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2018.05.11

工芸館開館40周年記念 名工の明治

Photo

「工芸館開館40周年記念 名工の明治」は、
東京国立近代美術館工芸館で開催されています。

会期 2018年3月1日~5月27日


工芸館が数年にわたりの修復に取り組んできた《十二の鷹》が、修復後初のお披露目です。

この作品に限らずですが、明治の名工の、磨き上げられた技術に裏打ちされた作品の造形、色彩の見事さは、作品鑑賞の原点だと、あらためて感じました。

《十二の鷹》(1893年)は、浮世絵や日本の美術工芸品を海外へ輸出し、ジャポニズムの立役者と言われる林忠正が考案し、鋳物の技術に秀でていた鈴木長吉が手がけたもので、鷹狩で用いられる鷹をモチーフに、当時の日本の鋳物・彫金の粋を集めて制作されました。そして、アメリカのシカゴで開かれたコロンブス世界博覧会へ出品され、大きな評判を呼びました。
刀の鍔や目貫といった刀装具に代表される日本の彫金技法はすでに西欧で高い評価を受けていました。こうした伝統を受け継ぎながら、彫刻のような造形を兼ね備えた《十二の鷹》を作ることで、「これをもてわが国美術制作家一般の模範に供え」(東京日日新聞)美術工芸の活性化に繋げようと考えていたのです。
(展示会場の解説から)

鈴木長吉は、実際に鷹を飼って写生したり、古い絵画や史料を調べたり、その準備に4年の歳月を費やしたといいます。


この展覧会は一部の作品を除いて撮影できます。
スマホで撮りましたので、一部紹介します。
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全体像です。
鈴木⻑吉 (1848-1919) 十二の鷹 1893 各種金属、鋳造、彫 金、めっき

こちらは「鷹―八」です。
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サイズ:奥行き500×横幅500mm
重量:10,570g
素材:ブロンズに各所メッキ処理を施す
爪・嘴先端部・腹部の羽の溝あとなど黒色部に漆を使用
眼球は真鍮・赤金・赤胴の切り嵌め象嵌を用いている

詳しく解説したパネルが展示されています。
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余談ですが、最近「林忠正」が取り上げられることが多くなったと思いませんか?
拙ブログでも取り上げましたし、(木々康子著 春画と印象派 ”春画を売った国賊”林忠正をめぐって
原田マハ著「たゆたえども沈ます」は売れたようですね。(林忠正と助手の重吉、ゴッホと弟テオ)
私も購入しましたが・・・なぜか?未だ半分も読んでいませんが・・・


《十二の鷹》以外にも素晴らしい作品が展示されています。
展覧会の構成は以下の通りです。
Ⅰ. 明治の技の最高峰―帝室技芸員
Ⅱ. 明治の名工―鈴木⻑吉と《十二の鷹》
Ⅲ. 技の展開と新風
Ⅳ.技を護る・受け継ぐ−戦後の工芸保護政策と、今日の技と表現


HPの解説です。
明治時代、その優れた技術によって帝室技芸員に任命された鈴木長吉(1848-1919)。当館所蔵の《十二の鷹》は彼の代表作の一つで、1893年アメリカ開催されたシカゴ・コロンブス世界博覧会で発表されました。古来より武将たちが好んで行った鷹狩りで用いられる鷹をモチーフに、本物と見紛うリアルな表現と、金、銀、銅、赤銅、四分一といった金属の色を巧みにちりばめた華やかさで、世界の人々を驚かせました。
当館では、数年をかけてこの《十二の鷹》の修復に取り組んできましたが、このたび修復後初のお披露目をいたします。長らく失われていた鉾垂れ(鷹の止まり木に使用される装飾布)も復元され、発表当初の鮮やかな色合いがよみがえりました。「明治150年」にもちなみ、本展では、高い技術力と表現力を兼ね備え明治の精神を今に伝える名工たちの作品もあわせてご覧いただきます。現代の工芸作品も含めた当館所蔵作品約100点を通して、技と表現が現代にいかに継承されたのか、その展開を探ります。

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