ派時代のグラフィック・アート
3.スナップショット
4.近代の水の精ナーイアスたち
5.室内と静物 「芸術作品―時間の静止」
6.ノルマンディーやその他の風景
7.終わりなき夏


チラシには、いざ「視神経の冒険」へとあります。
目がとらえた形や色がものとして意味をなす以前の「なまの見かた」を絵にする試みを、ボナールは手帖に「絵画、つまり視神経の冒険の転写」と書きつけています。

ボナールの作品を理解するうえで、自身の発言は、その一助になるかもしれません。
「私はたくさん制作し、絵という時代おくれの情熱のなかに奥深くまで入り込んでしまった」

「ただひとつ取り憑かれているものは絵である。そして、唯一の目標である光の転写のことがますます気に掛かる」

「南フランスの光のなかではすべては明るく、絵画は打ち震える。絵をパリに運ぶと、青は灰色に変わってしまう」

「色彩で表面を覆うとき、その作用にどこまでも新風を吹き込み、感情の要求に呼応するかたちと色の新しい組み合わせを、いつでも見つけなければならない」

「すべての主題は私の手の内にある。私はそれらを見ようとする。メモを取る。そして自宅に戻る。さらに描く前に、よく考え、夢想する」

「絵に完全に適した方法がある。ひとつの偉大な真実のためには、たくさんの小さな嘘をつかなければならない」

「主要なテーマは、オブジェの上にある色彩と法則をそなえた表面である」

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展覧会概要(HPから)
19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867‐1947年)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により「日本かぶれのナビ」の異名を取りました。20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出します。本国フランスでは近年ナビ派の画家たちへの評価が高まり、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が魅了され、2014年のゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数の第2位を記録しました。
本展覧会は、オルセー美術館の豊富なコレクションを中心に、国内外のコレクションのご協力を仰ぎ、130点超の作品で構成されるボナールの大規模な回顧展です。油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点といったさまざまなジャンルを通じて、謎多き画家ボナールの魅力に迫ります。

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《庭の女性たち》1890-91年 デトランプ、 カンヴァスで裏打ちされた紙(4点組装飾パネル) オルセー美術館
掛け軸を思わせる縦長の画面と浮世絵の見返り美人を想起させる作品。


08
ランプの下  1899年 油彩、厚紙 オルセー美術館
この親密な空間、空気感はいいですね。
私が思い続けていたボナールのイメージはこの様な作品。

05
《白い猫》 1894年 油彩、厚紙 オルセー美術館
動物好きのボナールは、数匹の犬と猫を飼っていました。
沢山の作品に猫が描かれています。

04
《フランス=シャンパーニュ》1891年 多色刷りリトグラフ 川崎市市民ミュージアム
法学を学びながら絵画制作に励んでいたボナールが、広告コンクールで受賞し、賞金100フランを獲得。
このことで、法律家になることを望んでいた父親がようやく画家になることを認めた。

09
浴盤にしゃがむマルト 1908-10年 モダンプリント オルセー美術館
1898年コダック社からフォールディング・ポケット・コダックが発売されると、ボナールは購入し、沢山の写真を撮りました。本展にも多くの写真が展示されています。

10
《浴盤にしゃがむ裸婦》1918年 油彩、カンヴァス オルセー美術館 
持病の精神障害治療のためにマルトは一日に何度も入浴したそうです。
ボナールは、モデルにポーズをとらせることはありませんでした。
写真、デッサン、自分の記憶をを基に再構築した作品。 

03
《化粧室 あるいは バラ色の化粧室》1914-21年 油彩、カンヴァス オルセー美術館
  
11
猫と女性 あるいは餌をねだる猫  1912年頃 油彩、カンヴァス

06
《ル・カネの食堂》 1932年 油彩、カンヴァス オルセー美術館 (ル・カネ、ボナール美術館寄託)
大きく主張する色と各モチーフの色彩バランスを丹念に描きこむ・・・ボナールの真骨頂なのでは。

13
《トルーヴィル、港の出口》1936-45年 油彩、カンヴァス オルセー美術館(ポンピドゥー・センター、国立近代美術館寄託)  

07
《アンティーブー(ヴァリアント)》 1930年頃 油彩、カンヴァス オルセー美術館

16
《村の早春》のための習作 1912年 油彩、カンヴァス オルセー美術館
ボナールは大型装飾画も手掛けています。
本展では最終章に展示されています。
この作品は習作で小振りですが・・・・ボナールのアルカディア、理想郷でしょうか?

15
《花咲くアーモンドの木》1946-47年 油彩、カンヴァス オルセー美術館(ポンピドゥー・センター、国立近代美術館寄託)
1947年の1月、すでに自ら筆をとることができなくなっていた画家は、甥のシャルル・テラスに頼んで画面左下の緑色の部分を黄色で覆いつくした。


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